「長島鉱物陳列館」の鉱物

「長島鉱物陳列館」の鉱物

1.初めに

「長島鉱物コレクション」は、櫻井 欽一博士と並んで、我が国における
アマチュア鉱物家の双璧をなす長島乙吉氏(1890〜1969)と子息の長島弘三博士
(1825〜1985)が収集した鉱物標本である。
これらは、次の3者に分割、寄贈された。
@乙吉氏の郷里岐阜県中津川市「長島鉱物コレクション展示室」
A岐阜県立中津高等学校
B蛭川村紅岩山荘内「長島鉱物陳列館」
@、Aは、統合して「中津川鉱物博物館」に収蔵・展示している。
今回、採集会の下見で、紅岩山荘を訪れたところ、「長島鉱物陳列館」の
建物は残っているものの、収蔵標本は全てこの冬に中津川鉱物博物館へ
移されたとのことで、もぬけの殻でした。
一日も早く中津川鉱物博物館で展示されるのを願っています。
(2002年7月訪問)

2.長島鉱物陳列館

恵那ICから「博石館」の案内標識に従い、真っ赤な「恵那峡大橋」を渡り
約500mも行くと道路左脇に「紅岩山荘」の表示がある。
これにしたがって、約200m行くと「紅岩山荘」があり、玄関に向かって
右手に「長島鉱物陳列館」があります。
プレートから、1965年(昭和40年)に建てられたことが辛うじて
読み取れます。

左:長島鉱物陳列館建物      右:入口脇のプレート
          長島鉱物陳列館

3.収蔵鉱物

陳列館の案内板には、長島乙吉氏が生涯に渡り全国から採集した鉱物約1000点の
寄贈を受けたとあります。
(1)元素鉱物
  ・自然金、砂金、硫黄など
(2)硫化鉱物
  ・黄銅鉱、黄鉄鉱、方鉛鉱など
(3)ハロゲン化・酸化鉱物
  ・蛍石、磁鉄鉱、マンガン鉱など
(4)硼酸塩・燐酸塩・硫酸塩・タングステン酸塩鉱物
  ・霰石、方解石、孔雀石、大理石、鉄マンガン重石、燐灰石など
(5)珪酸鉱物
  ・水晶、瑪瑙、玉髄、碧玉、石英、蛋白石(オパール)
   柘榴石、ベスブ石、電気石、紅柱石、ヒスイ輝石
   金雲母、正長石など
(5)ウラン・トリウム鉱物
  ・燐灰ウラン石、ウラノトール石、ウラン鉱、閃ウラン石など
(6)ベリリウム・希アルカリ元素鉱物
  ・鉄リシア雲母、緑柱石、チンワルド雲母
(7)ニオブ・タンタル鉱物
  ・コルンブ石、サマルスキー石、ペタホ石、石川石、ユークセン石など
(8)ジルコニウム鉱物
  ・トロゴム石、山口石、苗木石など
(9)希土類元素鉱物
  ・イットリア石、ガドリン石、褐簾石など
(10)岩石・化石
この陳列館の白眉は、何と言っても、(5)〜(9)の希元素鉱物であったと
考えられます。

4.おわりに 

(1)蛭川村教育委員会に電話で問い合わせたところ、ここの収蔵品が
中津川鉱物博物館に移されたのは、2002年初めのことのようです。
これで、3ケ所に分散していた「長島鉱物コレクション」が1ケ所にまとまり
一堂に会する訳ですから、観覧する我々にとっては便利になります。
(2)移された鉱物が整理されて、中津川鉱物博物館に展示するのはいつ頃か
あるいは、既に展示されているのか、問い合わせ中です。
(3)紅岩山荘は、恵那峡を見下ろす絶好の場所にあり、宿泊もできる
第三セクターが経営する保養施設です。入浴・食事だけもでき、採集に疲れた体を
癒すのにもってこいです。
紅岩山荘【案内パンフレットから引用】
(4)中津川鉱物博物館に移された鉱物の展示の見通しについて問い合わせした
ところ、早速次のような丁寧なメールをいただきました。

『蛭川村から寄託を受けました「長島鉱物コレクション」につきましては
鉱物種等の再検討も含め,全標本について再整理・登録作業を行ないます。
上記作業の完了後,一部を展示する予定です。
展示時期につきましては,現在のところまだ未定ですが,おおむね2年後くらいを
考えております。
しばらくの間ご覧いただくことができませんが,なにとぞご理解くださいますよう
お願い申し上げます。
もしご希望でしたら,展示時期決定後にご連絡を差し上げるようにいたします。』

展示できる暁には、連絡いただくことにしました。

5.参考文献 

1)大林達生、荻野義雄:長島鉱物コレクション標本目録,中津川鉱物博物館,2001年
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