山梨県饅頭(まんじゅう)峠の饅頭石 その3           『 茅の石まん 』

    山梨県饅頭(まんじゅう)峠の「饅頭石」 その3
          『 茅の石まん 』

1. 初めに

   ほぼ1年前の12月、2007年の採集納めとして、地元の山梨県韮崎市にある「饅頭峠」
  で「饅頭石」を採集した。これがキッカケでまだ見たこともない 『 石まん 』 を
  想像しながら作った(正確には、母親に作ってもらった)のは、既報の通りである。

山梨県饅頭(まんじゅう)峠の「饅頭石」 その2
    『 石まん 』作りに挑戦
( " Manjyuishi " from Manjyu Pass - Part 2 - , Challenge " Ishiman " Making
  Nirasaki City , Yamanashi Pref. )

山梨県饅頭(まんじゅう)峠の「饅頭石」(ハロイ石)
( " Manjyuishi "(HALLOYSITE) from Manjyu Pass , Nirasaki City
 Yamanashi Pref. )

    あれから1年近くが経った2008年11月、2週間ぶりに山梨に戻ると妻が 「 農産物
   販売所で『 茅の石まん 』 を売っていたので買って冷凍しておいた 」、と言って
   出してくれた。

                「茅の石まん」

    プラスチックケースに饅頭3ケとしおりが入っていて、値段は、360円くらい(妻の記憶
   定かでない!)だったらしい。早速解凍し、単身赴任先に持ち帰って写真を撮った後
   1ケ食べてみた。想像していたとおり、黒いつぶ餡を薄茶色の皮で包んだ「饅頭石」を
   思わせる姿かたちで、素朴な「田舎饅頭」の味だった。

    今後継続的に売り出すのか聞いていないが、地元の名産品になってくれるように
   応援したい。
    ( 2008年11月試食 )

2.  「茅の石まん」

   購入した「茅の石まん」の外観は、薄茶色の皮に包まれ一見すると、本物の「饅頭石」
  ソックリである。表面に”茅の石まん”と焼印が押され、商業的規模で売り出そうと言う
  意図が感じられる。
  ( 商標登録 4204926号 を取得しているようだ )

   饅頭を割ると、中には”黒いつぶ餡”が入っていて、これまた「饅頭石」に良く似ている。

   一口食べると、少し苦みのある『重曹:重炭酸ナトリウム(通称 ふくらし粉)』の味が
  口の中一杯に広がり、「田舎饅頭」の味だった。

        
             外観               中身
                  「 茅の石まん 」

3.  「茅の石まん」の栞(しおり)

    「茅の石まん」には、小さな栞(しおり)が同封されていた。右肩には『茅の月』、と
   あり、この饅頭の発売元の北杜(ほくとし、で きたもりではありません)市明野町
   から見える月が百名山の1つ茅ケ岳から昇ってくるように見えることから付けた
   ようだ。

     しおりを見開くと、そこには、「 石まん 」の由来が書かれているので引用して
   みる。

      しおり

    『 百名山茅ケ岳にある饅頭峠にはマンジュウ石と呼ばれる不思議な石が多く見ら
     れる。
      卵大のこの石は黄褐色で球形をしており、割ると黒色の内核があり餡のように
     見えるところからマンジュウ石と呼ばれている。

      昔、甲斐の国を巡杖した弘法大師が峠の茶屋の老婆に饅頭を所望したところ
     老婆は 「 これは石の饅頭だから食べられないよ 」 と偽った。
      大師が立ち去った後、ふと饅頭を見ると、みんな石ころに変わっていたという。

      そんな伝説がいまも伝えられている。                        』

5. おわりに

 (1) 『 茅の石まん 』の実物を見たことがないので、それをイメージして作ってみた。
    (作ってもらった)
     外観は、「饅頭石」に似た感じで、素朴な”田舎の味”がした。

     『 茅の石まん 』 と食べ比べられる日が、1日も早く訪れるのを楽しみにしている。

      と書いたのが、ちょうど1年前、2007年12月だった。
     それから1年、こんなに早く本物の「 石まん 」を食べられるとは思わなかった。

      まさに、私の持論の1つ 『 念ずれば通ず 』 である。

 (2) 饅頭の原価
      私の専門分野の1つに、『原価計算』がある。この「饅頭」1つあたりの製造原価
     を算してみたら、材料費35円、ガスなど光熱費5円、そして手間賃(人件費)40円
     合計80円だった。

      この値段で買ってくれる人はなさそうだ。

      と書いたが、妻は「 石まん 」 は、1ケ 120円で買った。原価が80円で
     利益40円(利益率50%)というのは商売、特に傷みやすくて売れ残ったら捨てな
     ければならない危険率が高い食べ物では普通なのかも知れない、と納得して
     いる。

6. 参考文献

 1) 正宗 篤夫編纂:日本古典全集 雲根誌 上巻,日本古典全集刊行会,昭和5年
 2) 正宗 篤夫編纂:日本古典全集 雲根誌 下巻,日本古典全集刊行会,昭和5年
 3) 斉藤 忠:人物叢書 木内石亭,吉川弘文館,昭和37年
 4) 益富 寿之助:石 昭和雲根志,白川書院,2002年
 5) 石田 高:山梨の奇岩と奇石,山日ライブラリー,2002年
 6) 松原 聰、宮脇 律郎:日本産鉱物型録,東海大学出版会,2006年
 7) 望月 伸弘:明野 茅の月 茅の石まん,2008年
inserted by FC2 system