2007年10月 東海ミネラルウオッチングの旅 ― ダイジェスト版 ―

      2007年10月 東海ミネラルウオッチングの旅
             ― ダイジェスト版 ―

1. 初めに

   2007年9月に開催した、『苗木地方の古典的産地と鉱物を訪ねて』と題したミネラル
  ウオッチングの「標本玉手箱」と「オークション」には、私の興味を引くいくつかの標本
  が出品された。

No 鉱物 産地 出品者 結果  備 考
1 紅柱石
(サファイアを伴う)
三重県奥鹿野
(おくがの)
三重・Tさん
(初参加)
×愛知・Iさんがゲット
(シッカリとチェック)
2 デゾーテルス石 三重県白木 三重・Tさん
(初参加)
「霰石」の
古典的有名産地
3 エシキン石 三重県湯の山 滋賀・Nさん ○(現金採集)「地学研究」
2007年9月号掲載
の最新産地

   なぜか、三重県の鉱物にばかり眼が行ったようだ。これは、『 近々、訪れるべし 』
  とのお告げなのか、と以前のページに書いた。

   私のHPがキッカケで知り合った、愛知県のKさん夫妻もこのミネラルウオッチングに
  参加してくれ、「田立のアマゾナイト」が採集でき、大喜びだった。
   夫妻は、『GOGOヘナK小隊』というブログを立ち上げているので、以下、ご主人を
  ”兵長”、奥さんを”小隊長”と呼ぶことにする。ちなみに、私は”大隊長”

   ヘナK小隊の斥候活動で、三重と滋賀の県境「石榑峠」附近で、「天河石」を捕獲した
  との情報が入ったのは、2005年の暮れだった。2006年4月、「第1次三重方面探査
  作戦」をヘナK小隊と合同で遂行したが、石榑峠への道路が雪のため通行止めで
  涙を呑んだ。
   地元産地に詳しいT伊勢支隊長、エシキン石の動向に精通するN近江支隊長
  にも応援を要請し、快諾いただき、「第2次三重方面探査作戦」を2日間にわたり
  遂行した。

   【第1日目】
    ヘナK小隊と「桑名IC」出口で合流したわれわれが「宇賀渓」駐車場に着くと既に
   N隊長とT隊長の両名は到着していた。小雨がぱらついているが作戦に支障なし、と
   判断し、出発!!
   @「石榑峠」・・・・・・・・・・・塊状・青緑色「天河石」(全員)
   A「菰野町」・・・・・・・・・・・母岩付きおよび分離結晶「藍鉄鉱」(全員)
   B「湯の山」・・・・・・・・・・・母岩付きセンチオーバー「エシキン石」完全結晶(N隊長)
                  これに準ずる自形結晶(兵長)
                  数段見劣りするが、一応自形結晶(大隊長)

    「これで、自慢できるエシキン石が採れた」と大満足のN隊長とお別れした後、
   海なし県に住むわれわれのため、小隊長が予約してくれた二見町「夫婦岩」近くの
   民宿「潮騒」に夕闇迫るころ到着。一風呂浴びた後、サザエなどの海産物や野菜
   を網の上で自分で焼きながら生ビールを飲むと、1日の疲れが吹き飛んだ。
    部屋に戻って、「作戦会議」に夢中になっていると、いつの間にか22時近くになり、
   消灯。”潮騒”を子守唄代わりに、Zzz・・・・・・・・・・・

   【第2日目】
    われわれ夫婦が日の出前に「夫婦岩」に行くと、台風の余波で波は高いが雲1つ
   ない青空で、日の出を拝む。
    白木駅で、T隊長と合流する。雲ひとつない青空で、2日目の作戦開始だ。
   ( これで、”雨男”は、N隊長に決定。そういえば、2日間雨に祟られた、9月のミネ
    ラルウオッチングにもN隊長はいたよな・・・・・・・蔭の声 )

   C「白木」・・・・・・・・・・・・・「霰石」「デゾーテルス石」「灰クロム石榴石」(全員)
                  「ヴァニア石??」(兵長)
   D「奥鹿野」・・・・・・・・・・・紅柱石に伴う「サファイア」(全員)

    以上のように、赫々たる戦果を上げ、甲府に帰還したのは、21時少し前だった。

    絶産と思われた産地で「サファイア」が、初産と思われる「白木の灰クロム石榴石」
   そして「地学研究」誌に掲載されたものより素晴らしい「エシキン石」が採集できて
   大満足である。
    これも、ヘナK小隊、N隊長、T隊長の御蔭と、深く感謝している。
  ( 2007年10月採集 )

