2015年7月 ミネラル・ウオッチング














           2015年7月 ミネラル・ウオッチング
         『山梨県の古典的水晶産地をたずねて』

1. はじめに

    私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと春と秋にミネラル・
   ウオッチングを開催するようになって16年目を迎えた。
    2015年春は6月末に、『月遅れGWミネラル・ウオッチング』を開催した。

   ・  2015年月遅れGWミネラル・ウオッチング
    ( Mineral Watching Tour , Jun. 2015 , Nagano Pref. )

   ・  2015年月遅れGWミネラル・ウオッチング 【その2】
    ( Mineral Watching Tour - Part 2 -, Jun. 2015 , Nagano Pref. )

    これに参加した京都・Tさんが、友人3人を連れて湯沼鉱泉に泊まって、山梨県と長野県の水晶
   産地を巡ると知らせてくれたので、都合がついた初日だけご一緒させていただいた。

    集合時間の1時間前に行くと、すでにTさん一行の車が止まっていた。皆さんTさんと同じ年代で、
   私よりも半周位若いようだ。挨拶もそこそこに林道を進み、駐車スペースで車を停める。

    道なき道を進むこと1時間あまり、白い水晶片が点々と見えてくる。ここには、産地AとBがあり、今
   回はAで採集する予定だった。Tさんから、「こんなに遠かったですかネ」と聞かれて、Aを通り過ぎて
   いることに気付いた。快調に飛ばしすぎて、どうやらAの入口を見過ごしてしまったようだ。
    そこから30分ほどで産地Bに到着した。ここを案内するのはおよそ10年ぶりだ。皆さん思い思いの
   場所に散らばって採集開始だ。山梨県の水晶産地は、稼行当時女性や子供も水晶を拾ったせ
   いかこれはという標本がズリに落ちていることは少ないので、皆さん苦戦気味だ。やがて、Tさんが、
   「こんなんがありました」と見せてくれたのは、この産地特有の水晶だった。その周辺を探すと、”ポツ”
   ”ポツ”だが持ち帰れそうな標本がでてくる。

    2時間近くやって、そこそこの標本が得られたので、産地Aに向かうことになった。急な崖は登るより
   下る方が怖いのだが、皆さんの中にはTさんはじめ、岩登りの経験者がいてコースどりは私よりはるか
   に確かだ。

     
               急崖を降り、産地Bを後にする

    産地Aに着いて、まずはMH農園のスイカを沢水に漬けて冷やす。以前女性向けに探査しておいた
   「乙女鉱山」で採集してみるが出てこない。どうやら、Ms.Tさんと妻とで採り尽くしてしまったようだ。
    男性向けの「坑口ズリ」に案内して、仕切り直しだ。ここでも、”ポツ”、”ポツ”と良晶が出て、気が
   付けば3時を回っていた。
    スイカを切り分けて食べて下山だ。17時前に駐車場に戻って、皆さんとお別れした。

     
              ”キンキン”に冷えたMH農園のスイカ

    今回のミネラル・ウオッチングは『水晶に始まり、水晶に終わる』1日間だった。採集した標本の
   ほとんどは、湯沼鉱泉「水晶洞」の出口に撒(ま)いて、こどもたちから大人までへの”サプライズ”に
   提供することになりそうだ。
    それでも、『一品満足』と言える標本もあり、同行していただいた石友に感謝している。
    ( 2015年7月 開催 )

2. 産地

    ここは、有名な産地なので詳細割愛します。帰途、先頭を歩いていたTMさんが、「クマがいる!!」
   と指差す方向には、真っ黒い物体が見えた。

    
                 クマ!!?

    大きな声を出しても動かないので、よくよく見たら木の切り株だったが、この地域にはクマが出没す
   るとの情報があるので単独行は避け、何人かで訪れるのが良いだろう。

3. 産状と採集方法

    ここは、水晶を目的として採掘した跡なので、そのズリでの採集となる。表面をよく観察したり、
   木の生えていないズリを少し掘ってみると良晶を発見できる可能性が高い。

     
               産地B 採集風景

4. 採集鉱物

    ひょっとして、「燐灰石」が出るかと思ったが世の中そうそう甘くはなく、採集できたのは水晶だけだ
   った。
    手元に標本として残して置く気になったいくつかの水晶を紹介する。

             
                  レーザー水晶                  両錐水晶
                 【長さ 78mm】                【長さ 52mm】
                              MHの採集品

5. おわりに

 5.1 『 残暑お見舞い 』
      今日(8月8日)の「立秋」の日に、奈良の石友・Yさんから残暑見舞いのメールをいただいた。
     この日から秋が感じられるとされ、「暑中見舞」から「残暑見舞」に切り替わる日でもある。
      「有職故実(ゆうそくこじつ)」、「故事来歴(こじらいれき)」に詳しいYさんならではの正しい使
     い方だ。
      ただ、全国各地で猛暑日が続き、「立秋」とは思えない。「立秋」などの24節季の名称は中
     国の気候を基準に決めたものをそのまま日本に当てはめている上、最近の地球温暖化や異常
     気象もあいまって季節感がずれているのだ。テレビで今日が立秋と報じているのを聞いて、「この
     クソ暑いのに何を頓珍漢なことを言っている!!」と腹立たしくすらなる。
      10月になっても真夏日がある甲府盆地に住む私の感覚では、残暑見舞いは彼岸過ぎが良
     いと思っている。

      さて、連日の暑さと雨不足でMH農園の一部の野菜は青息吐息だ。トマトはもともと乾燥した
     気候があっているせいか甘味が増しておいしいのだが、トウモロコシやナス、キュウリは水がないと
     実が萎(しな)びてしまうので、水やりが欠かせない。

      先日、骨董市で銭の表裏に放射状の筋が入った変わった「寛永通宝」を発見して購入した。
     調べてみると「雨乞い銭」と呼ぶものだ。放射状の筋は唐傘(からかさ:コウモリ)の骨を示し、
     江戸時代、日照りに困った農民が、”唐傘が必要なくらい雨が降って欲しい”と神様にお願い
     したときに奉納したお金だ。

             
                     表                            裏
                                  「雨乞い銭」

      このまま、暑くて雨が降らない日が続くと、「雨乞い」でもしたくなる心境だ。

6. 参考文献

 1) 藤本 治義:南佐久郡地質誌,社団法人 南佐久教育会,昭和33年
 2) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,長島乙吉先生祝賀記念事業会,昭和35年
 3) 山田 滋夫:日本産鉱物 五十音配列 産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
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