都路村の地質・鉱物と金穴(かねめど)

都路村の地質・鉱物と金穴(かねめど)

1.初めに

2001年の忘れられない鉱物採集の一つに、福島県都路村の電気石があります。
2001年7月末に、針〜棒状の電気石を求めて、石友の高橋氏と挑戦しあえなく
敗退しました。その理由は、
(1)私の2日酔い。
(2)某氏にいただいた地図を読み違えていた。
 (これも2日酔いのせいかも知れません。)
そのリベンジを果たすべく、2001年8月11日に、高橋氏と再挑戦した。
その先日、ここを訪れた愛知県の石友の加藤さんからの情報を参照しながら、産地を探し
出し、念願の電気石を採集できました。
このとき、産地入口にある大和田さんの話では、「地元ではこの坑道を”金穴”(かねめど)」と
呼んでいること、(「めど」は福島県の方言で穴を意味する)、この由来については、
「都路村史」に掲載されているとのことでした。
そこで、都路村に問い合わせして、都路村付近の地質、鉱物と「金穴」の由来が
わかりましたので報告します。
(2002年2月情報)

2.都路村の地質と鉱物

都路村史の情報を確かめるため、手紙で村役場の総務課に問い合わせしたところ、
村の公民館に転送され、館長補佐の赤石沢 晶さんから村史の地質・鉱物に関する
部分のコピーを送っていただいた。
返送の封筒【福島・都路局の消印】
2.1 都路村の地質
都路村は、阿武隈山地の中央部に位置し、花崗閃緑岩と花崗岩が主体をなす。「金穴
(かねめど)」付近には、淡紅色長石を主体とするペグマタイトがあり、電気石を産する。
都路村地質図【都路村史から引用】
2.2 都路村の鉱物産地と鉱物
(1)石黒の金穴
都路村石黒の通称「権社平(ごんしゃだいら)」にあり、「かねめど」と呼ばれている。
古老の話では、(福島県・小野)新町の渡辺粂治郎(1855年〜1940年)が、
ペグマタイトの露頭をみて、有望な脈があると考え、掘り進んだが、巨利を夢見た鉱脈には
突き当たらなかった。
金穴坑道【都路村史から引用】
(2)石綿鉱山
ここは、鉱山主・片桐養助(1874年〜1952年)の名前をとって、片桐鉱山と呼ばれた。
片桐養助は、仙台生まれで、昭和10年ころ、金鉱を探査に都路村に来て、広範囲に鉱区を
設定し、村人を雇ってあちこち試掘した。
昭和13年ころ、有望な金鉱脈発見と発表し、新聞にも報道されたが、分析結果は、不調であった。
そのご、金鉱探査はあきらめ、昭和17年夏、石綿の採掘、精製に踏み切った。
村内の人を常時50名ほど雇って、山中で原石を採掘し、それを川岸まで運び、流水を使って
精製し、かますに詰めて出荷した。
しかし、収支は償わず、戦争が激化し、労働力やガソリンの配給不足などで、閉鎖を余儀なく
され、今では、採掘跡だけが残っている。
石綿の露頭【都路村史から引用】

3.おわりに

(1)気がかりだった、「金穴(かねめど)」の由来が分かりました。
無理なお願いに応えていただいた、都路村役場と公民館の皆様に厚く御礼申し上げます。
(2)都路村には、石綿鉱山もあったとのことですので、暖かくなったら、また行って見たいと
考えています。
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