第1日目・・・・・・・梓山(甲武信)鉱山)と川端下
第2日目・・・・・・・三ツ岩岳
第3日目・・・・・・・鉛沢
参加者は、関東各都県、新潟、愛知、滋賀、兵庫と広範囲で、ほとんどが定連さんで
和気藹々の採集会となった。
晴れ男の”ジンクス”通り(?)3日間とも快晴に恵まれ、新緑の中で、女性や
年配者にはやや厳しいコースも一部あったが、疲れを忘れさせる”収穫”があった。
初日の甲武信で滋賀・Oさんが「松茸水晶」の逸品を採集したのを皮切りに
川端下では名古屋・Sさんの息子Y君が「日本式双晶」をそして、鉛沢では愛知・Kさんが
両錐5cmの紫水晶を採集するなど、これだけの人数で訪れると色々な”発見”があった。
初日の夜は、長野県川上村の湯沼鉱泉で、地元の素材を使った料理に舌鼓を打ち
持ち寄った各地の銘酒を酌み交わし、採集会恒例となった「標本玉手箱」では子ども達に
混じって女性陣の”ジャンケン”の声が宿に響いた。
「オークション」も大盛況で、全国の産地の標本が並び、格安で貴重な標本を入手でき
その売上高は、参加者に還元できた。
2日目は、恒例の「朝飯前の採集」のあと、移動を兼ね大日鉱山で「灰クロム石」を採集し
三ツ岩岳では全員が「日本式双晶」を採集できた。
18時過ぎに足尾町にある国民宿舎「かじか荘」に到着し、宴会のあと、大人の時間で
楽しいひと時を過ごした。
3日目は、今回の採集会の目玉の「鉛沢の紫水晶」を求めて、5時に起床、6時に宿を出発し
7時過ぎから採集を開始した。
遠方からの参加者はお昼で撤収となり、最終組も17時前に全員、無事下山した。
無事帰宅のメールと共に、また参加したいという声が大勢寄せられた。
これも役員の皆様のお力添えと参加者のご協力の賜物と厚く御礼申し上げます。
今回、産地が狭いのと宿泊場所の確保の関係で、参加人員を先着順で制限せざるを
得なかった点を心苦しく思っています。次回の採集会で皆さんと再会できるのを楽しみに
しています。
(2005年5月採集)
(2)ベスブのズリへ
登山口に到着、上り始めて間もなく、下から「車を移動してくれ!!」と叫び声がする。
運転者全員が下山し、声の主【川上村・Yさん】の説明を聞くと、林道を整備するので
車を邪魔にならない橋の上まで移動してくれとのこと。
運転者は、余分に1km以上歩いた勘定で、疲れがドット出る。再び一列になって
登りはじめるが、急坂が苦しい。「年々苦しくなる」のは皆同じらしい。
(3)ピカピカのベスブ石産地
急な坂を角閃石のズリ、磁鉄鉱のズリと登り、3ステップの仕上げが、ピカピカのベスブ石の
産地である。
落ち葉を掻き分け、母岩付きや分離結晶など、ピカピカのベスブ石を全員が採集した。
(4)松茸水晶ズリ
松茸水晶のズリに取り付き、皆さんここぞと思う場所で、採集を始める。愛知・Iさんが
早々と良品をゲット。昼食の時間になり、滋賀・Oさんが緑水晶の頭と軸に「松茸」が
寄生したこの産地独特の良品を採集した。
ベテラン愛知・KAさんも「今時、こんなのが採れるとは」と驚きの声を漏らす。
Oさんによれば、採集品のデーターと採集の経緯は次の通りです。
『サイズは、全長66mm、先端の松茸7mmΦ、一段めの松茸長さ25mm太さ15mmです。
採集のいきさつですが、昼ごはんに腰を下ろしておにぎりを食べながら、ふと前
(奈良・Y氏の足元から50cmくらい下だったかな?)を見ると緑色の水晶の柱が
地面にはりついていました。
それまで頭無ししか採っていなかったので、”また頭無しだろうけど、まあいいか”
と思って引き抜いたら、先端があって、しかも二段の松茸だったのでびっくりしました。
甲武信鉱山は1999,10,11以来2回目ですが、初回は灰重石の坑道行きでした。
あこがれの「甲武信鉱山」へ来たというだけで感激で頭がいっぱいになったのか、
灰重石はほとんど採らずに方解石の結晶をたくさん拾って帰りました。
そんなわけで松茸のズリも川端下の水晶坑も初めてです。
まさにビギナーズラックだったのですね。』
さらに、終了1分前に、東京・Hさんの奥さんが「こんなのがありました」と差し出された
