最初に訪れたのは、南相木村三川の日本式双晶産地だった。ここは、湯沼鉱泉社長が
発見した産地で、10人くらいにしか知られていないようだ。
露頭の石英脈が走る部分や褐鉄鉱に汚れた部分を叩くと晶洞があり、うまくすると日本
式双晶があるのだが、今回幅10cmほどの晶洞に最大12mmを筆頭に数枚の双晶があった。
貴重な産地を開拓してくれた湯沼鉱泉社長と案内してくれた小Yさんに、厚く御礼申し上げ
る。
( 2009年4月採集 )
(1) 水晶日本式双晶/石英【Japanese Law Twin/QUARTZ:SiO2】
2つの水晶が84度33分の角度で交差している双晶で、その形状から、夫婦(めおと)
水晶、蝶形双晶(Butterfly Twin)あるいは鎌(鎌形)水晶等と呼ばれている。
その形状を”ハート形”、”軍配形”、”蝶形”などとも呼ぶ。
(1) 腐っても日本式双晶
私の持論の1つに『ミネラル・ウオッチングは水晶に始まり、水晶に終わる』 がある。
そうなると、『日本式双晶』は、最終目的の頂点の1つだ。ある人が、「水晶あるところ
必ず日本式双晶あり」、と言っているが、日本各地で日本式双晶は採集可能だ。しかし
山梨県北部から長野県川上村、南相木村にかけてはとりわけ日本式双晶産地がかた
まっていて、今回訪れたのはその1つだった。
小Yさんに、「こんな細い脈から日本式双晶を探すとは、さすが Mineralhunters だ」と
変な感心のされ方だった。採集できたのは、両翼1cm前後で、口の悪い人に言わせれば
「褐鉄鉱で黄色く色づいた”腐ったような”」標本だったが、新しい産地で採集できたこと
に意味がある。
私にとっては、『腐っても日本式双晶』、である。