やがて東の空が明るくなってきて、きれいな朝焼けだ。出港する日(1/21)にウシュアイアの町
で買った絵葉書の中にきれいな朝焼けを描く1枚があったのだが、まさかこの目で見れるとは思っ
ていなかっただけに、何か得した気分だ。
デッキでこの朝焼けを見ていたのは2、3人しかいなかったような気がする。皆さん、下船を前に
して荷造りや何やかやで忙しくて景色を見る余裕がないのだろうか。10分もするとこの朝焼けは
嘘のように消えてしまい、見られたのは幸運だった。
徐々にウシュアイアの町が近づいてくる。町の背後の雪をいただく山々が迫って見える。
(2) ウシュアイア港に帰港
1月30日、7時少し前に「オーシャン・ダイヤモンド号」は、ウシュアイア港に接岸した。出港し
たのが21日だったから、10日ぶりに帰ってきたことになる。ウシュアイアの町が手に取るように間
近に見える
この日の7時ごろの『ブリッジ(操舵室)レポート』とフィールドノートから、船の位置、天候などを
まとめておく。
日付 時刻 | 緯 度 | 経 度 | 累積航海距離 (海里) (km) | 気圧 (hp) | 風向き・風速 (NM/時) (m/秒) | 気温 (℃) | 日の出 日の入 |
1月23日 | 南 緯 54°48′ | 西 経 68°18′ | 1,702 | 1,001 | 西 13 | 3 | ― | 午前7時 | ( 3,152 km) | 6.7 | ― |
朝7時の気温は3度と南極と変わらない。風が少しあるようだが、高気圧なので天気はよさそう
だ。
ウシュアイア港を出てから戻るまでの総航海距離は1,702海里(3,152km)だから、日本列島
の最北端から最南端までを太平洋沿岸沿いにクルージングした距離に相当するだろうか。
(3) 下船【さようなら オーシャン・ダイヤモンド号】
この日の朝8時半に下船だ。その前に、スーツケースに行先別のカラー荷札をつけて7時10分
までに船室の外に並べておくと船の係員が運んでくれることになっている。ここで、帰りの経由地
や利用する航空会社によってグループ編成が変わるのだ。
来る時にオプションの観光を選んだ人も多く、ほとんどのひとたちはアメリカ経由で成田に帰る
のだが、世界遺産の「バルデス半島」観光とか、世界遺産の「ペリトモレノ氷河」観光、あるい
は私のように「ブエノスアイレス一泊観光」などのオプションを帰途に選んだ人はそれぞれ別グル
ープとして行動することになっていた。
朝食を終え、忘れ物のチェックに船室に戻ると、スーツケースはすでに運び出され、埠頭に並
べられ、バスに積み込むのを待っていた。
8時20分、下船のために3階のレストランにグループ別に集合した。ブエノスアイレス一泊組は
同室のAさんと私の2人だけだ。ただ、ブエノスアイレス空港まで同じ飛行機の方々が20名くらい
いて、その人たちと一緒に行動することになる。
パスポートを返してもらい、お土産にDVDの写真集をいただき、南極友の多くと、ここでお別れ
だ。
船を降りると、エクスペディション・スタッフたちが外で待っていた。スコッティさんが駆け寄ってき
て、固く抱き合って別れを惜しむ。
バスに乗り込み、スタッフともお別れだ。
われわれが乗るブエノスアイレス行のAR1853便は、ウシュアイアを15時40分発で、まだ9時前
だからチェックインまで5時間くらいあるので、ウシュアイア市内を観光することになった。お土産を
買ったりするための自由時間もありそうだ。
埠頭が見える公園に行くと、次の南極航海に向けて準備を始めた「オーシャンダイヤモンド号」
の姿が見られた。