2004年11月鉱物採集会【ダイジェスト版】

2004年11月鉱物採集会【ダイジェスト版】

1.初めに

 私のHPを見て頂き、産地の情報を提供したり、案内して差し上げた人たちと
採集会を開催するようになって、4年目を迎えた。
 初日は、人気の高い水晶産地を訪ねることにしたが、大勢で採集できる場所は
限られており、各種双晶の産出で知られる小川山とした。
 2日目は”オプショナル・ツアー”方式で、五無斎こと保科百助ゆかりの長野県
佐久町と小県郡をはじめ長野県・群馬県の産地を訪れた。
 参加者は、関東各都県、愛知、石川、滋賀、三重、奈良、兵庫と広範囲で、
延べ39名の参加者は初参加の人たちも旧知のように、和気藹々の採集会となった。
 晴れ男の”ジンクス”通り(?)2日間とも快晴に恵まれ、紅葉の中で、鉱物採集を
堪能した。
 初日の小川山は、女性や年配者にはやや厳しいコースではあったが、滋賀県のNさんが
10cmの水晶単晶を採集するなど、疲れを忘れさせる”収穫”があった。
 初日の夜は、長野県川上村の湯沼鉱泉で、地元産の「松茸」や「尺岩魚」などの
素材をふんだんに使った料理に舌鼓を打った。
 採集会恒例となった「標本玉手箱」と「オークション」も大盛況で、今話題の
「足尾町鉛沢の紫水晶」や稀産の「ネオジムランタン石」なども飛びだし、ものに
よっては市価の10%以下で貴重な標本を入手でき、その売上高は、参加者に還元
された。
 締めは、「鉱物鑑定会」兼「宴会」で兵庫のNさんの奥さん採集の「鈴木石」の
ご開帳となった。
 最後は持ち寄った各地の銘酒を酌み交わし、22時にお開きとなった。
 2日目は、「大日鉱山の灰クロム柘榴石」「沢山湖の沸石」「越戸の玄能石」など
五無斎縁の産地のほか「大深山の日本式双晶」や「三ツ岩岳の日本式双晶」など
いくつかのコースに別れそれぞれ成果があった、との報告を頂いた。
 無事帰宅のメールと共に、また参加したいという声も大勢寄せられた。
 これも役員の皆様のお力添えと参加者のご協力の賜物と厚く御礼申し上げます。
次回の採集会で皆さんと再会できるのを楽しみにしています。
(2004年11月採集)

2.【第1日目】

(1)「金峰山荘」入口に集まれ!!
   初日は、8:00「金峰山荘」入口に集合した。金峰山荘は山梨県側乙女鉱山
  入口近くにもあり、参加者の中にはそちらと勘違いしていた方もあったが、直前に
  確認のメールを頂き、25名全員が時間までに集合できた。
   滋賀県(大学時代は兵庫県)の医師・Tさんなど久しぶりに参加してくれた方や
  定連組のほかに愛知・Kさん夫妻、東京都・Fさん夫妻など初参加組もいる。

(2)早速「標本玉手箱」!?
   この日だけ参加の三重・Mさんが持参した「宮妻峡のトパーズ」「芸濃町の
  灰鉄ザクロ石」「苗木鉱山の褐簾石」や滋賀・Nさん持参の「神岡鉱山の緑鉛鉱」
  などが並べられ、早速「標本玉手箱」となり、宮妻峡のトパーズなどは目聡い人の
  懐に瞬く間に収まってしまった。

(3)小川山の未確認飛行物体残骸を探せ!!
   集合前に、私が湯沼鉱泉に前泊の奈良・Yさんを迎えに行くと、社長の第一声が
  『鉄板を持って来て呉れるのか?』であった。
   何でも、戦時中(1945年ころ)小川山上空で飛行機が爆発、空中分解しその残骸が
  あちこちに散らばっているらしい。それを「湯沼水晶洞」に飾りたいので、持って
  来て欲しいとのことであった。
   従って、今回の私の目的は”小川山の未確認飛行物体残骸を探せ!!”であり
  参加者全員に、鉄板があったら教えて頂くようにした。
   (これが、後にとんでもないことになるとは、神ならぬ身、知る由もなかった。)

(4)小川山へ
   今回の参加者で唯一未成年の名古屋・Sさんの息子・Y君を先頭に、紅葉に染まる
  登山道を1時間近く歩き、そこから、産地に向かう荒れた作業道を進むと何時しか
  踏み分け道となる。
   やがて、緑の絨毯に覆われた産地に到着。片道2時間半の歩きの上、標高が2,000m
  前後あり、初めての方には厳しかったようで、救護係のSさんの奥さんの初出動となった。
  (2年前の愛知県・白鳥山での採集会で苦労した三重・Iさんは、数週間前からこの日に
   備え特訓しただけあり、見違えるほどの元気さであった。)
   途中の転石の水晶に眼を奪われる人も多かったが、そこはパスして、以前の採集場所と
  違ったポイントに案内し、大き目の水晶を採集し始める。
   小川山では、滋賀・NさんとOさんが「エステレル式双晶」(?)を採集したとのメールを
  頂いた。また、今回の目玉であった「紫水晶」も兵庫・Nさんの奥さんが採集した。
   滋賀のTさんのメールには『最後の時間に露頭のガマの中からかわいい水晶を取り出す
  のに夢中になりまして、最後の撤退の時間がうらめしくなるくらい大いに楽しませて
  いただきました。』とあり、ラスト5分に力を発揮できなかったようです。

