「熱中時間 〜忙中”趣味”あり〜 地球を掘る」NHK出演

「熱中時間 〜忙中”趣味”あり〜 地球を掘る」NHK出演

1.初めに

  2004年3月の初め、私が友の会員になっている「湯之奥金山博物館」の小松学芸員
 から一通のメールをいただいた。
  『 唐突なメールで・・・・・・・・・、本日NHKから取材依頼があり・・・・・・
  友の会会員で砂金採集に協力してくれる人を何人か紹介してもらえないかということで
  中川さんの名前を挙げさせていただき、メアドを伝えました。』

   NHKと聞き、こちらとしては、異存のあろう筈もなく、直ちに『OKです』との
  返事を差し上げた
   その後、色々あり、4月11日(日曜日)に渋谷のNHK放送センターでの集録となり
  4月25日(日曜日)夜、放映となった。
   早速、放送を見た埼玉県の石友・SAさんから、”Mineral hunters”を返上して
  ”Gold Hunter?(笑)”といった冷やかしのメールをはじめ、たくさんの方々から
  感想を寄せていただいた。
   GWの採集会で、旧知の石友の皆様にお会いするのが、怖いようです。
   貴重な体験をする機会を作っていただいた、「湯之奥金山博物館」の小松学芸員に
  厚く御礼申し上げます。
 (2004年4月体験)

2. 出演までの経緯

 2.1 出演確定まで
   3月11日に「湯之奥金山博物館」の小松学芸員からいただいたメールでは、近々
  NHKから連絡があるはずとのことであったが、一向に連絡がない。
   以前『何でも鑑定団』出演がうやむやになった経過があり、出れなくて元々と
  考えていた。
   3月17日に、出演した天野さんから『NHK出演に同行させていただきます』とのメールが
  あったが、依然NHKからの連絡はなく、「NHKから連絡ないから、私は出演しないのでしょう」
  と返信した。
   3月23日になって、はじめてNHKの人から正式に出演依頼のメールがあった。
   (たぶん、この間、天野さん→小松さん→NHKのやり取りがあったと想像しています。)

 2.2 『熱中時代』
   それまで、この番組の存在すらしらず、ましてや見たこともなく、NHKの担当の方から
  送られた番組の企画案を読み、初めて内容を知った次第です。

   タイトル:「熱中時代」
   放送日時:NHKハイビジョン  毎週土曜日夜9時〜10時
         NHKBS2       毎週日曜日夜10時〜11時【正しくは、22:45〜23:45】
   構成  :前半30分  各界有名人がオフに趣味に熱中する様子の紹介
         後半30分  各界有名人と同じ趣味を持つ一般の方(3組)を紹介
   出演  :薬丸 裕英ほか

 2.3 今回の企画
    今回は、「地球を掘る」というテーマで、鉱物、砂金、化石そして人面石まで
   登場する、とのことであった。
    砂金の主役は大森さんと小松さんで、友の会メンバーの広瀬さん、天野さん
   そして私には、会場でのミニ砂金採り大会に出場して欲しい、とのことであった。

3. NHKでの集録

 3.1 事前準備
  (1)電車賃
    3月11日(日曜日)に、東京・渋谷のNHK放送センターで集録があるとの連絡が入り
   往復の指定席特急券が自宅に送られてきた。
    帰りの電車は、新宿23:00発の最終の特急で、こんなに遅くなるのか、と不安
   であった。
    実は、3月10日(土曜日)に、奈良県の石友・Aさんが主催してくれた、川迫
   (こうせ)鉱山、五代松鉱山での採集会の後、皆さんへの挨拶もそこそこに、慌てて
   甲府に戻ったのが、11日の午前1時過ぎであった。
  (2)服装
     砂金採集をするのに相応しい服装、と言われても、普段採集で着ている洋服は
    ボロボロで、これで出演するのはあんまりだ、と言う妻の一言で、前の週の日曜日に
    慌てて洋品の量販店「S」へ走って買い揃えた。
     @シャツ
     Aベスト
     Bズボン

     一緒に出演した、天野さんから、次のようなメールをいただいた。
     『NHKの担当者から連絡があったと思いますが、砂金掘りの格好をしてきて
      ください、とありました。
      参考までに、私は上半身は普段着で下はウェーダーを持っていくつもりです。
      広瀬氏も同じようです。』

