2012年月遅れGWミネラルウオッチング







         2012年月遅れGWミネラルウオッチング

1. 初めに

    私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと春と秋に
   ミネラル・ウオッチングを開催するようになって13年目を迎えた。
    今回は、「長野県の古典的産地を訪ねて」と題して参加を呼び掛けたところ、OB、OGを
   中心に懐かしい顔ぶれがそろった。
    前々回のミネラル・ウオッチングで「勉強と鉱物採集を両立します!!」と宣言し、この春
   大学生になったT君や、2011年秋のミネラル・ウオッチングの2日目が院試で、この春院生
   になったH君など、若い参加者もシッカリと育っている。

    第1日目・・・・・・・長野県川上村の水晶産地を訪ねて

    第2日目・・・・・・・長野県川上村の古い鉱山跡を訪ねて

    参加者は、関東各都県、、愛知、三重、奈良、滋賀、京都、大阪そして兵庫と広範囲で、
   久しぶりに参加してくれたOBさんのほか、新しい顔ぶれも加わり、和気藹々(わきあいあい)
   のミネラル・ウオッチングになった。

    ミネラル・ウオッチングを開催し、一番気になるのは”安全”で、まずは天気だ。第一日目
   は雲一つない快晴で、爽やかな高山の風を受けながらのミネラル・ウオッチングだったが
   普段の運動不足などで苦しんだ人もいたようだ。

    初日の「川上村の水晶産地を訪ねて」では、『ハーキマ・ダイヤ』を思わせる透明感のあ
   る水晶の良品を皆さん手にされたようだ。
    特に、地元・長野県のMさんが手にした水晶は、この産地には珍しく柱面が発達し、太さ
   長さともにこの産地の逸品と呼べる標本だった。
    「昔乙女コース」に参加された『アフ還』メンバーもそれぞれ得難い体験をされたようだ。

    夜は、地元・川上村の素材を使った料理に舌鼓を打ち、ビールやジュースも入り、今回
   宴会30分前に急遽「宴会部長」に就任した神奈川・Hさんの名司会で参加者全グループ
   の近況報告があり湯沼鉱泉の夜は更けていった。

    21時近くになって、皆さんお待ちかねの「オークション」が兵庫・N夫妻の担当で始まった。
   ”関西のオバチャン風・オークショナー”のユーモアあふれる競りで、ついつい財布の紐が
   緩んだ人も多く、4万円近い売上金は宿泊費に還元された。

    次は、若手の長野・MTさん担当の「標本玉手箱」で、「茂倉沢鉱山の鈴木石」などをゲッ
   トした目利きもいたようだ。終わってみると22時30分を過ぎ、「大人の時間」はパスだった。

    2日目朝、会計報告、緊急オークションそして朝食を美味しくいただき「湯沼鉱泉」前で
   社長を囲んで記念写真を撮り、それぞれの目的地に向けて出発!!

      
             湯沼鉱泉社長を囲んで記念写真
                  【撮影:滋賀・Oさん】

    川上村にある古い鉱山跡は、「日本式双晶」と「磁硫鉄鉱」で有名だった。ネットではもう
   過去の産地になっているようで、ほとんど訪れる人もないようだ。

    坑道組、ズリ組に分れて採集すると、ズリ組の愛知・S夫人が早々と3cm級の「日本式双
   晶」を掘り出した。坑道組は、硫化鉱物の脈を追いかけ、ピカピカの「磁硫鉄鉱」を多数叩
   きだし、いつもながら、『古泉に水涸れず』 を実感した。

    予想通り、雨脚も強まってくる気配だったので、お昼過ぎに産地を後にし、再会を約束し
   て解散した。
    今回も、事故もなく、無事終了できたのは参加者の安全意識の高さとご協力の賜物と
   感謝している。
    次回のミネラルウ・オッチングで多くの皆さんと再会できるのを楽しみにしている。
   ( 2012年6月開催 )