   皆さんにお願いした。未確認飛行物体の残骸は広い範囲で見つかり、またたくまに7個
  になり、持参した”背負子”に括り付けたが、重さは20kg程度で大したことはないが
  バランスが悪く、背負うと”フラフラ”する有様で、何回か転倒してしまった。
   これが足を引っ張り、いつもなら早いはずの下山も行きと同じ、2時間半かかってしまった。
  

(5)湯沼鉱泉の夜は深けて
   14時に下山開始し、16時30分に金峰山荘に到着し、ここで、初日のみの参加者とお別れ。
   宿泊者14名は、17時過ぎに今夜の宿「湯沼鉱泉」に到着。

  @「懇親会」
   兵庫・延原さんの乾杯の音頭で「懇親会」がスタートした。「地元産松茸の茶碗蒸」に
  はじまり「尺岩魚の生造り」「馬刺し」と信州の味覚のオンパレードでした。
  (宿のおねいさん、食べ残してごめんなさい)

   宴たけなわとなり、旧メンバーは近況報告と初めてのメンバは自己紹介。

   
          メンバー自己紹介と近況報告

   不明飛行物体の残骸のお礼として、ビール、酒、ジュース無料の呑み放題!!
  (でも、これは翌朝会計係の兵庫・Nさんが支払う段階になって判ったことで
   前もって知っていれば、もっと飲んだのに!!・・・・・某氏 )

  A「オークション」
    懇親会の後から、千葉・Oさんと同僚のIDさんも参加し、お待ちかねの「標本玉手箱」が
   スタートした。
    2004年GWの採集会から導入した「オークション」は、私の所属する「鉱物同志会」で
   採用されている「逆ブービー方式」と呼ばれる”2番目”に高い値段を付けた人が落札する
   ルールです。
    これは、悪戯に、価格を引き上げないための配慮です。
   「標本玉手箱」に提供された標本の中から、標本玉手箱係の愛知・Iさんに14点余りを
   オークション向けに宴会の前に選んで頂いた。(1人、1点行き渡る勘定)

No 鉱物(出品)名 産地ほか出品者落札価格
ネオジムランタン石
(ネオジウムランタン石は誤り)
佐賀県肥前町滋賀・Nさん1,200円
まりも入り水晶母岩付き大分県尾平鉱山滋賀・Nさん1,000円
紫水晶石川県遊泉寺鉱山石川・Yさん600円
満バン柘榴石長野県和田峠山梨・Mineralhunters200円
紫水晶セット栃木県鉛沢山梨・Mineralhunters1,100円
紫水晶セット栃木県鉛沢山梨・Mineralhunters950円
紫水晶セット栃木県鉛沢山梨・Mineralhunters800円
方解石メキシコ千葉・Oさん400円
白倉谷記念写真2点滋賀・Oさん撮影滋賀・Oさん1,200円
10「滋賀県鉱物目録」5冊滋賀・Oさん著滋賀・Oさん3,500円
11ハーキマダイヤ2点アメリカ神奈川・Hさん1,600円
12鶏冠石2点群馬県西ノ牧鉱山兵庫・Nさんの奥さん600円
13日本式双晶セット2点群馬県三ツ岩岳兵庫・Nさんの奥さん1,500円

   「ネオジムランタン石」は、私と中学生のY君の競り合いとなったが、Y君が「三ツ岩岳の
   日本式双晶」を選んだため、自動的に私のところに転がり込んだ。皆様のご配慮
   ありがとうございました。

  B「標本玉手箱」
    標本玉手箱には、「宝達山の蛍石」「鉛沢の紫水晶セット」「尾平のマリモ入り水晶」
   はじめ、オークションに入れてもおかしくない逸品が並びました。

    標本玉手箱【虎視眈々と下見】

    今回のルールは、ジャンケンで女性、中学生が1〜5番、男性陣が6〜16番の順番を決め
   1番→16番の順で1点選び、次は16→1番の順で、これを繰り返すと、あっという間に
   玉手箱は終了です。
    ちなみに、私は16番でしたが、「宝達山の蛍石」の良品をゲットしました。
   (それだけ良品が多かった、ということでしょうか)

