落合鉱山は、2006年ごろ探索したのが最初だったが、結局探しだすことはできなかった。
2012年10月、私のHPの愛読者のひとり・Tさんに落合鉱山を案内していただき、その結果を
次のページで報告した。
・ 山梨県落合鉱山のマンガノパンペリー石
( Pumpellyite-(Mn) from Ochiai Mine , Yamanashi Pref. )
それらしき標本を採集したが、これが「マンガノパンペリー石」なのか、同行していただいた
マンガン鉱物に詳しい石友・Mさんにも即断できなかった。そこで、次の2つのルートで鑑定して
いただくことにした。
実は、採集した標本には2種類あった。私が採集した茶褐色の塊状の標本Aと、Mさんが採集
した放射状針状結晶を持つ標本Bだ。標本Bのほうが見た目あきらかに「マンガノパンペリー石」
らしかったが一個体しかなかった。
@ 10月に開催する秋のミネラル・ウオッチングの参加者のルートで鑑定依頼(標本A)
秋のミネラル・ウオッチングの後、小割りした標本BがMさんから送られてきた。そこで、
A 12月の池袋ショーで加藤先生に直接鑑定依頼(標本B)
Aの結果については次のページで報告したように、加藤先生に会えずじまいだったが、国内
外の何人かのディーラーや居合わせたミネラル・ファンから、”肯定的”な鑑定結果をいただき、
決着がついた、と思っていた。
2013年の年が明け、滋賀の石友・Oさんから、「 例の標本(標本A)を加藤先生に見てもら
標本Aに似た産状の標本を山梨県内で採集したことがあるがこれは何なんだろうか。さらに
産地を案内していただいた石友・Tさん、そして鑑定仲介の労をとっていただいた石友・Oさ
崩落した坑道跡とズリが見られ、鉱石は点々と散らばって見られる。
・ 加藤博士のマンガン鉱物読本には、『一見紅簾石に類似し、それより色が淡く、条痕色
採集した標本AとMさんから恵送いただいた標本Bを比較jして示す。
『 ・・・・・昨日、益富地学会館の新春交流会で加藤昭先生にお会いしたので、ご依頼
”人間X線(解析装置のこと?)”といわれる加藤先生の鑑定ですので、お墨付きを
(2) 産地再訪
標本Aが『マンガノパンペリー石に間違いない。しかも”富鉱体”だ』、と加藤先生のお墨
産地は雪に覆われていると思うので、春の兆しとともに訪れ、今でも採集可能なことを
(3) 後日談”ipad”
ある日、未だかつて見たことがない”運勢”を見てみると、「金銭運」は、追徴税で悩む
その対応策は、”不用品を売れ”、とある。不用品の筆頭として思いついたのが”ipad”だ。
情報端末も価格破壊が進み、1万円台のものが発売されるとあり、思いついたが吉日と
落札することはたびたびあるが、出品は初めてで、品物を発送し、落札者から「非常に
この手は、不用品の処分に活用できそうだ。
( 21st Tokyo Mineral Show , Dec. 2012 , Tokyo )
ったら、『マンガノパンペリー石に間違いない。しかも”富鉱体”だ』、との鑑定結果だった」 、と
メールで知らせてくれた。
一番それらしい標本Bは何なのだろうか。6月のミネラル・マーケットで加藤先生に直接鑑定
をお願いするしかなさそうだ。
んに、厚く御礼申し上げる。
( 2013年1月 編集 )
2. 産地
落合鉱山は、南アルプス市(旧甲西町)の山中にあり、Tさんに案内していだいた場所なの
で、詳細は割愛させていただく。
落合鉱山坑道跡
3. 産状と採集方法
点々と落ちている真っ黒いマンガン鉱石を探し、ハンマーで割って新鮮な部分を採集する。
4. 産出鉱物
(1) マンガノパンペリー石【Pumpellyite-(Mn2+):Ca8(Mn,Mg)4(Al,Mn)8Si12(O,OH)56】
この鉱物の特徴は、次のように、素人目には、ほかの鉱物との区別がつきにくく、鑑定が
難しい代物である。
も淡い。パンペリー石族鉱物としては結晶に粘りがなく、硬度の割には容易に針でほじ
くることができる』 とある。
・ 宮島先生の「日本の新鉱物」に掲載された写真を見ると、「菱マンガン鉱」に似たような
色合いである。
マンガノパンペリー石 マンガノパンペリー石
【加藤先生鑑定品】 【推定品】
5.おわりに
(1) 加藤先生鑑定記
滋賀の石友・Oさんから、加藤先生に件の石の鑑定をお願いした時の模様をメール頂い
たので、掲載させていただく。
の落合鉱山の「マンガンペノパリー石?」を鑑定していただきました。
先生はひと目見るなり、「これはマンガノペンパリー石です。」、とおっしゃいました。
重ねて、「どのあたりがそうですか?」とお尋ねすると、「全部そうです、これは富鉱
体(帯?)ですね。」とおっしゃいました。
いただけたものと思います。・・・・・・・・ 』
石友・Mさんから標本Bを送っていただいた時点で、標本Aは違うだろうと思った。単身赴
任先の部屋を年末に片づけた際に、標本Aを”瓦礫(がれき)として処分してしまった。
付きを頂いても、手持ち標本がない状態だ。
確認できれば、”月遅れGWミネラル・ウオッチング”のコースに組み入れてみようと思って
いる。
2012年末の忘年会のくじ引きで、”ipad”を引き当てたのは既報の通りだ。この種の情報
端末を頻繁に使う必要性も感じていないので、”未開封”のまま、年をこした。
私の立場をズバリと当てている。
ある日の運勢
早速”ヤフオク”に出品してみた。
出品結果
良い」、との評価をいただき、”ホッ”とした。
6. 参考文献
1) 工業技術院地質調査所:日本鉱産誌(BI-C),東京地学協会,昭和29年
2) 吉村 豊文:日本のマンガン鉱床補遺 後編,吉村豊文教授記念事業会,昭和44年
3) 平井 進:山梨県増穂鉱山・落合鉱山,鉱物情報,1984年
4) 加藤 昭:マンガン鉱物読本,関東鉱物同好会,1998年
5) 松原 聰:日本産鉱物種,鉱物情報,1992年
6) 宮島 宏:日本の新鉱物,フォッサマグナミュージアム,2000年