2. 【第1日目】

 (1) 「湯沼鉱泉に集合」!!
      前夜、22時近くに単身赴任先から帰宅し、翌朝5時30分に自宅を出て、愛知・T君を
     ピックアップするため韮崎駅に向かう。
      しばらく待っていると、大阪発の夜行長距離バス、その名も「クリスタル・ライナー」が
     定刻に到着する。

       「クリスタル・ライナー」

      この春大学生になったT君は、こどもから立派な青年に変貌しつつあり、頼もしい限り
     だ。「韮崎IC」で東京・Kさんをピックアップし、「韮崎IC」から高速にのり、「須玉IC」で
     下り、湯沼鉱泉を目指す。

      いつもより早い7時過ぎに湯沼鉱泉に到着すると、兵庫・N夫妻、奈良・Aさん、Uさん
     愛知・S夫妻、KDさん、三重・Oさん、滋賀・Oさん(兄弟か?)、Nさん、京都・T夫妻、
     大坂・Oさんの愛知以西組がいた。
      関東勢では、千葉・Tさん、神奈川・T夫妻、Hさん、Kさん、東京・H夫妻、H君、地元
     長野・MTさん、Mさん、初参加のAさん、これで1日目の全員が揃った。

      初参加の人もいるので、簡単な自己紹介の後、この日の予定を説明し、出発した。
     この頃になると、空には雲ひとつなく、梅雨時には珍しい好天気となった。

      「それもそのはず、雨男の愛知・Hさんがいない」・・・・・・・・蔭の声

       集合

 (2) 「川上村の水晶産地」
      ここは、「ハーキマ・ダイヤ」に似た透明感のある水晶が採集できることで有名だが
     産地へのアプローチが厳しいのも事実だ。
      新緑の木陰を登山道を進むと、渓流を流れる清らかな水が空の色や周りの木々の
     色を映してか、青や緑に染まって美しい。
      皆さん、気の置けない仲間との語らいを楽しみながら進んでいく。

       緑陰の登山道

      登山道を外れてすぐ、古い坑道とズリがある。「昔乙女コース」はここが終点だ。ここ
     で私には一仕事がまっている。大学のワンゲル部に入ったT君と私が1つずつ背負ってきた
     大きなスイカを沢水に冷やして置くのだ。
      ( 今回のスイカは、私の農園のスイカが間に合わず、購入品 )

       スイカ【滋賀・Oさん撮影】

      ここから先は、道も細くなり、沢沿いの踏み分け道を進むと急勾配の涸沢が待っている。
     このあたりまで来ると、転石に晶洞が見られ、中には透明感のある水晶がビッシリ成長して
     いるのを目の当たりにして、初めての人たちは歓声をあげる。

      しかし、このあたりの標高は2,000mを超え、普段運動不足の人や喫煙者にとって呼吸が
     苦しくなるのも事実のようで、列が長く延びる。
      時間は、11時を回ったところで、皆さんには適当なポイントで、採集してもらうことにし
     奈良・Aさんと大型結晶が採れたポイントを探すことにする。
      200m近く上に行くと、露頭があり、その周りに散らばっている水晶が大きそうなので、皆
     さんを呼び寄せる。
      狭い範囲に大勢が集まっているので、石を下に落とさないよう、気を配りながらの採集だ。
     やがて、私の目の前に、5cmクラスの水晶が姿を現した。この産地として、大きな結晶の部
     類に入るものだ。

       水晶【長さ65mm】

      あちこちから、「綺麗な水晶があった!!」、と歓声が続く。この日は、ここでに腰を落
     ち着けることにし、昼時になったので、昼食をとることにした。

      お昼を食べ、戦闘(?)再開。私の右で採集していた、長野・Mさんが「こんなのがあり
     ました」、と差し出したのを見て仰天した。太さ4cm、長さ15cm前後のこの産地としては最
     大級だ。これを見て、皆さん俄然やる気が出たようだ。

