2005年GW鉱物採集会 -3大水晶産地を訪ねて- 【ダイジェスト版】

2005年GW鉱物採集会 -3大水晶産地を訪ねて- 【ダイジェスト版】

1.初めに

 私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと
5月のGWに採集会を開催するようになって4年目を迎えた。
 今回は、「3大水晶産地を訪ねて」と題して、長野県、群馬県、栃木県の代表的な
水晶産地を2泊3日で延べ72名の皆さんと訪れた。

 第1日目・・・・・・・梓山(甲武信)鉱山)と川端下
 第2日目・・・・・・・三ツ岩岳
 第3日目・・・・・・・鉛沢
  

    「湯沼鉱泉」で記念写真【撮影:滋賀・Oさん】

 参加者は、関東各都県、新潟、愛知、滋賀、兵庫と広範囲で、ほとんどが定連さんで
和気藹々の採集会となった。
 晴れ男の”ジンクス”通り(?)3日間とも快晴に恵まれ、新緑の中で、女性や
年配者にはやや厳しいコースも一部あったが、疲れを忘れさせる”収穫”があった。
 初日の甲武信で滋賀・Oさんが「松茸水晶」の逸品を採集したのを皮切りに
川端下では名古屋・Sさんの息子Y君が「日本式双晶」をそして、鉛沢では愛知・Kさんが
両錐5cmの紫水晶を採集するなど、これだけの人数で訪れると色々な”発見”があった。
 初日の夜は、長野県川上村の湯沼鉱泉で、地元の素材を使った料理に舌鼓を打ち
持ち寄った各地の銘酒を酌み交わし、採集会恒例となった「標本玉手箱」では子ども達に
混じって女性陣の”ジャンケン”の声が宿に響いた。
 「オークション」も大盛況で、全国の産地の標本が並び、格安で貴重な標本を入手でき
その売上高は、参加者に還元できた。
 2日目は、恒例の「朝飯前の採集」のあと、移動を兼ね大日鉱山で「灰クロム石」を採集し
三ツ岩岳では全員が「日本式双晶」を採集できた。
 18時過ぎに足尾町にある国民宿舎「かじか荘」に到着し、宴会のあと、大人の時間で
楽しいひと時を過ごした。
 3日目は、今回の採集会の目玉の「鉛沢の紫水晶」を求めて、5時に起床、6時に宿を出発し
7時過ぎから採集を開始した。
 遠方からの参加者はお昼で撤収となり、最終組も17時前に全員、無事下山した。
 無事帰宅のメールと共に、また参加したいという声が大勢寄せられた。
 これも役員の皆様のお力添えと参加者のご協力の賜物と厚く御礼申し上げます。
 今回、産地が狭いのと宿泊場所の確保の関係で、参加人員を先着順で制限せざるを
得なかった点を心苦しく思っています。次回の採集会で皆さんと再会できるのを楽しみに
しています。
(2005年5月採集)

2.【第1日目】

(1)「湯沼鉱泉」に集まれ!!
   連休初日の4月29日、8:00「湯沼鉱泉」駐車場に集合した。集合場所に着いてみると
  高速道路の渋滞を予想して、前の晩に出発した愛知のIさんはじめ、ほとんどが既に
  到着している。
   千葉のKさん、東京のHさん夫妻、愛知のHさん、KAさん、Kさん、Sさん一家、Iさん
  KOさん、石川のYさん、滋賀のOさん、奈良のAさん、Yさん、総勢17名
   湯沼鉱泉の社長に挨拶、部屋割りを決めて出発!!

(2)ベスブのズリへ
   登山口に到着、上り始めて間もなく、下から「車を移動してくれ!!」と叫び声がする。
  運転者全員が下山し、声の主【川上村・Yさん】の説明を聞くと、林道を整備するので
  車を邪魔にならない橋の上まで移動してくれとのこと。
   運転者は、余分に1km以上歩いた勘定で、疲れがドット出る。再び一列になって
  登りはじめるが、急坂が苦しい。「年々苦しくなる」のは皆同じらしい。

    甲武信登山

(3)ピカピカのベスブ石産地
    急な坂を角閃石のズリ、磁鉄鉱のズリと登り、3ステップの仕上げが、ピカピカのベスブ石の
   産地である。
    落ち葉を掻き分け、母岩付きや分離結晶など、ピカピカのベスブ石を全員が採集した。

