2010年 秋のミネラルウオッチング











         2010年 秋のミネラルウオッチング

1. 初めに

    私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと春のGWと
   秋の年2回、定期的にミネラル・ウオッチングを開催するようになって9年目を迎えた。
    今回は、「山梨県・長野県のマル秘産地を訪ねて」、と題して開催することにした。しかし
   開催する週に入って、台風の上陸、しかも山梨、長野を直撃することが予想された。
    参加者の大半が、”初期高齢者””アラ還”の男女、そして小中高生なので、安全を
   優先し中止にした。

      
            台風進路予想

    しかし、何人かから、『雨が降ろうが、槍が降ろうが行きたい』、とのメールをいただき
   少しでも、湯沼鉱泉の売り上げに寄与できれば、との思いもあり、規模を縮小し、台風の
   影響が少ない産地を訪れるコースに変更し、再募集したところ、愛知のKDさん(以下KD
   氏)、茨城のTHさん(以下TH氏)、神奈川のKWさん(以下KW氏)、山梨に単身赴任中の
   東京・KTさん(以下KT氏)、そして私の『新・5人組』となった。

    集合場所の湯沼鉱泉に行くと、お姐さんが、「台風なのに、大丈夫ですか?」と心配して
   くれた。全員が揃い状況説明し、2番候補の日本式双晶の産地に直行することに決まった。
    下見のときの成果から、ものの2時間もあれば、全員がそこそこの日本式双晶を手にで
   きるだろうと読んでいたのだが出ないのだ。
    昼食を摂った後、2時ごろ、黙々と露頭を叩いていたTH氏が、「ここでは銀の鉱物が出
   ますか?」と問いかけてきた。近づいて露頭に開けた晶洞をのぞくと、六角板状の結晶が
   ベタベタと付いている。 この産地を有名にした、『磁硫鉄鉱』だ。
    それから交替で硬い露頭を叩き続けること1時間余り、大部分の結晶を取り出すことに
   成功した。発見者のTH氏が、No1、No2標本、そして残りをおすそ分け頂き、日本式双晶
   に勝るとも劣らない銘柄品を手にでき、意気揚々と湯沼鉱泉に引き上げた。

    湯沼鉱泉の熱いお湯を浴びた後、一休みしてから、お待ちかねの宴会がKW氏の乾杯
   の音頭でスタートした。
    テーブルには、大ぶりの松茸が乗っている。社長が山で採った何本かの一部とのこと。
   アルミフォイルを敷いた上で焼くと、なんとも良い香りが漂う。酢橘(すだち)を絞って、口に
   運ぶと、茸の王者の貫禄が口いっぱいに広がる。

    熱々の鍋をつつきながら、よく冷えたビールを酌み交わすと身体が火照ってくる。次に
   お姉さんが運んでくれたのは、『松茸ごはん』だ。「お代わりもありますよ」、と言ってくれる
   のだが、既に満腹状態だ。

    食後は、恒例になっている『標本玉手箱』と『オークション』だが、小人数なのですべて
   『玉手箱』方式で、私は、『石なし県の石英』や『石あり県の長石巨晶』など15点余りを提
   供し、『中宇利鉱山の含コバルト菱ニッケル鉱』などをいただいた。
    今回大人だけの文字通り『大人の時間』では、TH氏差し入れの白ワインをいただきな
   がら、この日採集した『磁硫鉄鉱』の保存法や共存鉱物など白熱した議論が飛び交った。
    翌日訪れる予定の新産地の情報を交換する。私が以前入手した鉱物書の地図に載っ
   ている「△ポイントが気になる」ことを話し、ここを中心に手分けして探査する段取りが決
   まった。
    翌朝起きると雨は降っていない。恒例の社長を囲んでの写真を撮り、2日目のミネラル・
   ウオッチングがスタートだ。

       社長を囲んで記念写真

    さて、この結末は、”ドラを打って、5人組が『後認組』になったのか、はたまた、”自模
   (つも)って、『満貫(願?)成就』
となったのかは、続編のお楽しみ。

    同行いただいた、石友・小Yさん曰く、『キ印5人組』と、いつも変わらず暖かいもてなしを
   していただいた、湯沼鉱泉社長とお姐さんに厚く御礼を申し上げる。
    ( 2010年10月採集 )