       宴会でお披露目の水晶【撮影:滋賀:Oさん】

      時計が14時を回るころ、帰路の険しさを考えて下山の準備をする。道のない急な斜面を
     下るのは、呼吸こそ苦しくないが”膝が笑い”、ある意味上るのよりも厳しい。遅い人の後
     ろに渋滞の列ができている。「小休止」を繰り返し、登山道に戻ったのは15:30だった。

       記念写真【撮影:滋賀:Oさん】

      この先でわれわれを待っていたのは、手を切るように冷たい沢水に冷やしておいた2つの
     スイカだった。
      大きな石をまな板代わりにして、持参したナイフで切り分けて皆さんに食べていただくと
     「甘い!!」、「美味しい!!」、と歓声が上がる。

       スイカ切り【撮影:滋賀・Oさん】

      ここでは、5、6年前に愛知・S夫人が、素晴らしい「松茸水晶」を採集したことがあり
     「普通輝石」が採集できることも知られている。そこで、短時間だが採集することにした。
     小さな黒い結晶なので、慣れないと見つけられないようで、T女史などは苦戦していた
     ようだ。
      私が採集した「普通輝石」と「角閃石」を紹介する。(黒光りしているのは、魔法の”オ
     リーブ油”のせい)

       「普通輝石」と「角閃石」

      【後日談】
       「昔乙女コース」報告
       スイカを冷やした場所に残って古い水晶坑の周りで水晶を採集し、スイカを食べて
      一足先に引き揚げ、「湯沼鉱泉」近くの『角閃石入り水晶』産地を訪れたと妻から聞
      いた。兵庫・N夫妻が写真を送ってくれたので紹介したい。

        「昔乙女コース」記念写真【撮影:千葉・Tさん】

3. 「湯沼鉱泉」の夜は更けて

      駐車場まで戻り、今夜の宿「湯沼鉱泉」に到着したのは、17時を少し回ったごろだった。
     「昔乙女コース」の面々は、ストーブの周りで談笑していた。早速、今日の成果を社長に
      見せると、「まだ、あるんだナ」、と感慨深げだった。

      「オークション」や「玉手箱」担当役員と参加者が持ち寄った品を選り分けさせていただ
      き、それぞれのテーブルに並べていく。「オークション」品だけで、ゆうに100点を超えてい
      るようだ。
       こうして、準備ができたところで、お風呂を浴び、宴会の開会を待つばかりとなった。
      ( このころ、愛知・Kさんと自他共に”雨男”と認める愛知・Hさんも到着した。何を
        連れてきたかは、すでに皆さんご承知で、それは翌日ハッキリ証明されることにな
        る。)

   A) 宴会
       19時ジャスト、宴会がスタートした。今回、宴会部長を東京・Kさんにお願いしていた
      のだが、開会の30分前に、「体調が良くないので部屋で寝ています」、との申告があった。
       急遽、神奈川・Hさんに宴会部長をお願いしたところ、「司会は苦手だが・・・」と言
      いつつ、引き受けていただいた。

       宴会部長・Hさん【撮影:滋賀・Oさん】

       長老組・Nさんの乾杯の音頭で冷えたビール、ジュースを喉に流し込むと、今日一日の
      疲れが吹き飛ぶ。

       乾杯の音頭・Nさん【撮影:滋賀・Oさん】

       地元・川上村の新鮮な素材を使った料理に舌鼓を打ち、ビールやジュースがぞくぞく
      と運ばれてくる。

       適度にアルコールが入ったところで、参加者全員の近況報告があった。いつも仲の
      良い京都・T夫妻、「○○の電気石で病魔が沈静化」し、久しぶりに参加の千葉・Tさ
      ん、2011年のミネラル・ウオッチングで「学業とミネラル・ウオッチングを両立」を宣言し、
      この春見事N大の難関を突破した愛知・T君など、挨拶のたびに大きな拍手が沸き
      起こった。

