ハワイ・オアフ島のオリビン(かんらん石)











     ハワイ・オアフ島のオリビン(かんらん石)

1. はじめに

  ハワイ・オアフ島でのオリビン採集のきっかけは、2004年の大晦日、私の実家に
 家族が集合したとき、長男が「俺、結婚する。式はハワイで9月19日に決めたから」と
 言い出したことに始まる。
  私たち夫婦は無論、家族のだれもが相手のお嬢さんがどのような人なのかも知らず
 正月早々目出度さ半分、戸惑い半分、というのが正直のところであった。
  年明け早々、お嬢さんが挨拶に見え、今時珍しいおしとやかな人でまずは、一安心
 御両親に挨拶に伺い、そのお人柄にふれ、さらに安心した。
  9ケ月先、と思っていたのが、半年先、3ケ月先、お盆を過ぎると「来月だ!!」となり
 足元から、鳥が飛び立つ慌しさになった。
  奈良の石友・Yさんが、2004年の採集会に参加したとき、高齢の母を連れてハワイ
 旅行に行ってきたと話してくれた。そのとき、『お墓に、布団は被せられない』としみじみ
 語っていたのに心を打たれた。そこで、ハワイでの結婚式には、私の母(80歳)をはじめ
 家族全員が参加することになった。
  当初、ハワイ島1日観光も計画し、オリビンをシッカリ採集する予定だったが、仕事が
 忙しい次男、3男の要望で、結婚式に出たらすぐ帰るという、慌しい日程で、ハワイ島の
 オリビン採集はお預けになってしまい、オアフ島だけでの採集となった。
  清水の舞台から飛び降りる覚悟で、リムジンを貸切って、オアフ島一周のオプショナル・
 ツアーを組んだ。運転手にオリビンの産地を聞いても、「オアフ島にはなくハワイ島だ」の
 答えしか返らず、途中で入った(連れて行かれた?)珊瑚を主とする宝飾店にオリビンを
 含む、こぶし大の溶岩が置いてあったが、「売り物ではない」 とのすげない答えで
 結局鉱物採集はできなかった。

       
       リムジンで一周        玄武岩質溶岩中のオリビン
                            【Not for Sale】
              オアフ島鉱物採集の旅

  残るは、”現金採集”の一手と、帰国の前日、両替店でオリビンを売っている店を聞くと
 『 International Market にあるかも知れない』というので訪れた。Gemの屋台(?)が軒を
 連ね、バレル研磨した小粒のオリビンに穴を明け、ネックレスにしたものはアチコチで
 売っていたが、原石は売っていなかった。
  ”万事休す”か、と思ったとき、「死海の塩」を売っている店に、手足を擦る軽石に整形した
 溶岩が籠の中に積んであるのが眼に止まった。表面をよく見ると、小さなオリビンが
 付いたものが1つだけあり、迷わず購入した。
  ハワイ島・オアフ島の鉱物はこの1点だけだったが、思い出に残る1点です。
 (2005年9月採集)

2. 産地

2.1 ハナウマ湾
    国内で調べた範囲では、オアフ島でオリビンが採れそうな場所は、ハナウマ湾周辺の
   湾に黒い砂が溜まってりる場所があり、そこに粒は小さいオリビンがあるとのことであった。
    しかし、ハナウマ湾は、海の美しさでは、オアフ島No1で、白い珊瑚の砕けた砂がある
   だけで、真っ黒い砂は1粒も見当たらない。
    この近くの「潮吹き岩」はじめ周辺は、茶色〜黒色の溶岩なので期待したが、肉眼で
   見えるオリビンはなく、ところどころ、真っ白い方解石(?)が脈状に走っているだけで
   あった。

       
         ハナウマ湾             潮吹き岩

  2.2 ダイヤモンドヘッド
    オリビンが置いてあった宝飾店の売り子のオバサンは、昔ダイヤモンド・ヘッドで採れた
   と言っていたが、眉唾なので、ダイヤモンド・ヘッドは結婚式が終わってから、双胴船
   (タカマラン)に乗って海から眺めただけであった。
    少し沖合いに出ると、風の力だけで帆走し、飛魚や大きな亀にも出会い、普段は見ることが
   できない海からのワイキキの海辺の景色を堪能し、キャプテンと岸の受付嬢にはチップを
   弾んでしまった。
    ちなみに、ダイヤモンド・ヘッドの名前は、昔スペイン船の船乗りが溶岩の間に”キラキラ”
   輝く方解石をダイヤモンドだ、と誤認して、しばらく騒ぎになったことに由来するらしい。

     
         ダイヤモンド・ヘッド
         【海上からの眺め】

3. 採集鉱物
   残るは、”現金採集”の一手と、帰国の前日、両替店でオリビンを売っている店を聞くと
  アリゾナ産がほとんどだと言う。それでも、『 International Market にあるかも知れない』 と
  いうので訪れた。
   磨いて装身具にしたGemの屋台(?)が軒を連ね、バレル研磨した小粒のオリビンに穴を明け
  ネックレスにしたものはアチコチで売っていたが、原石は見当たらなかった。
   ”万事休す”か、と思ったとき、「死海の塩」を売っている店先に、手足を擦る軽石に整形した
  溶岩が籠の中に積んであるのが眼に止まった。売り子が「死海の塩」の効能をまくし立て
  手につけてみろと言うので、言われたとおりやっていたが眼は、軽石を追っていた。