2本の水晶は、いずれも紛れもない「松茸水晶」であった。
(Hさんの奥さんの”強運”は翌日も続くのであった。)
(5)新産地「緑水晶ズリ」
ここは、1年前に奈良・Aさんが発見した産地で、以前から知られていた緑水晶産地の
ものより結晶が大きく、頭付き群晶も多産した。
小さな産地なので、ここを訪れるのが初めての人を優先に採集していただいた。
愛知・Kさんは、この産地の”目玉”を採集するまで、ここを去りがたいと言い、川端下は
パスすることになった。
(6)川端下水晶坑道・ズリ
川端下水晶産地に向かう。坑道内は、かなり荒らされており、採集に苦戦。
愛知・Sさんの息子Y君と坑道内で採集し始めたが余りに出ないので私は早々と坑道の外に
出てしまった。Y君を坑の外に誘ったが”ここで、粘ってみる”とのことであった。これが
後で明暗を分けることになろうとは、神ならぬ身には知る由もなかった。
坑内に残った石川・Yさんは、20cmを越えるピカピカの頭付き巨晶を採集し、遠路参加した
甲斐があった、とご満悦。
私がズリで採集していると、「Y君が日本式双晶を採った!!」というニュースが駆け巡った。
Y君に見せてもらうと、5cmほどの頭付き水晶の軸に”蝶々”がとまったような双晶であった。
やがて、東京・Hさんが、5cmを越える「傾軸式双晶」を採集。私も、片側の頭が欠けた
「傾軸式双晶」を採集し、産地は双晶ラッシュとなった。
( Hさんは、2004年の「水晶峠」の採集会でただ一人日本式双晶を採集し、双晶には
縁があるのかと思いきや、ここで採集した双晶を袋に入れようとしたら、袋に穴があいていて
落としてしまった、とのことで、縁がなかったのですね。
皆さん、”あの辺り”に今も落ちていますよ。)
(7)下山
15:30に、後ろ髪を引かれる思いで下山を開始する。下りは、落石に注意しながら
3段の急斜面をおりる。
(8)湯沼鉱泉の夜は深けて
17:30ごろ今夜の宿「湯沼鉱泉」に到着。途中から参加の兵庫・Nさん夫妻、新潟・Tさん親子
京都・Yさん、千葉・Yさん親子も到着し、25名全員が揃った。
懇親会までに、お風呂を浴び、標本玉手箱とオークション用の標本が続々と集まってくる。
@「懇親会」
宴会部長の愛知・H氏の名司会で、19時から25名参加の大懇親会がスタートした。
岩魚の生造り、山菜の天ぷらなど地元の季節の食材を生かした料理に舌鼓を打つ。
宴たけなわとなり、近況報告が始まる。
宴は続き、参加者が持ち寄った、「越の寒梅」など各地の銘酒を酌み交わし、大いに
盛り上がる。
しかし、参加者のお目当ては、次に控えている、「標本玉手箱」と「オークション」で
食事が終わると、そそくさと標本玉手箱会場に移動する。
A「標本玉手箱」
故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が採集した重品を持ち寄り
欲しい人に無料配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。
今回の担当は、千葉・Yさん一家と千葉・Kさんにお願いした。
ここには、「オークション」に入れてもおかしくない、愛知・KOさんが昭和40年代に
採集した奈良県産の「黒辰砂(結晶付き)」など、隠れた名品も並び、参加者の
”目利き度”が試されます。
B「オークション」
恒例となっている「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で採用されている
「逆ブービー方式」と呼ばれ、2番目に高い値段を付けた人が、落札する権利を得ます。
これは、悪戯に、価格を引き上げないための配慮です。
オークションの進め方は、次の通りです。
「標本玉手箱」に提供された標本の中から、オークション担当が28点の標本を選んで
くれた。
オークション品を提供した本人から、鉱物名、産地、採集時のエピソードなどを
スピーチしてもらった。
出品締切後からも”佳品”の提供が相次ぎ、それらについては主催者の独断と偏見で
”300円均一”と”1,000円均一”のグループに分け、これらは”ジャンケン”で購入権を
