2005年GW鉱物採集会フォローアップ

      2005年GW鉱物採集会フォローアップ

1.初めに

 私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと
5月のGWに採集会を開催するようになって4年目を迎えた。
 2005年のGWは、「3大水晶産地を訪ねて」と題して、長野県、群馬県、栃木県の代表的な
水晶産地を2泊3日で延べ72名の皆さんと訪れた。

 第1日目・・・・・・・梓(甲武信)鉱山と川端下
 第2日目・・・・・・・三ツ岩岳
 第3日目・・・・・・・鉛沢
  

    「湯沼鉱泉」で記念写真【撮影:滋賀・Oさん】

 女性・中学生・高年齢者が主体で非力な私たち一行ではあるが、大勢のメンバーで産地を
訪れたことによって、産地が荒廃したのではないかと気になって、採集地のその後・現状を
確認するフォローアップを行った。

 その結果
 @”立ち木が倒れたりするような自然破壊”は認められなかった。
 Aそれぞれの産地では、今でも代表的な標本が採集でき
   ”○○さんが採集した跡はペンペン草も生えない” というような悪評とは縁遠いことが
   わかった。

  しかし、鉱物採集は、何百万年、ときには何億年もかけて地球が造りだしたものを
 地球的時間では ”一瞬”にして採ってしまう ”再生不可能な行為”であり、採集する量や
 採集した標本の活用については、充分心すべきと改めて考えさせられた。
(2005年6月実施)

2. 甲武信鉱山・川端下

(1)【川上村・Yさん】その後
   採集会のとき、私たちが登りはじめて間もなく、「車を移動してくれ!!」と叫んだ声の主は
  川上村のYさんで、この採集会に前後して私の自宅に電話をいただき、今回のフォローアップで
  川端下まで湯沼鉱泉の社長と一緒に同行していただいた。
   このとき、「川端下」は、【かわはげ】ではなく【かわはけ】が正しいと教えてくれた。
   Yさんは、蝶と石器収集歴40年のベテランで、この分野では知らない人がいないという
  存在で、自宅の脇に専用収納庫を建てたほどの熱の入れようである。
   妻とそれらの収蔵品を見せていただいたが、整理整頓が行き届き、『△△の◎◎』というと
  即座に出てくる。(誰かさんの鉱物標本と大違い・・・・・蔭の声)
   さらに、その質の高さと量の多さには、妻も圧倒されてしまった。

   ”蝶”にちなんで”蝶型水晶=日本式双晶”を2004年12月から採集し始め、既に「大深山」
  「甲武信鉱山貯鉱場」などで日本式双晶を採集した。
   ”蝶”にしろ”鉱物”にしろ、”採集のコツ”のようなものは、共通しているのだと思わざるを
  得ない。

(2)ピカピカのベスブ石産地
    今回の採集会で、ある人が「訪れる度に数が少なくなる」と言っていたが、それでも取り残しは
   あるもので、特定の場所から、両頭1cm超の結晶をはじめ、今までにない良品を採集できた。
    産地には、枯れ葉も吹き寄せられ、それらに隠れてマダマダ良品が眠っていそうです。

    名古屋の石友・Sさんの奥さんに以前『中川さんは、採集会では、皆さんのお世話で
   忙しく採集していないようだが、少人数で来ると ”Mineralhunters”に豹変しますね』
   と言われたのを思い出している。

    ベスブ石

(3)松茸水晶ズリ
    滋賀・Oさんが採集した緑水晶の頭と軸に「松茸」が寄生したこの産地独特の良品の
   記憶も生々しい。産地は、特に掘り込まれた様子もなく、立ち木が倒れた様子も
   見当たらない。

    (10年以上前の”松茸水晶ブーム”の時の自然破壊が凄まじく、今訪れている人たちは
    その跡やその周辺を掘り返しているだけなので、さほど景観が変わったように感じません。)

     ここでは、誰かが掘った跡の表面採集で、小さいながら滋賀・Oさんが採集したと同じ
    タイプの松茸水晶と明らかに”日本式双晶の片割れ”と思われる平板水晶を得た。

       
       松茸水晶          日本式双晶【1/2】

(4)新産地「緑水晶ズリ」
    ここは、もともと小さな産地で、大勢の人によって掘り返されいるが、それも今までで
   一番大きな単晶を採集することができた。まだまだ眠っています。

    緑水晶

(5)川端下水晶坑道・ズリ
    川端下の坑道には入らず、ズリを見て回った。愛知・Sさんの息子Y君が採集した
   ”蝶型日本式双晶”のインパクトは大きく、湯沼鉱泉の社長、川上村のYさんを走らせる
   結果となった。

