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2015年 秋のミネラル・ウオッチング
( Mineral Watching Tour , Fall 2015 , Nagano Pref. )
開催する前の下見と後のフォローアップは欠かせない。万一、”ゴミ”が落ちていたり立木が枯れて
でもしたら、いくら入山料を払ったからといっても許されるものではない。
それと、20名前後の人が山に入り採集したわけだから、これで産地が”絶産”になってしまったら、
それこそ申し訳ない。
そんな訳で、開催した翌週に体力錬成を兼ねてフォローアップにでかけてみた。川上村に入ると、
朝8時少し前の気温は+1℃と甲府に比べると10℃近く低い。
湯沼鉱泉に立ち寄り、社長とお姐さんに挨拶をして、コーヒーをいただきながら今日の狙いを話し、
入山料(大人 1,000円)を払う。
お姐さんから、「MH、領収書を持って入ってくださいよ」と念を押された。どうやら、2、3日前に領収
書を車に置いて入った人が山で会った猟師に金を払って入山したかチェックされ、1時間もすったもん
だしたらしい。
今回は産地を見てみたいという社長も一緒だが、登山口のところからそれぞれのペースで登り始め
る。
自分のペースでゆっくりと登る。紅葉して地面に落ちた葉っぱが香ばしい匂いを漂わせている。ペー
スを記録するのを兼ねて、途中、途中のポイントで深まりゆく秋の景色を写真におさめる。
産地に着いてみると、ミネラル・ウオッチング以降、本格的に採集した人はいないようだ。新たに掘
る前に、崩れた土砂を片付けていると社長が登ってきた。
「こんな場所(すれっからしのズリ)からまだまだ出るんだな」、と妙に感心していた。社長はもっと上
にある産地を見に行くというので、昼ご飯を一緒に食べられるよう12時から13時の間に戻ってきてもら
うようにした。
11時ごろまで2時間近くかけて、崩れた土砂を片付け終わった。ズリを掘り始めると、「水晶」、「灰
ばんザクロ石」、「武石」などがボチボチ出てくる。泥にまみれた群晶も馬鹿にしないで、とりあえず持
ち帰ることにした。
12時が過ぎ、そろそろ社長が戻ってくるころだが、なかなか姿を見せない。日本式双晶と思われる
「平板水晶」と変則的な頭の「松茸水晶」、」そして「両錐の緑水晶」が採れた。
12時半ごろになって、上のほうから人が近づく気配がして社長が姿を見せた。持参したコンロでお
湯を沸かし、カップヌードルと妻が握って持たせてくれたおにぎりを食べる。温かいカップヌードルは標高
が1,800mを超えるここでは最高のごちそうだ。
昼食が済むと仕事がある社長は下山していった。午後になると陽が翳るせいで一気に肌寒くなり
Tシャツの上に長袖を着込む。16時近くになると寒さを感じるようになり、荷物をまとめて撤収だ。
湯沼鉱泉に寄って、今日の成果(?)を見せて、帰宅路を急いだ。
( 2015年10月採集 )
この産地がどのようにしてできたのかが、私にとって最大の疑問だった。露頭が永い年月の間に崩れ
てできた”自然崩落”によるものなのか、それとも採鉱活動によって人為的にできた”ズリ(廃石捨て場)”
なのか。鉱山だったとすると誰が、いつ頃、何を目的に掘ったのか、次々と疑問が湧く。
・ どうしてできたか
”自然崩落”と考えると、どうだろう。「崩落」→「がけ崩れ」を連想するが、この上は緩やかな傾斜で、
崩れ落ちてきそうな崖が見当たらい。
しからば、”鉱山採掘後のズリ”と考えると、つぎのような点から考えて矛盾が少ない。
@ 右(北)脇に堆積している石は角張っていて、しかも大きさが揃っていて人が割ったようにみえる。
A 今は埋もれてしまって跡形もないが、上のほうに斜め下に入る斜坑らしきものがあった。
右側30mほどのところに、陥没した坑道入り口が観察できる。
B 地下の堆積層が下から、地山→赤茶けた割石→黒色の腐葉土→落ち葉→地表の順に規則正し
く並んでいて、他の鉱山のズリと同一の構造を示している。