(4)松茸水晶ズリ
    松茸水晶のズリに取り付き、皆さんここぞと思う場所で、採集を始める。愛知・Iさんが
   早々と良品をゲット。昼食の時間になり、滋賀・Oさんが緑水晶の頭と軸に「松茸」が
   寄生したこの産地独特の良品を採集した。
    ベテラン愛知・KAさんも「今時、こんなのが採れるとは」と驚きの声を漏らす。
    Oさんによれば、採集品のデーターと採集の経緯は次の通りです。

   『サイズは、全長66mm、先端の松茸7mmΦ、一段めの松茸長さ25mm太さ15mmです。
    採集のいきさつですが、昼ごはんに腰を下ろしておにぎりを食べながら、ふと前
    (奈良・Y氏の足元から50cmくらい下だったかな?)を見ると緑色の水晶の柱が
    地面にはりついていました。
     それまで頭無ししか採っていなかったので、”また頭無しだろうけど、まあいいか”
    と思って引き抜いたら、先端があって、しかも二段の松茸だったのでびっくりしました。
     甲武信鉱山は1999,10,11以来2回目ですが、初回は灰重石の坑道行きでした。
    あこがれの「甲武信鉱山」へ来たというだけで感激で頭がいっぱいになったのか、
    灰重石はほとんど採らずに方解石の結晶をたくさん拾って帰りました。
     そんなわけで松茸のズリも川端下の水晶坑も初めてです。
    まさにビギナーズラックだったのですね。』

       
           採集風景              採集品
             松茸水晶【採集、撮影:滋賀・Oさん】

     さらに、終了1分前に、東京・Hさんの奥さんが「こんなのがありました」と差し出された
    2本の水晶は、いずれも紛れもない「松茸水晶」であった。
    (Hさんの奥さんの”強運”は翌日も続くのであった。)

(5)新産地「緑水晶ズリ」
    ここは、1年前に奈良・Aさんが発見した産地で、以前から知られていた緑水晶産地の
   ものより結晶が大きく、頭付き群晶も多産した。
    小さな産地なので、ここを訪れるのが初めての人を優先に採集していただいた。
    愛知・Kさんは、この産地の”目玉”を採集するまで、ここを去りがたいと言い、川端下は
   パスすることになった。

    緑水晶採集風景

(6)川端下水晶坑道・ズリ
    川端下水晶産地に向かう。坑道内は、かなり荒らされており、採集に苦戦。
   愛知・Sさんの息子Y君と坑道内で採集し始めたが余りに出ないので私は早々と坑道の外に
   出てしまった。Y君を坑の外に誘ったが”ここで、粘ってみる”とのことであった。これが
   後で明暗を分けることになろうとは、神ならぬ身には知る由もなかった。
    坑内に残った石川・Yさんは、20cmを越えるピカピカの頭付き巨晶を採集し、遠路参加した
   甲斐があった、とご満悦。
    私がズリで採集していると、「Y君が日本式双晶を採った!!」というニュースが駆け巡った。
   Y君に見せてもらうと、5cmほどの頭付き水晶の軸に”蝶々”がとまったような双晶であった。
    やがて、東京・Hさんが、5cmを越える「傾軸式双晶」を採集。私も、片側の頭が欠けた
   「傾軸式双晶」を採集し、産地は双晶ラッシュとなった。
   ( Hさんは、2004年の「水晶峠」の採集会でただ一人日本式双晶を採集し、双晶には
    縁があるのかと思いきや、ここで採集した双晶を袋に入れようとしたら、袋に穴があいていて
    落としてしまった、とのことで、縁がなかったのですね。
     皆さん、”あの辺り”に今も落ちていますよ。)

       
 平板【採集・撮影:愛知・Sさん一家】    傾軸式【片側頭欠け】
              川端下産日本式双晶

(7)下山
    15:30に、後ろ髪を引かれる思いで下山を開始する。下りは、落石に注意しながら
   3段の急斜面をおりる。
 

(8)湯沼鉱泉の夜は深けて
    17:30ごろ今夜の宿「湯沼鉱泉」に到着。途中から参加の兵庫・Nさん夫妻、新潟・Tさん親子
   京都・Yさん、千葉・Yさん親子も到着し、25名全員が揃った。
    懇親会までに、お風呂を浴び、標本玉手箱とオークション用の標本が続々と集まってくる。