      ここで、”ウェーダー”なる単語が私を悩ませた。役所の比較的若い女性に聞いても
      一向に要領を得ない。
      ”下”なのに、”ウエー(上)”ダーとは、これ如何に?
      (これは、所謂”胴長グツ”のことだと、NHKに着いて、天野さんに聞いてわかりました。)
      仕方無しに、砂金採集の定番である、ゴム長靴も念のため持参することにした。
 (3)採集用具
      砂金採集にいつも持参する、次のような用具を持参した。
     @パンニング皿
     Aフルイ
     B馬蹄型磁石
     Cガラスビン
     Dルーペ
    結局、A〜Dは、出番がなかった。
  (4)頭髪
     収録日の何日か前に、掛かり付けの理髪店「Y」に電話し、当日8:00からやって
    もらうように予約を入れた。
     当日開店少し前に到着し、開店と同時にお願いした。店主からは「何事ですか?」と
    聞かれて、返事に窮する。

 3.2 NHK放送センターへ
  (1)NHKから送られた切符で指定された、9:09甲府発の「スーパーあずさ6号」に乗り
    満開の桃の花でピンク色に染まった車窓の風景を愛でているうちに、朝帰りの疲れで
    Zzzz・・・・
     新宿から山手線で原宿に行く。原宿は、昭和40年代、たけのこ族ではなくてサッカーの
    プレーイング・マネージャーをしていたころ、リーグ戦運営打合せで「岸記念体育館」に
    足繁く通った、思い出深い街である。
     その当時の面影を残しているのは、駅の一部くらいで、街の様子がすっかり変り
    NHKの放送センターの高い建物を目指して、ぶらぶら歩く。

   NHK放送センター

  (2)控え室へ
     NHK1F西口玄関で、デレクターのSさんに到着を連絡すると、スタッフの方が迎えに
    来てくれ、控え室に案内してくれた。
     相部屋の鈴木さんは、「鉄腕ダッシュ」の化石発掘にも出演していた人。
     私が到着したのは11時を過ぎており、既に出演予定者と天野さんの奥さんが集まって
    ロビーで待機していた。
     控え室の入口に張られた、自分の名前が書かれた札を見たときは、一種の”感激”で
    あった。しかし、控え室とは名ばかりで、静止画の撮影や録音などが行われている片隅に
    荷物を置くのがやっと、と言う有様。

       
        控え室    「砂金採集」出演メンバー【天野さん提供】

  (3)昼食
     お昼過ぎになり、昼食を食べに、外に行こうかと話していると、スタッフの方が
    お弁当を用意してあります、との美味しい話。思わず、話にだけ聞いた”ロケ弁”なる
    豪華な弁当が脳裏に浮かんだ。
     だが、出されたお弁当は、海苔巻のおにぎり2つに焼き魚、漬物が添えられた
    コンビニ弁当の一番廉いもの。ガッカリ。

 3.3 リハーサル
    3時過ぎから「リハーサル」になるだろうとの説明で更に待つ。天野さんの奥さんと
   小松さんから、「お土産」を買いにスタジオパークの方まで行ったと聞いて、大森さんと
   一緒におみやげ探しに出たが、迷路のような建物で、結局探しだせず、スゴスゴ手ぶらで
   引き返してきた。
   (鉱物産地では、こんなことは許されない!)
    そうこうする内に、「湯之奥金山博物館」から砂金採りの実演・競技会用の水槽・バケツ
   砂(落葉入り)、そしてゲスト用のパンニング皿などが到着し、スタッフがセッティング。
    ここで、はじめて小松さんが小分けして持参した”金粒”を砂に混ぜる。

    3時過ぎに、「リハーサル」スタートとの合図で、「スタジオCT-112]に入る。
   主役の薬丸さんやゲストの役は、代役が務め、レギュラーは中川 緑アナだけ。
    「リハーサル」をやってみて、初めて我々の役割の粗筋が読めてきた。

