2002年5月連休鉱物採集会 -湯沼鉱泉・梓山・川端下-

2002年5月連休鉱物採集会 -湯沼鉱泉・梓山・川端下-

1.初めに

5月連休恒例となった、湯沼鉱泉をベースにした採集会も2年目、第3回を迎え、
関東、中部、関西から最年少の小学2年生をはじめ、老(?)若男女20名に参加していただいた。
初日は小川山、2日目は、これも恒例の朝飯前の湯沼角閃石入り水晶採集に始まり、
梓山(甲武信)鉱山での松茸水晶→ベスブ石、ここで2Grに別れ、第一Grは、いつもの柱石
緑水晶→緑水晶双晶、灰重石コース、第二Grは、川端下の水晶をめざし、
それぞれ目的の標本をゲットでき、参加者全員、大満足でした。
このページでは、1日目の小川山以降と2日目の様子を紹介します。
(2002年4月採集)
採集メンバ【湯沼鉱泉社長を囲んで】
また、湯沼鉱泉では、この冬生まれた「川上犬」と満開の「石楠花」が出迎えてくれました。

    左:川上犬       右:石楠花

2.採集会の鉱物

2.1 湯沼鉱泉水晶洞
小川山から戻ってもまだ陽が沈んでいなかったので、皆で湯沼鉱泉水晶洞を見学した。
今回、日立鉱山のズリで採集した大きな絹雲母を社長に進呈したので、近いうちに
展示していただけると思う。
水晶洞が初めての人もあり、自然のままの晶洞の中の緑水晶双晶や川上村産の鉱物に感嘆の
声をあげていました。
水晶洞見学
湯沼鉱泉の敷地内には、水芭蕉の群生があり、ちょうど満開のシーズンだったので、
記念写真をとった。
湯沼鉱泉水芭蕉前で記念撮影
2.2 湯沼鉱泉の夜
湯沼鉱泉につかって、小川山の疲れをとったあと、夕食となりました。愛知県のKさんの
乾杯の音頭でスータートし、岩魚の活造りなど、地元の食材を生かした湯沼鉱泉自慢の
料理に舌鼓を打った。
初めて参加の人もあり、自己紹介や近況報告で、宴も盛り上がった。
湯沼鉱泉名物岩魚の活造り
(1)不明鉱物鑑定会
採集したが鉱物名のわからない標本を持寄って、鉱物名を特定する、「不明鉱物鑑定会」を
開催した。
2,3件特定できなかったものもあったが、持ち寄った標本の70〜80%は、本人が
考えていた鉱物名に落ち着き、参加者の鑑定眼の進歩が伺えました。
(2)標本玉手箱
今回、北は茨城県、西は兵庫県の方が参加したので、それぞれ採集した標本の重品を持ち寄り、
「標本玉手箱」として、提供していただいた。
それらの多くが、「日本の鉱物」などに掲載されていたり、最近報告された有名産地で
ありながら、遠くて採集に行けない場所だけに、いただいた皆さんは大喜びでした。
鉄電気石・・・・・福島県石川町
白雲母・・・・・・福島県石川町
磁鉄鉱・・・・・・茨城県長谷鉱山
藍銅鉱・・・・・・栃木県小来川鉱山
斜開銅鉱・・・・・栃木県日光鉱山
蛍石・・・・・・・岐阜県平岩鉱山
透輝石・・・・・・岐阜県洞戸鉱山
黄鉄鉱・・・・・・奈良県針道大峠
鉄ばんザクロ石・・愛媛県明石山
ソーダ雲母・・・・兵庫県加保
標本玉手箱風景

3.湯沼の角閃石入り水晶

2日目の早朝、希望者だけ朝5時半に、湯沼角閃石入り水晶を採集に出かけた。
産地が狭く、限られているため、一人数本に限定して採集した。
既報のように、ここの水晶のには、鋭錐石が共生するものがあります。
湯沼の角閃石入り水晶採集風景

