第37回 名古屋ミネラルショー








            第37回 名古屋ミネラルショー

1. はじめに

    8月の終わり近くになると、月末の土曜日・日曜日にかけて、名古屋ミネラルショーが開催される
   のを思い出すようになった。
    最初に訪れたのは、2005年の第27回だった。それから10年、毎回訪れることはできず、子ども
   たちをミネラル・ウオッチングに案内した2013年と町内会の行事があった2014年は連続して参加
   できなかった。今回は3年ぶりの訪問だ。

    2015年8月末、川上村の鉱物産地で兵庫県の石友・N夫妻に会い、週末の予定を聞くと土曜
   日に帰るとというので、名古屋ミネラルショーに立ち寄るようお誘いした。
    土曜日の6時30分に「諏訪湖SA」で合流し、朝食バイキングをいただき、名古屋へ向かった。会
   場周辺まで着いてから手間取ったが10時過ぎに入場した。今年から会場が従来の1.5倍くらいに
   広がったということで、通路もユッタリした感じだ。

    名古屋ミネラルショーでは、アマチュアが自分の採集品を売るほか、鉱物や化石の販売業者も
   多い。同じようなミネラル・ショーである東京の「ミネラルマーケット」の3倍くらいのスペースで、76業
   者、4団体・同好会、そして20の個人による北海道から九州までの広い地域から出店があった。

    ブースを回ってみると、6月のミネラルマーケットなど東京で開催した売り立ての”売れ残り”感は
   否めず、私が探している鉱物はほとんどなく、山梨県産などの鉱物4点と書籍、そしてパンニング皿
   を2枚購入しただけだった。

    会場では、愛知・Sさん、Kさん、Tさん、滋賀・Oさん、三重・Oさん、京都・Nさんなど、多くの石友
   とお会いできたのは何よりだった。

    2016年は会場の都合で6月の最終土・日に開催されるので、東京のミネラル・マーケットや新宿
   ショーに行ったり、恒例の「月遅れGWミネラル・ウオッチング」を開催したりで、名古屋まで足を延ば
   せるか、微妙なところだ。
    ( 2015年8月 現金採集 )

2. 場所と規模

    例年、名古屋市千種区吹上にある、名古屋中小企業振興会館(名古屋吹上ホール)の2Fで
   開催されている。
    朝5時に畑に行き、野菜を収穫し、5時半に双葉SAから中央高速にのり、諏訪SAでN夫妻に会
   った。N夫妻は前夜川上村・湯沼鉱泉に宿泊し、5時に出てきたそうだ。
    朝食バイキングを食べた後、コーヒーを飲みながら、Nさんの川上村での採集品を拝見するとすば
   らしい「緑水晶」があった。”お主、腕を上げたな”

    
         川上村産緑水晶
        【採集:兵庫・Nさん】

    7時半に「諏訪湖SA」を発ち、名古屋ICから名古屋高速に乗り、吹上出口から下りたのは
   10時少し前だったが、会場の周りをウロウロ走ってしまい、10時を回ったころに着いた。
    会館の駐車場(30分 200円)に入れ、そこから徒歩2、3分で会場だ。

    
           吹上ホール
    

    着いた時にはすでに開場しており、N夫妻や妻と別れてブースを端から回ってみた。

    
                   会場

3. 購入品

    今回購入したのは、次のような鉱物標本と書籍、そしてパンニング皿だった。

 3.1 鉱物標本
      山梨県産を中心に標本4点購入した。

No  鉱 物 名
 (英 語 名)
 産  地          写 真 と 説 明   備   考
1 水晶
(QUARTZ)
山梨県
乙女鉱山

              表


               裏(左右反転)

「カルルスバッド」
状の組み合わせ
2 菱沸石
(CHABAZITE)
山梨県
身延町
(旧中富町)

初めて知る産地

灰菱沸石
(CHABAZITE-Ca)
だろうと推定

3 ガロン沸石
(GARRONITE)
山梨県
富士吉田市

初めて知る
山梨県産鉱物・産地
4 ベスブ石(VESUVIANITE) 長野県
甲武信鉱山

         ガマ(晶洞)出し標本
両錐は珍しい

 3.2 書籍
      「益富地学会館」では、鉱物・地学関係の古書を1冊100円(!?)で販売していた。これ
     から秋の夜長の読書にピッタリと思い、10冊あまり購入した。
      渡辺武男「鉱床学の進歩」(581ページ+索引24ページ+英文目次6ページ)や坪井誠太
     郎「偏光顕微鏡(索引含め312ページ)は”函入り”で、お買い得だったと思う。

      
                  鉱物・地学関連の古書
                    【1冊100円!!】

      中には英文の洋書 ”An Introduction to the Rock Forming Minerals”(造岩鉱物入門)
     などもある。鉱物の「状態線図」は、成分によって、温度が下がると液体からどのような順序で
     結晶していくかが理解できる図表で、学生時代に学んだ「金属の状態線図」を思い出しながら
     読んでいる。