・ 何を掘ったか
この周辺では、武田信玄の時代から金を採掘したと伝えられているが、金を伴うような鉱物は見
当たらない。
ここで採集できる主な鉱物は、「水晶」、「灰ばんザクロ石」そして「武石」など「褐鉄鉱」だ。水晶
は『松茸水晶』、『緑水晶』、『マリモ入り水晶』、そして『日本式双晶』までもが産出し、珍奇な形
状であったり、美しいものなので、私たちのコレクションとしてはぜひとも加えたいと思うのだが、、水晶
印材などの製品にするには小さすぎ採掘しても採算がとれないだろう。「ザクロ石」も同様だ。
「褐鉄鉱」はどうだろう。ここでは、人頭大の塊なども産出し、量がまとまれば立派な鉱山になり得る
だろう。
・ いつ頃、だれが掘ったか
この周辺には、「磁鉄鉱」、「磁硫鉄鉱」、そして「褐鉄鉱」などの鉄鉱石を採掘した坑道が多数
あった。
2015年6月、この周辺で新産地を求めて探査したら、古い坑道や掘りかけて止めてしまった試掘
坑、そして露天掘り跡などを多数確認できた。
・
長野県 元祖・『甲武信鉱山』 の鉱物
( Minerals from Original Kobushi Mine , Kawakami Village , Nagano Pref. )
これらの多くが、大部分をアメリカに依存していた鉄鋼を止められた太平洋戦争開戦前の昭和
10年代に採掘を始め、敗戦後の昭和30年代頃まで続いた。
昭和16年8月、櫻井欽一先生一行が川上村で鉱物採集した際、「梓山鉄山」が稼働していた
らしく、「選鉱場」でザクロ石や灰鉄輝石などを採集したと記されている。
・ 長野県川上村川端下(かわはけ)附近の鉱物
( Minerals around Kawahake , Kawakami Village , Nagano Pref. )
湯沼鉱泉近くにある、”朝飯前”の愛称で知られている水晶産地でも「褐鉄鉱」を採掘して
いた、と社長から聞いたことがある。
これらから考えて、昭和10年代から昭和30年のはじめごろまでの間、住友などの鉱山会社が「褐
【寄り道】
私の解答例は、”ズリの体積÷坑道の断面積”だ。これについては、別なページで紹介したい。
ここの産状は、鉱山が稼働中にできた”初生(バージンと呼ぶ)ズリ”の部分だと特定の層に目的の
ほとんどの場所が、入れ替わり立代り何回も掻き回された”シャッフル・ズリ”になっているので、愚直
秋のミネラル・ウオッチングの下見のときから、昔、むかし雨塚山でズリを掘って紫水晶を探してい
”てみ”の中だけに集中しているので、”見逃し”が少ないような気がする。それと、見終わった土砂
O弟は、「Yさんの足の下50センチ」と自己申告しているが、「足元だった」という目撃証言もある。
これらの多くに、元鉱物の外形を保ったままのものが見られる。立方体の「黄鉄鉱」が起源の
(2) 松茸水晶【Scepter quqrtz/QUARTZ:SiO2】
松茸水晶は、鉱物学的には『平行連晶』の1種である。その形状(松茸水晶のでき方)は、
@ もともとあった水晶の先端に成長(結晶軸が同一)
@〜Bの産状のものが観察できる。
タイプ@
タイプA
タイプB
これらを観察して気づくのは、松茸の軸に相当する部分はインクルージョンで「緑水晶」になった
(3) 緑水晶/石英【QUARTZ:SiO2】
(4) マリモ(星)入り水晶/石英【QUARTZ:SiO2】
”まりも”や”雲”は「まりも入り水晶」の根元部分に集中し、先端部分はほとんどが透明になっ
元来、毬藻(まりも)の色は、”緑”と相場が決まっているのだが、尾平鉱山の”真っ白い”球
(5) ススキ入り水晶/石英【QUARTZ:SiO2】
(6) 食い違い水晶/石英【QUARTZ:SiO2】
(7) インターラプテド・クオーツ(切れ込み入り水晶)/石英【interrupted quartz/QUARTZ:SiO2】
これと同じ産状の水晶は湯沼鉱泉近くの俗称”朝飯前”の水晶産地でも確認している。2013
