栃木県足尾町鉛沢の近況【2007年1月】

        栃木県足尾町鉛沢の近況【2007年1月】

1. 初めに

   今年も大勢の石友から年賀状をいただいた。多くの年賀状には、昨年一年間に
  採集した”我が家の逸品”などがカラー印刷されていた。
   それらを見た、私の母が『 自慢のしっくら 』(自慢しあう、という意味の方言)
  と言う通りである。

   それらの中で、茨城県の石友・Yさんの一枚には、2006年に訪れた産地と採集
  鉱物がこと細かに書かれていた。その余白には、

  『 昨年は、鉛沢に踊らされ、4回も新産地を探しに出かけ大変な目に会いました。
   急な斜面を駆けずり回り、崖の上に出たり、沢に落ちそうになったり、・・・・・』

   とあり、Yさんも私のHPの掲示板に書き込まれた「紫水晶」に踊らされた一人で
  あったらしい。
   この年賀状を読み、「鉛沢」を訪れてみる気になった。群馬県桐生市附近は快
  晴だったが、足尾町に近づくにつれ、雪が降り出し、「銀山平」では横殴りの吹
  雪だったが、雪を踏みしめ産地を目指した。
   ズリには、多いところで雪が30cmも吹き溜まっていたが、ポイントを絞って掘
  り返すと小さな紫水晶が姿を現した。ズリの斜面を吹き上げてくる雪が激しくな
  り、1時間ほどで引き揚げた。

   今でも、2、3cmのものなら頭付きが採集できることを確かめ、正月に交換した
  スタッドレスタイヤが極めて安心なことも確認できた。

   今年も、古い産地、新しい産地を回ってみたいと考えている。
   ( 2007年1月採集)

2. 産地

    既に、情報があると思いますので割愛させていただきます。

3. 産状と採集方法

    これも詳細は割愛させていただきますが、表面を良く観察し、ここぞと思う
   場所を” ひたすら掘るだけ ” でしょうか。
    ( もっとも、今回は表面は白一色で何も見えなかった )

     ズリ【2007年1月】

4. 採集鉱物

 (1)紫水晶【Amethyst:SiO2
     「鉛沢」特有の、透明度が高く、薄いピンク色で上品な紫水晶で、頭つき標本
    も何本かに1本は採集できる。
     また、私のHPに既報のように、”気泡・水入り”も採集できる。

      紫水晶【3cm】

5. おわりに

 (1) 久しぶりの「鉛沢」だった。このような悪天候の日には誰も訪れる人もなく
    しんしんと降る雪の中での採集を十分楽しんだ。
    「日本鉱物誌」にある長さ15cmの紫水晶を採ろうとすれば多分採れないが
   2、3cmの可愛らしい頭付きなら、まだ採れるのを確認できた。

6. 参考文献

 1)柴田秀賢、須藤俊男:原色鉱物岩石検索図鑑,北隆館,昭和48年
 2)和田維四郎著:日本鉱物誌第1版,和田維四郎,明治37年(1904年)
 3)益富 寿之助:鉱物 −やさしい鉱物学−,保育社,昭和60年
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