2. 【第0日目:予行演習】

 (1) 信州の秋を満喫
      金曜日の早朝眼が覚めると、”シトシト”と嫌な音がする。山梨県から三重県
     までの道のりは遠い。還暦を過ぎた身体には、途中休憩を兼ねたミネラル・ウ
     オッチングが必要だ。
     ( と、言うのは言い訳で、本当は、遠くまで行くのだから、できるだけ多くの産
      地を回りたい、と言う”貧乏癖” )

      韮崎ICから中央道にのり、諏訪湖SAで朝食にする。ここの「朝食バイキング」
     は、値段の割りに、品数豊富、味もよくなかなかのものだ。
      諏訪湖の秋景色を眺めながら、シッカリいただく。

        
          諏訪湖                「朝食バイキング」
                  諏訪湖SAのひとこま

   (2) 苗木でサファイアに再挑戦
     2007年9月のミネラル・ウオッチングの後、参加した愛知・KNさんから、次のような
    嬉しい(反面、憎らしい)メールが届いた。

     『 10月××日(日)午後半日、木積沢へ錫石を採集にでかけました。教えて
      いただいたところの続きで採集させていただきました。
       ・・・・・・・・・・・・・・・
       採集の成果ですが。1センチ幅の錫石が2個にあとはそれ以下のサイズで
      した。
       トパーズは小さなかけらだけで大きめのサイズは取れませんでした。前回が
      良すぎたのですかね。        ・・・・・・・・・・・・・・・
       乾かして希元素鉱物がないか探してみたところサファイアが入ってました。
       サフアイアは六角形の周囲が薄く真ん中が少し濃い目の幅2ミリ厚さ1ミリ
      幅3ミリ厚さ2ミリ、幅4ミリで半分に割れたものの3個が採集できました。
       産地を教えていただきありがとうございました。
       ・・・・・・・・・・・・・・・・                                』

     9月のミネラル・ウオッチングで皆さんを案内した場所に行くと、KNさんが”川
    浚い”した場所がありありとわかる。われわれもその上・下流を浚ってみた。
     「トパズ」、「錫石」そして「苗木石」などの希元素鉱物は出るのだが、これぞ
    「サファイア」には、現地ではお目にかかれなかった。

        
          サファイア産地            「苗木石」
                   木積沢と採集品

       2003年には、3日かかって3粒だったかしか採集できなかった「苗木石」が、
    2時間足らずで2粒採集できたのだから、良しとして引き上げる。

 (3) 中津川市鉱物博物館「第11回企画展」
      苗木地方を訪れる楽しみの1つは、中津川市鉱物博物館を見学することだ。
     今回もタイミング良く、「第11回企画展 石に聞こう! 20億年のあゆみ」と
     題して、『-岐阜県の石-』の展示があった。
      会期が10月28日(日曜日)までなので、ぎりぎりセーフだった。

      岐阜県は、日本最古の岩石と化石が発見されている反面、「セリウムヒン
     ガン石」など5種の日本産新鉱物が発見されている、ホットな地域でもある。
      われわれ夫婦の興味の中心は、「苗木地方の鉱物」で、径15mm、長さ60
     mmを越える「緑柱石(アクアマリン)」には、”ベリルの女王”なる異名をもつ
     ”小隊長”ならずとも、眼を惹きつけられてしまった。

        
           展示会場            「緑柱石」
                   「第11回企画展」

      ここでは、「企画展の図録」と11月のミネラル・ウオッチングの「玉手箱」に出
     品する標本を入れるケースも購入した。
      ( 気が早い〜・・・・・・・・・・蔭の声 )

 (4) 中津川と言えば「栗」
      集合場所の「桑名IC」に行く途中、「紅岩山荘」に立ち寄り、熱めのお湯で
     冷えた身体を暖め、採集の汚れを落とす。
      この時期の中津川、と言えば「栗」が旬。「川上屋」に立ち寄ると、栗を使った
     ケーキがある。私は大好きな「モンブラン」、妻は「栗トルテ」を注文し、コーヒー
     を飲みながら喫茶コーナーでいただく。甘さを抑え、栗本来の味を引き出した
     美味しさに、舌鼓を打つ。モンブラン420円の値段も納得。