・ 長野県川上村湯沼『朝飯前』の鉱物
このとき採集したインターラプテド・クオーツがなぜできたのか、その成因を推理して、次のページに
このページでは、「方解石などの結晶があって、それによって水晶の成長が阻止された」と結論
今回、泥にまみれてズリに埋もれていた塊をいくつか持ち帰った。その1つは、表側には緑色の
同じような抜け殻石英が他にもあった。その一つは、菱面体の角度を測定するのにおあつらえ
酸などで簡単に溶け去り抜け殻を作る鉱物としてよく知られているのは「重晶石」と「方解石」
(8) 両錐水晶/石英【double point quartz/QUARTZ:SiO2】
(9) 日本式双晶/石英【Japanese Law Twin quartz/QUARTZ:SiO2】
(10) ヴェールをかぶった水晶/石英【veiled quartz/QUARTZ:SiO2】
今人気の”土偶”を思わせる水晶なので掲載してみた。
(11) 灰ばんザクロ石【GROSSULAR:Ca3Al3(SiO4)3】
これからも、あちこちの産地でミネラル・ウオッチングを開催することになるはずだが、産地の環境保
5.2 疑問が氷解
( Process of Interrupted QUARTZ growth , from Yunuma " Asameshimae "
Kawakami Village , Nagano Pref. )
鉄鉱」を目的に採掘したと思われる。ただ、ここに来る途中で見た住友によって「磁鉄鉱」(?:社長
の話では、「最初は有吉氏が金を掘り、その後住友に譲った」)を本格的に採掘したとされる「第2
テラス」のズリの規模に比べ、量は極めて少なく、本格的な採掘には至らず、試掘程度で終わった
可能性が高い。
2015年8月、T大の学生たちをミネラル・ウオッチングに案内し、甲武信鉱山を訪れ、第2テラスで
休憩を兼ね、「磁鉄鉱」や「珪灰石」などを採集した。
お遊びとして、「”坑道の深さ(総延長)”を中に入らないで推計する方法」を質問した。石を投げ
て当たった音とか大声を出して反射して戻ってくるまでの時間を音速で割ってという答えがあった。極
端な場合、坑道が直角に曲がっていたり、分岐していたらこの方法では正確な距離は解らない。
鉱物があるので、その層を探り出してそれを追いかけるのだが、現在ではそのような部分にはなかなか
出会えない。それでも、ズリ掘りの鉄則・”木の根”、”岩の陰”は有望だ。
木の根 岩の陰
に端から探していくしかない。それでも、先人が捨てたプラスチック容器や空き缶を掘り出すこともたび
たびだ。
弁当のフタが出てきて、「トホホ・・・・」
たころを思い出し、”てみ”を使ってみた。”てみ”の中に熊手でズリの土石を掻き入れながら選鉱し、
ある程度溜まったらそのまま少し離れた場所に捨てる。
”てみ”を使って採集
を離れた場所に捨てるので、掘進場所が”スッキリ”していて、気持ちが良い。これが、MHの”ズリ掘
りの美学”の一つなのだ。
何よりも、”見逃し”たのを他人に採られて、悔しい想いをすることが少なくなるのが大きい。「2005
年GWミネラル・ウオッチング」で、奈良・Yさんが見逃したのをO弟が採ったエピソードは今でも語り
継がれている。
4. 採集標本
(1) 褐鉄鉱/褐色の水酸化鉄鉱物、主に針鉄鉱
【limonite/brownish iron hydroxide minerals,mainly GOETHITE:FeOOH】
赤鉄鉱【HEMATITE:Fe2O3】
水晶など伴う晶洞を埋める塊状や土状で産出する。それらが分離した塊状でも見られる。
晶洞を埋める 分離した塊
【赤い土状の「赤鉄鉱」を伴う】
「褐鉄鉱」
俗に「武石(ぶせき)」、あるいは「升石(ますいし)」と呼ばれるものと六角板状〜柱状を示す
「磁硫鉄鉱」が起源のものが観察できる。
私が観察した範囲では、「黄鉄鉱」よりも「磁硫鉄鉱」起源の方が多い。それは、この近くに
あった元祖・甲武信鉱山の大きな「磁硫鉄鉱」鉱床や同じ川上村にある大深山鉱山の「磁硫
