2009年月遅れGWミネラルウオッチング

         2009年月遅れGWミネラルウオッチング

1. 初めに

   私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと春のGWに
  ミネラル・ウオッチングを開催するようになって9年目を迎えた。
   今回は、「山梨県、長野県の鉱物産地をたずねて」と題して、長野県川上村と山梨県の
  の代表的な鉱物産地を1泊2日で、延べ53名の皆さんと訪れた。

   第1日目・・・・・・・梓(甲武信)鉱山
              鉱物の宝庫を巡検

   第2日目・・・・・・・山梨県の古典的産地と新産地

   参加者は、関東各都県、、愛知、奈良、大阪、滋賀、と広範囲で、久しぶりに参加してくれた
  OBさんのほか新しい顔ぶれも加わり、和気藹々のミネラル・ウオッチングになった。

   今回、”自他共に(?)雨男”と認める愛知・H氏が3年ぶりに参加とあり、天気を心配したが
  本人が「石の上で3年修行しました」、と言ったとおり、梅雨の合間の良い天気に恵まれ、
  最高のミネラル・ウオッチング日和だった。

   梓鉱山は、この巡検で何度も訪れているが今回も新しい発見があり、初参加の奈良・Uさん
  の息子・M君(中2)が採集した一品は後々まで語り継がれるだろう。『甲武信、恐るべし』
   若干1名を除き、皆さん満足してその日の宿「湯沼鉱泉」に戻ったのは17時過ぎだった。

   夜は、地元・川上村の素材を使った料理に舌鼓を打ち、ビールやお酒も入り、熟練の宴会
  部長Hさんの名司会で参加者全グループの近況報告があり、湯沼鉱泉の夜は更けていった。
   20時過ぎから、皆さんお待ちかねの「オークション」と「標本玉手箱」が愛知・Sさんの奥さん
  神奈川Kさんの司会で進み、 ”現金採集” ”室内採集” で盛り上がった。
   今回参加できなかった三重・Mさんからは、新鉱物に認定された「貴重な標本」を事前に
  郵送していただき、皆さんで分けあった。

   「大人の時間」では、神奈川・Hさん、東京・Kさんが持参した地酒・地ビールを賞味しながら
  産地、鉱物談義で盛り上がり、気がつけば消灯時間の22時だった。

   2日目、久々に復活した「朝飯前の採集」を初参加の6名の方々に体験していただき、朝食を
  美味しくいただき「湯沼鉱泉」前で社長を囲んで記念写真を撮り、出発!!

      
         湯沼鉱泉社長を囲んで記念写真【撮影:お姐さん】

   大弛峠を越え、山梨県に入り、新産地を目指す。採集開始して間もなく、前日不満足な結果
  に終わった若干1名=奈良・Aさんが10cmの単晶を手にして、ニコニコしている。見るとAさんの
  体型に不釣合いな、”ホッソリ”したここ特有の水晶だった。
   この場に残るグループと別れ、さらに奥の産地を目指す。「水晶鉱山跡」で、東京・Kさんが
  両翼2cmの「日本式双晶」、愛知・Sさんの奥さんが”ブロークン・ハート”の片方だけながら
  2cm近い双晶の片割れを採集した。
   さらに、奥に進むと、神奈川・Kさんが10cm近い「山入り水晶」を採集し、「熊熊ディー」の観
  があった。

   16時前に駐車場に戻り、再会を約束し皆さんとお別れした。ハプニングはあったものの、事
  故もなく、終了できたのは参加者のご協力の賜物と感謝している。
   次回のミネラルウオッチングで皆さんと再会できるのを楽しみにしている。
   ( 2009年6月開催 )

2. 【第1日目】

 (1) 「集合前の採集」?!
      自宅を5時30分に出て、奈良・Yさん、大阪・OさんをピックアップするJR韮崎駅に向う。
     朝日が射し、天気は大丈夫そうだ。
      時刻表より10分早く、夜行長距離バス、その名も「クリスタル・ライナー」が到着した。
     車窓から、Yさんが手を振っている。

