@形態別出現頻度
A未採集双晶形態
が、明らかになり、次回採集の目標を設定することができた。
なお、分類に当っては、「ペグマタイト」誌に掲載された、高田・星野両氏による
「日本式3連双晶とその分類」を参考にさせていただいた。
(2004年5月作成)
2.1 命名のルール
三ツ岩岳の三連双晶は、一般的に下記の様に命名されています。
2.2 結晶の形
「鳥形」「変形鳥形」そして「貫入」の3種類があります。
形 | 説明 | 説明図(120度型で示す) | 鳥形 | 胴体水晶(A)の頭もしくは尻から見たときに 鳥が翼を広げた格好に見える。 翼にあたる2つの水晶(翼B,翼C)は 対称の位置 (付け根が同じ位置) | 変形鳥形 | 鳥形と同じだが 翼にあたる2つの水晶(翼B,翼C)は 非対称の位置 (付け根の位置がズレている) | 貫入 | 鳥形双晶の2つの貫入水晶 (翼B,翼C)それぞれが 胴体水晶(A)を貫ぬいて 反対側に(翼B',翼C')として 頭を出ている。 貫入している水晶の軸は必ずしも 同一線上でなく、胴体水晶(A)の入口と出口で ”段違い”になっているケースも多い。 また、2つの水晶(翼B,翼C)の一方だけが 貫入していて、翼B'、C'の一方がない ”不完全”なケースも多い。 (両方無ければ、鳥形か変形鳥形) |
2.3 結晶のなす角度
水晶が「六角形」をして「六方晶系」と呼ばれることからも判る様に2つの「翼」や
「貫入水晶」は、”四方八方”ならぬ”六方”に成長します。その角度は
360°÷6=60°、つまり60°おきになり、2つの水晶(B,C)のなす角度は
60°の倍数(0,1,2,3)倍になり、 「0°」「60°」「120°」「180°」の4種類になります。
4倍にあたる240°型もあるのですが、360-240=120 で 「120°」型と同じ分類に
します。
@「鳥形」に「0°」型があるのは、”おかしい”と思われる通り、2つの水晶(B,C)が
ピッタリ重なって1枚に見えるもの、つまり普通にわれわれが『日本式双晶』呼んでいる
ものがこれに相当します。
A「変形鳥形」の「180°」型は、『貫入日本式双晶』と呼ばれ、三連双晶には含んで
いません。
B「貫入」の「180°」型は、「0°」型と同じ形態を示すので、「0°」型に含めても良いと
考えます。
つまり、三連双晶には、12種−3種(@,A,Bの例外)=9種があることになります。
これを一覧表にまとめると次の通りです。
形 角度 | 鳥形 | 変形鳥形 | 貫入 | 0° | 【日本式双晶】 | 変形鳥形三連双晶0°型 | 貫入三連双晶0°型 | 60° | 鳥形三連双晶60°型 | 変形鳥形三連双晶60°型 | 貫入三連双晶60°型 | 120° | 鳥形三連双晶120°型 | 変形鳥形三連双晶120°型 | 貫入三連双晶120°型 | 180° | 鳥形三連双晶180°型 | 【貫入日本式双晶】 | 【貫入三連双晶0°型と同じ】 |
形 | 角度 | 説明図 (矢印”←→”は双晶関係を示す) | 私の標本(恵与品を含む) | 出現頻度(ケ) (割合%) |
鳥形 | 0° 【日本式双晶】 図のように、縦の水晶が 下にのびていると 【y字形】となる。 | 341(ケ)(84.8%) | 60° | 4(ケ)(1.0%) | 120° | 7(ケ)(1.7%) | 180° | 0(ケ)(0%) | 変形鳥形 | 0° | 0(ケ)(0%) | 60° | 0(ケ)(0%) | 120° | 1(ケ)(0.3%) | 180° 【貫入日本式双晶】 【X形双晶】 | 45(ケ)(11.2%) | 貫入 | 0°(180°) | 0(ケ)(0%) | 60° | 出口側の1つが不完全 | 1(ケ)(0.3%) | 120° | 3(ケ)(0.7%) | 合計 | 402(ケ)(100%) |
4.2 まとめ
(1)三連双晶9種類のうち、5種類は採集できたが”完集”には至っていない。
形態によって産出頻度が大きく違う。鳥形180°、変形鳥形0°、貫入0°などは産出が
稀ということを裏付けている。
(2)三ツ岩岳の双晶は、もともと、複雑に結晶が入り組んだ群晶の中にあったもので
今回採集の中心となった分離結晶は、これらが自然に、あるいは先人の採集に伴って
分離(破壊)したものである。
”未採集”の形態は、もともと産出が少ない上に、破壊されてより単純な形になっている
可能性もあり、今後「群晶」の中から探すことも必要と思われる。
(2)三ツ岩岳の産地は、2002年に発見されて以来、大勢のマニアが押し寄せ大きく変貌して
います。
この産地の双晶は、大きなものでも2cmを越えるものは稀で、微細なものが
ほとんどで、採集したものをどのように整理・展示するか、悩みの種であった。
今回、このような形でまとめてみて、見方を変えるとまだまだ充分楽しめる産地だと
感じている。
今後、未採集品を気長に、集めてみたい。