        
                  T君
             近況報告と自己紹介

       こうして、宴も幕を閉じ、皆さまお待ちかねの「オークション」と「標本玉手箱」に移っ
      た。

   B) オークション
       恒例となっている「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で採用されている
      「逆ブービー方式」と呼ばれ、2番目に高い値段を付けた人が、落札する権利を得る方式を
      採用していた。2008年、売上金を社長へのお見舞金に回すため”青天井方式”を試行した
      ところ、皆さん良識があり、悪戯(いたずら)に、価格は引き上がらないことが分かった
      ので、今回も”青天井方式”にした。

       東のH財閥とHファンド、そして西のN基金などが高額で買ってくれれば、宿泊費が安くな
      るメリットもある。何より、出品した人も納得できる。
       今回は、兵庫・N夫妻にオークショナーと記録係をお願いした。

       「標本玉手箱」に提供された標本の中から、良品を選んで「オークション」にまわし
      写真、書籍などは定額で、欲しい人がジャンケンするルールになっている。

       関西のオバちゃん風オークショナー・Nさんの奥さんの呼び声に釣られ、値が上がり、
      人気の標本には希望者が殺到し、賑やかなジャンケンの声が湯沼鉱泉に響きわたった。

       
          オークショナーNさんの奥さん

       オークションの結果をNさんがEXCELデータにまとめてくれたので紹介する。

                                                   敬称略

提 供 者 品   物 産    地 落札額 落札者
奈良・Uさん 鉄ばん石榴石 三重県津市美杉町八手俣 400・200 兵庫・Nさん他
奈良・Uさん 磁鉄鉱 奈良県天川村 100 兵庫・Nさん
奈良・Uさん 辰砂 奈良県桜井市針道多武峰鉱山 300 神奈川・Hさん
奈良・Uさん 満ばん石榴石 三重県山田鉱山 100 神奈川・Kさん
奈良・Uさん 蛍石 石川県宝達山 300 長野・Mさん
滋賀・Nさん 閃亜鉛鉱 岐阜県飛騨市神岡鉱山 100 長野・Mさん
滋賀・Nさん 菱マンガン鉱 岐阜県土岐市石町 200 兵庫・Nさん
滋賀・Nさん タラナキ石 三重県伊勢市横輪町鷲嶺(シュウレイ)の水穴 100*7 兵庫・Nさん他
滋賀・Nさん カニュク石 京都府福知山市宮垣富国鉱山 100 MH
滋賀・Nさん 高師小僧 京都府八幡市御幸橋木津川 100 長野・Aさん
滋賀・Nさん 藍鉄鉱 京都府相楽郡精華町東畑 300 MH
滋賀・Nさん セピオ石 三重県員弁郡大安町石榑北大安鉱業 100 長野・Mさん
滋賀・Nさん 磁鉄鉱 岡山県三宝鉱山 300 東京・HRさん
滋賀・Nさん 紫水晶 兵庫県朝来市 300 東京・HRさん
滋賀・Nさん 水鉛鉛鉱 福井県大野町仙翁谷 300*2 長野・Mさん他
三重・Oさん オフレ沸石 山口県長門市川尻海岸 100 長野・MTさん
三重・Oさん 自然金と自然蒼鉛 三重県員弁市大安町石榑南宇賀渓 1,100 MH
三重・Oさん 灰十字沸石 山口県長門市川尻海岸 400 東京・HRさん
三重・Oさん コンドロ石 三重県員弁市大安町石榑南宇賀渓 1,000・300 兵庫・Nさん他
三重・Oさん 黄鉄鉱 奈良県宇陀郡榛原町本郷 200*2 平野他
三重・Oさん 断層礫岩 三重県志摩市大王町名田 100*2 京都・Tさん他