        
           モンブラン              栗トルテ
                   「川上屋」で”お茶”

 (5) 「大山田PA」の夜は更けて
     恵那ICから再び中央道にのり、19号線に一度下り、東名阪の大山田PAに
    20時過ぎに到着した。PAなので小さいのかと思いきや、駐車スペースも広く
    24HRコンビニもあり、われわれが車中泊するのにピッタリ
     ワインを飲むと、採集と運転の疲れもあり、すぐに Zzz・・・・・・・
     夜中に、台風の影響で風雨が一時強かったようだが、すべて夢の中

3. 【第1日目:「エシキン石」を目指せ!!】

 (1)「桑名IC」に集合
     朝6:30に起きると、小雨がパラついている。でも、これから向かう南西の空は
    心なしか明るい。( 希望的観測も交じっている )

      「大山田PA」の朝

     朝食をシッカリ食べ、昼食を調達し、ヘナK小隊との合流点「桑名IC」出口に
    向かう。7:40にICを出ると、既にヘナK小隊の軍用車”RAV4"が待っている。
     挨拶もソコソコに、「宇賀渓」駐車場を目指して、出発!!

 (2) 「幻の天河石があった!!」
     大安町宇賀渓谷の入口・駐車場で、地元産地に詳しいT伊勢支隊長、エシキン
    石の動向に精通するN近江支隊長の応援部隊と合流した。N隊長は、7時から
    ここで待っていたと、この日の「エシキン石」に賭ける意気込みが違う。
     ( 何、歳のせいで朝早いだけ・・・・・・・・・蔭の声 )

     ヘナK小隊車を先頭に、4台車列をつくって、「石榑峠」を目指す。とある場所で
    駐車し、採集用具を準備し、産地に向かう。時折、雨が強まるが、ひるまずに
    進む。先頭の兵長がこのあたりに露頭があった、と説明する。それが崩れたあ
    たりで、「天河石」のカケラを発見!!
     すぐに、兵長が露頭を突き止め、そこから直接採集する。露頭を崩してみると
    天河石の脈は続き、大き目の標本をいくつかゲット
     田立のものに比べ、色はやや薄いが、「幻の産地」で露頭から採集したことに
    大きな意味がある。ヘナK小隊が発見した2005年暮れから、2年近くかかって、
    ようやく征伐できた。ヘナK小隊 ”功一級!!”

        
         兵長の産地探索              天河石
                     幻の「天河石」

 (3) 「藍鉄鉱」が採れた!!
     四日市周辺では「藍鉄鉱」が採集できると各種のガイドブックにあるのだが、
    現在でも採集できる場所となるとなかなかないようだ。
     地元の利を活かし、T隊長が最近発見した場所に案内してもらう。T隊長車を
    先頭に峠道を下り、「菰野町」の産地に到着した。
     なるほど、昔読んだガイドブックにあった、厚さ5m以上の”青色粘土層”が水
    平に堆積している。
     T隊長から指示されたポイント周辺には、”鮮やかな青色”をした「藍鉄鉱」が
    点々と見える。”小隊長”は「採れないと思っていたのが、採れた!」といささか
    興奮気味で、あれこれと”兵長”に指示を出す。しかし、兵長は、折からの雨で
    ”ぐちゃぐちゃ”になった泥の中で悪戦苦闘している。
     私は分離結晶だけでなく、産状が良く解る、母岩(?)に含まれた標本もシッ
    カリと確保した。また、産出したときは、真っ白で、酸素に触れると青色に変色
    することも、わが目で確認できた。
     ここでは、T隊長が確保した「高師小僧」を皆がおすそ分けしていただいた。

        
            産地             白から青に変色
                    「藍鉄鉱」

 (4) 「エシキン石」センチオーバー自形結晶が採れた!!
      第1日目のメインである「エシキン石」の産地に向かって、N隊長が先導してく
     れる。駐車スペースに到着すると、『こんな場所で??』、と思うような産地らし
     からぬ風景だ。
      雨は降り続いていて、”腹が減っては戦ができぬ”、と車中で昼食を摂る。

      ”露頭叩き”念のため”パンニング”、和戦両様の採集道具を携え、産地に
     向かう。N隊長の説明によれば、渓谷の岸のペグマタイト脈から産出するらし
     く、先行部隊が叩いた岩片がそこかしこに散らばっている。

