ミネラル・ウオッチングと家庭農園

          ミネラル・ウオッチングと家庭農園

1. 初めに

   一緒にミネラル・ウオッチングに行くことが多い石友・小Yさんとある産地を訪れたとき
  「 ミネラル・ウオッチングにスイカやサツマイモを持参するのはMineralhuntersくらいの
   ものでしょう 」、と言われた。

   夏のミネラル・ウオッチングには、家庭農園でとれたスイカを持参し、行きしなに沢水
  に浸けて冷やしておき、帰りしなに持参したナイフで切り分け、塩を降りかけて食べれば
  塩分・水分補給と疲労回復効果がある。

   ・長野県南木曽町田立(ただち)のアマゾナイト(微斜長石)
    ( Amazonite(MICROCLINE) from Tadachi , Nagiso Town , Nagano Pref. )

   冬のミネラル・ウオッチングでは、産地に到着すると火を焚き、持参したサツマイモを
  灰の中に入れておくと、昼過ぎには”ホクホク”の焼き芋になり、焚き火にあたりながら
  これを食べれば身体が内、外から温まる。

   ・長野県川上村御所平穴沢の電気石 その3
    ( DRAVITE from Anazawa - Part 3 -, Gosyodaira , Kawakami Village
     Nagano Pref. )

   これからの本格的なミネラル・ウオッチングに備え、家庭農園で育てているスイカ、サ
  ツマイモなどの作物を紹介したい。

   先日、千葉の石友・Mさんから、「 山梨県安都那の普通輝石で更新800回です 」、と
  教えていただいた。1998年3月にHPを開設以来、11年あまりになるから、年平均70回
  (≒平均5日に1回)のペースで更新したことになる。
   このページを読まれて、「 Mineralhuntersも”ネタ” に窮したか」、と言う勿れ(なかれ)
  かの保科五無斎も「よいかゝをほしな百首け」の100首目は

   『 其百 どうしても無いと言ふなら思うかな。 森羅万象かゝにほしなと 』

   と詠んだほどで、『 晴(耕)雨読 』の生活では、身の回りのすべて(森羅万象)が
  ”ネタ”になる。
   ( 2009年7月 作成 )
  

2. 農園の場所・規模

   自宅から1km弱の距離がある。鍬などの農具と肥料や苗などを車に積んでいくことが
  多い。最近、手入れが一段落し、収穫だけ目的で行くことが多いので、「疾風」の散歩を
  兼ねて歩いて行くが、15分程度だ。

   畑の形は、二等辺三角形で、頂点が北になっている。東は空き地、西は田んぼ、南は
  畑に囲まれている。広さは、底辺が15m、高さが20m、したがって面積Sは、S = (15×
  20)/2 = 150m2 ≒ 50坪 ≒ 5畝(せ) となる。
   私の中では、30m2 ≒10坪までを「家庭菜園」と呼ぶことにしている。その5倍の広さが
  あるので「家庭農園」、と称している訳だ。
  ( 空き地は耕しても良いのだが、これが素人が維持・管理できる広さの限界 )

   2007年4月、私が茨城県ひたちなか市の単身赴任先から戻ると、妻が「 農園が借り
  られた」、言う。現地を見てみると、ここは、もともとは水田だったらしい。その後、宅地に
  転用され、その家も取り壊されて跡形もなかった。私が、借りることになったときには、
  残土が運び込まれ、高さ1mあまりの小山をなしていて、附近の人たちもここが畑になる
  とは、予想もしていなかったようだ。
   4月初めから、文字通り”開墾”した。小山を崩しながら、掘り出した大小の石をバケツ
  に入れて畑の外に運び出した。畑に生えていた雑草、潅木は根っこから掘り、枯れると
  焼いて木灰にして畑に鋤きこんだ。平らになり、畑らしくなったのは4月末だった。

    開墾が一段落【2007年4月末】

   荒れた土地なので、「ジャガイモ」が適しているだろと種芋を植えた。7月末に掘り出す
  と、思いもかけぬ大収穫で、中に奈良の石友・Yさんが大好きな”スヌーピィ”がいたので
  記念に”パチリ”
   5月のGWに植えたスイカには、大きな実がたくさんなり、大きなものは7kgもあった。

      
        ジャガイモ・銘「スヌーピィ」                スイカ
                         2007年夏の収穫

   この頃になると、南隣の畑のおばあさんは、「見違えるような綺麗な畑になりましたネ」
  と褒めてくれる。西隣の、田んぼを持っているプロの方も「朝早くから熱心だね」、とプロ
  より2時間も早く畑にいる素人に驚いている様子だった。

   しかし、2008年は、年初めから千葉県に単身赴任したため、畑も荒れ放題で、2009年
  3月末に戻ったときは、開墾当時と変わらぬほどだった。
   4月初めから、ミネラル・ウオッチングも我慢して、朝5時から午前中、延べ10日余り畑を
  耕し、少しずつ種まき、苗を植え何とか見られるようになったのは5月初めだった。

