第1日目・・・・・・・長野県の新産地を訪ねて
第2日目・・・・・・・長野県の古典的産地を訪ねて
参加者は、関東各都県、地元長野県、奈良、滋賀、京都、大阪そして兵庫と広範囲で、久し
ぶりに参加してくれたOB・OGさんを含め、女子大生から小学生そして一歳児もまじり、和気藹々
(わきあいあい)のミネラル・ウオッチングになった。
初日の「長野県の新産地を訪ねて」では、某大学の男女学生とのコラボになり、パワーあふれる
学生たちがガマ(晶洞)を開けると、それに負けじと老練(?)の昔益荒男(ますらお)もガマをこじ
開ける。下山の時間が迫った頃になってからもガマが開き、「予定を変更し、明日もここか」の声も
でるほどだった。
ズリでは昔乙女がピカピカの武石がついた素晴らしい群晶を掘り出している。京都・Tさんが採集し
た平板水晶は「ξ(クシー)面が見える」ので、MHの鑑定では日本式双晶の片割れだと思われる。
来しなに沢水に浸しておいたMH農園産、ではなくてスーパーで買ったキンキンに冷えているスイカ
を切り分けて食べ、駐車場までの長い道のりを踏破した。もちろん、途中の山神様にお礼の参拝を
忘れない善男・善女たちだった。
この日の宿・湯沼鉱泉に着くと、続々と「オークション」と「玉手箱」の標本が集まり、担当者がテー
ブルの上に並べていく。いつもだとオークション品はテーブル2つなのだが参加できなかった奈良・Aさん
と長野・Mさんが拙宅に送ってくれた標本が3つ目のテーブルに並ぶ。
宴会までの間に汚れを落とし疲れをとる入浴だ。男湯は今回初めて使えるようになったお披露目
だ。きれいな浴槽で、カラン(お湯の出口)も整備されている。
風呂から上がり、オークション品や「玉手箱」標本の下見をしていると宴会〜オークション参加の
神奈川・Hさんが駆けつけてくれた。お会いするのは3年ぶりだろうか。この日も山登りに挑戦する元気
さを取り戻されていたので安心した。
宴会部長役も板についた東京・Kさんの司会で夜の部がスタートし、まずは三重・Oさんの音頭で
「乾杯!!」。冷たいビールが今日の疲れを忘れさせてくれる。しばし歓談の後、参加者の近況報
告だ。長野・Gさん親子は初参加だ。
最後に私の番になり、『湯沼鉱泉雪害復興記念』としてオークションの売上金を湯沼鉱泉社長に
寄付することとそれに恥ずかしくない目標金額をお伝えする。
宴会を終え、「オークション」に移ったのは、8時半近かった。オークショナーは兵庫・Nさんの奥さん
だ。関西のオバちゃん(これまた失礼!!)のユーモア溢れる売り声に釣られて(?)、売り上げは順
調に伸びる。
神奈川・Tさん夫妻の手で標本名・産地・出品者・落札者・落札金額がPCに次々と入力され、
この会(集まり?)が発足した当時とは様変わりだ。
東のHファンドと西のN財閥の入札競争が熾烈を極め、1つのテーブルが終わった時点で22時半を
過ぎている。2つ目のテーブルが終わった段階ですでに売上目標を超えている。3つ目のテーブルが
終わったのは0時を回っていた。
例年の1.5倍、212点の標本がセリ落され、売上金はジャスト80,000円と過去最高だ。今回参加
できなかったが、オークション用に素晴らしい標本を多数寄贈してくれた奈良・Aさんと長野・Mさんに
は感謝している。
「標本玉手箱」には、この日採集したガマ出し水晶なども並び、小学生→女性→男性の順で好き
なだけ取ってもらい、例年になく”売れ残り”が少なかった。時計は0時半を回り、恒例の”大人の時
間”は開催できなかった。
