2012年 ミネラル・ウオッチング初め 岐阜県苗木地方の鉱物









        2012年 ミネラル・ウオッチング初め
           岐阜県苗木地方の鉱物

1. 初めに

                謹賀新年

        

                   元旦の富士山【自宅庭から】

    今年も読者の皆様にとってより良い年になるよう、お祈りしています。

    2012年の年が明け、年末帰省していた長男家族と3男が元旦に帰って行った。入れ
   違いに来た次男夫婦も元旦の夕方帰ってしまい、母親と私たち夫婦が”ポツン”と取り
   残された。
    翌2日は、仕事始めの真似ごとで、庭木の剪定や落ち葉の片付けなどをしたが、猫の
   額のような庭のこと、ものの1時間で終わってしまった。

    さすがに3日はやることもなさそうなので、『2012年ミネラル・ウオッチング初め』、として
   私たち夫婦が好きな岐阜県苗木地方を訪れることにした。
    朝6時に起き、自宅近くのSAから高速に乗り、定番の諏訪湖SAの朝食バイキングで
   腹ごしらえをして、9時過ぎには苗木の有名なポイントK沢の土手にいた。
    ここでは、「トパズ」、「苗木石」などの希元素鉱物、そして「サファイア(鋼玉)」などが
   採集できるのだが、小さな「トパズ」のカケラや「錫石」が採れたくらいで、早々に切り上
   げた。
    次に狙ったのは、「サファイア(鋼玉)」のポイントで、最初こそ目が慣れずに”駄目かな”
   との思いも頭をよぎったが、目が慣れてくると、次々に良品が見つかった。

    この日は、夕方から定年退職した後輩との新年会があり、昼過ぎにパンニング皿を納
   め、東山温泉の熱いお湯につかり、冷えた身体を温め帰路についた。

    短時間の採集だったが、予想以上の『2012年ミネラル・ウオッチング初め』の成果に満
   足している。今年も忙しく、仕事の合間のミネラル・ウオッチングが多くなりそうだが、そこ
   そこ楽しめそうな予感がしている。
    ( 2012年1月採集 )

2. 産地

    岐阜県中津川市苗木地区には、「採石場」や明治時代に流れ錫を採掘した沢などが
   点在しており、「トパズ」、「苗木石」などの希元素鉱物、そして「サファイア(鋼玉)」などが
   採集できる。

    代表的な産地は、草下先生の「鉱物採集フィールドガイド」などにも紹介してあるので、
   詳細は割愛する。

    今回訪れたのは、有名なK沢とマル秘の「サファイア」産地だ。K沢からは、苗木地方の
   シンボルの1つ、恵那山の姿を望むことができる。

       
                 K沢                     恵那山
                          苗木地方産地

3. 産状と採集方法

    苗木地方の採石場のほとんどが操業を止めて10年以上が経ち、「鉱物採集フィールド・
   ガイド」にあるように稼働中の採石場での採集は難しい。廃業して永い年月が経った採石
   場での採集すら、地主さんが現場に居合わせるなど、よほど運が良くないと難しい。
    そんな訳で、この20年くらい苗木地方での採集は、沢の中での「フルイ掛け」だったが、
   私が求める「希元素鉱物」や「サファイア」などの採集には、「パンニング」が有用なことを
   発見し、この10年近くは、パンニングが主体になっている。

    ただ、「サファイア」の場合、比重は大きいので、良質なもののカケラはパンニング皿の
   底に最後まで残るのだが、「六角板状結晶」のものは、パンニングの過程で流れ去って
   しまう。
    そこで、”薄皮を剥ぐ”ような、パンニングのテクニックが要求される。今回、眼の前で
   実演し、サファイアが土砂の中から姿を現す瞬間を目撃した妻は、ようやくパンニングの
   やり方を理解できたようだ。
    ( 理解できたことと、採集できることは別なところに、難しさと面白さがある )

4. 産出鉱物

 (1) サファイア/鋼玉【Sapphire/CORUNDUM:Al2O3
      青黒色〜青色〜白色、あるいは中心部が青で周辺が白の累帯構造をなし、半透明、
     六角薄板状〜六角柱状結晶として産する。

       
                     サファイア

5. おわりに

 5.1 東山温泉
      苗木地方でのミネラル・ウオッチングを楽しんだ後は、この地方ならではのラジウム
     温泉に入浴し、冷えた身体を温めて、食事をして帰るのがお決まりのコースになって
     いる。
      今回は、東山ラジウム温泉(別名 観音の湯)を訪れた。

          
                正月風景                     温泉由来碑
                             東山温泉

      この温泉は、以前のページで紹介したように、昭和26年(1951年)、下方 鉱(絋)蔵
     長島 乙吉、両先生が調査され、泉度(ラジウムの濃度?)の高さを認めてもらい、開泉
     した、と入口左手の石碑に刻まれている。

      温泉は、毎分20リットルの湧出量だが冷水のため加温している、とパンフレットにあ
     る。熱めの湯で、浴室内には湯気が立ち込め、ラドンなどのガス成分が特に鼻孔を通
     して吸収されると効能書きにある。
      30分も入っていると、上気し(のぼせ)そうだ。長風呂の女性陣より一足早く出ると
     ロビーに正月飾りがあったので写真におさめた。
      この日は、宴会もあり立てこんでいて、食事はできないということで、申し訳なく思っ
     たのか、お茶うけに「飛騨の板菓子」をサービスしてくれた。これも、”パチリ”

          
                正月飾り                    「飛騨の板菓子」

 5.2 2012年ミネラル・ウオッチング
     正月休みに、HPの年ごとの更新回数をまとめてみた。これらの中には、「保田層の千
    葉石」のように、非公開になっているものなどもあり、実際の更新回数とは若干違いが
    ある。
     H製作所を退職した2002年には、毎日がミネラル・ウオッチング状態で、1年で150回、
    1週間に3回のハイペースで更新できたが、厚生労働省管轄の独立行政法人への就職、
    その後技術コンサルタントとして、茨城県や千葉県に単身赴任すると、50回〜80回に
    ペースダウンした。

     そのなかでも、2011年は34回(非公開もあり、正確には33回)と低調だった。これは、
    @震災からの復旧 A新しいラインの計画・立案・移転 そして、B 一時的な増産、と
    仕事が忙しく、HPを更新する余裕がなかったことに尽きる。
     正確には、フィールドでのミネラル・ウオッチングが少なく、HPに書く”ネタ(材料)”が
    欠乏しているのだ。
 年 HP更新回数
1998 7
1999 8
2000 72
2001 93
2002 150
2003 111
2004 64
2005 91
2006 84
2007 85
2008 56
2009 74
2010 53
2011 34
2012

      さて、2012年だが、年末、常務、取締役を交えた打ち合わせで、新しいミッションが
     動き出そうとしている。
      そんな訳で、今年も忙しい年になりそうで、フィールドへ出られる回数も限られてくる
     だろう。
      ただ、今回の『ミネラル・ウオッチング初め』の結果から、行けば何がしかの成果は
     得られそうな予感がする。

 5.3 孫
      年末年始、長男家族の孫娘と過ごした。朝から晩まで、「○ちゃん」、「○ちゃん」、と
     孫の名前を呼び、出かける時はダッコして、と”爺馬鹿”丸出しだった。

      孫娘が本棚の隅にあった「けんだま」を引っ張り出して来て、遊び初めたので”パチリ”
      ( T女史、何年か後の順位決定戦には、孫娘が出場するかも知れませんヨ )

        けんだまで遊ぶ孫娘

6. 参考文献

 1) 日下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1988年
 2) 松原 聡・宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
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