   【第1部】
    @大森さんによる砂金採集の紹介
   【第2部】
      @大森さんによる、砂金採集デモ

       
         トーク            砂金採り実演
               主役の大森さん

   【第3部】
      @砂金採集競技会
   【第4部】
    @ゲストによる砂金採集体験
   【第5部】
    @哲学者によるまとめ

    私は、【第3部】に登場することになっていた。この部分を更に詳細に述べる次の通り。
    @小松さん、私、天野さん、広瀬さんの順で入場
    A中川 緑アナによる個別インタビュー
     私には、「同じ (中川)ですね」と声を掛けてくれ、次のような質問があり
    尤もらしい返事をした。
     1)(一番の年寄りなので)砂金採集歴は永そうですが?
       →3年です。
     2)砂金採りの魅力は何でしょう?
       →「妖しいまでの、黄金の輝きでしょうか」
    B2002年世界大会で優勝した小松さんから正式な競技会のルール説明
    C今回のルール「1粒でも早く見つけた人が勝ち」の説明の後、水槽の前に移動して
     競技会スタート(リハーサルでは、やらない)

 3.4 本番!!
    5時過ぎになって、いよいよ、”本番スタート”となった。
    【第1部】、【第2部】と進み、競技会で私が使う予定の砂を大森さんが使ってしまった
    ことにスタッフも気付き、慌てて追加、準備してもらう。
    【第3部】になり
    @小松さん、私、天野さん、広瀬さんの順で入場
     横から映しているとだけ思っていたが、放送されたのは、上からの絵でした。
    A中川 緑アナによる個別インタビュー

       
         天野さん           わたし
                 自己紹介

     1番目の”砂金採集歴?”は、リハーサルと同じ質問だったので、スラリと答えた
     のですが
     2番目の質問は、『最初に砂金を見つけたときの感想は?』と、リハーサルと違うでは
     ないか!!
     「下部町の川で、砂金を摘み上げたとき、日本でもこんなのが採れるんだ
      と感激しました」と、模範的な回答をした。
     これで、一難去ったかと思いきや、薬丸さんが、大森さんが『産地は秘密にしている』と
     言ったのを覚えていて、『何処で採れるか、産地は秘密じゃなかったの』と振ってきた。
      答えようにも、集音マイクを付けてもらえない”その他大勢”の上、中川 緑アナは
     居ないし、音が拾ってもらえない。
      もう一度やり直そうか、となったが、結局そのままでおわり。
     放送されたものでは、Aの部分は、全部カットされていた。
    B2002年世界大会で優勝した小松さんから正式な競技会のルール説明
     この部分も、放送されなかった。

   小松さん解説

    C今回のルール「1粒でも早く見つけた人が勝ち」の説明の後、水槽の前に移動して
     競技会スタート
      今回は、”1粒でも見つけたら勝ち”という変則ルールなので、30秒が勝負の
     分かれ目と読んでいた。10kgの砂を全部一度にパンニングするより、少量の砂を
     早くパンニングすべきとの作戦で臨んだ。
      競技会用の砂金は大粒なので、フィールドより、大胆にパンニングし、”キラリ”と
     一粒目が見えたときに、”ハイ”と手を挙げた。
      ディレクターが「何秒?」と叫ぶと、ここまでの時間を計っていた人がいたのか
     直に、「28秒」という答えが返ってきた。
      (放送では、時計が表示され、27秒で止まっていた)
      ここで、中川 緑アナの”勝利者インタビュー”があり、放送された通り
     「誰よりも一番先に見つけるのは嬉しい」などと、ありきたりな感想を述べた。
      一方、広瀬さんは時間を掛けて、”全10粒”を発見し、ルールを理解していない
     ゲストからは、「広瀬さんが優勝では?」と言った発言もあった。

       
           競技会風景         勝利者インタビュー
     
         広瀬さん
             NHK砂金採り大会

   【第4部】
      ゲストによる砂金採集体験は、ディレクターの「上の判断で、中止です」の一声で
     チョン。我々と違って、芸能人の方々にとって、出番がなくなるのは、本当は辛いもの
     なのでしょうね。
   【第5部】
      哲学者によるまとめとして「マルコポーロが云々かんぬん・・・・・・」があったが
     ここで集録された部分は放送されなかった。

 3.5 集録済んで
    本番中、私のデジカメで写真をとってくれたスタッフの女性に砂金をガラス瓶に入れて
   プレゼントしようと集録が済んで残った砂をパンニングしていると、ディレクターの
   Sさんが来て「早かったですね」と、番組への貢献(?)を労ってくれた。