鉄鉱美晶」に通じるものがあるのかもしれない。
「武石」
板状 柱状(厚板)状
【右上の六角厚板状、全体が大きな六角形】
「磁硫鉄鉱」
この産地のメインの鉱物は水晶だ。各種の形状(双晶・連晶)、色、インクルージョン(内包物)
バリエーションも豊富で、何よりも美しいのが魅力だ。それらの中でも、ここの「松茸水晶」は珍奇
な形状と美しさで、日本一だと思っている。
基本的に2種類、そしてそれらが組合わさったものがある。
【 通常の松茸水晶、”逆松茸水晶( Tapered Quartz )” 】
A もともとあった水晶の柱面(m面)に寄り添って成長
【 寄生松茸 】
B @とAが合体したもの
【 複合型 】
通常 逆
結晶軸が同じ
寄生
複合
り、「マリモ(星)入り」や「ススキ入り」になっているのに、後から成長したと思われる傘に相当する
部分は透明な水晶だということだ。
これは、軸の部分を作った珪酸イオンを含む溶液には、カルシウム(Ca)や鉄(Fe)などの不純
物が多かったが、終末期には不純物が減って純粋な珪酸イオンだけになったためと考える。
松茸水晶の軸や松茸になっていない水晶で一番多いのは、緑色の「緑水晶」だ。インクルージ
ョンが何なのかは分析されていないが、この産地のあちこちで多産する「灰鉄輝石【HEDENBERGITE
:CaFeSi2O6】」か、この産地の緑水晶の内包物として多い「緑閃石【ACTINOLITE:Ca2(Mg,Fe)5
Si8O22(OH)2】」、あるいは「鉄へスティング閃石/ヘイスティング閃石【ferrohastingsite
/HASTINGSITE:NaCa2Fe4Fe3+Si6Al2O22(OH)2】」のいずれかと思われる。
私見では、ここの緑水晶は単純な緑色ではなく、”灰緑色”をしているところが似ている「灰鉄
輝石」だろうと考える。
分離単晶【両錐】 母岩付き
「緑水晶」
白色〜緑色〜黒色の球状結晶が入った水晶を一般には「まりも入り水晶」と呼んでいる。ここ
では、最大でも直径3mm真っ白い球状結晶を内包するマリモ入り水晶が観察できる。緑水晶
に比べると数は圧倒的に少ない。
”まりも”の正体は、「角閃石」と思われる微細・針状結晶が球状に集合したものと考えている。
これは、この近くの松茸水晶産地で多数観察できたものとよく似ている。
ている。
この産状は、「まりも入り水晶」産地として有名な大分県尾平鉱山こうもり坑のものと全く同じ
で、同じような成長過程をたどった、と考えられる。
マリモ(星)入り水晶
状鉱物入りを「まりも水晶」と呼ぶようになって、話がおかしくなってしまった。
益富先生の「鉱物」では、尾平のものを『星入り』と呼んでいるので、それにならって、”マリモ
(星)”入りとしている。
細長い針状結晶を内包する水晶を「草入り水晶」や「ススキ入り水晶」と呼んでいる。茶色の
結晶が”枯れススキ”を連想するせいか、「ススキ入り」と呼び、若々しい緑色のものを”草入り”と
使い分けている。
ここでは、白〜茶色の針状結晶を含むものが観察できる。もともとは白だった「角閃石」が酸化
した黄鉄鉱などの鉄錆びによって茶色になったと考えられる。
ススキ入り水晶
途中で折れた水晶が再度接合したものである。尾平鉱山では、同じような食い違い水晶の接
合面には、「方解石/クトナホラ石」が介在する、とされているが、ここのものも同じなのか、あるい
は単純に珪酸だけなのか、調べきれていない。
この近くで、大きな「方解石」の塊が出ているのを確認しているし、後で述べる「抜け殻石英」の
元鉱物は「方解石」であった可能性が濃厚で、「方解石」である可能性も否定できない。
食い違い水晶
この産地の水晶には、柱面に直線状のスリット(切れ込み)が入ったものがまれにみられる。
インターラプテド・クオーツ(切れ込み入り水晶)
年春にこの産地を訪れ、次のページで紹介した。
( Minerals from Yunuma " Asameshimae " , Kawakami Village , Nagano Pref. )