  C「鉱物鑑定会」兼「飲み会」
   兵庫・Nさんの奥さんが群馬県・茂倉沢鉱山で採集した「鈴木石」などがご開帳でした。
   愛知・KMさん差し入れのお菓子を食べ、石川・Y氏持参の石川の地酒と蛍烏賊の干物
   そして私の沖縄旅行土産の泡盛を酌み交わし、22時にお開きでした。
   (そんな訳で、恒例のはずの「朝飯前の採集会」はお休み・・・・・)

3.【第2日目】

(1)オプショナル・ツアー方式
   今回の採集会では、初日は全員が同じ産地を訪れたが、2日目は、自分の関心のある
  鉱物産地を選択して訪れたり、個人的な都合にあわせた自由度のある”オプショナル・
  ツアー方式”となった。

   それぞれの目的地に向けて湯沼鉱泉を出発前に、記念撮影となった。

    湯沼鉱泉記念写真【滋賀・Oさん撮影】

   主なコースは次の通りであった。
   @五無斎ゆかりの鉱物コース
     大日鉱山の灰クロム柘榴石→沢山湖の中沸石(蛇骨)→越戸の玄能石
     私は、このコースに同行し、途中、愛知・Kさん、神奈川・Mさん、愛知・kzさん
    そして京都・Tさん夫妻と合流した。
   A三ツ岩岳コース
     大日鉱山の灰クロム柘榴石→三ツ岩岳の日本式双晶
     滋賀・NさんとOさんが三ツ岩岳を目指した。
   B甲武信(梓)鉱山貯鉱場コース
     名古屋・Sさん一家とIさんが甲武信貯鉱場を目指したが、川の水量が多く危険なため
    大深山鉱山に変更した。
   C帰宅コース
     兵庫・Nさん夫妻は、初孫誕生間際で、帰宅。

(2)大日鉱山の灰クロム柘榴石
    下見した場所に皆さんを案内し、全員が鮮緑色の灰クロム柘榴石と「菫泥石」は採集
   できたようです。京都・Tさんが「アルチニ石」、神奈川・Mさんが”結晶の見える”
   灰クロム柘榴石をゲットし、『いつもながら、流石』と皆さんを唸らせた。

       
        滋賀・Nさん             愛知・Kzさん
                大日鉱山採集風景

(3)沢山湖の沸石
    沢山湖の手前が崖崩れで通行止めのため、その手前で神奈川・Mさんの案内で
   採集開始。五無斎縁の地元で「蛇骨」と呼ばれる中沸石を探すが、大きな結晶が少なく
   魚眼石、ガイロル沸石、方沸石などが多かった印象です。青色の魚眼石などMさん採集品の
   おこぼれに預かった。
    奈良・Yさんが「これ何ですか?」と持ってきたものは、晶洞に1cm大の結晶のついた
   「方沸石」であった。

    沢山湖採集風景【愛知・Kさんと奈良・Yさん】

(4)越戸の玄能石
    京都・Tさんの案内で全員が母岩付きと単晶が採集できた。私も、母岩付きの
   標本らしい1点のみ採集した。

    玄能石【母岩付き】

(5)その他のコースの成果
   それぞれのコースに参加したメンバーから、採集結果のメールを頂きましたのでご紹介
  致します。

 【三ツ岩岳コース】
   坑道内でOさんが双晶が2、3個ついた群晶を採り、Nさんは兵庫・Nさんの奥さんに
  倣って、ズリの土砂を土嚢袋で持ち帰ったそうですので、しばらく楽しめるはずです。

 【甲武信貯鉱場コース】
   貯鉱場に向かった名古屋・Sさん一家3人とIさんは川の水量が多く、目的地に到達できず
  第2案の大深山鉱山に向かった。そこで、Sさんが「日本式双晶」奥さんが「松茸水晶」そして
  息子のY君とIさんが「黄鉄鉱と水晶」を採集できたとの嬉しいメールを頂きました。

 【帰宅コース】
   兵庫・Nさん夫妻から、”初孫誕生”、とこれまた嬉しいメールがありました。

4.おわりに

 (1)採集会も4年目を迎え、新しい顔ぶれも加わり、2日間たいした怪我もなく、楽しく採集
    でき、参加者の皆様に感謝しています。
 (2)いつもながら、大勢で採集すると誰かが「良品」を採集し、まだまだあるのだと思い
    知らされます。
     私も経験しましたが、鉱物採集を始めて間もない頃は、産地に到達するのに悪戦苦闘し
    その上採集した鉱物が何なのかを同定するのに苦心するのですが、採集会ではそれらが
    ほとんどないないのが魅力かも知れません。
 (3)今回も古くからのメンバーに役割分担をお願いしたところ、快く引き受けていただき
    今までより、円滑に採集会が運営できました。
    献身的な、役員の皆さまとご協力いただいた参加者の皆様に厚く御礼申し上げます。
     次回の採集会でお会いできるのを、楽しみにしています。

5.参考文献

1)草下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1988年
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