       大阪発「クリスタル・ライナー」

      Yさん、Oさんが元気に降りてくる。Yさんは、年甲斐もなく(?)、興奮して5時ごろから
     起きていたらしい。

      【エピソード】
        興奮していたのは、Yさんだけなかった、と愛知・Hさんのメールで知った。

        「 2日間で「体力」「気力」を使い果たし・・・・・
         ( 久しぶりの採集会の嬉しさから、金曜日の夜寝れず、家内に、「子供」と一緒と
          酷評されました・・・・。)                                  」

        → その気持、よく分かります。私も、3時過ぎには眼が覚めていました。

      初参加グループとの集合場所「韮崎IC」で茨城・Tさん親子、東京・Kさんと合流後、
     広域農道を疾走し、塩川ダムサイトで休憩
      信州峠を越えて長野県・川上村に入ると一面のレタス畑だ。集合時間まで1時間近く
     あるので、1ケ月ほど前に開拓した新産地・川上村原(正確には、「寒い澤(さぶいさわ)」
     で普通輝石を『集合前の採集』

      【エピソード】
       鉱物が好きな人にとって、造岩鉱物の基本の「普通輝石」や「角閃石」は魅力があるら
      しい。各種新鉱物の発見で知られているOさんは、初日だけで帰宅せざるを得なかった。
      帰途、ここで、「普通輝石」を採集したい、とのことで、場所を詳しく教えて差し上げた。

       「集合前採集」【川上村原の普通輝石】

       最初、戸惑っていた皆さんも目が慣れると次々みつかり、艶のある1cmクラスの良
      品を手にした人もいる。豆を食べ始めると止まらないのに似て、「そろそろ行きましょう」
      と声を掛けても皆さん無視。何度目かの催促で、ようやく車に戻った。

 (2) 「湯沼鉱泉鉱泉」に集合
       集合場所の「湯沼鉱泉」に行くと、すでに全員が揃っていた。兵庫・N夫妻、奈良・A
      さんとその友人で初参加のUさん親子、滋賀・Oさん、愛知・Kさん、Hさん、S夫妻、Tさ
      ん親子と愛知以西が多い。
       関東勢では、神奈川・Hさん一家、T夫妻、Kさん、Kさん、東京・Tさん親子
       総勢28名で、初参加のグループもいるので、先ずは自己紹介。

       今回、4つのグループに分かれてのミネラル・ウオッチングを予定していたが、久々に
      参加されたメンバーや初参加のグループもあり、全員が幅広い鉱物種が採集できる
      「甲武信鉱山」を訪れることにした。
       ( 結果的にこれが大正解だった )

 (3) 「緑簾石」産地
       車を並べて、甲武信鉱山登山口を目指し荒れた林道を進む。体調が良くない(新型??)
      神奈川Kさんは、体力がいらない「貯鉱場」で採集することになった。これだけの台数で
      も十分な駐車スペースがある。

       登り始めて約15分で第1テラスに到着する。ここで、小休止の後、湯沼鉱泉社長が開
      拓した「緑簾石」産地に向う。

        「緑簾石」産地にて

       サンクチュアリとして保存してある、湯沼鉱泉社長が発見した晶洞には、1辺が5cmも
      ある灰礬柘榴石がベタベタと付いていて、初めての人たちは感嘆の声を漏らす。
       小Yさんから依頼があった、聖域を示す白いロープを張りなおし、第2テラスに向かった。

 (4) 第2テラス
      いつも撮影係をお願いしているOさんが、この日1日しか参加できないため、第2テラスで
     記念写真を撮った。

        記念写真【於:第2テラス 撮影:Oさん】

       ここにある坑道は、戦前に「磁鉄鉱」を掘ったものとされ、磁鉄鉱や緑水晶そして針状の
      ベスブ石が見られる。兵庫・Nさんの奥さんが、一足早く「ベスブ石」の群晶の良品を採集
      した。
       ここで、石灰岩塊を割ると、「珪灰石【WOLLASTONITE:Ca3Si3O9】」があることに初め
      て気付いた。甲武信鉱山がスカルン鉱床といわれる証左である。

       ベスブ石【採集:Nさんの奥さん】

 (5) 「ベスブ石」産地
       急な斜面を登りきると、そこが「ベスブ石」産地だ。荷物を降ろし、ズリの葉っぱを取り除
      きながら探す。やがて、Tさんの奥さんが、「こんなのがありました」と差し出したのは、
      1cmクラスの結晶がいくつかついた素晴らしい群晶だった。

