2007年秋のミネラルウオッチング 【ダイジェスト版】<BR>   『 岐阜県苗木地方の古典的産地と鉱物を訪ねて 』

    2007年秋のミネラルウオッチング 【ダイジェスト版】
  『 岐阜県苗木地方の古典的産地と鉱物を訪ねて 』

1. はじめに

   私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと年に
  何回かミネラルウオッチングを開催するようになって7年目を迎えた。
   2006年から2007年春まで、私が茨城県に単身赴任していた関係でペースが崩れ
  2007年度、2回目の開催となった。
   今回は、『 岐阜県苗木地方の古典的産地と鉱物を訪ねて 』、と題して、長野県
  岐阜県の古典的な産地を1泊2日で、延べ38名の皆さんと訪れた。

   第1日目・・・・・・・長野県田立の「アマゾナイト」、岐阜県岩倉鉱山の「蛍石」
   第2日目・・・・・・・岐阜県苗木地方の「サファイア」と「トパズ」

   参加者は、関東各県、、長野、愛知、奈良、三重、滋賀、京都と広範囲で、定連さ
  んのほかに新しい顔ぶれも加わり、和気藹々のミネラルウオッチングになった。

   今回、”自他共に(?)雨男”と認める愛知・H氏が不参加で、天気は大丈夫と
  思ったが、2日間とも雨だった。『雨だと、天河石(アマゾナイト)が見つけやすい』
  とポジティブに考え、『 雨ニモ負ケズ 』、小学生から60歳代まで、ミネラル・ウオッ
  チングを楽しんだ。

   夜は、地元の素材を使った料理に舌鼓を打ち、ビールを飲みながら臨時宴会
  部長・Nさんの名司会で参加者全グループの近況報告があり、「高峰山荘」に賑
  やかな笑い声が響いた。

   夕食もそこそこに、皆さんお待ちかねの、「オークション」と「標本玉手箱」に移る。
  「オークション」には、「地学研究」2007年9月号に掲載されたばかりの「エシキン石」
  はじめ素晴らしい品が並び、参加者のレベルの高さの一端がうかがえた。

   その後、「大人の時間」では、「鮒鮨」を肴に、持ち寄った「地酒」を酌み交わし、夜は
  更けていった。

   2日目、KNさんの案内で「トパズ」産地を巡り、午後は「サファイア」産地を案内し
  「トパズ」や「煙水晶」の良品を採集した親子や、パンニングで初めてトパズを採集した
  Hさんの奥さんは大喜びだった。

    今回も、安全を優先し、参加人員を先着順で「高峰山荘宿泊者」19名に制限
   せざるを得ず、”キャンセル待ち”の方々など、参加できなかった方々には失礼
   した。
    次回のミネラルウオッチングで皆さんと再会できるのを楽しみにしている。
   ( 2007年9月開催 )

2. 【第1日目】

 (1) 道の駅「きりら坂下」に集まれ!!
     私たち夫婦は、中央道韮崎ICで、千葉・Tさんを6:00ジャストにピックアップし
    中津川ICを目指す。途中、諏訪SAで、「朝食バイキング」で腹ごしらえ。地元の
    名産「つくだに」「温泉卵」など品数も多く、お値打ちの朝食だった。
     8時には、「中津川IC」を出て、集合場所の道の駅「きりら坂下」に着いたのは
    集合時間の1時間半も前だった。

     やがて、奈良・Aさん、愛知・Kさん夫妻、神奈川・Hさん一家、愛知・KNさん、東京
    Hさん夫妻、東京(京都)・Hさん、滋賀・Nさん、長野・Tさん、そして三重・Tさんが
    続々と集合してきた。

     初めて参加する人もいるので、簡単な自己紹介の後、車を乗り合わせて最初
    の採集地「田立の天河石(アマゾナイト)」産地に向かう。

 (2) 田立の天河石(アマゾナイト)を求めて
      雨は降ったり止んだり、田立の産地に皆さんを案内する。ズリに到着すると
     雨が止み、オマケに雨に濡れた「天河石」はくっきりと目立つ。
      ズリに先行した千葉・Tさんは、青緑色の天河石が点々と散らばっているのを
     見て、『 ウワ〜!! 』、と驚いたらしい。

