ミネラル・マーケット 2015







              ミネラル・マーケット 2015

1. はじめに

    東京新宿で国際的なミネラル・フェアが開催されるのに合わせ、アマチュアが採集した標本
   を売る「ミネラル・マーケット」が東京飯田橋で開催される。
    昨年に続いて、11回目の訪問をした。妻に車で送ってもらい、竜王駅始発の特急列車に
   乗り込み、新宿駅で総武線に乗継ぎ、JR飯田橋駅で降り、ノンビリ歩いて会場に向かうと、
   開場15分前で、昨年と同じくらいの人々が列を作って並んでいた。以前は、建物の外にまで
   人の列が伸びていたから、人気に少し陰りが出ているのかも知れない。待っている人の中に見
   知った顔は数えるほどだ。

      
                 開場を待つ人々

    2015年から、会場が最上階7階の大会議室に変更になったので、10時半の開場の時間に
   なると2台のエレベーターがフル稼働で人々を運ぶ。(階段が使えない!?)
    いつもながら狭い会場に出店数が多く、人気のブースは黒山の人だかりで、標本を手にとっ
   て見るまで、しばらくの間待たなければならないほどだった。

    ざっと見て回ると、ここ2、3年の傾向だが新しい産地の標本が少ない。家を出る時に、妻に
   言われた、『もう、置く場所がありませんよ』、という声が聞こえてきて、3点ほど購入して、新宿
   のミネラル・ショーに向かった。
    ( 2015年6月 現金採集 )

2. 場所と規模

    2005年からJR飯田橋駅近くの「レインボービル」の会議室が会場になった。10時30分開場
   で、山梨からだと3時間近くかかる。
    15m×15mの大会議室と3m×15mの廊下(?)部分が会場だ。このスペースに約30店が、
   標本を所狭しと並べている。

       
                  「大会議室」                      「廊下部分」

    ここで、売られているのは、次のようなものであった。

     (1) アマチュアが自力で採集した国産鉱物や化石
     (2) 外国(中国など)産の鉱物・宝石・化石
     (3) 文献・図書・標本ケース・切手・写真など

    当然、国産鉱物標本のブースは黒山の人だかりで、外国産鉱物標本、化石、宝石のコー
   ナーはあまり人気がなく、気の毒なほど閑散としていた。
    最近、(再?)発見された新産地の情報を入手できるのもこのマーケットの特徴のひとつだっ
   たが、・・・・・。

3. 購入標本

 3.1 購入国産標本
    こういった売り立てで、私が購入するのは、次のような品である。

    @ 収集テーマ品・・・古い文献やそれに記載されている産地や山梨県周辺の産出標本、
                 そして、すでに採集している他の産地の標本との比較用
    A 新奇品・・・・・・・・初めて見聞きする産地あるいは標本
    B 見本品・・・・・・・・今後、産地を訪れる際の産状見本(採れなかったときの保険)
    C 残念品・・・・・・・・産地を訪れたが、採集できなかった。(含む、行き着けなかった産地)
                 あるいが、採集禁止や絶産などで、今後も採集できそうにないもの。
    D 贈呈品・・・・・・・・石友への贈呈用(恒例のミネラル・ウオッチングのオークション用)

    今回、購入したのは次の3点で、総額 2,000円余りだった。
   

No 区分  鉱 物 名   産    地     写     真     説     明
1 @ マンガノコルンブ石 山梨県
黒平
(くろべら)

            横 80mm
 分析済みとのこと。
マンガン(Mn)のほかに
微量のスカンジウム(Sc)
を含む。
2 @ 珪灰鉄鉱 長野県
竜王第二鉱山

          結晶面が見える部分
            【長さ 5mm】


               全体
           【長さ 75mm】

 過去に柱状結晶を
採集しているがそれらは
「褐鉄鉱」化している。
 それは、この産地のもの
だった。
 長野県○○○○鉱山の
       「珪灰鉄鉱」
( ILVAITE from **** Mine
       Nagano Pref. )
 新鮮で一部に結晶
面が見える標本なので購入