          
             採集風景【撮影:Oさん】         採集品【採集、撮影:Tさんの奥さん】
                            「ベスブ石」 産地にて

 (6) 「松茸水晶」産地
       ここから、斜めに進むと「松茸水晶」産地だ。過去にも、何回か訪れ、Oさんはじめ何人
      かが須晴らしい品を採集しているが、行くたびに良品は出にくくなっている。

       広い産地に散らばって、皆さんここぞと思う場所を掘りはじめるがなかなか出ない。
      「松茸水晶はアキまへん」、とAさんなどは、諦め顔だ。

       やがて、皆から離れ、家族揃ってズリを掘っていたHさんが「これが松茸ですか」と採集
      品を高々と掲げた。それは、遠目にも分かる大きさだった。

       これを見て、諦め顔だったAさんなど、皆さん駆け寄って、Hさん家族の周りを掘り出した。
      「あった!!」の声がアチコチに起こる。採れた人は、採れていない人に場所を譲り、
      交代で掘る。
       皆さん、1つ以上採集できた様なので、昼食にする。青空、青葉そして渓谷から吹上げる
      涼風を膚で感じながら美味しくいただく。

          
          採集品を高々とHさん        昼食風景【撮影:Oさん】
                   「松茸水晶」 産地にて

       この日は、「緑水晶ズリ」、健脚組は「川端下(かわはけ)水晶坑」まで足を伸ばす心算
      だったが、新発見の産地を心行くまで堪能することで全員の合意が得られた。

       昼食後、しばらくして、初参加の奈良・Uさんの息子・M君(中2)が採集した一品は、
      径約4cm、長さ約10cmの大きさで、この日一番の良品だった。後々まで語り継がれる
      だろう。
       今まで、みんなが歩いていたところからわずかしか離れていない場所から新発見が
      あった。
       『甲武信、恐るべし』

       さて、全員が良品を採集できたものと思い込んでいたが、若干1名、必死にズリを掘って
      いる。見れば、Aさんだ。気の毒に思った(?)回りの人が、良品が採れた場所を譲るの
      だが出てこない。逆に、Aさんが止めた後に入った人が、良品を採っている。こんなことを
      2、3度繰り返して、Aさんは諦めた。
       そうこうするうち、15時過ぎになり、「老幼女」が多いので、安全を考え早めに下山する
      ことにした。
       全員無事登山口に着いたのは、16:30だった。

      【エピソード その1】

        大阪・Oさんから帰宅後に写真とメールをいただいた。

        「 今回一番のお気に入りは 初日の 松茸水晶産地での 曲がり松茸両錐型で、
         兵庫・Nさんが、一目で「勾玉みたいだ」と命名された、『勾玉水晶』です   」

        銘『勾玉水晶』【採集、撮影:Oさん】

        → 松茸+曲がり+両錐 の変わった水晶ですね。
          愛知・Kさん好みの1品ですネ。

      【エピソード その2】

        兵庫・Nさんの奥さんから帰宅後にメールをいただいた。

        「 松茸水晶を湯沼鉱泉社長に見せたら、”いいもんじゃー”と言われました。
          ウフフ・・・・・・
          忙しそうだったので、Mineralhuntersに見てもらえなかったのが残念です。  」

         → 次回、お会いするとき、現物を拝見させてください。

       湯沼鉱泉に到着すると、社長、お姐さんが暖かく出迎えてくれた。”モコモコ”の産毛に
      包まれた子犬たちに会えるのを楽しみにしていた人も多かったのだが、少し前にみんな
      新しい飼い主に貰われていってしまったのが少しガッカリしたようだ。
       ( そのくらい、川上犬の人気は高い )

       既に、部屋割り表が壁に張られている。この日は、大阪の私と同姓のグループも甲武
      信鉱山に入っていて、満室状態だった。大阪のメンバーは、私たちが採集しているときに
      脇を通りかかった人たちだった、とわれわれより遅れてチェックインした顔ぶれを見て
      思い当った。

       「玉手箱」「オークション」担当役員たちが、参加者が持ち寄った標本を区分、価格付け
      して、テーブルの上に並べてくれる。
       19時からの食事までの間、入浴する人、「水晶洞」を見学する人、思い思いに時間を
      過ごす。

