2004年GW鉱物採集会パート2【ダイジェスト版】

2004年GW鉱物採集会パート2【ダイジェスト版】

1.初めに

 恒例のGW採集会に引き続き、パート2として、2003年11月に四国・中国採集旅行でお世話に
なった兵庫・Nさんご夫妻と埼玉、山梨の産地を駆け足で回った。
 埼玉は、「秩父鉱山」、山梨は「向山鉱山」、「黒平」そして「増富鉱山」であった。
 短時間ではあったが、「渦ノ沢の燐灰石巨晶」など、それぞれの産地の代表的な標本を
 採集できた。
 次回の採集会で再会できるのを楽しみにしています。
(2004年5月採集)

2. 「美人の湯」の夜は深けて

   GW採集会の後、湯沼鉱泉で解散し、私の車とNさんの車を連ね甲府の我が家に向かった。
  19時ごろに帰宅。自宅から徒歩5分の「美人の湯・山宮温泉」に行き、汗を流す。
   ここは、アルカリ温泉で、38℃と少し温めの源泉は、ジックリ暖まるに良く
  飲用もでき、看板通り、肌がツルツルになります。
   鉱物ファンにたまらないのは、浴室の壁には、紫・白水晶の群晶をはじめ、貴石が
  埋め込まれていることで、ハンマーとタガネを持参すれば、と考えてしまいます。
   風呂から上がれば、山梨名物の「馬刺し」で乾杯。

       
         山宮温泉            「乾杯!!」
                 「美人の湯」

     GW2日間の採集の疲れが出て、早めにZ z z z z・・・・・・

3. 「秩父鉱山」めぐり

 (1)「雁坂トンネル」を抜けると青空だった
     翌朝、6時前に起き、街中のファミレスで朝食の後、愛知の石友・Kさん親子と
    道の駅「まきおか」で合流。山梨県は、どんよりと曇り、今にも雨が降りだしそう。
    ”晴れ男”としては、厳しい状況に追い込まれる。
    「雁坂トンネル」を抜け、埼玉県に入ると、そこは青空だった。”晴れ男”健在!!
     滝沢ダム建設に伴い、国道140号線から秩父鉱山への道路が新設され、アクセスが
    便利になり、自宅から1時間チョットで到着する。

 (2)山鳥沢の自然金 -Goldhunters-に変身!!
     パンニング皿、フルイを持って、河原に下りる。快晴で自然金探しには絶好の天気

    山鳥沢自然金産地

    私のHPにある”1回で2度楽しい”採集方法を皆さんに伝授する。フルイに残った石から
   自然金を含んでいそうなものを袋に入れる。パンニング皿に残った細かい土砂をパンニングし
   「山金」の分離結晶採集
    皆さん、Goldhunters に変身です。やがて、Kさんが、肉眼でも金色まぶしい自然金付き
   含柘榴石石英塊を採集した。

       
         Nさんご夫妻           Kさん親子
                  Goldhunters

   【山鳥沢の自然金後日談】
    @Kさんは、自宅に持帰った石英塊をジックリ見て、10ケ以上の母岩付き自然金を発見した
     とのメールを頂いた。
    ANさんには、自然金の付いた石英塊、そうでないないもの4つを試験問題として
     お送りしてあった。それに正解してから、持ち帰った石英塊を調べていただこうとの
     目論見であった。その結果、Kさんと同じく、10ケ以上発見したとの嬉しいメールを
     寄せていただいた。

(3)古典的産地・大黒には何もなし
     後ろ髪を引かれる思いで、古典的産地・大黒河原に向かう。
    今回は、大黒坑の下流側で採集するが、”金ッ気”ものしかなく、真っ黒いマンガン系の
    石は、殆んどない。辛うじて、Nさんの奥さんが、自然硫黄のついた標本を採集し、
    皆んなで、そのおこぼれに与った。

(4)石灰沢のベスブ石
     大黒で昼食をとった後、石灰沢に向かう。大黒坑近くの路上に見慣れた車が止まっている。
    ナンバーは、「豊□ △ ○○-○○」、愛知の石友・Hさんのだ!!この近くにいるはずと
    大声で名前を呼ぶと、対岸の沢から返事がし、やがて姿を現わした。「輝安鉱」を探して
    いた、とのこと。
     しばし、歓談の後、われわれ一行は、秩父鉱山(現ニッチツ)の中心部を抜け石灰沢に
    向かう。
     石灰沢では、ベスブ石、灰礬柘榴石、霰石、珪灰石などの標本を全員採集。
     このころになると、空は抜けるような青空となり、記念写真を撮る。

