ミネラル・マーケット 2014







              ミネラル・マーケット 2014

1. はじめに

    東京新宿で国際的なミネラル・フェアが開催されるのに合わせ、アマチュアが採集した標本を売
   る「ミネラル・マーケット」が東京飯田橋で開催される。
    昨年に続いて、10回目の訪問をした。前夜、妻と山梨から車で千葉の三男の家に行き、一泊し
   翌朝、妻に車で京成津田沼駅まで送ってもらい、JR飯田橋駅で降り、ノンビリ歩いて会場に向か
   うと、開場15分前で、大勢の人々が列を作って並んでいた。
    列の中に、長野県の石友・Mさんの姿を認め、開場までのわずかな時間だったが、近況や産地
   情報を交換をした。

       「ミネラル・マーケット」【2014年】

    開場すると3つの部屋(2014年からひとつ増えた)に、”どっ”、と人がなだれ込み、人気のブース
   は黒山の人だかりで、標本を手にとって見るのには、しばらくの間待たなければならないほどだっ
   た。

    いろいろ欲しい標本はあるのだが、『そんなに買ってどうするの』、という声が聞こえてきて
   数点ほど購入して、新宿のミネラル・ショーに向かった。

     ( 2014年6月 現金採集 )

2. 場所と規模

    2005年からJR飯田橋駅近くの「レインボービル」の会議室が会場になった。10時30分開場
   で、千葉からだと予想外に近く、9時過ぎに京成・津田沼駅を出て、開場15分前に到着した。
    10時30分ジャストに開場。並んでいた人々が”ドッ”、となだれ込む。10m×15mくらいの2部屋
   と5×10mの部屋、あわせて3部屋に約30店が、標本を所狭しと並べており、立錐の余地もない
   ほどだ。
    ここを観て、新宿のミネラル・フェアに回るのが一般的なコースのようだ。

    ここで、売られているのは、次のようなものであった。

     (1) アマチュアが自力で採集した国産鉱物や化石
     (2) 外国(中国など)産の鉱物・宝石・化石
     (3) 文献・図書・標本ケースなど

    当然、国産鉱物標本のブースは黒山の人だかりで、外国産標本、化石、宝石のコーナーは
   あまり人気がない。
    最近、(再?)発見された新産地の情報を入手できるのもこのマーケットの特徴のひとつだ。

3. 購入標本

 3.1 購入国産標本
    こういった売り立てで、私が購入するのは、次のような品である。

    @ 収集テーマ品・・・古い文献やそれに記載されている産地や山梨県周辺の産出標本、
                 そして、すでに採集している他の産地の標本との比較用
    A 新奇品・・・・・・・・初めて見聞きする産地あるいは標本
    B 見本品・・・・・・・・今後、産地を訪れる際の産状見本(採れなかったときの保険)
    C 残念品・・・・・・・・産地を訪れたが、採集できなかった。(含む、行き着けなかった産地)
                 あるいが、採集禁止や絶産などで、今後も採集できそうにないもの。
    D 贈呈品・・・・・・・・石友への贈呈用(恒例のミネラル・ウオッチングのオークション用)

    今回、購入したのは次の9点で、総額 5,000円弱 だった。
   

No 区分  鉱 物 名   産    地     写     真     説     明
1 @ 褐簾石 岩手県
上乙茂
(かみおとも)

               横 30mm
 「日本希元素鉱物」に
記載された有名産地だが、
未だ訪れたことがない。
 「褐簾石」は水晶山に次いで
本邦第二の産地、とある。
 周辺の長石は赤褐色に
変色している。
 表面や中に「変種ジルコン」や
「ウラノトール石」があるらしいが
この標本では観察できない。
 「乙吉」と同じく「乙」を”おと”と
読むのも何かの縁か。
2 @ 黒水晶 福島県
石川町
   