 (7) 「湯沼鉱泉」の夜は更けて

   A) 宴会
     19時ジャスト、宴会がスタートした。いつも宴会部長をお願いしていたHさんの開会の辞で
    夜の部第1部「宴会」がスタート。この日、一番の良品を息子が(ここを強調)採集したUさん
    の乾杯の音頭で冷えたビール、ジュースを喉に流し込むと、今日一日の疲れが吹き飛ぶ。
    ( 後で知ったのだが、風貌に似合わず(失礼!)、Uさんはお酒がダメらしい )

         
          熟練の司会・Hさん         乾杯!!・Uさん
                     宴会スタート

     地元・川上村の素材を使った料理に舌鼓を打ち、ビールやお酒がぞくぞくと運ばれてくる。
     病気で倒れる前と同じように、社長が料理を運んでくれ、順調な回復ぶりに安心したのは
    私だけではなかったようだ。

     お腹も一杯になったころ、宴会部長の司会で参加者全員の近況報告があった。
     この日、松茸水晶ズリで、前半良品を続々とヒットさせたHさん家族、嫁さんに引かれて
    (惹かれて=惚れた弱み)で参加のTさん、今年高校生になって「勉強と鉱物を両立」させて
    いるTさんの息子T君、大学生になってもミネラル・ウオッチングを続けているTさん、この日
    一番の松茸を採集したM君、そして初参加の茨城・Tさん親子など挨拶のたびに大きな拍手
    が沸き起こった。
     Hさん一家の息子・H君は、小学5年生になり、「わしは、こんなとこ、来たかった・・・」、と
    言ったような気がした。

         
           Hさん一家             Tさん夫婦
         【H君は参加者最年少】

         
            T君(高1)            Tさん(大3)

         
            M君(中2)             N君(中2)
          【1日目MVP】            【空手 初段】
                 近況報告と自己紹介

       宴会のフィナーレは、東京・Kさんが自作した中国の弦楽器、「二胡」、「三胡」そして
      「四胡」の演奏だった。「二胡」は知っていても、「四胡」まであると初めて知った。
       福祉施設で高齢者のために演奏しているというKさんの奏でる童謡など、懐かしく聴き
      その旋律に郷愁を覚えたひとも多かったはずだ。

        Kさんの二胡演奏

   B) オークション
     恒例となっている「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で採用されている
    「逆ブービー方式」と呼ばれ、2番目に高い値段を付けた人が、落札する権利を得る
    方式を採用していた。前回、社長へのお見舞金に回すため”青天井方式”を試行したが、
    皆さん良識があり、悪戯(いたずら)に、価格は引き上がらないことが分かったので、
    今回も”青天井方式”にした。
     H財閥や、今回参加できなかったHファンドなど、お金のある人が高額で買ってくれれば
    参加費が安くなるメリットもある。何より、出品した人も納得できる。
     今回の担当は、愛知・Sさん、神奈川・Kさん、東京・Tさんそして愛知・Tさんにお願い
    した。

     「標本玉手箱」に提供された標本の中から、良標本を選んで「オークション」にまわし
    写真、書籍などは定額で、欲しい人がジャンケンするルールになっている。
     今回参加できなかった三重・Mさんからは、新鉱物に認定され、”絶産”(?)とも伝えられる
    地元亀山市産の「貴重な標本」を事前に郵送していただき、皆さんで分けあった。