        
             天河石               採集風景
                田立・天河石(アマゾナイト)産地
                【撮影:写真担当神奈川・Hさん】

       皆さんのお目当ては、『自形結晶』で、ズリの思い思いの場所を掘って探す。
      やがて、千葉・Tさんが、「こんなのがあった」と差し出したのは、『自形結晶の
      平行連晶』だった。これを見て、皆さん、ズリを掘る熊手に力が入る。
       愛知・KNさんなどが、露頭を叩くが、「塊状」のものしか出なかった。

      【後日談】
       愛知・Kさん夫妻のブログを読むと、ズリを掘ったご主人(兵長)より、ズリの
      末端で奥さん(小隊長)が拾った標本のほうが良かったらしい。

 (3) 岩倉蛍石鉱山跡を探せ!!
      益富地学会館編纂の「日本の鉱物」 に、「岐阜県川上(かわうえ)村の蛍石」
     が記載されている。見事な結晶に惹かれ、この産地を石友・Mさんと探査した
     のは、まだ冬の名残が消えない2006年3月だった。
      地元の人への聞き込みに始まり、蛍石のカケラを求め、沢、山腹を歩き回り
     つぶれた坑道跡と思しき場所で、蛍石脈の入った転石を見つけたのは、陽も
     西に傾きかけたころだった。
      帰途につくと、石英や蛍石のカケラが散らばっている場所があり、石組みなど
     から、「選鉱場跡」と判断し、簡単に蛍石が採集できた。

      それから、1年半、この場所はMさんと私だけが知る、”マル秘産地”だった。
     今回、一行を案内するに当たり、Mさんが快く了解してくれ、この日最後の採集
     地となった。

      一部スリリングな場所を通り産地に到着すると、その後誰も採集した形跡はな
     かった。( 私自身、場所を取り違えそうになった )

        
             産地への道           採集風景
                     岩倉蛍石鉱山
                【撮影:写真担当神奈川・Hさん】

      ここの産状は、石英脈の空隙を充填する蛍石で、皆さんが期待する『自形
     結晶』は希だった。それでも、緑、紫、白(透明)の蛍石を皆さん採集できた。

 (4) 「高峰山荘」の夜は深けて
     道の駅「きりら坂下」に戻り、今夜の宿中津川市「高峰山荘」を目指す。ここは
    静かな雰囲気と、何よりも安いのが気に入って過去に何回か利用した。今回は
    われわれ一行で”貸切”になっていた。
    ( 逆に言えば、貸切にして、最大収容人数だけ参加者を募集した )

    懇親会までの間に、お風呂を浴びたり、「オークション」と「玉手箱」の標本を並べ
   たりと、結構忙しい。
   18:30から、大広間を借り切っての懇親会がスタートした。

    @ 「懇親会」
      18:30から、大広間を貸し切って、懇親会を開催した。”天敵”あるいは
     ”雨男”と称される、常任宴会部長の愛知・H氏が不参加なので、司会を滋賀
      Nさんにお願いし、千葉・Tさんの乾杯の音頭で「懇親会」がスタートした。

         
             司会・Nさん         近況報告【H君(小3)】
                      懇親会風景
               【撮影:写真担当 神奈川・Hさん】

       山、海の幸をいただき、飲み物を飲み、近況報告で座が盛り上がる。
      いつもの定宿「湯沼鉱泉」のなら、21時ごろまで宴会は続くのだが、ここは
      公共の宿でもあり、20時でお開きする。

    A 「オークション」
       恒例となっている「オークション」は、今回、オークショナーのKNさんが値段を
      決め、欲しい人が購入し、人数が多いときは”ジャンケン”で落札者を決めた。
       標本、出品者、落札価格などを東京のHさん夫妻が記録してくれ、個人別の
      落札金額は愛知・Kさん夫妻が管理してくれた。

         
           下見            ジャンケン
                オークション風景
            【撮影:写真担当 神奈川・Hさん】

      オークション品(入札品)は、次の通りである。
      【表作成:東京・Hさん夫妻】
      【 これらの標本の一部は、採集禁止になる前の採集品であることをお断り
       しておきます】