2. 【第1日目】

 (1) 「湯沼鉱泉」に集合
      前の夜、21時過ぎに甲府駅に降り立つと、肌寒いものの、雨が降りそうにはなかっ
     た。しかし、朝方、”シトシト”という雨音で目が覚めた。やはり台風が近づいているよう
     だが、思ったより風雨は弱い。

      7時過ぎに自宅を出て、「須玉IC]で下り、141号線を湯沼鉱泉に向かって走ると道路
     上の温度計は9℃を指し、肌寒さを感じる。
      集合時間の1時間前に湯沼鉱泉に到着すると、既にKT氏が来ていた。やがて、続々
     と集合し、全員が揃ったので、最初に訪れる予定だった千曲川の砂金産地の状況を
     話す。

         
               千曲川の濁流              砂金
                                    【下見で採集】

      砂金採集は危険なので中止にした。来る途中、川の様子を見てきた皆さんは納得の
     様子で、坑道内での日本式双晶採集に切り替えた。

 (2) 『銘柄品』がでた!!
      駐車して、雨が降る中、雨合羽に身を包んだ5人組が坑を目指して一列で進む。急
     な斜面を一歩一歩、進むと。坑内に入ると、独特の臭いがするが、氷雨に打たれ冷え
     た体には暖かく感じられ、雨合羽の上着を脱ぎ捨てる。

      前の週の下見で当りをつけておいたポイントを中心に露頭を叩く。日本式双晶が見
     えているのだが、母岩が硬くて取りだせない。叩き続けていると、『双晶』の片翼が飛
     んでしまい、ただの『平板』になってしまい、次のポイント探しだ。

       採集風景

      社長とお姐さんには、ものの2時間で帰る、と言ったが既に2時間が経っている。ひと
     まず昼食にする。外の雨風の音は聞こえない。
      昼食後、ダブルKさんは、「黄鉄鉱」「水晶」そして2次鉱物の「緑礬(りょくばん)」採集
     に切り替えたようだ。

         
             日本式双晶              黄鉄鉱
            【両翼 38mm】           【五角十二面体】

         
              緑礬                   緑礬
            【柱状結晶】              【霜柱状結晶】
                  代表的標本【下見で採集】

      黙々と露頭を叩いていたTH氏が、「ここでは銀の鉱物がでますか?」と問いかけて
     きた。「金も掘っていたから銀も出ないことはないが」、と近づいて露頭に開けた晶洞
     をのぞくと、晶洞の壁に大きなものは2cm級を筆頭に六角板状の結晶がベタベタと付
     いている。この産地を有名にした、『磁硫鉄鉱』だ。
      こうなると、「日本式双晶」どころではない。交替で硬い露頭を叩き続けること1時間
     余り、大部分の結晶を取り出すことに成功した。
      発見者のTH氏が、No1、No2、TD氏がNo3、KW氏がNo4、KT氏がNo5、そし私が小
     さな単晶をお裾分けしていただいた。

      
                 磁硫鉄鉱
             【六角板状結晶が集合】

      坑の外は雨が降り続き、薄暗くなってきたので、撤収する事にした、。日本式双晶は
     ダメだったが、それに勝るとも劣らない銘柄品を手にでき、意気揚々と湯沼鉱泉に引
     き上げた。

      湯沼鉱泉の熱いお湯を浴びた後、一休みしてから、お待ちかねの宴会がKW氏の乾
     杯の音頭でスタートした。
      テーブルには、大ぶりの松茸が乗っている。社長が山で採った何本かの一部とのこ
     と。(奈良のAさん、勝てますか?)
      猛毒キノコの代表、「紅てんぐ茸」を食べたことのあるきのこ博士・KTさんが「鍋奉行」
     ならぬ「茸奉行」の指図で、アルミフォイルを敷いた上で焼くと、なんとも良い香りが漂
     う。下世話にいう、『香り松茸、・・・・・・・』だ。酢橘(すだち)を絞ってかけて、口に運ぶ
     と、茸の王者の貫禄が口いっぱいに広がる。
      熱々の鍋をつつきながら、よく冷えたビールを酌み交わすと身体が火照ってくる。
     次にお姉さんが運んできたのは、『松茸ごはん』だ。「お代わりもありますよ」、と言って
     くれるのだが、既に満腹状態だ。

