2002年5月連休採集会 -小川山の鉱物-









         2002年5月連休採集会 -小川山の鉱物-

1. はじめに

     金峰山の北、小川山には、一面水晶だらけの場所があり、過去何回か採集会で訪れ
    好評を博していたので、2002年5月連休採集会の初日に訪れた。
     関東、関西から最年少の小学2年生をはじめ、老若男女16名が参加し、皆さん水晶
    の多さに度肝を抜かれ、透明度の高い水晶の単晶や群晶を全員が採集できた。
     このほか”逆松茸”や”黄鉄鉱入り”などを採集した人もあり、全員大満足でした。
     ここは、秩父多摩甲斐国立公園にあり、自然破壊になるようなやり方での採集は
    やめてください。
    ( 2002年4月採集 )

        
                             採集メンバ
               【左:Oさん一家   中:Nさん一家  右:Yさん一家 】

2. 産地

    ここは、山梨県の黒森集落の奥にある不動滝を経て登るコースと、長野県側から登る
   コースがある。
    長野県側からのほうが、登山道も整備されており、比較的楽に登れる。川上村梓山か
   ら金峰(きんぽう)山荘を目指し、山荘の入り口のゲートをくぐり、登山道のチェーンの張っ
   てある手前の邪魔にならない位置に駐車する。
    ( 駐車料金 1人300円は、帰りに精算しないとゲートが開かない。 )

    ここから、登山道(幅5mと広い)を歩いて、約40分(3km)行き、登山道と別れて右の
   道を進む。
    この冬は雪が多かったせいか、路傍に残雪があり、小学生たちの格好の遊び場になった。

     
              残雪で遊ぶ小学生トリオ

    左側に露頭が続き、約500mでガレ場がある。ここを横切り、右下に砂防ダムを見て
   このまま進み、沢に下ります。
    この沢を約500m遡行し、直径3m位の大きな岩が沢の真中にある所から、左の涸沢に
   入ります。
    途中の転石や露頭には、水晶がビッチリ付いたものや、晶洞が見られます。

    小休止しているときに、Oさんの奥さんが、転石の晶洞から”逆松茸水晶”を採集した。
   この涸沢を約300m登り、左上に進めば、産地です。

    今回は、この手前のガレ場をよじ登って、産地の末端に取り付いた。金峰山荘からここ
   まで所要時間は、2時間弱です。

     
          ズリを覆う倒木の上を進む一行

3. 産状と採集方法

    ここの水晶は花崗岩や珪質岩の石英脈に胚胎した晶洞にあり、長い間に露頭が崩落
   し、晶洞がむき出しになっていたり、露頭直下の土砂に埋もれている。
    崩落した拳大〜一抱えある岩に、ビッシリ無傷の水晶が付いている母岩付や分離単晶
   を探すのも、面白い。

4. 産出鉱物

 (1) 水晶【Rock Crystal/QUARTZ:SiO2
      透明水晶は、『ハーキマダイヤ』と呼べるくらいに屈折率が高く、しかも透明感があり
     ます。
      ここでの、変種といえば、黄鉄鉱などのインクルージョンを含むものがある。
      今回初参加のTさんが、”黄鉄鉱入り”の良品を採集した。
      平板水晶も頻繁に見つかりますので、「日本式双晶」を発見できる可能性もあります。
      また、白雲母と共生するものがあり、透明感の強い水晶とのコントラストがすばらしい。

         
                          小川山の水晶
                  【左:分離単晶     右:雲母と共生】

 (2) 黄鉄鉱【PYRITE:FeS2
      黄鉄鉱の回りが武石(褐鉄鉱)になり、芯の部分が残ったものが、武石の中や分離
     した単体で採集できる。自然が作り出した芸術品のようなものもある。
      Oさんが大きな黄鉄鉱を採集し、娘さんのSちゃんが黄鉄鉱に闘志を燃やしていた。

         
               左:武石の中の黄鉄鉱       右:オブジェを思わせる黄鉄鉱
                                         【分離単体】

 (3) 武石 【Limonite:不純な水酸化鉄】
      ここでは、黄鉄鉱が酸化して、褐鉄鉱やベンガラ状になって水晶を覆っているものが
     あり、希に自形を残して武石になったものがある。
      中が空洞で、振ると「カラカラ」音がする鳴石状のものを発見することもある。

5. おわりに

 (1) 小川山は、産地の範囲が数百m四方と広大で、手付かずの露頭やズリが沢山残って
    います。
     初めて訪れた人は、余りに水晶が豊富にあるのに驚き、産地に来る途中で拾った水晶
    を皆捨ててしまう程です。

 (2) 片道約2時間の歩きでしたが、最年少の小学2年生が一番元気で、先頭を歩いて
    全員無事帰ってきた。
 (3) 小川山は、分かりにくい産地です。奈良県から参加してくれたAさんは、私のHPを見て
    行ったが、沢を1つ間違えてしまったとのこと。
     最初は経験者に案内してもらった方が無難でしょう。

 (4) この時期、清里に向かって高根町を過ぎると、谷合いに鯉幟が見えます。
    菜の花の黄色、芝桜のラベンダー色とのコントラストが素晴らしく、つい立ち寄ってシャッタ
    を押しました。

      
                高根町の鯉幟
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