No 鉱物 産地 出品者 落札値
(合計)
1 日本式双晶群晶 甲武信鉱山 Mineralhunters 1,000円
2 ペグマタイト水晶群晶 姫路市男鹿島 滋賀・Nさん 1,000円
3 自形方解石・氷長石群晶 甲武信鉱山 Mineralhunters 1,000円
4 方解石(六角板状) 石部町灰山 滋賀・Nさん 700円
5 方解石(六角板状) 石部町灰山 滋賀・Nさん 300円
6 エシキン石(3点) 三重県菰野町 滋賀・Nさん 2,100円
7 ベスブ石 新産地 Mineralhunters 700円
8 サファイア(2点) 薬研山 Mineralhunters 2,000円
9 緑水晶群晶 柿野 滋賀・Nさん 500円
10 新鉱物(3点) 糸魚川市 Mineralhunters 1,500円
11 チタン付き水晶 甲府市向山鉱山 Mineralhunters 500円
12 含鉛重晶石 秋田県川原毛 滋賀・Nさん 500円
13 霰石(3点) 三重県白木 三重・Tさん 1,500円
14 満礬石榴石(母岩付き) 和田峠 Mineralhunters 500円
15 水晶セット(2点) 甲府市向山鉱山 Mineralhunters 600円
16 オパール球顆 愛知県棚山 愛知・Kさん夫妻 300円
17 オパール 愛知県棚山 愛知・Kさん夫妻 300円
18 水晶セット(2点) 尾平鉱山 愛知・KNさん 600円
19 霰石(3点) 三重県白木 三重・Tさん 900円
20 方解石群晶 愛媛県槙の川 Mineralhunters 300円
21 河辺石 広島県畑賀町 滋賀・Nさん 300円
22 木村石 長崎県肥前町 滋賀・Nさん 300円

       滋賀・Nさんから参加申し込みがあったとき、近況報告として『河辺石とエシ
      キン石を採った』、とあった。相前後して、届いた「地学研究」2007年9月号に
      「エシキン石」の記事が載っていた。
       まさか、このミネラルウオッチングの「オークション」に出品していただける
      とは 夢にも思っていなかった。私は、1点、”ガッチリ”落札させていただい
      た。
       「エシキン石」以外にも素晴らしい品が並び、参加者のレベルの高さの一端
      がうかがえた。

       売り上げは、16,000円を超え、ビール、ジュース代分が十分出たようだ。

    B 「標本玉手箱」
       故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が採集した重品を
      持ち寄り、欲しい人に無料で配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。
       ここには、「オークション」に入れてもおかしくない、隠れた名品もヒッソリと
      並び、参加者の”目利き度”が試された。

       私が眼をつけた標本の一部は、次のような品々だった。
      ( 籤(くじ)運が悪く、先取りされてしまったのもある )

No 鉱物 産地 出品者 結果
1 紅柱石(サファイアを伴う) 三重県奥鹿野(おくがの) 三重・Tさん ×
2 デゾーテルス石 三重県白木 三重・Tさん
3 燐灰ウラン石 三重県白山鉱山 三重・Tさん

       なぜか、三重県の鉱物にばかり眼が行ったようだ。これは、『 近々、訪れ
      るべし 』
、とのお告げなのか。

    C 「大人の時間」
       滋賀・Nさんが持参した琵琶湖名産「鮒鮨」をつまみに、持ち寄った「地酒」
      を酌み交わす。
       ( 私も初めて「鮒鮨」を一切れ初めて頂いたが、2切れ目の手は伸びな
        かった )
       この後も、鉱物談義や産地情報交換に花が咲き、夜が更けるのも忘れそう。
       この日の早朝に出発したグループも多く、22時過ぎに消灯とする。

      部屋に戻ると、今日一日の採集の疲れと酒の酔いもあり、たちまち ZZZ・・・・

3. 【第2日目】

 (1) 2日目のスタートだ!!
    『 腹が減っては・・・・』 、と全員揃って、朝食の席に着く。朝食予定時間に間が
   あったので、皆さんの協力でかねての”課題”解決に取り組む。

    @ あの水晶の名前は?
       私が、甲府市向山鉱山で採集した、『長石をまとった水晶』の名前を募集した
      ところ、HPの読者を含め、6つの候補が出揃った。
       予告通り、今回のミネラル・ウオッチング参加者の多数決で決めさせていた
      だくことにした。