      入口では、名古屋鉱物を昭和51年(1976年)に創立した中尾潮忍(ちょうにん)氏のコレク
     ションを収録した図録が売っていたので、参加できなかった2013年と2014年に発行された2冊
     (各冊 1,000円)を購入した。
      これで6分冊が完結したようだが、”Y”と”Z”の鉱物がないのは寂しい。中尾氏ほどの採集家・
     コレクターであれば”YUGAWALITE”や”ZIRCON"の素晴らしい標本をお持ちだったはずだと
     思うのだが・・・・・・。

 3.3 採集用品
      最近子どもたちから大人までを産地に案内する機会が増えてきている。泥だらけのズリの中
     から「自然金」などの珍しい鉱物や「緑水晶」などの美しい標本を簡単に採集する手段として
     パンニングを推奨している。
      手持ちのパンニング皿が5枚くらいしかなく、案内する人数が多いと交代で使ってもらっている
     ので何枚か買い足そうと思っていた。最悪、中津川の「鉱物博物館」に立ち寄って買おうとも思
     っていたが、会場でパンニング皿を売っていたのであるだけ(2枚)購入した。

      
                 パンニング皿
               【口径 30センチ】

4. 特別展示

    会場の入り口近くに、『猪飼コレクション』が展示してあり、その脇で展示図録の上巻を販売して
   いた。どうやら、今年から上・中・下と3回(3年)にわたって展示するようだ。

    
                    猪飼コレクション展示

    展示品の中で私の眼を惹いたの、1点を紹介する。2012年の「中尾コレクション」のときも「マチ
   ルダ鉱」だったような気がする・・・・・・・。

     
                マチルダ鉱
             【栃木県西沢金山】

5. おわりに

 (1) 「見れども見えず」
      一時ほど欲しいものが少なくなっている。「古希」(数え歳70歳)を祝ってから、という訳では
     ないが、『縁もゆかりもの(鉱物はじめ)を買ってどうする』、という思いが強くなったことは事実だ。

      その結果、興味がないものや薄いものは、見てはいても脳で認識されず、結果として見ていな
     いと同じ事になってしまう。
      万事にこの調子だと病気なのだろうが、今のところ幸い関心の強いものは鋭敏にかぎ分けられ
     ているようなのでご安心下さい。

      とあるブースに「ビローダ双晶」が展示してあった。店の方に断って写真を撮らせてもらったが、
     「写真に撮るだけでなくて買って行きなさいよ!!」、と言われたが、おいそれと買える値段でも
     ないし、買う気にならない外国(ネパール)産だ。

     
                ビローダ双晶?
                【ネパール産】

      長野県川上村小川山での国内初「ベローダ(ビローダ)双晶」の産出を報告したのは、今から
     12年前の次のページだった。

      ・2003年11月 ミニ採集会 -小川山の双晶を求めて-
        (Mineral Hunting Tour in Nov. 2003
                    Hunting Various Types of Twins at Mt.Ogawa , Nagana Pref.)

      「ベローダ双晶」は、{30-32}面を双晶面とするので、2つの水晶の軸がなす角度は55°24′
     になり、「エステル式双晶」に似ているがその角度がはるかに狭いのが特徴だ。

      このような知識をもって上の写真を見るとどうだろうか。角度は68°前後と広く、私は自信を
     もって「ベローダ双晶」だとは言い難い。

 (2) 「夏の終わり」
      名古屋ミネラルショーが終わると夏の終わりだ。2015年の夏は北海道あたりでも例年になく
     暑かったようだが、甲府盆地では8月の下旬から雨の日が多くなり、暑さは一段落したようだ。
      8月の下旬から湯沼鉱泉に足しげく通っていたが、朝夕だけでなく日中でもストーブを焚いて
     いる日があるほどで、今年は冬の訪れが早いような気がする。

      孫娘たちの夏休みは、横浜の孫娘はお勉強で一度も帰省できなかったのに対して、千葉の
     孫娘は7月と8月にそれぞれ10日近く滞在し、嵐のように去っていった。

         
             お勉強の後は庭のプールで息抜き                    乗馬体験
                                   2人の孫娘の夏休み

      千葉の嫁さんから「9月の5連休どうなっています?」と言ってきているが、対応は妻に任せ、
     私は「鉄道郵便フェスティバル」などで北陸方面に遠征する予定だ。

6. 参考文献

 1) 加藤 昭 et al:鉱物採集の旅 東海地方をたずねて,築地書館,1983年
 2) 丹羽 健文編集:中尾コレクションT 〜田原の鉱物〜,名古屋鉱物同好会,2009年
 3) 丹羽 健文編集:中尾コレクションU ABCの鉱物,名古屋鉱物同好会,2010年
 4) 丹羽 健文編集:中尾コレクション   DEFGHの鉱物,名古屋鉱物同好会,2011年
 5) 丹羽 健文編集:中尾コレクションW JKLMの鉱物(Iの鉱物もある),
                            名古屋鉱物同好会,2012年
 6) 丹羽 健文編集:中尾コレクションX NOPQRSの鉱物
                            名古屋鉱物同好会,2013年
 7) 丹羽 健文編集:中尾コレクションY from T to Zの鉱物
                            名古屋鉱物同好会,2014年
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