参加者は、関東各都県、新潟、静岡、愛知、兵庫と広範囲で、初参加の人たちも
旧知のように、和気藹々の採集会となった。
晴れ男の”ジンクス”通り(?)2日間とも快晴に恵まれ、新緑の中で、女性や
年配者にはやや厳しいコースではあったが、疲れを忘れさせる”収穫”があった。
初日の小川山では、「エステレル双晶」はじめ、これだけの人数で訪れると色々な
”発見”もあった。
初日の夜は、長野県川上村の湯沼鉱泉で、地元の素材を使った料理に舌鼓を打ち
持ち寄った各地の銘酒を酌み交わし、採集会恒例となった「標本玉手箱」では子ども達の
”ジャンケン”の声が宿に響いた。
今回試みに導入した「オークション」も大盛況で、ベテランのKAさんに言わせると
市価の1/10以下で貴重な標本を入手でき、その売上高は、参加者に還元できた。
2日目は、恒例の「朝飯前の採集」でウオームアップし、甲武信(梓)鉱山で磁鉄鉱
ベスブ石のほかに緑・松茸・巨大水晶を採集し、16時過ぎに全員、無事下山した。
無事帰宅のメールと共に、また参加したいという声が大勢寄せられた。
これも役員の皆様のお力添えと参加者のご協力の賜物と厚く御礼申し上げます。
次回の採集会で皆さんと再会できるのを楽しみにしています。
(2004年5月採集)
(5)伝説の紫水晶があった!!【後日談】
帰宅後、妻が自分の採集品を洗って、お気に入りを窓辺に並べ始めた。5月4日の夜
何気なく眺めてみると、産地では気付かなかったが、間違いなく”紫水晶”だ!!
太陽光の下では、ほとんど透明水晶に見えるが、蛍光灯の下では、紫色が強まり、ほんのり
としたスミレ色である。
「湯沼鉱泉の水晶洞」には、小川山産の紫水晶が展示してあり、社長に採集場所を聞いても
ハッキリせず、”伝説の紫水晶産地”と思い込んでいたが、これで、産出場所も特定できた。
伝説の紫水晶【後日談Part2】
妻は、あのとき隣で愛知・Sさんが”カチン、カチン”やっていたから、紫水晶を採集した筈だ
と言う。
案の定、HPを見たSさんの奥さんから、次のようなメールをいただいた。
『 帰ってからゆっくりと見ていた所、やはりそう(紫水晶)だという結論に達しました。
現場では、もしかしたらと思っていた様ですが、そのときは、はじめての産地で採取するのに
採取場所は、奥様とほぼ隣り合わせだったようです。
忙しかったので、帰ってから良く見ようと思ったとか。
母岩に頭つきが6本ほどついています。でも、ほんとうにほんのりとした紫で、最初は良く
わからなかったほどです。
でも、ホームページを拝見して確信するにいたりました。とても喜んでおります。』
(6)湯沼鉱泉の夜は深けて
15時に下山開始し、17時に金峰山荘に到着し、ここで、OGさんとお別れ。別れ際に「標本玉手箱」
にと、標本を手渡してくれ、謙遜され「要らなかったら、捨てて」とのことであったが
その幾つかは、「オークション」に回るほどの佳品であった。
17:30ごろ今夜の宿「湯沼鉱泉」に到着。
部屋割りと会計担当の兵庫県・Nさん御夫妻が既に到着し、部屋割りを済ませてくれており
懇親会まで時間があるので、初めての人たちは、「水晶洞」や「水芭蕉」を見学する。
@「懇親会」
宴会部長の愛知・H氏の名司会で、19時から25名参加の大懇親会がスタートした。
奈良・Aさんの乾杯の音頭で、キューっと、ビールを飲むと、今日の疲れが吹っ飛ぶ。
岩魚の生造りはじめ地元の食材を生かした料理に舌鼓を打つ。
(しかし、子ども達は、”岩茸”などの珍味は、食べられなかった、とのこと。)
宴たけなわとなり、旧メンバーは近況報告と初めてのメンバは自己紹介。
宴は続き、参加者が持ち寄った、各地の銘酒を酌み交わす。
愛知のHさん、奈良・Aさんから、それぞれも銘酒が差し入れられ、大いに
盛り上がる。
しかし、参加者のお目当ては、次に控えている、「標本玉手箱」と今回試みに導入した
「オークション」で、宴会場はそれらの会場に早変わり。これで、愛知・Hさんは宴会部長の
大役を無事終了。
A「標本玉手箱」
故益富寿之助博士が始められたと同じように、参加者が採集した重品を持ち寄り
欲しい人に無料配布する「標本玉手箱」を今回も開催した。
今回の担当は、千葉・Yさんと茨城・Fさんにお願いした。
欲しい人がジャンケンで優先順を決め、勝った人(あるいは負けた人)から
順番に好きな標本を選びます。
B「オークション」