     人気の品には希望者が殺到し、賑やかなジャンケンの声が湯沼鉱泉に響きわたった。

       真剣な顔でジャンケン

    オークション品(入札品)は、次の通りである。
    【これらの一部標本は、採集禁止になる前の採集品であることをお断りしておきます】

     データをまとめていただいた兵庫・N夫妻、ありがとうございました。

No.      鉱 物 ・ 品 名    産 地 ・ 場 所   出 品 者 落札値(計)
1 山梨と長野の水晶5点セット
(含む日本式双晶)
長野県南相木村三川ほか Mineralhunters 1,000
2 満バンパイロスマライト2点 栃木県鹿沼市鷹ノ巣鉱山 東京・Tさん 500
3 フランシスカン石2点 埼玉県小松鉱山 東京・Tさん 1,100
4 メタ砒銅ウラン 岡山県三吉鉱山 大阪・Oさん 200
5 緑鉛鉱 群馬県戸神鉱山 東京・Tさん 300
6 プロシアン銅鉱 新潟県三川鉱山 東京・Tさん 1,000
7 自然砒2点 福井県赤谷鉱山 奈良・Uさん 700
8 きれいな石榴石2点 奈良県 滋賀・Oさん 600
9 亜砒藍鉄鉱 木浦鉱山 愛知・Tさん 400
10 含ジプロニウムハフニウムジルコン 岡山県大佐山 奈良・Yさん 500
11 ベスブ石2点 甲武信 Mineralhunters 600
12 ヴァニア石 三重県白木 滋賀・Oさん 300
13 苦土電気石 愛媛県五良津 奈良・Yさん 300
14 正長石 大阪 長谷 大阪・Oさん 800
15 自然蒼鉛 岡山県山宝鉱山 大阪・Oさん 100
16 水晶 川端下 Mineralhunters 400
17 砂金 あきるの市 東京・Kさん 400
18 そろばん玉石5点 山形県小坂町横川 茨城・Tさん 1,100
19 菱沸石(砂金黄鉄鉱付) 山梨県南都留郡秋山村金山 神奈川・Kさん 500
20 砂金 東京都飼堀川 神奈川・Kさん 100
21 紅廉石 2点 愛媛県五良津 奈良・Yさん 400
22 トパーズ 1点 関戸川 愛知・Sさん 100
23 鉄バーガス閃石6点 三重県亀山市 三重・Mさん 600
24 透石膏5点 山形県蔵王温泉酢川 茨城・Tさん 1,000
25 苦灰石 新潟県西とよ 茨城・Tさん 300
26 健康食品3点   神奈川・T夫妻 3,000
27 ルーペライト付   滋賀・Oさん 2,000
28 鉱物の本 2冊   神奈川・Hさん 900
29 ミネラル・ウオッチング記念写真
 大3、小3
  滋賀・Oさん 1,100
No.      鉱 物 ・ 品 名    産 地 ・ 場 所   出 品 者 落札値(計)

   C) 「標本玉手箱」
      故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が採集した重品を持ち寄って
     欲しい人に無料で配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。
      ここには、「オークション」に入れてもおかしくない、隠れた名品もヒッソリと並び、参加
     者の”目利き度”が試された。
      気がつくと22時近くだった。

      玉手箱

   D) 「大人の時間」
      「大人の時間」では、神奈川・Hさん、東京・Kさんが持参した地酒・地ビールを賞味しな
     がら、産地、鉱物談義で盛り上がり、気がつけば消灯時間の22時だった。

3. 【第2日目】

 (1) 「朝飯前のミネラル・ウオッチング」
     今回は初めての参加者が多かったので、久々に「朝飯前のミネラル・ウオッチング」を
    実施した。
     明け方(3時過ぎだろうか?)、雷鳴とともに強い雨が降る雨音を夢うつつで聞いた。
    5時には、体調が悪くリタイアしたKさんを除き、参加者全員(6名)がそろい、私の車と
    Tさん夫妻の車で「角閃石入り水晶」産地に向う。このころになると、雨はスッカリ上がり
    Hさんの修行のお蔭だろう。

     産地は、見た目変わったようには見えなかったが、水晶はなかなか見つからなかった。
    産地保護の観点で、数年前から1人(グループ)10ケに制限させていただいているが、なか
    なか見つからない。

      朝飯前採集【角閃石入り水晶産地】

     それでも、各グループ頭付を数本は採集できたようで、一応満足して引き上げた。

 (2) 2日目のスタートだ!!
     『 腹が減っては・・・・』 、と全員揃って、朝食を戴く。その前に、会計担当の兵庫・Nさん
    から簡潔な会計報告があった。
     オークションの売り上げが、2万円を超え、1人当たり宿泊費が約1,000円安くなり、男性
    女性・子どもで”格差”をつけた徴収額が伝えられる。

     物知りの奈良・Yさんによれば、「五六八(ごろはち)茶碗」と呼ばれる大振りのお茶碗で
    卵掛けご飯を2膳もいただき、出発OKとなった。

     「湯沼鉱泉」を出発する前に、恒例となっていた湯沼鉱泉社長を交えての全員で記念
    写真を1年ぶりで撮影する。
     写真担当のOさんが、前日帰宅したため、お姐さんにシャッターを押してもらったが、カメ
    ラが良いのでご覧のとおり、皆さんそれなりに写っていた。