掲載した。
づけたが、決定的な証拠があった訳ではなかった。
小さな”米水晶”がビッシリつき、裏側は”抜け殻石英”になっていた。抜け殻石英には、菱面体
の結晶と薄い板状結晶が抜け落ちた跡が残っていた。この2つの抜け殻は、同じ鉱物のものと見
るのが自然だろう。
緑色米水晶の群晶 抜け殻石英
向きの向きにあった。そこで、写真に撮って、図上で狭いほうの角度を分度器で測定してみると
約72度だった。
菱面体の狭角測定
だが、重晶石の角は直角だから該当しない。方解石の狭いほうの角度が75度であることや、この
近くで方解石の大きな塊を観察していることから、元の鉱物は「方解石」と考えてよいだろう。
両端に頭をなす錐面がある水晶を「両錐(りょうすい)」と呼んでいる。上の「緑水晶」単晶で
紹介したものはその一例だ。
水晶は成長するさい、少なくとも一方の端は母岩に接しているケースがほとんど、両錐は数が
少ないことから珍重する向きもある。
この産地では、比較的両錐水晶が多産する。
マリモ(星)入り 透明(松茸の頭?)
「両錐水晶」
2つの水晶が84度33分の角度で接した双晶である。この産地で産出することは知られていて、
兵庫の石友・Nさんの奥さんが”片割れ”を採集したことはあったが、長い間”完形品”にはお目に
掛からなかった。
今回、大きさは最大でも3cmと大きくはないが、「軍配型」、そして「ハート形」の完形品を
何枚か採集でき、単なる伝説ではないことが立証できた。
軍配型@ 軍配型A ハート型
「日本式双晶」
松茸の傘が、ヴェールの襞(ひだ)になったような水晶が産出した。柱面に砂糖をまぶしたような
小さな水晶の粒が観察でき、ヴェールはそれが膜状に成長したように見える。右側は伸びた膜が
折り重なっているように見える。
水晶の成長環境が変化した結果、柱状の結晶としては成長できずに、玉髄やメノウのような
皮膜状に成長したものと思われる。
ヴェールをかぶった水晶
この産地のザクロ石は、灰ばんザクロ石とされているが、黒褐色、偏菱24面体の結晶なので、
”甘茶”の肉眼鑑定では灰鉄ザクロ石にも見えるのだが・・・・・。
灰ばんザクロ石
5. おわりに
5.1 『 ミネラル・ウオッチング 』のフォローアップ
ミネラル・ウオッチングの後に訪れ、ゴミが全く落ちていないことと、良品が未だ十分採集できることを
確認できて、安心して帰ってきた。
ズリを掘っていると、昔の人が捨てた空き缶や手袋などが出てきて、今よりもマナーが悪かったと感じ
させられた。
全には十分配慮していきたい。
2年半前の2013年春、”朝飯前”の水晶産地で採集した『インターラプテッド・クオーツ』の成因が
気になっていた。
ミネラル・ウオッチングを開催した産地を訪れ、ジックリ観察・採集することで、同じ産状の水晶を
発見でき、成因に迫ることができた。
同じように、この産地の「日本式双晶」も数枚採集でき、単なる伝説ではなく、確実に産出した
ことを確認できたのは大きな収穫だった。
6. 参考文献
1) 八木 貞助:信濃鉱物誌,古今書院,大正12年
2) 藤本 治義:南佐久郡地質誌,社団法人 南佐久教育会,昭和33年
3) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,長島乙吉先生祝賀記念事業会,昭和35年
4) 益富 寿之助:鉱物,保育社,昭和60年
5) 益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1995年
6) 加藤 昭:二次鉱物読本,関東鉱物同好会,2000年
7) 山田 滋夫:日本産鉱物 五十音配列 産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
8) 松原 聰、宮脇 律郎編、日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年