              長さ 31mm
 過去に採集した石川町の水晶で、
頭付き、錐面・柱面が平滑なのは
珍しい。
3 @ ライン鉱 山梨県
乙女鉱山
   
              長さ 32mm
 山梨県産では「日本式双晶」
と並んで、有名な”鉱物”
4 @
B
カミントン閃石 山梨県
大月市

            結晶長さ 19mm
 「造岩鉱物読本」に記載の
有名産地、だと後で知った。
5 @
A
モルデン沸石 山梨県
西八代郡

               横 30mm
 初めて聞く産地
6 @ ガイロル石 山梨県
大月市

             部分【横 30mm】


               全体【横 90mm】

 『 ガイロル石は六角板状の形態が
  知られているが、細長くなったものが、
  放射状集合を造ったり、羽毛状や
  繊維状になったりする 』、とある。

 産地の採石場は立ち入り禁止
のはず

7 C 満バン柘榴石 茨城県
岩間市

               横 48mm
 現在、産地は立ち入り禁止
のはず。
8 C 赤銅鉱
自然銅(?)
福島県
御斎所鉱山

               横 5m
 亡くなった福島県の石友・S氏に
案内してもらったことがあったが、
自力では採集できなかった。
 今後も自力採集の可能性は
極めて低い。
9 D 藍銅鉱 栃木県
小来川鉱山

               横 95mm
 小来川鉱山は、石友を案内し何度か
訪れているが、このように大きな標本は
誰も採集できなかった。
 見た目が汚らしいので皆さんに
敬遠されたようで、売れ残って
いた。
 500円、という廉さも私には魅力だった。

4. おわりに

 (1) 続々と新産地、新産鉱物
      「ミネラル・マーケット」を訪れる楽しみの一つは、現在フィーバー(古いネ)している産地情報
     が入手できることだ。
      Yグループの皆さんが多数出品していたのは、『群馬県南牧村(なんもくむら)の紫水晶』、だ
     った。先細りで5センチクラスで形はまずまずだが、不透明の濁った紫色なのと値段が数千円
     から、一寸気に入ったものは2万円を超え、年金生活者では見送らざるを得なかった。

      古くから知り合いのY氏にそれとなく”産地の探り”を入れると、”ニヤニヤ”しながら、「MHが
     書いている場所ですよ」、と言われ、「??」。

      ”あそこか”、と思い当たり、近いうちに探査に出かけねば、と思いつつ1ケ月以上が過ぎた。

 (2) 古泉は今 『山梨県夜子沢の石膏』
      開場を待っている間、石友・Mさんの口から「山梨県夜子沢(よごさわ)の石膏」の話が出た。
     ここは、甲府の自宅から車で一時間足らずで着く産地の一つなので、平成元年に山梨に転勤
     したばかりのころ、何度か訪れたことがあった。
      しかし、平成12年(2000年)に訪れると、産地は埋め立てられ、2002年に訪れると草木も生
     い茂り、どこがポイントだったかも定かでなくなりかけていた。

     ・ 2002年9月山梨県夜子沢の透石膏
      (Gypsum of Yogosawa in Sep. 2002 , Nakatomi Town , Yamanashi Pref.)

      あれから10年以上が経った2014年6月末、静岡県での用事を済ませた帰りに旧中富町を通
     りかかった。まだ3時を少し回ったころだったので、産地を訪れてみた。

      
                       産地の様子
                      【2014年6月】

      10年前に比べ、いっそう草木が生い茂り、産出ポイントはわかり難くなっており、露頭を叩い
     た痕跡はあったが掘り返した跡はなかった。

      『 いつまでもあると思うな、□□と○○ 』、この産地も、『幻の産地』になって久しいようだ。
     現在でも「夜子沢の石膏」はケース入りのものが1,000円も出さずに、オークションやミネラル・
     ショーで手に入れることができるが、産状がわかる標本はまったく見かけない。
      実は、いつかはこのような時が来るだろうという予感がしていた。石友を案内したとき、石膏
     そのものより、石膏が産出する落ち葉や短く折れた木の枝が混じった粘土に興味をもち、買い
     物袋に入れて持ち帰っていたのだ。
      産状がわかる『母岩付き』、と同じで、今となっては貴重な標本だ。