3. 栽培している野菜

   現在、夏野菜を中心に栽培し、畑に空きスペースが全くない状態だ。それらの生育・
  収穫状況をご紹介したい。

No  品    名      写          真        説       明 
1ジャガイモ  関東地方では、ジャガイモの種芋を
植えるのは、春のお彼岸が目安に
なっているようだ。
 山梨に転勤して間もなく、彼岸ごろに植え
芽が出て喜んでいたら、遅霜がおり
せっかく出た芽が凍死してしまった事が
あった。
 甲府盆地の田植えは6月で関東地方より
1ケ月遅いことに気づき、5月GWに種芋を
植えてみた。
 他の畑が病気に罹っても、私のところは
スクスク育って大収穫だった。以来、この
蒔き時を守っている。
 2009年、ジャガイモの周りの雑草を抜いて
いると、花の後に”ジャガイモの実”がついて
いる株があった。

 『 何か良いことある如し 』

 収穫は、8月お盆前になりそうだ。
妻の実家、3人の息子夫婦のところに
タップリ送れそうだ。

2トマト      トマトは病気に罹りやすく栽培が
難しい野菜の1つだ。
 農薬を全く使わないので、病気に
罹った苗は、泣く泣く引き抜くしか
対処する術がない。

 「トマトが8段成らせられれば一人前」と
言われているようだが、既に8段になり
10段は超えそうだ。
 7月10日、完熟した3ケを初めて収穫

 段:トマトが成る枝のこと

3葱(ねぎ)  葱(ねぎ)は、すき焼きや湯豆腐など
冬の料理のメインの野菜としてまた薬味
として使い道が多い。
 自分の畑の葱の花から種を採り
晩秋に蒔き、翌春育った苗を植える。
 もう何年も自分の畑で採った種を
使っている。

 ジャガイモ畑の左下にある葱が
2010年用の種を採ったあとの
ものだ。

4トウモロコシ  茹でたてのトウモロコシに
塩をふってかぶりついたのが子どもの
ころの夏の楽しい思い出の1つだ。

 妻に「そんなに作っても食べる人がいない」
と言われても、ついつい作ってしまう。

 トウモロコシは、”肥料食い”、といわれる
ようで、元肥、追肥を切らさないようにしないと
歯抜けになってしまう。

5サトイモ      畑はもともと田んぼだったので水はけが
良くない箇所がある。
 それなら、水を好むサトイモを植えてみようと
2009年初めて種芋を植えた。
 これから、株が大きくなってくれれば
秋には、けんちん汁やイカとの煮っ転がし
が味わえそうだ。

 甲府盆地には「八幡芋」というサトイモの
ブランド品があるのだが、まだ全国区になって
いないようだ。

6谷中ショウガ  まだ若い谷中ショウガに味噌をつけて
食べると、辛さと香りが口腔に広がり
夏負け知らずだ。
 ビールのつまみに週3回は食べるので
自分で作ってみようと数年前から始めた。

 今年のは、少し元気がないがもともと
熱帯の植物なので、これから暑くなって
くれば青々と茂るはずだ。

 秋口に採った「根ショウガ」を自家製の
梅酢に漬けたものも、食が進む。

7茄子  ナスは病気にも強く、最も作りやすい
野菜の1つだ。

 古謡に

『 親の意見となすびの花は、
  千にひとつの無駄もない♪♪』

とあるように、実の付きも良い。

8白ゴマ      妻のリクエストで2009年、初めて作ってみた。
発芽させるのが難しいと園芸書にあり、”秘術”を
尽くしたが、部分的に芽を出さないところができて
しまった。

 これから、倒れないようにすることと
刈り入れのタイミングが難しい。

9茗荷(ミョウガ)

 茗荷の子は、夏7月ごろにでるものと
秋9月ごろにでる「秋茗荷」がある。
 これはどうやら「秋茗荷」らしく、
真夏に食べる冷やしうどんや冷奴
などの薬味には間に合わない。

 「秋茗荷」は自家製の梅酢に漬けて
食べるがこれがなかなか乙な味

 芽が出て間もない茎を引き抜き
根っこの部分に味噌をつけて食べる。
 店に売っていないものが食べられるのも
「家庭農園」ならでは

10ピーマン
シシトウガラシ

 ピーマンは、緑野菜の代表で
肉詰めや中華風の料理に欠かせない。
 2人家族なので2株もあれば充分なの
だが、茎が非常に折れやすく、茎を虫に
食われると枯れてしまうこともあるので、
安全を考え4株植えた。
 シシトウガラシは、ピーマンの細長い
ものだが、唐辛子の1種で少し辛い。

 火であぶったり、油で炒めたりすると
夏負け知らずだ。

11アスパラガス

 アスパラガスは、春先伸びてきた
新芽を食べる。
 芽を採らなかった茎が葉を茂らせ
来春新芽をたくさん出すように地下茎を
太らせる。

 秋には、小さな赤い実がたくさんつき
それがこぼれ落ちて、小さな苗ができる。

12ズッキーニ

 ズッキーニは、胡瓜(キュウリ)のような
細長い瓜(うり)のようで日本ではなじみが
薄い野菜だった。
 しかし、ここ数年、「道の駅」などでも見かける
ほどポピュラーになりつつある。

