ミネラルマーケット・2010

              ミネラルマーケット・2010

1. 初めに

    東京新宿で国際的なミネラル・ショーが開催されるのに合わせ、アマチュアが自分の採集
   品を売る「ミネラルマーケット」が開催される。
    昨年に続いて、6回目の訪問をした。飯田橋の駅で降り、信号待ちをしていると、千葉のS
   さんに声をかけられた。開場まで30分以上あり、「千葉石」など四方山話をしながらノンビリ
   会場に向かった。
    開場を待つ列の後ろに並ぶと、前には愛知の石友・KDさん、KNさんが居て、近況を話し込
   んでいると、アッと言う間に開場の時間になった。

    会場を見て回ると、結晶(仮晶)のハッキリしない塊に毛の生えたような「乙女鉱山のライン
   鉱」に20万円の値段が付いているなど、国産鉱物の古いもの、新産地のもの、そして日本
   産新鉱物には”目が飛び出る値段”がついているケースがあった。

    それでも、この歳まで元気で働いている”自分へのご褒美”として、古典的な標本2点と
   新産鉱物1点を購入し、新宿ショーに向かった。

     ( 2010年6月 現金採集 )

2. 場所と規模

    2005年からJR飯田橋駅近くの「レインボービル」の会議室が会場になった。10時30分開
   場で、千葉からだと予想外に近く、30分前に到着すると、70名ほどが既に並んでいた。
    10時30分少し前に開場。並んでいた人々がドッ、となだれ込む。10m×15m程度の2部
   屋に約20店ほどが、標本を所狭しと並べており、最初は立錐の余地もないほどであったが、
   30分も過ぎるとアチコチに隙間ができてきた。

     会場風景

    ここで、売られているのは、次のようなものであった。

     (1) アマチュアが自力で採集した国産鉱物や化石
     (2) 外国(中国など)産の鉱物・宝石・化石
     (3) 文献・図書・標本ケースなど

    当然、国産鉱物標本のブースが黒山の人だかりで、外国産標本、化石、宝石のコーナーは
   あまり人気がない。

3. 購入標本

 3.1 「あなたは、おもちですか?」
     岡本要八郎先生と桜井欽一先生が書いた ”「あなたはおもちですか?」鉱物コレクター
    の資格審査”という記事に目が止まり、その内容について、私のHPで紹介させていただいた。

        「あなたはおもちですか?」
     鉱物コレクターの資格審査
     ( How Many Specimens do you have ? , Qualification of Mineral Collector )

    それ以来、フィールドやミネラルショーでは、日本産鉱物50種+【番外4種】、計54種を積極
   的に追いかけてきた。2010年春、兵庫県の石友・N夫妻に「眉山のルチル」を恵与いただい、
   たおかげで”完集”でき、『Collector』としての自分の1つの目標が達成できた。

 3.2 購入国産標本

    こういった売りたてで、私が購入するのは、次のような品である。

    @ 残念品・・・・・・・・産地を訪れたが、採集できなかった。(産地に行き着けなかった)
    A 収集テーマ品・・・古い文献やそれに記載されている産地の標本
    B 見本品・・・・・・・・産地を訪れる際の産状見本(採れなかったときの保険)

    今回、購入したのは次のような標本だった。
    

    産 地      鉱      物          産            状 価 格  備   考
山梨県
乙女鉱山
日本式双晶
QUARTZ
SiO2


             両翼 71mm

ご想像に
お任せします
 古典的産地の
超有名標本

 乙女鉱山の
ベテランの昔話
「70mmを越える
ものは自力採集
の限界かも  」

 右の羽は両錐
綺麗に洗ってない
のも気に入った

新潟県
綱木
(つなぎ)
紫水晶/石英
【Amethyst
 /QUARTZ】
SiO2

   

             高さ 40mm

○万円
 古典的産地の
幻の標本
長野県
金鶏鉱山
セリウム・
フローレンス石
FLORENCITE-(Ce)
CeAl2(PO4)2(OH)6


           拡大


       全体【横 65mm】

10,000円
 2010年、月遅れ
GWミネラル・
ウオッチングで
訪れたが未採集

4. 綱木の紫水晶

    会場を回っていると、”商売っ気”なさそうに、10点ほどの標本が並んでいるテーブルがあっ
   た。出品者は、古い石友の一人、Tさんだった。標本の1つに、見慣れない『紫水晶』があり、
   産地を聞くと、「綱木」とのこと。値段は、□万円だが、○万円にしてくれるというので、すぐに
   買った。

    私が鉱物採集を始めて間もない25年近く昔、ものの本で読んだ国内の紫水晶の古典的
   産地の1つに、「綱木」の名前があった。記憶を頼りに、それらの産地を表にしてみた。

 産地所在地訪山標本入手  備  考
遊泉寺加賀(石川県)遊泉寺銅山跡
小原磐城(宮城県)雨塚山のこと
藤屋伯耆(鳥取県)××現鳥取県
綱木越後(新潟県)現三川村

    これらの産地を訪れ、自力採集してみたいと思っているが、「綱木」は三川鉱山でのミネラ
   ル・ウオッチングの度に思いだすのだが、未だに産地を探し出せていないし、売り立てで見
   るのも今回が初めてだった。
    そんな訳で、飛びつくように買った次第だ。

    残っているのは、『藤屋の紫水晶』だが、千葉でのコンサルタント業が片付いたら、訪れる
   のを楽しみにしている。
 

5. おわりに

 (1) 石友との出会い
      会場の中で、「MHですか?」、と声を掛けられた。名前は分からないが、顔に見覚えが
     あった。”健脚ならぬ健忘気味”の脳みそをフル回転し思いだすと、月遅れGWミネラル・
     ウオッチングで湯沼鉱泉に泊まった時に居合わせた人だった。
      名刺交換して、名前がTさんだと知った。フィールドに出られる日に制約があるようだが、
     ぜひご一緒にミネラル・ウオッチングしたい1人だ。

 (2) ”新宿ミネラル・ショー”
      この後、新宿のミネラルショーを訪れた。ここで、国産鉱物を探そうというのが大きな間
     違いだと改めて感じた。国産鉱物の里帰り品は目新しいものがなく、値段も”円高”を全く
     反映していない。

       「新宿ショー」2010年

      同志会のブースに「千葉石」が置いてあったが、小さなカケラが10,000円では、買おう
     という気にもならなかった。

      古い標本店で、S氏が「金石社の古い標本から出てきた」、というので「フランクリン鉱
     山の紅亜鉛鉱」を2つ購入し、会場を後にした。

5. 参考文献 

 1) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
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