       
         ベスブ露頭にて          橋掛沢近くで
                  石灰沢

(5)渦の沢の燐灰石
     この日最後の採集地となる、渦の沢(ベットノ沢)に向かう。既に私のHPには、”絶産”
    あるいは”採集困難”と何回か書いているが、運の強いNさんの奥さんが行けば、何か
    変わるのではないか、との密かな期待を抱いていた。

    渦の沢記念写真

     思い思いの場所で、ズリ石を叩きはじめる。私は、新鮮な方解石に囲まれた磁鉄鉱の
    良晶を採集し、ついに燐灰石の佳品を採集した。
     すると、Nさんの奥さんが、大きな岩を割れずに苦戦している雰囲気。駆けつけて見ると
    乾電池に比肩できる燐灰石の結晶が姿を現わしている。劈開が強く、完全な形での採集は
    無理と思ったが、できるだけ採集しようと、1.8kgハンマを叩く。何とか、その周辺の標本を
    残らず採集し終えたころ、あたりはすっかり薄暗くなり始めていた。

       
         私の採集品          Nさんの奥さん発見品
                 渦の沢の燐灰石

(6)山梨のお土産お持ち帰りください
     再び雁坂トンネルを抜け、山梨県に戻る。途端に、雨が今にも降りそうな雲行き。
    愛知・Kさん親子と塩山市の入口でお別れし、甲府市の我が家に向かう。その途中
    「地場産業センター」(最近、洒落た名前に変身しましたが、覚え切れていません)に
    立ち寄り、Nさんご夫妻にお持帰りいただく巨大な水晶を見ていただく。大きなものは
    1本が重さ1トンを越えるとあり、記念写真だけ、持って帰って頂いた。

    巨大水晶と記念写真

4. 山梨の産地めぐり

 (1)どこに案内すべきか、それが問題だ

    山梨県の代表的な産地として案内したい場所(コース)はたくさんある。
   @乙女鉱山、水晶峠と無理して京の沢のヂュモルチ石
   A竹森、平澤、鈴庫鉱山
   B黒平、向山鉱山
   C増富鉱山、小尾八幡山
   D流川鉱山、鳳来鉱山、(駒ケ岳鉱山)
   E夜子沢透石膏、上佐野クロム透輝石
   F湯之奥金山博物館と下部川の砂金産地と草間鉱山、妙法鉱山、岩欠の葡萄石
   G塩山市裂石のペグマタイト鉱物と大菩薩峠の褐簾石
   H山梨県東部の大島の灰長石巨晶と初狩の沸石類
   I甲府市周辺にある「鉱物博物館」、「伝統工芸館の鉱物展示」や山梨大学の「水晶館」
   Jマイナーなところとして、「ホッチ峠の饅頭石」
    などなどである。
    しかし、5月末まで林道が閉鎖されアクセスが不便、採集禁止や絶産状態にある、そして
    明日の天気は”雨”の確率が極めて高い、などの理由から、BかIと考えていた。

 (2)”晴れ男”も運のつき
      翌日、目を覚ますと、厚い雲で今にも泣き出しそうな空模様。家を出る頃には
     ポツポツ降ったり止んだり。Bなら、坑道の中もあるので、雨の影響は少ないと考え
     Bのコースを案内させていただくことにする。
      我が家の裏山を登ると、そこは昇仙峡の入口。昇仙峡「覚円坊」をバックに記念写真。

    昇仙峡で記念写真

 (3)向山鉱山「出穴坑」採集
      向山鉱山の「出穴坑」は、江戸時代から昭和20年頃迄、断続的ながら堀継がれた巨大な
     坑道で、ここに案内する。
      しかし、数面の結晶面が見える大きな水晶はあるが、頭付きの水晶は極めて少ない。
     本格的な坑道採集は、初めてと思われるNさんご夫妻にとって、居心地が必ずしも良くない
     ようなので、早々に引き上げる。

    出穴坑内

 (4)黒平で”お初釜”
      その後、黒平に向かい、車から一番近い「竜の平」のガレ場に行く。ここで、ご夫妻は
     自力で、”晶洞(ガマ)”を開ける。これは、”お初釜”とは言いません。

    黒平で”お初釜”?

 (5)増富鉱山でお別れ
     この後、「木賊(とくさ)峠」を越え、増富鉱山に行き、昔の貯鉱場跡で
    「銅藍(コベリン)」のカケラを採集する。
     ここで、4日間ご一緒したNさんご夫妻とお別れした。

5. おわりに

 (1)2004年GW採集会パート2であったが、後半天候にも恵まれず、山梨の鉱物産地の魅力を
    充分堪能していただけなかったのは、心残りです。
    また、ご一緒できるのを楽しみにしています。

6.参考文献

1)石田 高:山梨の奇岩と奇石,山梨日日新聞社,2003年
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