         
                松茸                松茸ごはん
                    湯沼鉱泉の『松茸づくし』

 (3) 『標本玉手箱』
      食後は、恒例になっている『標本玉手箱』と『オークション』だが、小人数なのですべ
     て『玉手箱』方式で、ジャンケンに勝った人から1点ずつ取り、2巡目は負けた人からと
     公平になるようにした。

      今回、いつも会計をお願いしている愛知・Tさん親子がいないので、私がPCを持参し
     出品標本の主なものを記録しておいた。

 出  品  物 点数  産   地 出品者
菱ニッケル鉱 2 中宇利鉱山 KD氏
ルビーシルバー 1 西沢金山 KW氏
雪花石膏 2 朝日鉱山 TH氏
繊維石膏 1 朝日鉱山 TH氏
黄鉄鉱 4 飯豊鉱山 TH氏
孔雀石 1 五加鉱山 KD氏
白鉛鉱、青鉛鉱 2 五加鉱山 KD氏
モリブデン鉛鉱 2 五加鉱山 KD氏
緑鉛鉱 2 五加鉱山 KD氏
トパズ 1 中津川 KD氏
クロム鉄鉱 4 日東鉱山 KW氏
カリ長石 6 黒平 M.H
石英 5 石なし県 M.H
ぶどう石 2 長野県 M.H
乙女鉱山絵葉書セット1 3 山梨県 M.H
 合    計 37      

       私は、『石なし県の石英』や『石あり県の長石巨晶』など15点余りを提供し、『中宇
      利鉱山の含コバルト菱ニッケル鉱』(欲張って2点も!!)や『五加鉱山の白鉛鉱』な
      どをいただいた。

 (4) 『大人の時間』
      今回大人だけの文字通り『大人の時間』では、TH氏差し入れの白ワインをいただき
     ながら、この日採集した『磁硫鉄鉱』の保存法や共存鉱物など白熱した議論が飛び交
     った。

      翌日訪れる予定の新産地の情報を交換する。私が以前入手した鉱物書の地図に
     載っている「△ポイントが気になる」ことを話す。
      なぜこのポイントについて記述しているのか。人は隠そうとしてもついついその存在
     を知らせてしまう習性があるのではないかと言うのが推理の根拠だ。

      こうして、2日目の段取りも決まったところで、お開きとなり、バタンQ

3. 【第2日目】

    現在、鋭意執筆中・・・・・・・・・ 『遅筆堂』

4. おわりに

 (1) 「腫れ男」でなくて「晴れ男」
     『越後路ミネラル・ウオッチング』は、素晴らしい採集品にも恵まれたが、いろいろなトラ
    ブルもあり、忘れられないミネラル・ウオッチングの1つになりそうだ。

     飯豊鉱山では、OH氏が落石を左腕に受け、内出血し、みるみる腫れあがった。皆さん
    を残して、産地の探査に出た私は、余りの暑さに上着、帽子を脱いで、2時間余り山中を
    彷徨した。
     そのとき、足長ハチの巣に頭を突っ込み、頭がタンコブのように腫れあがり、夕方には
    唇、夜になると首筋が腫れあがった。
     こうして、2人の「腫れ男」が誕生した次第だ。お蔭で、『100%雨』の予報を覆し、マズ
    マズの採集日和になり、『腫れ男』=『晴れ男』のようだ。

     今回も、台風直撃の割に、雨、風ともに弱かったのも、「腫れ男」、でなくて「晴れ男」の
    お蔭かも知れない。

     今回参加を見送った、神奈川のH財閥は、思ったほど雨が降っていないので、家でソワ
    ソワしているのを奥さんに見抜かれ、『これからでも、行きなさいヨ』、と言われたとメール
    があった。

 (2) 『古泉に水枯【涸】れず』
      今回訪れた川上村の日本式双晶の産地は、もともと『磁硫鉄鉱』で有名な産地だっ
     た。
      20年近く前、ここを訪れた大阪のT氏が”ピカピカの六角柱状結晶”を採集した、と愛
     知のKN氏に聞いたのが最後で、採集した話を聞かなかった。

      今回、TH氏が、素晴らしい標本を採集し、『古泉に水枯【涸】れず』、の感を一層深くした。

5. 参考文献

 1) 小出 五郎:長野県川上村川端下(かわはけ)付近の鉱物,我等の鉱物,昭和16年
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