  @「懇親会」
    宴会部長の愛知・H氏の名司会で、19時から25名参加の大懇親会がスタートした。
    岩魚の生造り、山菜の天ぷらなど地元の季節の食材を生かした料理に舌鼓を打つ。
    宴たけなわとなり、近況報告が始まる。

    新潟・Tさん娘

    宴は続き、参加者が持ち寄った、「越の寒梅」など各地の銘酒を酌み交わし、大いに
   盛り上がる。
    しかし、参加者のお目当ては、次に控えている、「標本玉手箱」と「オークション」で
   食事が終わると、そそくさと標本玉手箱会場に移動する。

  A「標本玉手箱」
    故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が採集した重品を持ち寄り
   欲しい人に無料配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。
    今回の担当は、千葉・Yさん一家と千葉・Kさんにお願いした。
    ここには、「オークション」に入れてもおかしくない、愛知・KOさんが昭和40年代に
   採集した奈良県産の「黒辰砂(結晶付き)」など、隠れた名品も並び、参加者の
   ”目利き度”が試されます。

    玉手箱下見

  B「オークション」
    恒例となっている「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で採用されている
   「逆ブービー方式」と呼ばれ、2番目に高い値段を付けた人が、落札する権利を得ます。
   これは、悪戯に、価格を引き上げないための配慮です。
    オークションの進め方は、次の通りです。

     「標本玉手箱」に提供された標本の中から、オークション担当が28点の標本を選んで
    くれた。
     オークション品を提供した本人から、鉱物名、産地、採集時のエピソードなどを
    スピーチしてもらった。

    説明する奈良・Aさん

     出品締切後からも”佳品”の提供が相次ぎ、それらについては主催者の独断と偏見で
    ”300円均一”と”1,000円均一”のグループに分け、これらは”ジャンケン”で購入権を
    勝取るという、変則的なオークションになってしまった。
     ”紫水晶”は大勢の人、特に女性に人気が高く、大きなジャンケンの輪が出来た。

       
          下見                ”ジャンケン”
                オークション風景

    オークション品(入札品)は、次の通りである。
    【これらの標本は、採集禁止になる前の採集品であることをお断りしておきます】

No 鉱物名 産地出品者
コバルト華和歌山県大勝鉱山奈良・Aさん
灰鉄ザクロ石奈良県奈良・Aさん
綺麗なザクロ石奈良県滋賀・Oさん
煙水晶群晶・単晶愛知県白鳥山愛知・Sさん
紫水晶と透明水晶石川県口能海石川・Yさん
紫水晶宮城県雨塚山東京・Hさん
黄鉄鉱石川県七尾市石川・Yさん
蛍石石川県宝達山石川・Yさん
緑柱石茨城県山ノ尾東京・Hさん
10 辰砂奈良県多武峰鉱山奈良・Aさん

    オークション品(ジャンケン品:300円)は、次の通りである。

No 鉱物名 産地出品者
足尾銅山古地図栃木県足尾町石川・Yさん
写真伊豆採集会、綺麗な柘榴石滋賀・Oさん
水晶秋田県荒川鉱山愛知・Kさん
灰鉄ザクロ石奈良県奈良・Aさん
紫水晶石川県・尾小屋鉱山石川・Yさん
リシア電気石茨城県・妙見山東京・Hさん
黄鉄鉱石川県七尾市石川・Yさん
満バン柘榴石長野県和田峠山梨・Mineralhunters
白鉛鉱兵庫県多々木鉱山京都・Yさん
10 サーピリエ石兵庫県京都・Yさん
11 水マンガン鉱京都府下の谷京都・Yさん
12 辰砂奈良県多武峰鉱山奈良・Aさん
13 紫水晶・緑鉛鉱(緑・紫)石川県尾小屋鉱山石川・Yさん
14 赤銅鉱兵庫県柿木鉱山京都・Yさん