   スタッフと2ショット【天野さん撮影】

    NHKが新宿駅まで、タクシーで送ってくれ、8時の特急で、甲府へと帰った。

4. 放映

 4.1 放映まで
    兵庫県の石友・Nさんが、放映日・時間をGWでご一緒する石友を中心にメールで知らせて
   くれ、極親しい人や息子達には、自分から連絡しておいた。
    千葉県の石友・Yさんは、録画しておきます、とまで言ってくださった。

 4.2 放映
    放映される週末は、妻の実家、3男の下宿、私の実家に用事があり、それらを済ませて
   甲府に戻ったのは放映日(4/25)の夕方5時ごろであった。

   番組表

    夕食の後、妻と一緒に、今や遅しと放送開始時間を待つが、22時45分までは長い。
    (いつもなら、とっくに寝ている時間)
    やがて、放送が始まった。
    前半は、緒川たまきさんの鉱物収集趣味紹介と堀先生に案内されての甲武信鉱山での
   柘榴石採集であった。(この部分は、初めて見た)
    次は「砂金採集」の部で、NHKで集録したものが大幅にカットされて、”その他大勢”で
   声が出たのは、私だけであった。
    更に、「化石採集」と続き、最後が「人面石」で終わった。
   放送を見た妻の感想は「あっと言う間ね」であった。

 4.3 放送を見た方々の感想
    放送を直に見た方や友人に頼んで録画してもらったものを見た方など、冒頭に
   紹介したようなメールをたくさん戴いた。

  ・愛知県の石友・Kさん
   「家中でテレビ拝見しました。かっこよかったです。本当に。
    砂金取りは中川さんの作戦勝ちですね。流石です。」

  ・茨城県・M建設社長夫人
   「ひたちなか市にいたころと お変わりないので驚きました。
    いや それよりお若くなったような感じも・・・?
      中川さんが下さった「水晶」 改めて見させていただきました。
    一番先に見つけられるといいな、と思っていたら そうなったので良かったです。
    お陰で お声も聞くことができましたし。」

  ・H製作所元同僚Kさん
   「昨日(4/25)何気なくNHK BS2を見ていたところ中川さんが突然出てきて
    夜中に嬌声を上げてしまいました。
    砂金発見レースで勝っていましたね。相変わらず,元気で”石”の旅を続け
    られているようですね。」

  ・愛知県の石友・Iさん
   「昨晩見ましたよ。BS2 なかなかいい感じに映ってましたね。
    ちょっと時間が短かったのが残念ですし、何とかと言う女優の水晶採集案内も
    中川さんの方が適任でしたのにね。
    でも楽しくて良かったです。」

  ・千葉県の石友・Yさん
   「いつも通りの中川さんにお会い出来て、皆とてもよろこんでいました。
    結果は見事1位でしたね。流石です!
    録画したマスターテープは明日、宅急便で送ります。」

  ・千葉県の石友・Oさん
   「NHKご出演おめでとうございます。
    いつもの中川さんそのまんまだと、家族と大喜びしながら拝見しました。
    小倉優子と一緒だったのは羨ましかったです。」

  ・長野県の石友・Iさん
   「甲武信のことが映るというので、見ていましたら、中川さんが出たので
    びっくりしました。
    パンニングのテクニック、すごいですね。
    達人たちの中で一番、さすが!と思いました。

  ・兵庫県の石友・Nさん
   「テレビを見ました。若干緊張気味の姿、どうなる事かとこちらまで緊張しましたが
    砂金採りの手つきは、まったく他の人と違ってましたね。
    (本当にパンニング歴3年ですか?)
    あっさりと一番にはびっくりと同時にほっとしました。
    堀先生の代わりに甲武信の案内のほうもされたらよかったですね。」

   などなど、でした。

5. おわりに

(1)今回、「湯之奥金山博物館」の小松学芸員のご配慮で、思いもかけずNHKに出演させて
   いただくことができた。
   普通では、体験できないことを経験させて頂き、一生の思い出になりそうです。
(2)GWには、延べ50名を超える皆さんと、このテレビでも紹介された甲武信鉱山を中心に
   採集会を開催することになっており、皆様にお会いするのが嬉しい反面怖いような
   気がします。
   やっぱり楽しい。

6. 参考文献

1)大阪地域地学研究会:関西地学の旅 宝石探し,東方出版,1998年
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