今回、導入した「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で採用されている
「逆ブービー方式」と呼ばれ、2番目に高い値段を付けた人が、落札する権利を得ます。
これは、悪戯に、価格を引き上げないための配慮です。
オークションの進め方は、次の通りです。
1)オークション品の選定
「標本玉手箱」に提供された標本の中から、鉱物審美眼の高い愛知・KAさんと
兵庫・Nさんの奥さんが15点の標本をオークション向けに宴会の前に選んでくれた。
オークション品は、次の通りである。
No | 鉱物名 | 産地 | 出品者 | 1 | 緑簾石結晶と花崗岩ペグマタイト | 山梨県塩山市 | 山梨・Aさん | 2 | ”レモン”水晶 | 奈良県五代松鉱山 | 奈良・Aさん | 3 | 満バン柘榴石 | 長野県和田峠 | 山梨・Mineralhunters | 4 | ストロンチオ斜方ジョアキン石(奴奈川石) | 新潟県青海町金山谷 | 山梨・Mineralhunters | 5 | ヒスイ輝石 | 富山県朝日町ヒスイ海岸 | 兵庫・Nさんの奥さん | 6〜8 | トパーズ | 岐阜県蛭川村 | 愛知・KDさん | 9 | 長石 | 岐阜県蛭川村 | 愛知・KDさん | 10 | ヒスイ輝石中のジルコン | 岡山県大佐町大佐山 | 兵庫・Nさんの奥さん | 11 | 水晶 | 山梨県乙女鉱山 | 神奈川・OGさん | 12 | 母岩付き紫水晶 | 石川県尾小屋(金平)鉱山 | 奈良・Aさん | 13 | 母岩付きトパーズ | 茨城県高取鉱山 | 神奈川・OGさん | 14 | 水晶巨晶 | 長野県川上村小川山 | 愛知・KAさん | 15 | ヒスイ輝石とキツネ石セット | 新潟県〜富山県ヒスイ海岸 | 兵庫・Nさんの奥さん |
2)オークション品の解説
オークション品を提供した本人から、鉱物名、産地、採集時のエピソードなどを
スピーチしてもらう。
この日、小川山産地の入口で、愛知・KAさんが採集した(偶然拾った?)握りこぶし大の
水晶も、オークションに提供していただいた。
愛知・H氏の「エステレル双晶」にも、「もう既に1つ持っているのだから」と
参加者から、オークション・コールが起こったが、H氏「・・・・・・・」
3)入札
オークション品の前に、入札価格、名前を書いたカードを置く。無闇に高くすると
トップになり、安すぎるとビリで共に権利を失うので、値付けが難しい。
4)開票
1点ずつ開票し、2番目に高い値段をつけた人が落札する権利を持つ。
一人で落札できるのは、1点だけで、複数の標本の落札権利を得た場合、どれかに絞らねば
ならない。選ばれなかった標本は、3番目に高い値段をつけた人が落札する権利を持つ。
一人しか、入札しなかった標本は、入札者が落札し、さらに落札する権利を保有する。
最後に、私の最も古い石友である、愛知・KDさんが持参してくれた岐阜県蛭川村のトパーズ
煙水晶、長石を”阿弥陀クジ”の順番に選び、22時過ぎに、散会となった。
(今回不参加の人の分は、予め、取り分けてありますので、ご安心ください。)
この後、千葉・Oさん一家は千葉まで帰った。
(AM2時近くに帰宅とのメールを戴いた。お父さん、ご苦労様でした。)
部屋に戻ると、今日一日の採集の疲れと酒の酔いもあり、たちまちZzzz・・・・
(2)「朝飯前の採集会」
恒例となっている朝飯前の採集会は、湯沼鉱泉近くの「角閃石入り水晶」に行くことを
前夜散会前に伝えたところ、参加者は神奈川・OZさんだけであった。
小さな産地なので、湯沼鉱泉の社長の産地保護に対する要望もあり、前々回の採集会から
参加者を次の様に限定したため、少ない参加者となった。
@今まで、訪れたことがない人
さらに、採集は、1人数個に限定した。
朝一番の起き抜けで、チョットした丘を登るのも苦しい。産地に着き、数個の標本を
採集し、早々に引き上げる。
2004年4月発行の「地学研究」に報告があるように、既知の鋭錐石、板チタン石のほかに
モナズ石などの産出も知られており、私は採集した「褐鉄鉱」を溶かして見るのが楽しみです。
採集した「角閃石入り水晶」を初参加の新潟・Tさんの娘さんに渡す。
(お父さんは、「行こうと思ったが、前の日の疲れで・・・・・」、とのこと。)
(3)2日目スタートだ!!
