滋賀県三国岳周辺のペグマタイト鉱物

      滋賀県三国岳周辺のペグマタイト鉱物

1.初めに

  長島乙吉、弘三両氏の「日本希元素鉱物」を読むと、滋賀県高島市(旧高島郡)
 マキノ町の三国岳(876.3m)で、昭和7、8年(1932,3年)ごろ、渡辺秀三郎氏が大きな
 トパーズの結晶を採集された、とある。また、花崗岩の晶洞やペグマタイト脈から水晶
 長石などとともに希元素鉱物が産出するとも書いてあり、訪れる機会を窺っていた。
  そんな折、名古屋の石友・Sさん一家がこの周辺で水晶を採集できる場所を知って
 いると言うので案内していただくことにし、滋賀県鉱物巡検の旅の2日目に訪れた。
  マキノ町と福井県との県境に聳える三国岳の麓で、土取場と思われる場所の 
 のり面と平坦部で、表面採集だけであったが水晶などのペグマタイト鉱物のほか
 希元素鉱物の「モナズ石」 「サマルスキー石」そして「河辺石(?)」を採集することが
 できた。
   新しい産地を案内していただいたSさん一家に、厚く御礼申し上げます。
  この付近には、同じような産状の場所がいくつかありそうなので、ここもジックリと
 訪れるのを楽しみにしている。
 (2005年4月採集)

2. 産地

   滋賀県琵琶湖の北岸、マキノ町にある三国岳は、全山が花崗岩からなり、その麓に
  ある土取場跡が今回訪れた産地です。
   

3. 産状と採集方法

   この一帯は、南の比良山地から北へ続く花崗岩地帯で、造成地、土取場と思われる
  人工的な採掘場所そして自然崩落個所がいくつか見られる。
   これらの表面を見て回り、転石の中から、水晶や希元素鉱物を採集する”表面採集”
  である。
   整地してある場所なので、原形を崩すような採集は控えることにした。

    採集風景

4. 採集鉱物

 (1)水晶【Rock Crystal:SiO2】
    やや、煙がかった、透明な水晶で、表面には真っ黒い”ガマ粘土”がこびりついた
   形で落ちていた。付近に”晶洞”があるはずなので探して見たが、表面には見当らなかった。
    (土砂とともに、ダンプカーで持ち去られたのか・・・・・・・・・・・・・・・・・)
    表面採集なので、頭付きは1個体のみ、ほかに柱面だけだが真っ白い長石を内包
   するインクルージョン入りの”南洋美人”型なども採集できた。

    水晶

 (2)モナズ石【Monazite:NaFe3Al6(BO3)3SiO13(OH)4】
    乳白色水晶(石英)の中に、最長10mmの細長い、”琥珀”を思わせる黄褐色
   樹脂光沢の集合体があり、強い放射能が周囲の石英に”ハロ”を与え、モナズ石を
   取り巻くように煙石英に変化している。
    この”ハロ”に気付いたことが「モナズ石」の採集につながった。

       
           全体                 拡大
            モナズ石【周囲の黒変部は”ハロ”】

 (3)サマルスキー石【Samarskite:(Y,Ce,U,Ca,Fe,Pb,Th)(Nd,Ta,Ti,Sn)2O6】
    水晶の中に、漆黒、樹脂光沢の塊状集合として産出し、その周囲は”ハロ”で
   黒水晶化している。

    サマルスキー石

 (4)河辺石(?)【Kobeite:(Nd,Ta)2O5】
    濃紅色のパーサイト(長石の一種)を伴い、風化し粗鬆質になった長石の上に
   小さな結晶が集合し、放射状で、一本一本は、細長い樹枝状をなして産する。
   このような産状のものとして、河辺石が一番考え易いが、確証はない。

    河辺石(?)

5. おわりに

 (1)「モナズ石」をはじめとする希元素鉱物は、頭もない水晶の”カケラ”のようなものに
   付着しているものを狭い範囲で、数個体採集出来た。
    頭もない、”カケラ”なので、先に訪れた人が見向きもしなかったのが、私にとって
   幸いしたようだ。

 (2)”OK牧場”と呼ぶ、新しい産地を教えていただいたSさん一家に改めて御礼申し
   上げます。

 (3)この付近には、同じような産状の場所がいくつかあるので、ジックリ訪れる日を
   楽しみにしている。

6. 参考文献

 1)長島乙吉、長島弘三:日本希元素鉱物,日本砿物趣味の会,昭和35年
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