三重・Oさん 島崎石 岡山県高梁市布賀 2,000 MH
長野・Aさん 方鉛鉱・黄鉄鉱 新潟県広瀬村白板鉱山 400・100 神奈川・Kさん他
愛知・Sさん 水晶 愛知県津具村白鳥山 300*2 神奈川・Hさん他
長野・MTさん 褐簾石 京都府大文字山 100*2 長野・Aさん他
長野・MTさん 苦土スピネル 埼玉県秩父鉱山石灰沢 300 兵庫・Nさん
大阪・Oさん 磁鉄鉱(砂時計) 鹿児島県長崎鼻産砂鉄 100 三重・Oさん
愛知・Kさん オフレ沸石 山口県長門市川尻海岸 100*3 長野・MTさん他
長野・Mさん 藍電気石 福岡市西区長垂 300*2 三重・Oさん他
長野・Mさん 菱沸石 鹿児島市枕崎茅野 300 東京・HRさん
長野・Mさん 磁鉄鉱 長崎県西彼町島加 100 兵庫・Nさん
長野・Mさん ぺタル石 福岡市西区長垂 400*5 滋賀・Oさん他
長野・Mさん 紅電気石母岩付き 福岡市西区長垂 300*2 長野・Aさん他
長野・Mさん 紅電気石 福岡市西区長垂 1,000・200・100 神奈川・Hさん他
長野・Mさん 異極鉱 大分県木浦鉱山 300 兵庫・Nさん他
長野・Mさん 斜開銅鉱 広島県瀬戸田町 200 愛知・Kさん
長野・Mさん 蛍石 岐阜県蛭川村鳥沢 100 三重・Oさん
長野・Mさん 磁鉄鉱 大分県尾平道路ばた 100*2 MH他
長野・Mさん ブルース石 福岡県粕屋郡篠栗町大谷鉱業 100*6 千葉・Tさん他
長野・Mさん 普通輝石 佐賀県伊万里市西ヶ岳 100 京都・Tさん
神奈川・T夫人 DVD 鉱山、宝石の番組収録 500 MH
神奈川・T夫人 めのう 茨城県常陸大宮市玉川 500 神奈川・Hさん
神奈川・T夫人 トパーズ研磨品 岐阜県中津川市 3000 滋賀・Oさん
神奈川・Kさん オパール 愛知県棚山高原 3000・500 愛知・Tさん他
神奈川・Kさん 苦土電気石 静岡県伊豆市湯ケ島鉱山 100 三重・Oさん
神奈川・Kさん 紫水晶 静岡県河津町菖蒲沢 200 京都・Tさん
千葉・Tさん 弗素燐灰石 栃木県今市市猪倉文挟クレー鉱山 2000 長野・MTさん
千葉・Tさん スパー石 岡山県備中町布賀 600・500 神奈川・Kさん他
千葉・Tさん ルドウィヒ石 福島県川俣町羽山鉱山 300 京都・Tさん
千葉・Tさん モットラム石 栃木県万珠鉱山 100 三重・Oさん
千葉・Tさん スローソン石 高知県円行寺 200*4 長野・MTさん他
千葉・Tさん アカタマ石 山口県萩市青長谷 200 京都・Tさん
東京・HRさん リシア電気石 茨城県美里村妙見山 600 MH
東京・HRさん 灰鉄石榴石 埼玉県中津鉱床 600 東京・HRさん
滋賀・Oさん ミヤマオダマキ種 滋賀県日野町 100*5 大阪・Oさん他
滋賀・Oさん 灰鉄石榴石 奈良県天川村 300 兵庫・Nさん他
滋賀・Oさん 玉髄(研磨) 石川県菩提寺 100*2 長野・Mさん他
滋賀・Oさん 玉髄(研磨) 岐阜県大坂峠 100*2 京都・Tさん他
滋賀・Oさん 緑マンガン鉱 滋賀県高島郡熊畑鉱山 600・100*2 MH他
滋賀・Oさん 藍鉄鉱 京都府東畑 100 長野・Mさん
滋賀・Oさん コバルト華 和歌山県大勝鉱山 400 兵庫・Nさん
滋賀・Oさん 断層礫 三重県大王町 100 京都・Tさん
滋賀・Oさん 含クロム石榴石 三重県白木 100 兵庫・Nさん
滋賀・Oさん 磁鉄鉱 長野県南相木郡栗生 100 長野・Aさん
滋賀・Oさん 文献 灰山のラムスベック石 100 長野・MTさん他
滋賀・Oさん 写真 湯沼鉱泉 200*4 愛知・Tさん他
滋賀・Oさん 写真 東沢 200*5 東京・HRさん他