      湯沼鉱泉前で記念写真

 (3) 大弛峠を越えて
       山梨県の水晶産地への最短コース・大弛峠越えにチャレンジする。私の車のように
      車高が高ければ難なく走れるのだが、車高が低い車は難渋し、スピードがでない。
       先頭を走る私は、大袈裟に言えば、半分近い時間後続車を待って停まっていた気が
      する。その間、川上村の峰々や6月でも路肩に残る雪などを写真に収めることができた。

          
           川上村の峰々                残雪
                        大弛峠越

 (4) 目ざせ、「紫・松茸水晶」産地
       駐車場に着くと、既に先行グループの姿はない。「車上荒らし」の注意と対策をして
      出発する。
       20分ほどの歩きで、「紫・松茸水晶」の産地に到着し、皆さん先行グループに加わる。

        「紫・松茸水晶」産地

       皆さんの様子を見て回ると、多くの人が訪れた”すれっ枯らしのズリ”に苦戦している
      ようだ。
       前日不満足な結果に終わった若干1名=奈良・Aさんが10cmの単晶を手にして、ニコ
      ニコしている。見るとAさんの体型に不釣合いな、”ホッソリ”したここ特有の良品だった。

       【エピソード その1】
         自宅に戻って採集品を整理した兵庫・Nさんの奥さんからメールをいただいた。

         「 採集品の雲母がついた水晶を今日洗ったところ、○○○が付いていました 」

         → 前の夜の「大人の時間」で話したように、ここの水晶の母岩は小さな長石の
        結晶になっていて、その晶洞に小さいが美しい○○○が見られることがあるので、
        採集品を確認してください。

       【エピソード その2】
         ミネラル・ウオッチングの後、神奈川・Tさんの奥さんから、採集品の写真を添えた
        メールをいただいた。

         「 私達夫妻は、紫水晶の産地でみなさんとお別れして、最後二人でちまちま掘り
          ましたが、 皆様、水晶峠での成果はいかがでしたでしょうか・・・
           私は、あの後、マツタケ一つ、見つけました( 洗ってみたらあんまり綺麗じゃ
          なかったけど )。
           それと、持ってかえって一部洗ってみたら、紫っぽいものが、ありました!
          自分は「これは絶対紫水晶だ! すごいよぉー!!」と夜中に一人で興奮して
          疲れ果てて撃沈している主人を叩き起こして見せようとしたんですが、起きて
          くれませんでした。

           どうでしょうか? 本人は紫だと喜んでるんですけど。               」

         → これは、誰が見ても皆さんが欲しがる「紫水晶」です。
          湯沼鉱泉社長流に言えば、『 良い(いい)もんダー 』
          良い思い出と標本を残すのが、人生を楽しく過ごすコツかな?

           「紫水晶」【採集、撮影:Tさんの奥さん】

 (5) 目ざせ、「水晶鉱山跡」
       早めの昼食の後、この場所に残るグループと別れ、「水晶鉱山跡」へ向う。清冽な
      渓谷にかかる木の橋を渡り、15分ほどで石英片が散らばる産地に到着した。

          
              中高生               青年・壮年
                        渡河風景

       採集を始めて間もなく、東京・Kさんが「これは、双晶ですか?」と平板水晶を差し出し
      た。ひと目見て間違いないここ特有の「日本式双晶」で、両翼2cmはある。
       これに刺激されてか、愛知・Sさんの奥さんが”ブロークン・ハート”の片方だけながら
      2cm近い双晶の片割れを採集した。

          
             採集風景         日本式双晶【採集・Kさん】
                   「水晶鉱山跡」にて

 (6) 目ざせ、古典的水晶産地
      さらに、奥に進むと、古典的な水晶産地がある。初めてのグループも多く、訪山記念の
     写真を撮る。

        記念写真

       ここでは、神奈川・Kさんが10cm近い「山入り水晶」を採集し、その前の「水晶鉱山跡」
      で日本式双晶を採集した東京・Kさん、2人の名前の一部をとり、「熊熊ディー」の観が
      あった。
      ( 奈良・Yさんは、”ダブルKuma” 、と呼んでいる )