埼玉・Aさん親子、群馬県・Tさんの2日目参加組も、続々集合してきた。
(神奈川・K君は、体調不良でドクターストップのため、残念ながら不参加との連絡があった。)
静岡・Mさん一家とは、ここでお別れ。
8時過ぎに、湯沼鉱泉を出発するが、車の台数が多いため、途中のコンビにで
昼食を買うにも込み合うと思い、今回も2グループに分かれて、時間差で出発する。
24名が、甲武信鉱山の登山口に集合すると、流石に壮観だ。
1列になって、登りはじめるが、最初の急坂が苦しい。「年々苦しくなる」のは皆同じ。
長野・Iさん【今回不参加】が下見して報告してくれたように、雪はなく、暖かい日差しを
受けながら、ときには4つんばいになって、登る。
(4)新産地発見!!
緑水晶の坑道前まで、喘ぎながら何とか到着する。初参加の神奈川・OZさんが磁鉄鉱
柘榴石の良品をゲット。そうこうしているところに、埼玉・Aさんが「息子のSが柘榴石の
良品を採集した」とのこと。見せられた母岩には、1cmを超える鉄礬(?)柘榴石が
数個ついた立派なもの。水晶以外に興味がないAさん親子は、「いらない」とのこと。
急遽、産地での「標本玉手箱」となった。
母岩付き柘榴石のほかに、母岩付き緑泥石結晶、柘榴石単晶の追加提供もありも
普段手を挙げない兵庫・Nさんも名乗りを上げるほどの熱の入りよう。玉手箱担当のYさん
この日は、プレス担当をお願いしていたが、急遽「標本玉手箱」担当も兼務していただいた。
(5)ピカピカのベスブ石産地
急な坂を角閃石のズリ、磁鉄鉱のズリと登り、3ステップの仕上げが、ピカピカのベスブ石の
産地である。
落ち葉を掻き分け、母岩付きや分離結晶などを、ピカピカのベスブ石を全員が採集した。
千葉・Yさんの息子・Y君は、1cmを超えるピカピカの単晶を採集したものの、残念ながら
フイルム・ケースに入れるときに、落としてしまった。松茸水晶採集を諦めて、探し続けたが
出てこなかった、とのこと。
(6)松茸水晶ズリ
松茸水晶のズリに取り付き、皆さんここぞと思う場所で、採集を始める。初参加愛知・Sさんが
母岩付きと単晶を採集。今回も、初めての人が良品を採集する”Biginer's Luck”が存在
しました。
(7)川端下水晶坑道・ズリ
後ろ髪を引かれる思いで、松茸水晶産地を後にし、川端下水晶産地に向かう。途中「見晴台」で
甲武信岳に連なる山並みを眺める。
私は、川端下水晶ズリを訪れるのは久しぶりで、産地がうろ覚えになっている。
千葉・Yさんが先行して、産地を探してくれ、全員川端下の水晶産地に到着
坑道内は、徹底的に荒らされており、採集に苦戦。坑道組と坑道外に広がるズリ組に分かれて
採集する。
坑道組では、愛知・Sさんの息子・Y君が、20cmを超える巨晶、坑道外では愛知・Sさんの
奥さんと愛知・Kさんが「両錐松茸水晶」の美品を採集する。
(8)下山
15時過ぎに、来た道を下山する。下りは流石に、楽だ。
下山の途中、松茸ズリでの小休止で、私がやっていた続きで茨城・F君が松茸水晶の5cmを
超える良品を採集した。まだまだ、あるのですね。
埼玉・Aさんが柘榴石を採集した露頭にも立ち寄り、新しい産地での採集を楽しみ、全員無事
下山した。
(9)お別れ
帰宅するグループ、今夜も湯沼鉱泉に宿泊するグループ、それぞれ次回の採集会での再会を
約束して、お別れする。