号 | 発行年月日 | 発 表 題 目 | 備 考 | 第6号 | 1992年12月 |
・ 和田峠のザクロ石 ・ 山梨の鉱物 ― 塩山市竹森 ― | 第11号 | 1998年3月25日 | ・ 山梨県の水晶 | 水晶特集号 |
山梨県内の鉱物、とりわけ水晶を中心に寄稿したことがわかる。「山梨県の水晶」
では、天平時代(8世紀)から山梨県産の水晶が終焉を迎える大正期(1920年頃)ま
での、県内水晶産地の興亡も紹介させていただいた。
2006年5月、同じ山梨県内に住む、私のHPの愛読者のNさんから初めてメールをい
ただいた。Nさんは、山歩きをしながら、動植鉱物など、山梨の自然を満喫されている
とのことで、お住まいの近くでも「水晶」が採れる、と教えてくれた。その産地は、古い
文献にもなく、今まで知られていない産地だったので、訪れてみたいと伝えると、案内
していただけることになった。
この産地の水晶は、最大でも長さ2cmであるが、インクルージョンとして「緑簾石」が
入り、透明感の強いのが特徴である。また、「緑柱石」を思わせる産状の鉱物も共生
することある。
ここが水晶を採掘した場所なのか、まだ確認できていないが、近くには水晶産地と
して、文化11年(1818年)に完成した、「甲斐国史」に名前が載っている集落もあり
引き続き探査してみたいと考えている。
案内していただいたNさんに、厚く御礼申し上げます。
( 2006年5月 採集 )
(2) 緑簾石【Epidote:Ca2Fe3+Al2(SiO4)(Si2O7)O(OH)】
黄色〜黄緑色、ガラス光沢の針状〜細い円柱状結晶が集合体で産出する。
緑簾石は、水晶の中に取り込まれたものもあり、「ススキ入り」をなす元になって
いる。
(3) 針鉄鉱【Geothite:FeO(OH)】
俗に”褐鉄鉱”と呼ばれ、水晶を含む空隙や花崗岩の表面を茶褐色〜黒褐色
の皮膜や土状集合で覆っている。
「鉄鉱石」として、稼行するほどの量が産出したとは、考えられない。
5. おわりに
産 地 名 | 現在の行政区分 | 備 考 | 金峰(山)・瀑布水晶嶺 | 甲府市 |
瀑布が1つの産地なのか 瀑布水晶嶺が1つの 地名なのかは 不明 |
金峰(山)・東山玉小屋 | 甲府市 |
金桜神社に奉納されて いる水晶玉の 加工場所に関連? |
田野入り・天目山 | 甲州市(旧大和村) | 武田家終焉の地 | 石水寺・金子峠 | 甲府市 |
石水寺(せきすいじ)とは 現在の積翠寺で 金子峠の名も現存 |
栗原筋・石森丘熊野権現の社地 | 山梨市 | 泉水渓 | 甲州市(旧塩山市) |
「黒川金山」があった 泉水谷? |
玉森村玉宮の社地 | 甲州市(旧塩山市)玉森 |
小倉山のことで、 地元では「水晶山」と 呼ばれている 現在、採集禁止 |
牛奥通い明神の社地 | 甲州市(旧塩山市・奥野田村) | 河浦村雷平 | 山梨市(旧三富村) | 逸見筋・淺川村多麻の荘 | 北杜市(旧高根町) | 津金山の続き | (逸見筋・淺川村)須玉川 | 北杜市 | 旧須玉町? | 甘利の荘苗敷山 | 韮崎市 | 流れ川上流 | 北杜市(旧白州町) |
今回、Nさんに案内していただいた場所は、「雷平」からさほど遠くない場所で
ある。ここが「雷平」なのか、別に産地があるのか、今後の課題である。
(2) 今回Nさんに案内していただいた産地は、古い文献にもない、新産地である。
「甲斐鉱物誌」に新たな1ページを加えられそうである。案内していただいた
Nさんに、改めて御礼申し上げます。