      まずは、これらの岩片を土砂ごとパンニング皿に入れ、川まで運び、水で
     洗って見やすくしてから表面をルーペで観察、なければハンマで小割にして
     ルーペで観察、これを繰り返す。
      パンニング皿の土砂は最後にパンニングして、持ち帰ることにした。
      【後日談】
       持ち帰った土砂を自宅で精密パンニングしたところ「ルチル」「ジルコン」
      「エシキン石分離結晶」そして「不明鉱物」があった。
       エシキン石の比重は4.99(平均)とあり、パンニングで十分残るはずだが
      意外に少ない。

      私と同じ採集方法を採用した”小隊長”が、『これ何?』と差し出したのは、塊
     状ながら、1cm近い「エシキン石」だった。これを見て、それまで石を叩いてい
     たN隊長、急遽作戦を変更した。( 結果的にこれが良かった )

      やがて、兵長が『これ何でしょう?』、と差し出したのは、頭付、7mmはある
     「エシキン石」自形結晶だった。
      こうなると、皆さん採集に一段と熱がこもる。いつの間にか、雨も上がり、雨
     カッパを脱ぎ捨てる。

      やがて、N隊長が、ニンマリ笑いながら近づいてきて、差し出した標本をみて
     仰天した。

      母岩付きセンチオーバー「エシキン石」完全結晶だ!!

        
          産地露頭             N隊長採集品
                   「エシキン石」

      こうして、念願だった「エシキン石」も討伐でき、初日の作戦行動を切り上げた。

 (5) 二見町の夜は更けて
     「これで、自慢できるエシキン石が採れた」と大満足のN隊長とお別れした後、
    菰野町の道の駅で休憩する。空を見上げると、今日一日の大戦果を祝福し
    明日の上天気を約束するかのように、青空に”虹”がかかっていた。
    ( ようやく、”晴れ男”登場 )

      菰野町の”虹”

     海なし県に住むわれわれのため、宿営地として小隊長が予約してくれた二見
    町「夫婦岩」近くの民宿「潮騒」に向かう。「伊勢IC」を出て、伊勢市街に入ると
    今話題の「赤福」の看板がアチコチに目につく。
     ( 個人的には、「3つ売るより、1つ残すな」は、立派な経営哲学だし、もしか
      したら創業以来300有余年、同じような製造方法だったかも知れず、これに
      文句をつけるほうがおかしい、と感じている。
       この日本には、もっと問題にすべきことが山積していると思うのだが・・・・)

      「赤福」看板【前がヘナK小隊車】

     夕闇迫るころ宿営地に到着。一風呂浴びた後、サザエなどの海産物や野菜を
    網の上で自分で焼き、醤油をたらし味付けし、生ビールを飲むと、1日の疲れが
    吹き飛んだ。ボリュームが多く、大食漢の私が食べ残してしまうほどだった。

        
            乾杯!!         食べきれない料理の数々
                   「潮騒」の夜は更けて

      部屋に戻って、「作戦会議」に夢中になっていると、いつの間にか22時近くに
     なり、消灯
      文字通り、”潮騒”を聞きながら、いつのまにか Zzz・・・・・・・・・・

4. 【第2日目:出るか?「ヴァニア石」】

 (1) 「夫婦岩」を夫婦で見物
      朝6時、宿をでて「夫婦岩」を夫婦で見物に行く。宿から、5分足らずで到着す
     る。台風20号の影響で、時折遊歩道に波しぶきがかかってくる。正に、『天気
     晴朗なれど波高し』
である。
      大勢の善男善女が日の出を待っている。やがて、東の山の上からの日の出
     を拝む。空には雲1つなく、絶好の採集日和だ。

        
           「夫婦岩」               日の出
                     二見の朝

 (2) 念願の産地・白木(しらき)
      朝食を済ませ、8:00に宿を出る。途中、コンビニで昼食を調達し、T隊長との
     集合地点「白木駅」に到着。ほどなく、T隊長も到着した。
      空は、雲ひとつない青空で、2日目の作戦開始
     ( これで、”雨男”は、N隊長に決定。そういえば、2日間雨に祟られた、9月の
      ミネラルウオッチングにもN隊長はいたよな・・・・・・・・・蔭の声 )