       私は、「茂倉沢の鈴木石」を数点「玉手箱」に提供し、下記のような標本を落札した。

No. 鉱 物 ・ 品 名  産 地 ・ 場 所  出 品 者   標     本 説      明
島崎石
岡山県布賀三重・Oさん
 2011年に認可された
新鉱物
2リシア電気石茨城県妙見山東京・Hさん
 有名産地だ(だった?)が
現在採集禁止
3自然磁石大分県尾平鉱山長野・Mさん
 ホチキスの針が落ちないほど
強く磁化されている。
4緑マンガン鉱滋賀県熊畑鉱山滋賀・Oさん
 保存の難しい「緑マンガン鉱」を
研磨して、樹脂に埋め込んだ標本
 手間暇と材料代を考えると
申し訳ない位安い落札値だ。
 

   B) 「標本玉手箱」
       故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が入手した重品を持ち寄って、欲
      しい人に無料で配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。担当は、長野・MTさんだ。

       女性、学生を優先し、男性が後になる順番が”自然と”決まった。いつの間にか、
      取り放題になり、それでも、かなりの数の標本が残り、次回へ繰り越しになった。

        玉手箱下見

       私がいただいた標本は、下記の1点だ。

No. 鉱 物 ・ 品 名  産 地 ・ 場 所  出 品 者   標     本
玉滴石 岐阜県蛭川村長野・Mさん

      【後日談】
       「苗木の玉滴石(オパール)」
           長野・Mさんが今から30年ほど前、岐阜県苗木地方の採石場が盛大に稼行して
        いたころに採集した「煙水晶」、「長石」などを「玉手箱」にドッサリと提供してくれ、
        その中に、写真の「玉滴石」があるのに気づいていただいた。

         「玉滴石」に気付いたのは私だけだろうと思っていたら、三重・Oさんから参加お
        礼のメールと共に、次の一文があった。

         「 本日採集品の整理が何とか付いたところですが、無料標本の蛭川産黒水晶
          に綺麗な玉滴石が有りました。
           ミネラライトで緑色の蛍光を発しますので判ると思います。           」

         このように、『目利き度』も試される、「標本玉手箱」だ。

   D) 「大人の時間」
       「大人の時間」が恒例だが、今回、「玉手箱」が終了したのが22時30分過ぎで、
      すでに消灯時間だった。

4. 【第2日目】

 (1) 2日目のスタートだ!!
      7時から全員揃って、朝食をいただく。その前に、会計担当の神奈川・T夫妻から簡
     潔な会計報告があった。

      会計報告/神奈川・T夫妻【撮影:滋賀・Oさん】

      オークションの売り上げが、4万円近くになり、単純平均1人当たり宿泊費が約1,000円
     安くなり、男性、女性・学生で”格差”をつけた徴収額が伝えられる。

      全員揃って朝食を”いただきま〜す”。

      「湯沼鉱泉」を出発する前に、恒例となっている湯沼鉱泉社長を交えての全員で記念
     写真を撮影する。
      大阪・Oさん、奈良・Aさん、Uさん、愛知の雨男・Hさん、Kさん、KDさん、千葉のTさん
     などとは、ここでお別れだ。

 (2) 川上村の「古い鉱山跡」を目指せ
      川上村の古い鉱山跡を目指して進む。この鉱山は、「日本式双晶」や「磁硫鉄鉱」な
     どで”玄人(くろうと:しろうとの反対)”好みの標本が採集できたことで有名だが、ネット
     では、過去の産地になっていると参加者の一人が教えてくれた。

      過去だろうが現在完了だろうが、大勢で訪れると面白い発見があるはずだ。ただ、
     気になるのは空模様だ。朝からどんよりと曇っていたが、産地に着くころから、”ポツ、
     ポツ”、と降り出してきた。愛知の雨男・Hさんが連れてきた”雨雲”が活動しはじめた
     ようだ。

      「坑道組」と「ズリ組」に分れて採集を始める。坑道内で「磁硫鉄鉱」や「日本式双
     晶」が採集できた場所を示し、手分けして壁を叩き始める。

         
                ズリ派                    坑内派
                                   【撮影:神奈川・T女史】
                         あなたは、どちら?