若手のHさんが体調不良で途中退場し、オークションの売り上げに貢献してくれた神奈川・Hさんが
このあと帰宅しなければならなかったのは残念だった。
2日目、梅雨時期なので雨を覚悟はしていたが、朝5時に起き、前庭に出てみると快晴だ。7時か
ら朝食だ。皆さんが食事している間に、PCに宿泊料金を入力すると、個人・グループ別の参加費が
一発で出る。会計・Tさん夫妻が集金してくれ、1円の違いもなく、”御名算”だ。
出発前に湯沼鉱泉の前で、社長・お姐さん・Kさんも入って記念写真を撮る。朝の陽ざしが駐車
してある車に反射してまぶしい。
「オークション」の売上金全額を兵庫・Nさんの奥さんから社長に贈呈していただき、出発だ。
「長野県の古典的産地を訪ねて」では、産地の入口で東京・Mさん一家と合流だ。奥さんと1歳
になったK君も一緒だ。
最初に訪れたのは、皆さんを初めて案内する古い鉄山だ。ここの目玉は、「天然磁石の磁鉄鉱」
だ。産地につくと、一人ひとりに『ホチキスの針』を渡し、これが吸い付くかどうかで判定する要領を説
明し、採集開始だ。
どのような石を探せばよいかがわからず皆さん苦戦していたようだが、目でみた外観と手で持った時
の重さがわかると次々に「あった!!」の声が上がる。京都・Tさんが採集したのは、5mm離れたホチ
キスの針を勢いよく吸い付く優れものだ。
2番目に訪れた産地も初めて案内する古い金属鉱山跡だ。早い昼食を済ませ、産地に向かう。
しばらく歩いて産地に着いて、坑道に入ると、ヒンヤリして外の暑さを忘れ心地よい。坑道の壁を白
・青・緑・赤茶に染める二次鉱物や「灰鉄輝石」などのスカル鉱物そして「閃亜鉛鉱」などの硫化
鉱物もふんだんにある。採集・運搬に気を遣う二次鉱物を運搬するのに「タッパー」などの容器を
準備してもらっておいたのは正解だった。
最後に訪れたのは、古いクロム鉱山跡だ。1週間前の下見で『宝石級灰クロムザクロ石』を採集し
たと伝えておいたのだが、多分ほとんどの人は「MHの法螺(ほら)だろう」くらいにしか思っていなかった
のではなかろうか。
しかし、滋賀・Yさんが採集した逸品を見て、がぜん皆さんの眼の色が変わってきた。やがて、愛知・
Kさんが全周に緑色の結晶がついたこれまた素晴らしい逸品をそして京都・Tさんが渋い標本を採集
した。
この日も、川に浸しておいたスイカを食べ、ラスト・スパートをかけ、15時30分に中締めの「解散式」
を駐車場に戻って開催した。
2日間、目まぐるしく主役が入れ替わり、参加者が次々と良品を採集でき、おまけに100%雨の
天気予報を覆し、2日とも快晴に恵まれたのは、参加者の日頃の精進の賜物だとしておこう。
またお会いできるのを楽しみに、名残惜しいがお別れした。
『宝石級灰クロムザクロ石』の夢を忘れられないMさん一家は残って採集を続けたそうで、「採れまし
『 解散後、宝石級のやとても大きいのやら採れました。まだ一歳の息子が偶然なのか必然なのか
た!!」と写真を添えたメールで報告してくれた。
人に向かって投げた石が柘榴石だったのには驚きました将来有望です』
親馬鹿(失礼!!)ぶりを丸出しにするほど、嬉しかったのだろうと解釈した。
各地の産地が採集禁止や入山禁止になるなど、ミネラル・ウオッチング(鉱物採集)に対する世間
の眼は必ずしも好意的とは限らないが、私の気力・体力の続く限り(「死ぬまでとちゃうか」・・・外野
の声)開催するつもりだ。
最後になるが、小学生や気持が若いだけで足腰が伴わない高齢者が中心のわれわれグループ
を助けてくれた、某大学の学生さんたちに深く感謝している。