勝取るという、変則的なオークションになってしまった。
”紫水晶”は大勢の人、特に女性に人気が高く、大きなジャンケンの輪が出来た。
オークション品(入札品)は、次の通りである。
【これらの標本は、採集禁止になる前の採集品であることをお断りしておきます】
No | 鉱物名 | 産地 | 出品者 | 1 | コバルト華 | 和歌山県大勝鉱山 | 奈良・Aさん | 2 | 灰鉄ザクロ石 | 奈良県 | 奈良・Aさん | 3 | 綺麗なザクロ石 | 奈良県 | 滋賀・Oさん | 4 | 煙水晶群晶・単晶 | 愛知県白鳥山 | 愛知・Sさん | 5 | 紫水晶と透明水晶 | 石川県口能海 | 石川・Yさん | 6 | 紫水晶 | 宮城県雨塚山 | 東京・Hさん | 7 | 黄鉄鉱 | 石川県七尾市 | 石川・Yさん | 8 | 蛍石 | 石川県宝達山 | 石川・Yさん | 9 | 緑柱石 | 茨城県山ノ尾 | 東京・Hさん | 10 | 辰砂 | 奈良県多武峰鉱山 | 奈良・Aさん |
オークション品(ジャンケン品:300円)は、次の通りである。
No | 鉱物名 | 産地 | 出品者 | 1 | 足尾銅山古地図 | 栃木県足尾町 | 石川・Yさん | 2 | 写真 | 伊豆採集会、綺麗な柘榴石 | 滋賀・Oさん | 3 | 水晶 | 秋田県荒川鉱山 | 愛知・Kさん | 4 | 灰鉄ザクロ石 | 奈良県 | 奈良・Aさん | 5 | 紫水晶 | 石川県・尾小屋鉱山 | 石川・Yさん | 6 | リシア電気石 | 茨城県・妙見山 | 東京・Hさん | 7 | 黄鉄鉱 | 石川県七尾市 | 石川・Yさん | 8 | 満バン柘榴石 | 長野県和田峠 | 山梨・Mineralhunters | 9 | 白鉛鉱 | 兵庫県多々木鉱山 | 京都・Yさん | 10 | サーピリエ石 | 兵庫県 | 京都・Yさん | 11 | 水マンガン鉱 | 京都府下の谷 | 京都・Yさん | 12 | 辰砂 | 奈良県多武峰鉱山 | 奈良・Aさん | 13 | 紫水晶・緑鉛鉱(緑・紫) | 石川県尾小屋鉱山 | 石川・Yさん | 14 | 赤銅鉱 | 兵庫県柿木鉱山 | 京都・Yさん |
オークション品(ジャンケン品:1,000円)は、次の通りである。
No | 鉱物名 | 産地 | 出品者 | 1 | 水晶群晶 | 岐阜県神岡鉱山 | 愛知・KAさん | 2 | マリモ入り水晶 | 大分県尾平鉱山 | 愛知・KAさん | 3 | 紫水晶 | 兵庫県朝来町 | 京都・Yさん |
部屋に戻ると、今日一日の採集の疲れと酒の酔いもあり、たちまちZzzz・・・・
朝一番の起き抜けで、チョットした丘を登るのも苦しい。先頭を案内する私の
足元に、「一対の角がついた日本鹿の頭部」が落ちていた。角は、3つに枝分かれし
立派なもの。まさに、”早起きは3文の得”とは、このことか。
産地に着き、参加者がそれぞれ数個の標本を採集し、早々に引き上げる。
( この鹿の角を奈良・Aさんに見せると、『この角に掛けられる、日本刀のような
”輝安鉱”を採集しないと、あきまへんね』 と次なる課題を申し渡されてしまった。)
宿に戻ると朝食が待っていた。朝食の前に、会計担当の兵庫・Nさんから、会計報告が
あり、前夜の「オークション」では、2万円余りの売上があり、単純平均1人当たりの
宿泊費が1,000円安くなった計算です。
(2)大日鉱山の「灰クロム柘榴石」
8時過ぎに、湯沼鉱泉を出発する。大日鉱山の場所がわかる人と初めての人で
組を作り、途中で昼食の調達、給油などは組ごとに行うことにした。一度141号線に戻り北上し
299号線に入る。車の到着時間差が大きくなることが予想され、採集時間も限られているため
到着した組から採集を開始する、という変則ルールを適用した。
鉱山ズリは、治山工事が行われており、砂防ダムを乗り越えられる取り付け道路もあり
”産地横付”状態。
ここでは、奈良・Yさんが絶好調で早々と鮮緑色の灰クロム柘榴石やすみれ色の