      加藤・松原先生の「鉱物採集の旅 東海地方をたずねて」に白木地区では
     「霰石」はじめ各種の鉱物が紹介されている。この本を読んだ20年近く前にも
     行ってみたいと思っていたが、当時は「伊勢道」もなく、『遠いな〜〜』、と諦め
     ていた。
      この本が出版されたのが1979年と、30年近く前で、この本にある採石場は
     閉鎖しているなど、産地の状況は大きく変わっている。

      T隊長が開拓した新産地で、採集させてもらうことになった。

      白木と言えば、「霰石」「デゾーテルス石」など定番標本をシッカリ採集してい
     ると、兵長が『この緑色は何でしょう?』、と差し出したのは、ひと目でわかる
     鮮やかな緑色をした「灰クロム石榴石」だった。
      蛇紋岩地帯だから、来ても(産出しても)おかしくはないのだが、今まで産出
     したことを聞いたことがない。
      初日、2日目と”ツキまくっている”ヘナK小隊だ。

      兵長が採ったあたりを探すと、私たちもいくつか立派な標本を採集できた。
      この後、兵長が『これは?』、というのは、「ヴァニア石」に見えないこともない。
     ”ひょっとすると”、と期待が膨らむ。

        
            採石場              「灰クロム石榴石」
                       白木

 (3) 有終の美を飾れるか「奥鹿野のサファイア」
      白木での戦果に大満足の一行は、今回の遠征最後の産地「奥鹿野」を目
     指す。下道を2時間かけ、林道の駐車スペースに到着した。ここから、歩いて
     40分と聞き、女性もいるので1時間と読んでいたが、30分足らずで産地に到着
     した。
      ここは、拍子抜けするほど小さな産地で、ズリの表面は降り続いた雨で洗わ
     れ、表面採集でも「紅柱石」は簡単に拾える。
      紅柱石を含む母岩を割ると、「鮮やかなブルーのサファイア」が眼に飛び込ん
     できた。兵長が割った紅柱石にも同じようにブルー・サファイアが来た。
      このほか、「鉄ばん石榴石」の良品も採集できた。

        
           産地                記念写真

        
         ブルーサファイア            紅柱石

                  奥鹿野(おくがの)

      いつまでも居たいのだが、山梨までこの日の内に帰らなければならないため
     14:30に下山する。

      ヘナK小隊、T隊長をお別れの挨拶をして「久居IC」から伊勢道にのり、中央道
     に入り、甲府に戻ったのは21時少し前だった。
      総走行距離   958km

5. おわりに

 (1) 絶産と思われた産地で「サファイア」が、初産と思われる「白木の灰クロム石榴
    石」そして「地学研究」誌に掲載されたものより素晴らしい「エシキン石」が採集
    でき、大満足だ。
     これも、ヘナK小隊、N隊長、T隊長の御蔭と、深く感謝している。

 (2) 2006年4月の「第1次三重方面探査作戦」の”おわりに”で、『 三重県南部の
    「ペクトライト」産地などの現状を調べて見たい 』
、と書いたが、その念願が
    叶った。

     採集成果を上げるのには、産地に詳しい、地元の石友に案内してもらうのが
    一番だと痛感した。

 (3) 「エシキン石」の産地で、”小隊長”の質問に答える形で、『エシキン石が日本で
    最初に発見されたのは、山梨県甲府市黒平だ。本来なら、私はここではなく
    黒平のエシキン石を探している筈の人 』
、と話した。

     これは、冗談半分ではあるが、「エシキン石」の産状、色、形も飲み込めたので
    甲府市黒平周辺のものを探し出したい、と決意した。

 (4) 11月中旬に開催する「山梨県・長野県の古典的産地と鉱物を訪ねて」のミネラ
    ル・ウオッチングの”大人の時間”のためにと、ヘナK小隊から清酒・1升の陣中
    見舞いをいただいた。
     ヘナK小隊に御礼申し上げるとともに、参加者の皆さんと飲めるのを楽しみに
    している。

6. 参考文献

 1) 長島 乙吉、弘三:日本希元素鉱物,日本砿物趣味の会,昭和35年
 2) 加藤 昭、松原 聰:鉱物採集の旅 東海地方を訪ねて,築地書館,1983年
 3) 磯部 克:鉱物の博物誌,星雲社,平成8年
 4) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 5) 遠藤 俊介 et al.:三重県菰野町湯の山温泉産イットリウムエシキン石
                地学研究vol56 No3,財団法人益富地学会館,2007年
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