    オークション品(ジャンケン品:1,000円)は、次の通りである。

No 鉱物名 産地出品者
水晶群晶岐阜県神岡鉱山愛知・KAさん
マリモ入り水晶大分県尾平鉱山愛知・KAさん
紫水晶兵庫県朝来町京都・Yさん

   部屋に戻ると、今日一日の採集の疲れと酒の酔いもあり、たちまちZzzz・・・・

3.【第2日目】

(1)「朝飯前の採集会」
   朝、5時に起きると、既に「朝飯前の採集会」のメンバーの奈良・Yさん、滋賀・Oさん
   愛知・KOさんが起きて待っている。
    恒例となっている朝飯前の採集会は、湯沼鉱泉近くの「角閃石入り水晶」採りに
   行くことにしている。小さな産地なので、湯沼鉱泉の社長の産地保護に対する要望もあり
   参加者を初めて訪れる人だけに限定し、さらに、採集は、1人数個に制限した。

    朝一番の起き抜けで、チョットした丘を登るのも苦しい。先頭を案内する私の
   足元に、「一対の角がついた日本鹿の頭部」が落ちていた。角は、3つに枝分かれし
   立派なもの。まさに、”早起きは3文の得”とは、このことか。
    産地に着き、参加者がそれぞれ数個の標本を採集し、早々に引き上げる。

   ( この鹿の角を奈良・Aさんに見せると、『この角に掛けられる、日本刀のような
    ”輝安鉱”を採集しないと、あきまへんね』 と次なる課題を申し渡されてしまった。)

    朝飯前採集風景

    宿に戻ると朝食が待っていた。朝食の前に、会計担当の兵庫・Nさんから、会計報告が
   あり、前夜の「オークション」では、2万円余りの売上があり、単純平均1人当たりの
   宿泊費が1,000円安くなった計算です。

    会計報告【兵庫・Nさん】

(2)大日鉱山の「灰クロム柘榴石」
    8時過ぎに、湯沼鉱泉を出発する。大日鉱山の場所がわかる人と初めての人で
   組を作り、途中で昼食の調達、給油などは組ごとに行うことにした。一度141号線に戻り北上し
   299号線に入る。車の到着時間差が大きくなることが予想され、採集時間も限られているため
   到着した組から採集を開始する、という変則ルールを適用した。
    鉱山ズリは、治山工事が行われており、砂防ダムを乗り越えられる取り付け道路もあり
   ”産地横付”状態。

    大日鉱山採集

    ここでは、奈良・Yさんが絶好調で早々と鮮緑色の灰クロム柘榴石やすみれ色の
   「菫泥石」の良品を採集。やがて、東京・Hさんの奥さんが「こんなのがありました」と
   差し出された標本を見て、思わず私は”スゴイ!!”と叫んでしまった。
    一面鮮緑色で、一部には結晶も見える。奥さんは『孔雀石かと思った』とのこと。

   
         灰クロム柘榴石
 【採集:Hさんの奥さん、撮影:滋賀・Oさん】

(3)三ツ岩岳
    「十石峠」を越え、群馬県に入る。新緑が眩しく、ところどころにピンク色の桜が満開で
   鉱物採集でなく、山岳ドライブに来たのかと、錯覚するほど。
    滋賀・Oさんの先導で、無事全15台が産地に到着。

    三ツ岩岳産地

    ここでは、坑道組とズリ組に分かれて、採集を開始する。その前に、まず腹ごしらえ。
    採集を開始して間もなく、愛知・Sさんの奥さんが母岩に「紫水晶」が点在する貴重な
   標本をゲット。昨日の日本式双晶と言いい、S一家絶好調。
    ズリ組の中でも”母岩付き”をねらうグループと分離単晶を狙うグループに別れ
   母岩付きGrの兵庫・Nさんの奥さんが1cmを越えるサイズの付いたものを採集した。
    単晶グループでは、千葉・Yさんの奥さんが、片方が平板、もう一方が松茸の珍しい
   双晶を採集。女性陣、大活躍。

       
        母岩付き双晶          平板+松茸双晶
        三ツ岩岳採集品【採集・撮影:千葉・Yさん一家】

    坑道組の愛知・KAさんと京都・Yさんは、”晶洞(ガマ)”はたくさん開けられるのだが
   双晶を伴わないのばかり、とのことであった。
    採集状況も熱を帯び、この日時間があれば、訪れる予定であった「茂倉沢鉱山」は
   パスし、眼一杯、三ツ岩岳を満喫することにした。
    最後に、ズリの土砂を”土嚢袋”に入れて、引き上げた。