 何回か作っているのだが、収穫できた
験しがない。
 そこそこ大きくなった実が腐ってしまうのだ。

  今年も、何だかダメそうだ。

13ゴーヤ(ニガウリ)    

 独特の苦味があり、一度食べて病みつきに
なってしまった。
 こんな細いつるに、よくあれだけ大きな実が
成るものだと感心してしまう。

 これも、毎年家庭農園で採った種を蒔いて
苗を育てている。

14加賀太キュウリ

 2005年、俳優・佐藤浩一さんが縁側で
加賀太キュウリをかじるビールのCMが
あった。
 その夏、石川の石友・Yさんの案内で
小松市周辺のミネラル・ウオッチングを
開催した。
 解散後、Yさんに案内してもらい、加賀
太キュウリの苗を求めて市内の園芸店を
いくつか回ったが時期を過ぎていて置いて
なかった。

 このことをYさんが覚えていてくれ、
翌2006年春、苗を送ってくれ、これから
種を採った。
 翌2007年、何本か採れ食卓にのぼった。
独特の苦味があり、地元では生では
食べない、という理由が分かった。

 種の箱を見ると2007年に採種したものが
あったので蒔いてみたら発芽してここまで育った。
 普通のキュウリの5倍はある、大きなキュウリが
成るのが楽しみだ。

15スイカ

 夏のミネラル・ウオッチングにもって行くと
好評なのがスイカだ。
 行きしなに沢水に浸けて冷やしておき、
帰りしなに持参したナイフで切り分け
塩を降りかけて食べれば、塩分・水分補給
と疲労回復効果がある。

 まん丸で縞模様の日本種の苗がなくて
真っ黒い「?」とラグビーボールのような
「マダーボール」種を植えた。
 8月初めには収穫が始まるのだが
半数はカラスかハトに食べられてしまう。

16サツマイモ

 冬のミネラル・ウオッチングでは、産地に
到着すると火を焚き、持参したサツマイモを
灰の中に入れておくと、昼過ぎには”ホクホク”の
焼き芋になり、焚き火にあたりながら
これを食べれば身体が内、外から温まる。

 東京に住んでいたころ、苗を植えてツルが
勢い良く茂ったので、大収穫を期待していたら
割り箸のようなのが成っただけだった。
 これを俗に”ツルボケ”というらしい。つまり
ツルの途中から根を出し、根元の地下茎が
太れない現象だ。
 これを防ぐため、ツルを時々ひっくり返して
やる作業が必要だと後で知った。
 2008年、大きな芋がたくさんとれたので
2009年は、苗の数を45本に増やしてみた。

4. おわりに

 4.1 「晴鉱(耕)雨読」
      農学士・奈良の石友・Yさんと違い、趣味で家庭農園をやっている私にとって市販
     の園芸書が教師だ。写真の本は、東京に住んでいたころ購入したもので、繰り返し
     繰り返し読んで、表紙もヨレヨレになっている。

        「野菜作り12カ月」表紙

      この本を読んで、単に作物を作る上での知識だけでなく、仕事の上で、あるいは
     処世の参考になったことがいくつかあった。

  (1) 元三井不動産会長・江戸 英雄氏との出会い
       出会いと言っても直接お目にかかったわけではない。この本の中で江戸氏が
      「家庭菜園のすすめ」という記事を氏の農作業姿の写真を交えて2ページにわた
      って掲載している。
       氏が、私と同じ茨城県の出身であることも知り、その後氏の書いたものを意識し
      て読むことが増えた。

      氏が、「サラリーマンは借家を持て」、と書いた記事が今でも鮮明に記憶に残って
     いる。「宮仕えの身、正しいと信じる意見でも、首になったら、左遷されたら、と考え
     ると上司に逆らえないだろう。借家があれば、妻子を路頭に迷わせることがない、と
     思えば自信を持って意見が言えるだろう」、というものだった。

      安サラリーの身、借家は思いも及ばないが、せめて住宅ローンだけは早く返して
     身軽になっていたいと思ったし、どこでも通用する技術士の資格を取ったのも、氏の
     影響が少なくない。

  (2) 農事の故事、ことわざ
       この本のコラムに古くから日本に伝えられている、農事ことわざが載せてある。
      上で紹介した、「 親の意見と、・・・・ 」もその1つだ。

       「ニンジン作りに水切らすな」など、農作業そのものを述べているものも多いが
      次の1首は、農作業の基本・草むしりになぞらえているが、仕事全般に当てはま
      ると思い、仕事での座右の銘の1つにしている。

       『 上農(じょうのう)は 草を見ずして草をとり
         中農(ちゅうのう)は 草を見て草をとり
         下農(かのう)は 草を見て草をとらず   』

       例えば、「農」を「役人」、「草」を「年金問題」、「取る」を「改善・解決する」に置き
      換えてみれば分かりやすいだろう。

5. 参考文献

 1) 五無斎保科百助著:よいかゝをほしな百首け,信青年社,明治39年
 2) 神崎 トキ子編集:家庭菜園野菜作り12カ月,主婦の友社,昭和50年
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