      坑道派の「日本式双晶」は堅い露頭に手こずっていたが、初参加の長野・Aさんはじ
     め多くの人が「日本式双晶」を手にしていた。
      硫化の脈を追いかけていたグループが比較的新鮮な「磁硫鉄鉱」を含む脈を探り当
     て、そのお零(こぼれ)がほぼ全員に行き渡った。
      「磁硫鉄鉱」の鑑定は、「糸つき磁石」を吸引するので簡単で、今回もこれが決め手
     になった。
      ただ、「磁硫鉄鉱」は、「緑マンガン鉱」、「濁沸石」などと並んで、保存の難しい鉱物
     の代表の1つなのが気がかりだ。

       「磁硫鉄鉱」

      ズリ派の面々は、愛知・S夫人が、「両翼3cm近い日本式双晶」を掘りあててから、
     俄然、やる気が出たようだった。

      お昼近くになり、雨脚も強まり出したので、撤収する事にした。引き揚げる直前、東
     京・T君が、「MH、これ日本式双晶じゃありません?」、と差し出した標本を見てビックリ
     した。片方の翼は硫化の中に隠れているが、両翼5cm近い双晶だ。硫化から時間をか
     けて掘り出すようアドバイスし、駐車場へと戻った。

      【後日談】
       「日本式双晶巨晶」
       ミネラル・ウオッチングが終わって数日後、T君からお礼のメールに件(くだん)の日
      本式双晶の写真が添えられて送られてきた。
       両翼が4cm近い、この産地としては「巨晶」に近い、立派な標本だ。

       「日本式双晶」【採集、撮影:東京・F君】

       12時過ぎ、駐車場に戻り、再会を約束し皆さんとお別れした。今回も、事故もなく、
     無事終了できたのは参加者の安全意識の高さとご協力の賜物と感謝している。
      次回のミネラルウ・オッチングで多くの皆さんと再会できるのを楽しみにしている。

5. おわりに

 5.1 『 水晶に始まり・・・・・・・』
      ミネラル・ウオッチングの後、神奈川・T女史から、自身が撮影した写真をそえて感想
     が寄せられた。

     『 自分が○○○で拾ってきたのは2cmほどの水晶ですが、美しさは息を呑むほどで、
      自分としてはとても嬉しいものです。水晶は、やはりいいですね。            』
     T女史も水晶の美しさに魅せられた1人のようだ。

     今回のミネラル・ウオッチングは、水晶に始まり、水晶に終わる旅だった。T女史が、
    初日の産地で採集した水晶と湯沼鉱泉で見た社長の最近の採集品の写真を紹介する。

         
               T女史採集品                   湯沼・社長採集品
                           【撮影:神奈川・T女史】

 5.2 ミネラル・ウオッチング
     5月連休のミネラル・ウオッチングも13年目を迎えた。春の訪れが遅い長野県川上村
    の「湯沼鉱泉」を定宿にして開催しているので、1ケ月遅れになるところから、『月遅れGW
    MW(ミネラル・ウオッチング)』、と呼んでいるのだが、今回の2日目は7月に入っていて
    『2ケ月遅れ』になっていた。

     今回、初回から参加して下さっている、OB、OGの方々が大勢参加してくれ、懐かしい
    顔ぶれが揃った。

     この集まりが、永く続くよう、計画したいと考えている。

5. 参考文献

 1) 山田 滋夫:日本産鉱物 五十音配列 産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
 2) 松原 聰:鉱物 ウオーキングガイド 全国版 ,丸善株式会社,2010年
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