埼玉県立自然史博物館の鉱物

埼玉県立自然史博物館の鉱物

1.初めに

埼玉県長瀞は、東京から近いこともあり、昔から、地質学の研究フィールドに
なっていた。
その結果、長瀞式変成岩などに代表されるように地質を研究する基準がつくられた
場所でもある。日本の地質学発祥の地と言われる所以である。それを記念して、
埼玉県立自然史博物館が荒川のほとりにある。
「日本地質学発祥の地」記念碑【博物館の前】
博物館の常設展示として、秩父鉱山のコーナがあり、「ひも状自然金」はじめ、
「車骨鉱」「ブーランジェ鉱」など秩父鉱山ならではの標本が展示してある。
(2002年5月訪問)

2.場所

秩父鉄道「上長瀞駅」から約200mに博物館がある。国道140号線沿いに、
大きな表示が出ているので迷うことも無いと思う。
埼玉県立自然史博物館
入口には、「秩父ヒスイ」の大きな塊がおいてあります。
秩父ヒスイ

3.「秩父鉱山のコーナ」

博物館の一角に、坑道を模した秩父鉱山の展示コーナがあり、ここで産出した
代表的な鉱物標本を見ることができる。

左:秩父鉱山コーナ        右:秩父鉱山の鉱物

4.秩父鉱山の鉱物

代表的な鉱物のうち、私が興味深かったのは、「ひも状自然金」、「車骨鉱」
「ブーランジェ鉱」そして「ベスブ石」である。
いずれも、「日本の鉱物」に秩父鉱山産として掲載されている。
(1)ひも状自然金【Native Gold:Au】
真っ黒い閃亜鉛鉱の上に、ひも状の自然金が見える。
(2)車骨鉱【Bournonite:CuPbSbS3】
方鉛鉱の結晶が反復双晶をなし、歯車(車骨)状に見える。

    左:ひも状自然金        右:車骨鉱
(3)ブーランジェ鉱【Boulangerite:Pb5Sb4S11】
鉛・アンチモン・硫黄からなる真っ黒い毛状の鉱物
(4)ベスブ石【Vesviannite:Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4】
スカルン鉱床の代表的な鉱物として、柘榴石と共生する場合があり、秩父鉱山のベスブ石は
灰バン柘榴石との識別に迷うことがある。

    左:ブーランジェ鉱        右:ベスブ石

5.おわりに 

(1)10年近く前に訪れたことがあるが、展示内容はあまり変わっていなかった。
秩父鉱山産の実物標本を見に、一度は訪れる価値があります。
(2)鉱物関係の小冊子やリーフレットを販売していることがあります。
(3)秩父から長瀞に向かう途中に、秩父鉄道の「武州中川駅」があり、私と同じ名前なので、
記念に駅舎を撮影しました。
武州中川駅

6.参考文献 

1)(財)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1994年 inserted by FC2 system