「菫泥石」の良品を採集。やがて、東京・Hさんの奥さんが「こんなのがありました」と
差し出された標本を見て、思わず私は”スゴイ!!”と叫んでしまった。
一面鮮緑色で、一部には結晶も見える。奥さんは『孔雀石かと思った』とのこと。
(3)三ツ岩岳
「十石峠」を越え、群馬県に入る。新緑が眩しく、ところどころにピンク色の桜が満開で
鉱物採集でなく、山岳ドライブに来たのかと、錯覚するほど。
滋賀・Oさんの先導で、無事全15台が産地に到着。
ここでは、坑道組とズリ組に分かれて、採集を開始する。その前に、まず腹ごしらえ。
採集を開始して間もなく、愛知・Sさんの奥さんが母岩に「紫水晶」が点在する貴重な
標本をゲット。昨日の日本式双晶と言いい、S一家絶好調。
ズリ組の中でも”母岩付き”をねらうグループと分離単晶を狙うグループに別れ
母岩付きGrの兵庫・Nさんの奥さんが1cmを越えるサイズの付いたものを採集した。
単晶グループでは、千葉・Yさんの奥さんが、片方が平板、もう一方が松茸の珍しい
双晶を採集。女性陣、大活躍。
坑道組の愛知・KAさんと京都・Yさんは、”晶洞(ガマ)”はたくさん開けられるのだが
双晶を伴わないのばかり、とのことであった。
採集状況も熱を帯び、この日時間があれば、訪れる予定であった「茂倉沢鉱山」は
パスし、眼一杯、三ツ岩岳を満喫することにした。
最後に、ズリの土砂を”土嚢袋”に入れて、引き上げた。
【”土嚢袋”後日談】
この産地が2回目で、初回に”土嚢袋”で持ち帰った土砂と格闘し、数々の双晶の
バリエーションを探し出した兵庫・Nさんの奥さんから、次のようなメールをいただいた。
『 昨日から採集品の整理にかかっています。さすがに三つ岩岳のものは前回より
内容が豊富です。また水晶に加え、小さいながら美しい柘榴石と、柱状の緑簾石(?)が
あったのもあり、(?)については次回鑑定をお願いいたします。』
(柘榴石は、満バン柘榴石を思わせる”黄褐色”で透明感のあるものだと思います。
緑簾石が入って、”緑水晶”になっている双晶や透明感の高い単晶に針状の緑簾石
が入ったものもあるはずです。)
(4)「かじか荘」の夜はふけて
三ツ岩岳から、下仁田市街を抜け、道の駅「しもにた」で、車を乗り合わせ、上信道
関越道、北関東道を経て伊勢崎ICでおり、大間々を経て足尾町銀山平に向かう。
18:30には最後のグループも到着し、慌しく入浴を済ませ、19時から夕食会がスタート。
食事の後、「大人の時間」で持ち寄った地酒を飲みながら、「採集会」について話し合う。
次の朝、早いこともあって、21時でお開き。
ズリでは、小さいながら”頭付き”がそこそこ採れ、新潟・Tさんが頭はないものの4cmの綺麗な
紫水晶を採集し、娘のKさんに『お父さん、ハマッた?』 と冷やかされる微笑ましい光景も
見られた。
露頭組は愛知・KAさんの下、愛知・Sさん、京都・Yさん、石川・Yさんが結集し、紫水晶脈を
追いかけて、母岩付きを採集。その周辺のズリでは、愛知・Kさんが5cmの両錐、千葉・Kさん
も同じようなサイズを採集。千葉・Yさんは、”不完全燃焼”と言いながらも、4cmの標本を
シッカリ採集していた。
遠方から参加者は、お昼で引き上げることになり、最終組も15時過ぎに産地を後にした。
露頭組のKAさんが採集した、紫水晶の群晶は、KAさんからの申し出で急遽オークションを開催し
東京・Hさんの奥さんが930円で落札した。(何処までも”強運”の奥さんであった。)
最終組の私たちは、「かじか荘」で入浴し、スッキリして帰宅の途に着いた。
(2)「もう採れないだろう」と言われた産地でも、大勢の眼でさがすと結構あるもので、数々の
良標本が採集できた。
この裏には、思いもかけない、地元の方のお力添えがあったことも見逃せない。
また、「鉛沢」の産地情報をお知らせいただいた方に、厚く御礼申し上げます。
(3)「かじか荘」での参加者との話し合いで要望があった「黒平」での採集会を以前
実施したことがありましたが、産地の性格上”当たり外れ”が大きかった。
女性や子どもなど、誰でもが楽しめる採集会の計画に頭を痛めています。