 2014年に買いそびれた
標本だった記憶がある。

 この標本には、磁性がない。
(あるとしても極めて弱い)
 「褐鉄鉱」化したものは
磁性を示すので、「褐鉄鉱」化
のプロセスで磁性が付与された
ことになる。

3 A 金雲母 朝鮮
遂安鉱山

             径60mm
 朝鮮の雲母鉱山の
絵葉書を入手していた
ので標本を入手

4. おわりに

 (1) 『続々と新産地』は昔話?
      「ミネラル・マーケット」を訪れる楽しみの一つは、新しく発見された産地の標本を見て、
     それとなく産地の情報を入手することだった。ここ1、2年、新しい産地の標本をほとんど見
     かけなくなった。
      古い石友・Tさんが「茨城県高取鉱山の母岩付菱マンガン鉱」と「茨城県山の尾のベリ
     ル(緑柱石)」などの素晴らしい標本を並べていた。

       
              「菱マンガン鉱」               「ベリル」

      話を聞くと、「菱マンガン鉱」は、昔働いていた坑夫から譲り受けたものだ。「山の尾」の
     標本は、20年近く昔、私が茨城県に単身赴任していたころ、「山の尾」に行くとTさんに何
     回か会った。
      一人で黙々とズリを掘っていて、「俺は宝石級のしかいらないから、持っていけ」、と緑柱
     石の母岩付や単晶をいただいたことがある。その当時の「宝石級ベリル」のようだ。

      『続々と新産地』は昔話になってしまうのだろうか?

 (2) 『石友との出会い』
      会場で肩を叩かれ、振り返ると古い石友・愛知のKDさんだった。石友・Kさんも一緒だっ
     た。ひとしきり、南極の話をした後、HPに載せた甲武信鉱山の話になった。

      ・ 長野県甲武信鉱山『四坑(しこう)』の鉱物
      ( Minerals from No 4 shaft of Kobushi Mine
                            Kawakami Village , Nagano Pref. )

      湯沼鉱泉社長から、この産地を見つけたのは、Kさんだと聞いてはいたが、本人の口から
     発見当時の生々しい話を聞くことができた。

      私が、甲武信鉱山が初めてのKさんを案内したのは、平成5年ごろだから、20年以上昔
     だ。その後、Kさんは一人で甲武信鉱山を探査するようになり、この坑道で小さな針水晶
     を見つけ、その壁を叩いたら、平板草入り日本式双晶が10枚以上ついたクラスターを採集
     した。
      社長も言うように、「産地を探すのに興味があって物欲のない」Kさんは、何人かに産地を
     教え、駆け付けた東京・H氏、愛知・H氏、滋賀・K氏などが良い標本を採集したらしい。
      それは、20年も昔の話だ。

      会場では、『月遅れGWミネラル・ウオッチング』を楽しみにしてくれているMs.Tさんや名古
     屋のTさん一行にもお会いした。

 (3) 『MH農園』
      本格的なミネラル・ウオッチングシーズン到来だ。フィールドに出るのに気になるのが『MH
     農園』の野菜たちだ。
      5月は例年になく夏日が多い上に雨が少なく、苗が枯れないように毎日のように水やりに
     行っていた。
      『日照りに飢饉なし』のことわざ通り、水さえやれば、作物の出来はまずますずだ。昨年の
     晩秋に植えた「ニンニク」と「赤玉ねぎ」の収穫が終わった。「ニンニク」は一年分が確保で
     き、台所に吊るしてスパイスとして大活躍だ。
      「赤玉ねぎ」は、サラダや冷奴の薬味として重宝している。

       
                  「ニンニク」                      「赤玉ねぎ」

      春になって播いた種や苗も順調に育っている。トマトは3段目まで花が咲き、今年も10段
     に挑戦だ。スイカは、植えた後の台風並みの強風で苗が折れ、何回か植え直したが、よう
     やく根付いたようだ。夏のミネラル・ウオッチングには食べていただけそうだ。

       
               「トマト」                     「スイカ」

      畑には、オーバーだが『(雑)草一本生えていない』状態まで仕上げたので、心置きなく
     ミネラル・ウオッチングに出られそうだ。

5. 参考文献 

 1) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,長島乙吉先生祝賀記念事業会,昭和35年
 2) 草下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1988年
 3) 山田 滋夫:日本産鉱物 五十音配列 産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
 4) 松原 聰、宮脇 律郎著:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
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