    蝶型双晶【採集・撮影:愛知・Sさん一家】

    社長は『俺は、こんなの(ズリ堀り)は好きじゃない』と言いながらも、ズリを一所懸命
   掘っていた。(社長のこんな真面目な(?)採集風景を眼にするのは初めてであった。)

    しかし、”柳の下に泥鰌(どじょう)”はそうそう何匹も居らず、この日は双晶を
   拝めなかった。
    (それでも、明らかに双晶の”片割れ”と思われる15cmを超える平板水晶を社長が
     掘り当て、まだまだありそうな予感がしている。)

    ここの水晶は、表面が”ガサガサ”のものが多いが、中にはピカピカのものもあり
   インクルージョンや共生鉱物も楽しめる。このフォローアップで、松茸煙水晶と
   肉眼で見える鋭錐石が共生する松茸水晶を採集できた。
   (ここの水晶は、見方によってはほとんどが”松茸水晶”である)

       
      松茸煙水晶              鋭錐石

3. 大日鉱山と三ツ岩岳

(1)大日鉱山
    京都の石友・Tさん夫妻と大日鉱山を訪れた。われわれ一行が掘ったと思われるズリは
   その後の雨風でズリ石が覆い被さり、場所が判然としない。
    ズリは崩落防止の工事中で、関係者によれば、2005年11月ごろまでかかる、とのこと。
   崩落防止の工事をしているので、それを崩すような採集行為は慎まなければならない。

    ズリ【崩落防止工事中】

    Tさんによれば、「灰クロム柘榴石」よりも茶褐色で雲母様の「コーリング石【Coalingite:
    Mg10Fe'''2(CO3)(OH)24・2H2O】」の方が国内では稀産なので採集すべきとの意見に
    従うことにした。とは言え、緑色の鮮やかな「灰クロム柘榴石」に眼が行ってしまうのは
    悲しい性である。

       
        コーリング石            灰クロム柘榴石
                   大日鉱山標本

(2)三ツ岩岳
    十石峠を越え、塩沢峠からスーパー林道に入るコースの方が距離的に短いようなので
   その経路で行ってみたが、未舗装の悪路部分があり、お奨めできかねる。
    産地のズリは道路の両側に綺麗に寄せられ、その量は心なしか減っている
   ような気がする。”土嚢袋作戦”を展開中の人が多いらしい。
    折角行ったので、私も”土嚢袋”にズリの土砂を入れ、早々に引き上げた。

4. 鉛沢

(1)「鉛沢」
    GWの採集会の鉛沢の紫水晶は魅力的であったのか、その後個人で行った方も多かった
   ようです。女性陣のために設置した「架設トイレ」のビニールシートは千葉のYさんが回収して
   くれたとのメールをいただいた。
    ズリはその後も掘り返され、シャッフルされ、手をつけていない場所がないかのような
   様相を呈している。それでも、妻が4cmを越える頭付きを採集した。さらに、母岩付きの
   薄紫の佳品を採集でき、まだまだ楽しめそうです。

       
         単晶               母岩付き
                   鉛沢標本

5.おわりに

 (1)5月連休の採集会から1ケ月が経ち、採集地のその後・現状を確認するフォローアップを
    数日に分けて行った。(単独であったり、同行者を伴ったりして)

    その結果
    @”立ち木が倒れたりするような自然破壊”は認められなかった。
    Aそれぞれの産地では、今でも代表的な良標本が採集でき、産地は保全されている。

 (2) 川端下の水晶は、ドロに覆われ、現地での共生鉱物やインクルージョンの確認は
    難しく、勢い、採集したものを全て持ち帰ることになってしまう。
    自宅で洗浄・確認後の標本をどう処置するか悩んでいたが、「湯沼鉱泉」に来た
    子ども達に配ってもらうように社長にお願いした。
     さっそく、東京から来た2組の家族連れの子ども達が喜んで受け取っていた。

 (3)女性や子どもを含む大勢で採集できる場所が少なくなってきている。参加された方には
   そこそこの良品を採って頂きたいが、そのような場所は関東エリアから遠いなどの
   制約があり、次回の採集会の開催地に頭を痛めています。

6.参考文献

1)星野由紀夫:群馬県南牧村三ツ岩岳付近から産出した水晶の
          日本式四連双晶と貫入三連双晶,ペグマタイト第53号,2002年
2)和田維四郎:日本鉱物誌,東京築地活版製造所,明治37年
3)松原聰:日本産鉱物種,鉱物情報,1992年
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