岐阜県中川辺のセラドン石 -その3-

        岐阜県中川辺のセラドン石 -その3-

1. 初めに

 『岐阜県中川辺のセラドン石』のページに掲載したとおり、そのとき採集できなかった
"セラドン石"
”エリオン沸石”を各地の石友から恵与いただいた。
 これらを見て、産状が飲み込め、”自力採集”への自信(?)も深まり、京都への
採集行の途上、中川辺に再び立ち寄り、『セラドン石』を採集することができた。
 さらに、石川の石友・Yさんから、『恋路海岸のセラドン石(?)』は、希塩酸で発泡した
ことから方解石であるとの鑑定結果と共に、標本を送っていただいた。
 (送っていただいたのは、”山珊瑚”とも称する、霰石であったが、”霰石の仮晶をした
  方解石”の可能性もある)
 美麗な標本と情報をいただいた滋賀・Nさん、愛知・KNさん、京都・Nさんそして
石川・Yさんに厚く御礼申し上げます。
(2005年7月採集)

2. 産地

    松原先生の「日本の鉱物」に記載された場所以外にも、中川辺周辺には
   いくつかの産地があることがわかった。
    ただし、駐車の問題などを考えると、川辺ダム下流の場所が一番良いようです。

3. 産状と採集方法

     各地の石友からお送りいただいた標本や画像を元に、それぞれの産地の
    産出標本を一覧表で比較してみた。

  項目中川辺     美濃加茂市
 産地「川辺ダム」の下流     418号沿いの崖
提供者滋賀・Nさん京都・Nさん愛知・KNさん
 産状黒褐色安山岩の気孔【緻密質】
 黒褐色安山岩の気孔
 【気孔が大きく多いホーラス】
産出標本
備考両産地共、同じような緑青色”毬栗状”または”スギゴケ状”

    これらの標本を観察したところ、『セラドン石』の産状は、次の通りである。
    @黒褐色安山岩の気孔にある。
      産出は稀だが1つあればその周辺にあることが多い。
    A輝沸石の上に晶出する。(必ずしも、エリオン沸石を伴わない)
    B大きさは、1mm以下で肉眼では見えないルーペサイズ

    今回採集方法として、次のような”作戦”で臨んだ。

     特徴           採集上の留意点
黒褐色安山岩の気孔気孔のある黒褐色安山岩をひたすら割る
輝沸石の上沸石を伴う玄武岩質の母岩を割る
小さい明るい時間帯に採集する(前回は、日暮れ前)

    要は、”只管割って、ルーペで覗く”という、”愚直”な採集方法です。

4. 採集鉱物

 (1)セラドン石【Celadonite:K(Mg,Fe'')(Fe''',Al)Si4O10(OH)2】

    自力採集品は、石友から恵与いただいたものと同じような母岩で、輝沸石の上に
   青緑色をした微細な”毬栗状”あるいは”スギゴケ状”として晶出している。

         
           母岩              セラドン石【青緑色”毬栗状”】
                   自力採集標本

5. おわりに

 (1)各地の石友のおかげで、「セラドン石」を”自力採集”できた。恵与いただいたものに比べ
    見劣りするものであるが、満足している。
     ご協力いただいた石友の皆さんに御礼申し上げます。

 (2)この一連の『セラドン石』シリーズのキッカケになったのは、千葉県の石友・Mさんからの
    「2004年鉱物採集納め -Part2- 能登・加賀の鉱物」にある「石川県・恋路海岸の霰石」
    への質問からであった。
    恋路海岸のセラドン石については、再訪した結果を近いうちに掲載する予定です。

6. 参考文献

 1)松原 聰:日本の鉱物,Gakken,2003年
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