4.梓山(甲武信)鉱山の鉱物

朝食の後、長野県のSさんや私の中学の後輩、茨城県のNさんらも加わり、一段と賑やかに
なった一行は、梓山(甲武信)鉱山での松茸水晶→ベスブ石、ここで2手に別れ、
第一Grは、いつもの柱石→緑水晶→緑水晶双晶、灰重石コース、第二Grは、
川端下の水晶をめざした。
今回は、要望の多かった「川端下」をコースに組み込み、既に緑双晶を採集したことがある
人達が川端下に行った。
4.1 松茸水晶
一面開拓地を思わせるズリの思い思いの場所に取り付き、熊手で掘り返したり、
フルイで振るったりしながら、採集した。
ここでは、Tさんが45mmの良品のほかに1ケ、Nさんの娘さんが表面採集で1ケ、
Yさんの息子の”博士”が1ケ、愛知県のKさんが頭だけ1ケ、私が変形松茸含めて3ケと
短時間でしたが、予想以上の成果でした。
ジックリ攻めれば、まだまだたくさんありそうです。
初参加のTさんが採集した松茸水晶は、ミネラル・フェアで実物を見せてもらいましたが、
”両錐”で、大きさも45mmと申し分なく、ご本人は、”ビギナーズ・ラック”と
謙遜されていますが、なかなかのものです。
これも、赤茶けた褐鉄鉱に覆われたものを蓚酸で洗ったら出てきたとのこと、
このの褐鉄鉱の塊は要注意です。

  左:松茸水晶採集風景   右:松茸水晶【採集・撮影:Tさん】
また、ここでは、磁硫鉄鉱を採集したことがあり、今回も錆びてはいるが、磁硫鉄鉱の
大きな結晶に”変形松茸水晶*”が共生する面白い標本も採集した。
*変形松茸:水晶の軸に”陣笠状”の水晶が付着したもの。一種の平行連晶。
4.2 ベスブ石
松茸ズリから、約500m斜め上に行ったベスブ石は、昨年暮れには坑道の中に露頭も残り、
坑の外には、大きな塊が散らかっていましたが、今回行って驚いたことに、露頭は痩せ細り、
坑の外に目ぼしい標本は見当たらなくなっていました。

  左:ベスブ石採集風景   右:ベスブ坑道
4.3 柱石
松茸水晶のズリの上で、用事があって早めに下山する兵庫県のNさん一家と別れ、
奈良のAさん親子、愛知県の歯科医師Yさん、東京のTさんそして私ども夫婦が柱石の
露頭に向かった。
柱石の露頭もやせ細り、むしろズリの方が良品を採集できました。
柱石露頭採集風景
4.4 緑水晶ズリ
この上約100mに緑水晶ズリがあります。先客が1名いました。それぞれ、緑水晶の
両錐単晶や群晶を採集した。
ここから、緑双晶の坑道に向かう途中で、京都のNさん、Yさん一行に出会いました。
彼らは、松茸水晶を探していたようですが、われわれが緑双晶の坑道で採集を始めて
間もなく合流したところから見て、松茸水晶は不調だったようです。
4.5 緑双晶
坑道の外には、緑双晶を含む可能性のある”ガサガサ(空隙が多く、軽い)の水晶群晶”
が置いてあり、ここで、数個緑双晶を発見した。この群晶を手に持ってもらい、
坑道の暗闇でも双晶を含む母岩を探せる感覚を覚えて頂いた。
坑道の中には、吹き込んだ雪が残り、床面は一面氷に覆われていましたが、Yさんが
群晶を運び出し、私が外で選別して、一人数個の双晶を確保した。
4.6 灰重石
緑双晶の坑道の一段上の坑道(昔は繋がっていた)に、灰重石の坑道があります。
坑道の中で、ミネラ・ライトで紫外線を照射し、青白く光る灰重石を含む母岩を
ハンマとタガネで掻き採った。母岩の堅さには、閉口しました。

5.おわりに

(1)5月連休の採集会も2年目を迎え、新しい顔ぶれも加わり、2日間怪我もなく、
楽しく採集できたことを、参加していただいた皆様に感謝いたします。
(2)今回、有力メンバの高橋さんがご家族のお目出度、Mさんがご自身の結婚準備、
医学生のTさんと法学院生のKさんがそれぞれ医師国家試験と司法試験で参加できなかった
のが残念でした。
次回、お会いできるのを楽しみにしています。
(3)川端下グループの採集結果は、ミネラル:フェアで”博士”に採集品を見せて
もらいましたが、20cm前後の、川端下独特の”半分松茸状”の水晶を多数採集
できたので、皆さん満足されたようです。
(4)愛知県の歯科医師Yさんは、この後、大深山に回り、ミニ・ツインを採集したとの
喜びのメールを頂きました。
更に、家族を説得して(丸め込んで?)5月連休の後半にも、心残りの「松茸水晶」に
挑戦したが、ダメだったとのこと。
まだまだ、Yさんを待っている松茸がたくさんありますから、ご安心下さい。
inserted by FC2 system