 (3) 『山桃(ヤマモモ)』
      6月末のある日、妻が「これ何の実かしら?」、と1センチくらいのほんのり赤く色づいた果実を
     数粒持ち帰った。

      
         ♪ この実なんの実 気になる実 ♪

      春(初夏?)恒例の「月遅れGWミネラル・ウオッチング」で私の車に同乗した農学士の奈良・
     YさんからMH農園の野菜つくりの注意点や山野草から食べられる野生の木の実まで薀蓄(う
     んちく)を拝聴していた。
      どのくらい熱心に聴いたいたかは、後を走った兵庫・N夫妻から、「いつもだとMHは”ビューん”
     と飛ばすのに、今日は90km/時くらいで大人しかったですね」、と言われたほどだ。

      話の中に、「ヤマボウシ」がでてきた。花期が長く、山梨では6月末でも咲いていた。妻が持
     ち帰った実を見て、まず思いついたのが「ヤマボウシ」だった。でも、今花が咲いているから実
     がこんなに大きくなって、色づくはずがないから「ヤマボウシ」でないことはわかった。手持ちの
     「樹木検索図鑑」を引いてみたが、何の実かわからず仕舞いだった。
      6月末、用事があって静岡県に行ったら、くだんの木の実が落ちていた。近くの人に、「この
     木は何ですか?」、と聞くと、「たしか、何とかモモだ」、と言うので、思いついたのは名前だけは
     聞いたことがある「ヤマモモ」だった。

         
                 静岡                   甲府
                        「ヤマモモ」の木

      帰宅して、「樹木検索図鑑」の「ヤマモモ」のページを見ると、間違いなく「ヤマモモ」だった。
     暖地に生えるヤマモモ科の常緑高木で、関東南部から西、四国・九州にまで分布するようで
     北関東以北で育った私にとって馴染みのない木だった。
      甲府の公園に植えられている何本かの木の中で、実がついているのは1本だけだったが、
     「雌雄異株」、と知って納得だ。
      実は、食用とある。早速、何粒かを冷凍したので、夏休みに「ライチ」が好きな孫娘が来たら
     食べさせようと思っている。

 (4) ミネラル・ウオッチング ガイド
      T大の3年生になったYさんから、「昨年のミネラル・ウオッチングが部員に好評で、今年も実
     施したい」、とのメールをもらった。「今年入部した1年生は積極的だ」、とも添えてあった。
      昨年は交通渋滞に巻き込まれ、メインの産地を訪問できなかった学生は心残りだったらしく、
     ガマ(晶洞)から出した水晶巨晶も魅力的だったようだ。

     ・2013年夏 T大学地学ゼミ ミネラル・ウオッチング in Nagano
      ( T Univ. Geology Semi. Mineral Watching Tour , Aug. 2013 , Nagano Pref. )

      湯沼鉱泉に宿泊してのミネラル・ウオッチングを楽しみにしている。

5. 参考文献 

 1) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,長島乙吉先生祝賀記念事業会,昭和35年
 2) 佐野 佐、石戸 忠:原色 樹木検索図鑑,北隆館,昭和61年
 3) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,長島乙吉先生祝賀記念事業会,昭和35年
 4) 草下 英明:鉱物採集フィールドガイド,草思社,1988年
 5) 加藤 昭:沸石読本,関東鉱物同好会,1997年
 6) 加藤 昭:造岩鉱物読本,関東鉱物同好会,1998年
 7) 山田 滋夫:日本産鉱物 五十音配列 産地一覧表,クリスタル・ワールド,2004年
 8) 松原 聰、宮脇 律郎著:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
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