 (7) また会う日まで
       帰途は、参加者の年齢構成から、ユックリと休憩を多めにして帰った。休憩していると
      古くからの参加者の1人、愛知・Kさんが「紫・松茸水晶」産地で採った変わった水晶を
      見せてくれた。Kさんにとって、満足の1品だったようで、良かった。

       3:30に最後のグループが駐車場に無事到着した。この2日間、事故もなくミネラル
      ウオッチングを終了できたのは参加者の御蔭と感謝している。
       再会を約束して、皆さんとお別れした。

4. おわりに

 4.1 ミネラル・ウオッチング
     5月連休のミネラル・ウオッチングも9年目を迎えた。今回も無事終了でき、参加者の皆様
    の協力に感謝している。

     初回に参加した当時小学5年生だった子たちは高校3年生になり、受験を控え、鉱物から
    離れて行ったり、参加できる子が少なくなってきている。

     その代わり、と言っては何だが、新しいメンバーも加わり活性化が維持できているのは
    嬉しいことだ。

       【エピソード】
         新婚ホヤホヤの神奈川・Kさんがお嫁さんの許可が下り(?)久しぶりに参加して
        くれた。今回、水晶の良品を採集し、奥さんに見せて、一緒にミネラル・ウオッチング
        に参加するのがKさんの作戦らしい。
         帰宅して、採集品を洗浄し、奥さんに見せた結果をメールしてくれた。

        「 さて家内に水晶をみせたところ、特にMineralhuntersから譲っていただいた
         川端下(かわはけ)の水晶に興味津津(きょうみしんしん)(笑)
          やはり女性は大きい水晶や紫水晶に弱いのかもしれません。次回は狙いたいと
         思います。
          またご一緒させてください。                                」

          → 次回、奥さんと一緒に参加してください。若干1名(Yさん)は1歳でも若い
            女性が大好きで、喜ぶと思います。( 無論、私も )

 4.2 石友の心遣い
  (1) ”ハンマーに封印”
      産地である人から、「奈良・Aさんが『MH=Mineralhunters のHPが更新されていないよう
     なので心配している』」、と聞いた。

      3月末に単身赴任から戻って、5月初めに妻の父親が亡くなり、その葬儀、法事の手配
     などで、てんてこ舞いしていた。(満86歳、自宅の畳の上での大往生だった)
      重なるときは重なるもので、2月に結婚した3男の嫁が”ハネムーン・ベイビィ”に恵まれ
     たのは良いが、流産しそうだと言われ、その方にも気を遣わねばならなかった。
      さらに、長男の嫁が懐妊し、飼っている犬が若いので、散歩させると私でも引きずられる
     寸前で、嫁が転びでもしたら大事だ。犬の散歩は私が引き受けることにして、横浜の家で
     数日間、朝夕1時間近く散歩させていた。
      あれやこれやが重なり、正に”ハンマーに封印”状態で、クタクタだった。

      幸い、これらも良い方向に落着しつつあり、何とか今回のミネラル・ウオッチング開催と
     なった。
     HPの更新状況を見て、気遣ってくれる石友がいることをありがたい、と思っている。

  (2) 日本産鉱物50種
       岡本要八郎先生と桜井欽一先生が決めた「日本産鉱物50種+【番外4種】」を私が
      集めていることを知っている石友も多い。

       ・「あなたはおもちですか?」
        鉱物コレクターの資格審査
        ( How Many Specimens do you have ? , Qualification of Mineral Collector )

        参加した愛知・Tさんから「大分県尾平鉱山の灰鉄輝石」(正確には、仮晶)を恵与
       いただいた。

        「尾平鉱山産灰鉄輝石(仮晶)」【Tさんの恵与品】

        これで、52種( 52/54≒96% )が揃い、残りは2種となり、先が明るくなった。

        石友の物心両面からのサポートに感謝している。このような心遣いがあり、皆さんに
       喜んでいただけるので、ミネラル・ウオッチングが継続できているのだろう。

5. 参考文献

 1) 小出 五郎:長野県川上村川端下(かわはけ)付近の鉱物,我等の鉱物,昭和16年
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