京都・益富地学会館の鉱物

京都・益富地学会館の鉱物

1.初めに

 京都にある「益富地学会館」は、私が所属する「日本地学研究会」の活動拠点であり
関西方面だけでなく、全国の鉱物・化石愛好家のメッカになっている。
 私は、10年位前まで、関西方面への出張があると、時々、寄り道して、展示室を
見せていただき、鉱物や文献などを購入したことが、何回かあった。
 2003年初秋、妻の京都見物の空き時間を使って、、久しぶりに訪れ、懐かしい
展示室を見せていただき、国産鉱物や文献などを購入した。
(2003年9月訪問)

2.場所

 京都御苑(御所)の西側にあり、駐車スペースもありますが、地下鉄「丸太町」駅から
歩いても、10分くらいでしょう。

益富地学会館

3.展示内容

 益富地学会館監修になる「日本の鉱物」のあとがきに、「鉱物展示のある日本の博物館」と
題する章があります。ここに、この会館の設立の目的が、端的に表現されていますので
引用させていただきます。
 『最近日本では自然史・自然科学関係の博物館が各地方で増加しつつあり・・・・・・・
  鉱物に関しては十分な展示のなされている博物館はごく一部で、さらに実物の標本を
  手にとって観察できる所は(ここ以外に)ほとんどない。・・・・・
   益富地学会館所蔵の標本は、館の創設者である故益富寿之助博士が収集された標本
  全国の同好の方がたから寄贈された標本とからなる。故益富博士の石と石にかかわる
  人びとに対する愛情に満ちたコレクションである。
   ・・・・約15,000点である。
   (3階)展示室の両側のスチールケースには・・・都道府県別に収納され、各地方を
  石(鉱物)をまとめて手近に観察することができるよう工夫されている。
   標本展示室のほかには、図書室・研究室がある。』

3.1 3階展示室
 3階の鉱物展示室を駆け足で見せていただいた。

     
     鉱物展示室           澤田コレクション

 (1)都道府県別のキャビネットの「山梨県産鉱物」
    山梨県産の鉱物が収納されたロッカーが、3段あり、「金峰山(水晶峠?)日本式双晶」
    などの”定番”から、私が文献でしか知らない「益富鉱山のコルヌビア石」などまで
    バラエティ豊かに取り揃えてあります。
 (2)澤田コレクション
    これが、常設展示されているのか、聞き漏らしてしまいましたが、澤田さんが
   「日本鉱物誌」に因む標本を採集したもので、博物館級(最近、乱用気味)の
    逸品(の一部?)を展示しています。
    a)乙女鉱山のライン鉱
    b)眉山のルチル
    c)倉沢鉱山の車骨鉱
     など、垂涎ものの標本が、約20点、展示してあります。

      
    乙女鉱山のライン鉱        眉山のルチル       倉沢鉱山の車骨鉱
                   澤田コレクションの一部

澤田さんのサイト

3.2 鉱物・文献の販売
  1階や3階では、鉱物・文献の販売をしていますので、せっかくの機会なので、10点ほど
  購入しました。
 (1)文献
    @岡本 真琴・工藤 智巳「白いヒスイ谷への招待」
    A益富 寿之助「石薬編 新注の言葉 -四百年前の中国鉱物学の展望-」
    100円で購入したAは、”掘り出し物”だと思っています。
 (2)鉱物標本
    過去に訪れ、採集できなかった無念の標本、これから訪れる予定の産地のサンプルを
    100円〜1200円で購入した。
    このHPの愛読者や石友の皆さんには、”あれだな!”とお分かりのことと思います。

      
    弘法師鉱山の輝安鉱     辻が瀬鉱山の青鉛鉱     夏梅鉱山の紅砒ニッケル鉱

      
    丹生鉱山の鶏冠石         和束の燐灰石        人喰谷の月長石

      
     丹沢のベスブ石       洞戸鉱山の異極鉱        五斗蒔の藍鉄鉱

 
    三ノ岳硫テルル蒼鉛鉱

4.おわりに

(1)久しぶりに訪れ、鉱物標本や文献などを購入したり、刺激的なコレクションを
   拝見することができ、短時間ではあったが、有意義なひと時であった。
(2)10月には、「石・ふしぎ展」が開催されると知ったが、もう少し近ければ
   と残念です。

5.参考文献

1)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂出版,1997年
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