       採決の結果は、下表の通りで、『 エビフライ 』、に決定した。

No 候補名(応募順) 応募者 得票
1 モコモコ 石友・ASさん 3
2 エビフライ 石友・Yさん 8
3 パウダーコーティング HP読者・Kさん 1
4 シュガーコーティング HP読者・Kさん 0
5 雷オコシ 石友・Hさん 5
6 粟オコシ T君 0

    A 2日目の予定
       当初の、2日目は3つのコースに別れてのミネラル・ウオッチングを予定して
      いた。
       Aコース:トパズ
       Bコース:サファイア
       Cコース:希元素鉱物

       事前の希望は、Cコースが1名、A、Bコースが半々だった。半々だったのは
      ”親子”、”夫婦”別々になるグループもあったからだ。(それぞれ、作戦がある)
       しかし、前の晩の「大人の時間」でKNさんが”お披露目”した『トパズ』を見た
      参加者(特に”光もの”に弱い女性陣)は、雪崩を打って、Aコースに傾いた。
       そこで、2日目はトパズ、サファイア(希元素)産地を全員で回ることを提案し
      皆さんの了解が得られた。

    B 会計報告
       会計担当の愛知・Tさんから簡潔な<会計報告があり、男性、女性(中学生)
      小学生で”格差”をつけた参加費が伝えられる。
       参加者から、『 安い!! 』、の声が上がる。( 落札者の皆様の御蔭です )

       「高峰山荘」を出発する前に、全員で記念写真を撮影する。

        高峰山荘記念写真【撮影:Hさん】

 (3) トパズ産地A→産地Bへ
     トパズ採集に赫々たる成果を上げている愛知・KNさんの案内でトパズ産地を
    巡ることになった。
     産地Aは有名な産地、産地BはKNさんが開発した産地だった。雨が降りしきり
    コンディションは良くなかったが、昨夜KNさんがお披露目した以上の品を目指して
    振るいかけ、パンニングに励む。
     産地Bでは、Kさん夫妻が、大きな岩を取り除いた後から、品のある「煙水晶」を
    採集した。

         
              産地A               産地B
                    トパズ採集風景

 (3) トパズ(サファイア)産地Cへ
     昼食の後、8月に栃木県の石友・Sさん一家を案内し、『サファイア』を採集した
    ポイントへ皆さんを案内した。
     ここには、まだ”手付かず”のエリアが残っていたので、大人数で訪れても楽し
    めるだろう、との読みだった。

       サファイア産地での採集風景

     サファイが出た上流、下流に散らばって採集すると、私のパンニング皿に小さな
    トパズが残るようになり、皆さんに声を掛け集まってもらう。
     やがて、KNさんが、『あった!!』、と採り上げたのは、素晴らしいトパズだった。
    こうなると、「サファイア」を目指していた人たちも「トパズ」採集に転向した。
     そうこうする内、愛知・Tさん親子が、「トパズ」と「煙水晶」を採集し、神奈川・Hさん
    の奥さんが、初めてパンニングで「トパズ」を採集し、大喜びだった。

 (3) また会う日まで
     後ろ髪を引かれる思いで、14:30に産地を後にし、皆さんと再会を約しお別れ
    した。
     参加者からは、無事帰宅と今回の感想とがメールで寄せられ、次回のミネラル
    ウオッチングの企画に力付けられた。

4. おわりに

 (1) ミネラルウオッチングの企画も7年目を迎えた。今回も事故もなく、無事終了でき
    参加者の皆様の協力に感謝している。

 (2) 今回は、ほとんどの方が知らない古典的な産地や新たに再発見した産地を交えて
    皆さんを案内した。
     次回以降も、そのような産地を1つでも多く加えた企画にしてみたいと考えてい
    る。

 (3) 以前のHPにも書いたが、鉱物標本を手に入れるだけなら、高速代、ガソリン代
    宿泊費などを考えれば、ネットオークションやミネラルフェアで購入したほうがはる
    かに安上がりなことは間違いない。

     懇親会での参加者の挨拶を聞いていると、鉱物標本を手に入れることだけが
    目的でないことが良くわかった。
     永くこの会が続くよう、がんばる決意を改めて固めた。

5. 参考文献

 1)地質調査所編纂:日本鉱産誌 BU,工業技術庁 地質調査所,昭和26年
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