    
      「死海の塩」の売り子と
          軽石を手に 

    10ケほどあった軽石を全部手にとって、つらつら眺めてみると、小さなオリビンが付いた
   ものが1つだけあり、値段を聞くと、「10ドル(1,100円)」とのこと。高いとは思いながらも
   購入した。

 (1)オリビン(かんらん石)【Olivine:Mg2SiO4】
    ハワイのオリビンは玄武岩質溶岩の斑晶として産出する。溶岩が風化して、抜け落ちた
   結晶が波に洗われて丸みを帯び、比重が3.2と重いことから海岸に堆積している場所もある
   らしい。

       
         母岩の軽石              オリビン
                  現金採集品

4. おわりに

 (1)海外での鉱物採集の難しさ
     今回のハワイ・オアフ島に限らず、海外での鉱物採集が難しい理由には、2つある
    @情報が少ない
      出発前に、千葉の石友・Mさんから、ハワイでの鉱物産地情報のHPを教えていただいた
     が、国内で得られる海外の産地情報は極めて少ない。
      現地で、「電話帳」をめくって、”Mineral"、"Rock"、"Stone"などのページを見ても
     ”建築用の砂利屋”があるくらいで、鉱物関係の店は、全く載っていなかった。地元の人に
     "Peridote"と聞いてもわからず”Olivine from Volcano"と説明してようやく分かる人が
     10人に1人くらいで、何処で採れるかを知っている人は皆無であった。
    Aアクセスの悪さ
      鉱物が採集できるような場所は公共交通機関が通っていず、レンタカーを借りようかとも
     考えたが、左ハンドルで右側通行で安全運転が出来るか考えると躊躇してしまう。
     ( 長期のアメリカ出張では、車を運転していたので、出来ないことはないのだが・・・・)

 (2)" Roadside Geology of Hawaii "
    島内一周の旅の後半に、真珠湾(パール・ハーバー)を訪れた。一通り展示品を
   見たが、一方的にアメリカの正当性だけを主張しているような印象で早々に切り上げた。
    土産物売店の一角に図書を販売するコーナーがあり、場違いとも思われる地学に
   関する図書を売っていたので早速2冊購入した。

    @ Roadside Geology of Hawaii   20ドル+税

      
             表紙

       さしずめ「日曜の地学 ハワイ編」とでもいうべきもので、ハワイ諸島の地質や
      産出鉱物を詳細に記述してある。火山に主力が置かれているのは、致し方ない。
      この本にオリビンの産地として載っているのはハワイ島、カウアイ島、マウイ島だけ
      である。
       地図や写真つきで産地が紹介されているので、次回役に立ちそうです。
    ABirth by Fire 15ドル+税
       ハワイ諸島の火山ガイド

 (3)♪♪ この〜木 何の木 ♪♪ 
     今回の旅で、訪れて見たかった場所の1つが、某製作所のCMソングにある
    「この〜木 何の木」 があるモアナウラ・ガーデン・パークであった。

       
      この〜木 何の木          見たこともない花

 (4)ハワイ雑感
     今回、結婚式がメインであったが、新婦の父は”バージンロード”を歩くなど何かと
    大変そうであったが、新郎の父は気が楽。

      
     正装のアロハを着た両家親族で
            記念写真

     昼間のハワイは、太陽がさんさんと輝き、健康的な街だとの第一印象だったが
    夜が更けると街の”顔”が一変し、怪しげな店や際どい服装の女達が街角を賑わして
    いた。
     3年前の9.11以来、アメリカ入国審査が厳しくなり、われわれ観光客でも長蛇の列で
    あった。指紋、顔写真を撮られ、そして入国審査官とのコミュニケーションを問われる
    と説明があり、英語が不得手な母はどうなるかと心配だった。現に、場内アナウンスで
    日本語通訳が呼ばれる場面もあった。しかし、79歳以上はフリーパスで、しかも審査官は
    流暢な日本語で母に『バアちゃん』と話し掛けるなど、全く問題なく入国でき、杞憂に
    終わった。
     ハワイでの食事は、ハワイ風、アメリカ風日本料理、メキシコ料理と味わったが、母や
    妻は 「やはり、日本国内で食べる食事が一番」との結論であった。仕事で海外出張
    していたときには帰国しての味噌汁が美味しいと思ったことはなかったが、今回は
    しみじみ美味しかった。それだけ、歳をとったということか。

5. 参考文献

 1)地球の歩き方編集室:ハワイT オアフ島 2004〜2005年版
                 ダイヤモンド・ビッグ社,2004年
 2)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1994年
 3)R.W Hazlett & D.W Hyndman:Roadside Geology of Hawaii
                     Mountain Press Publishing Co. ,1996年
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