    【”土嚢袋”後日談】
    この産地が2回目で、初回に”土嚢袋”で持ち帰った土砂と格闘し、数々の双晶の
   バリエーションを探し出した兵庫・Nさんの奥さんから、次のようなメールをいただいた。

    『 昨日から採集品の整理にかかっています。さすがに三つ岩岳のものは前回より
     内容が豊富です。また水晶に加え、小さいながら美しい柘榴石と、柱状の緑簾石(?)が
     あったのもあり、(?)については次回鑑定をお願いいたします。』

     (柘榴石は、満バン柘榴石を思わせる”黄褐色”で透明感のあるものだと思います。
      緑簾石が入って、”緑水晶”になっている双晶や透明感の高い単晶に針状の緑簾石
      が入ったものもあるはずです。)

(4)「かじか荘」の夜はふけて
    三ツ岩岳から、下仁田市街を抜け、道の駅「しもにた」で、車を乗り合わせ、上信道
   関越道、北関東道を経て伊勢崎ICでおり、大間々を経て足尾町銀山平に向かう。
    18:30には最後のグループも到着し、慌しく入浴を済ませ、19時から夕食会がスタート。
   食事の後、「大人の時間」で持ち寄った地酒を飲みながら、「採集会」について話し合う。
    次の朝、早いこともあって、21時でお開き。

4.【第3日目】

(1)目指せ「鉛沢」
    皆さん、本命の「鉛沢」に向かうとあって、5時ごろから起きだし、6時には宿を出発する。
   林道を歩き、産地に到着すると、ここでも、女性、中学生のズリ組と男性陣は露頭と
   その近くのズリ組に分かれて採集を開始する。

       
             ズリ                露頭
                   「鉛沢」採集風景

    ズリでは、小さいながら”頭付き”がそこそこ採れ、新潟・Tさんが頭はないものの4cmの綺麗な
   紫水晶を採集し、娘のKさんに『お父さん、ハマッた?』 と冷やかされる微笑ましい光景も
   見られた。
    露頭組は愛知・KAさんの下、愛知・Sさん、京都・Yさん、石川・Yさんが結集し、紫水晶脈を
   追いかけて、母岩付きを採集。その周辺のズリでは、愛知・Kさんが5cmの両錐、千葉・Kさん
   も同じようなサイズを採集。千葉・Yさんは、”不完全燃焼”と言いながらも、4cmの標本を
   シッカリ採集していた。

    鉛沢紫水晶【採集・撮影:千葉・Yさん】

    遠方から参加者は、お昼で引き上げることになり、最終組も15時過ぎに産地を後にした。
   露頭組のKAさんが採集した、紫水晶の群晶は、KAさんからの申し出で急遽オークションを開催し
   東京・Hさんの奥さんが930円で落札した。(何処までも”強運”の奥さんであった。)
        最終組の私たちは、「かじか荘」で入浴し、スッキリして帰宅の途に着いた。

5.おわりに

 (1)5月連休の採集会も4年目を迎え、今回は、長野・群馬・栃木の3県にまたがる広い範囲を
    採集して回った。狭い地方道や高速道路を走っての長距離移動があり、交通事故などを
    心配したが、幸い事故もなく終了することができた。
    (救護係の愛知・Sさんの奥さんの出番は、ほとんどありませんでした。)

 (2)「もう採れないだろう」と言われた産地でも、大勢の眼でさがすと結構あるもので、数々の
    良標本が採集できた。
     この裏には、思いもかけない、地元の方のお力添えがあったことも見逃せない。
    また、「鉛沢」の産地情報をお知らせいただいた方に、厚く御礼申し上げます。

 (3)「かじか荘」での参加者との話し合いで要望があった「黒平」での採集会を以前
    実施したことがありましたが、産地の性格上”当たり外れ”が大きかった。
     女性や子どもなど、誰でもが楽しめる採集会の計画に頭を痛めています。

6.参考文献

1)星野由紀夫:群馬県南牧村三ツ岩岳付近から産出した水晶の
          日本式四連双晶と貫入三連双晶,ペグマタイト第53号,2002年
2)和田維四郎:日本鉱物誌,東京築地活版製造所,明治37年
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