都路村の電気石

都路村の電気石

1.初めに

福島県都路村は、針〜棒状の電気石が産出することで、つとに有名です。
7月末に石友の高橋氏と挑戦しあえなく敗退しました。その理由は、
(1)私の2日酔い。
(2)某氏にいただいた地図を読み違えていた。
 (これも2日酔いのせいかも知れません。)
そのリベンジを果たすべく、夏休み初日の8月11日に、石友の高橋氏と再挑戦した。
今回は、前回の轍を踏まぬよう、前日のお酒もチョッピリ、情報もつい先日
ここを訪れた愛知県の石友の加藤さん親子に電話してしっかりと道順をインプウト。
それでも心配と、加藤さんがデジカメで撮った要所要所の写真入り案内図を
送ってくれ、それを参照しながら、産地を探し出し、見事(!?)念願の
電気石を採集できました。
(2001年8月採集)

2.産地

常磐道いわき中央ICをでて、直進すると、国道399号にぶつかる。ここを、
左折し、磐越東線を何回か横切りながら進むと、いつのまにか県道41号線になっており、
川前駅の手前で、「川内・都路→」の標識がでるので、これに従って右折する。
川内村の中心部で再度339号線にぶつかるので、左折して進むと、288号線に
ぶつかりここを左折し、「都路大橋」を渡り、すぐ左折し、急な坂道を下り、左折する。
ここを約2.6km進むとT字路があり、「石黒←」の標識に従い左折し、約900m進むと、
「林道大放石黒線」の標識があり、これに従い右折する。
約500m進むと、左側に民家(小和田さん宅)がある。この手前の空きスペースに
駐車する。

都路石黒の入口【加藤さん撮影】
小和田さんの家に声をかけ、了解をもらってから家の前を通らせていただき、砂利道を
約200m進むと左に池(ちょっと見にくい)があり、その先で大きく道は左折する。
そこを右に踏み分け道を入ると、篠竹を刈り取った山道があり、ここを進むと、
道の先が一面篠竹で覆われているが、地面を見ると幅30cm位の踏み分け道がある。
(篠竹は、小和田さんの息子さんが刈ってくれたとのこと。)
篠竹のトンネルをくぐるようにして、約100m進むと沢が有る。この沢を、
5mほど左に進み、大きな岩の間の踏み分け道を沢に沿って進むと、約30mで
大きな松の木が倒れたズリに到着する。

都路石黒のズリ【加藤さん撮影】

3.産状と採集方法

ここは、戦時中(?)に試掘をしたとのことで、坑道が2つ残っています。
地元ではこの坑道を「金穴(かなめど)」と呼んでいます。
(「めど」は福島県の方言で穴を意味する。)
花崗岩の中のぺグマタイト脈に伴う鉱物で、花崗岩は真砂化しています。
表面採集かズリの土砂を篩って採集します。

4.産出鉱物

(1)鉄電気石【Schorl:NaFe3Al6(BO3)Si6O18(OH)4】
ここの鉄電気石は、太さは最大でも10mm程度で、細いものは、縫い針くらいのもの
まであります。長さは、今回採集したものは、4cm位が最大でした。結晶の表面の
輝きが強く、2本の電気石を打ち合わせると、「チャリン」と金属音がします。
かなりの確率(5%以上)で頭つきがあります。
また、母岩つきや水晶にインクルージョンとして入ったものや、水晶の表面に
結晶がついたものもあります。

都路産鉄電気石【左:分離結晶 右:母岩付き】
(2)煙水晶【Smorky Rock Crystal:SiO2】
ここの水晶は、煙水晶が多く、かなりの確率で鉄電気石が表面に付着していますので、
数面しかない水晶でも、丹念に見たほうがよい。
また、「松茸水晶」も採集しましたので、バラエティにも気をつけましょう。

水晶に付随する鉄電気石
福島県の石友が、「透明な柘榴石入り水晶」を採集したと言っていますが、実物を
近いうちに鑑定させていただく予定です。
(3)長石【Orthoclase:KAlSi3O8】
ピンク色に色付いた正長石の結晶を採集した。
(4)白雲母【Muscovite:KAl2Si3O10(OH)2】
白雲母の薄片や集合体などが採集できます。

5.おわりに

(1)ここの電気石は、直径は細いのですが、輝きが強く、頭つきもあり、是非採集品に
加えたいものの一つです。
(2)ここでの、採集にあったっては、必ず入り口の小和田さんの家に挨拶してから、入山
しましょう。駐車の場所なども指示してくれます。
2、3年前には、1日に車5、6台で来るほどの盛況で、小和田さんの家の前に迷惑駐車する
人や、産地で火災を起こし、小和田さん宅の裏まで火の手が迫ったこともあり、鉱物採集の人には
良い印象を持っておらないようです。
今回、キチンと挨拶し、許可を得て入山し、2回目と言うこともあり、採集が終わって、お礼の
挨拶に伺うと、高橋さんと私のために、トマトを冷やして待っていてくれました。
(3)「金穴」の由来については、「都路村史」に掲載されているとのことですので、問い合わせ
してみようと考えています。
(4)帰りに、川内村営温泉「天山の湯」に入って疲れを癒してきました。エレベータを備えた
雛には稀な立派な施設で、ジェットバス、サウナ、露天風呂そしてここ名物の洞窟の湯などバラエティ
にも富み、500円は安い。
(5)最後になりましたが、産地情報を提供いただいた、加藤さん親子に感謝します。
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