栃木県塩谷町万珠鉱山付近の鉄石英

         栃木県塩谷町万珠鉱山の鉄石英

1. 初めに

   2005年8月に湯沼鉱泉を訪れ、たまたま居合わせた栃木県のSさん一家と知り合い
  2005年10月に「万珠鉱山」を案内していただき、「モットラム石」と「紫水晶」そして
  「パリゴルスキー石」の3点セットを採集できた。
   その後お会いしたときに、奥さんと娘さん(小学生)から万珠鉱山近くで採集したという
  「鉄石英」と「紫水晶」をいただいた。「鉄石英」は、仏頭状石英の上に鮮やかな赤色の
  微細な水晶が族生したもので、 ”水晶大好き” の妻を虜にした。
   福島県での産地探査の途上、再び万珠鉱山付近をSさん一家に案内していただき
  「鉄石英」と2005年10月に採集したとものと違った産状の紫水晶を採集することができた。
   「鉱物情報」の最近号にあった、@バリシア石A自然金B硫酸鉛鉱などは産出する
  気配が感じられなかった。今回案内していただいたところだけでも、3ケ所坑口が
  確認でき、鉱山は広い範囲に広がっていたらしい。さらに、文献を調査し、再訪を
  期したい。
   案内していただいたSさん一家に、厚く御礼申し上げます。
  (2005年11月採集)

2. 産地

   既に、情報があると思いますので詳細は割愛させていただきます。今回案内して
  いただいたところだけでも、3ケ所坑口が確認でき、陥没跡(?)と思われる場所も
  いくつかあった。

       
       モットラム鉱産地          旧坑               露頭
                       万珠鉱山周辺産地

3. 産状と採集方法

    古い坑道の近くの露頭には紫水晶、沢筋の転石には、赤色チャート(赤玉石)が見られ
   これらを採集します。

4. 採集鉱物

 (1)鉄石英【Red Jasper:SiO2】
     微粒の石英に赤鉄鉱が含まれ赤色に見えるもので、佐渡の赤玉石がその代表例
    である。母岩には脈状に石英脈が走り、その太い部分が晶洞となり、小さな仏頭状
    石英の上に鮮やかな赤の微細な水晶が族生したものがある。

       
           全体               部分
                   鉄石英

 (2)紫水晶【Amethyst:SiO2】
     ここの紫水晶は柱面が発達せず、錐面が優勢で、一つひとつの結晶の大きさは
    数ミリと極めて小さいが、紫色の濃さと光沢は素晴らしく、鉛沢産のものとは一味
    違った愛らしさがある。

    紫水晶

5. おわりに

 (1)「水晶」「柘榴石」そして「ひすい」が好きな妻が一番欲しがっていたのが”赤い水晶”
    あった。今回のミネラルウオッチングで写真のように、結晶は小さいが真っ赤な水晶を
    自分の手にでき、大満足であった。産地を案内していただいた、Sさん一家に、改めて
    御礼を申し上げます。

 (2)「鉱物情報」の最近号に「硫酸鉛鉱」なども産するとあるが、2次鉱物はおろか金属鉱物
    すら一片も見当たらなかった。
     Sさんの奥さんから、『 主人が、新産地開拓の面白さに夢中 』とのメールをいただ
    いたので、朗報をお待ちしています。

6. 参考文献

 1)加藤 栄一:栃木県塩谷郡塩谷町万珠鉱山と玉生鉱山付近 鉱物情報 No.142
           鉱物情報,2004年
 2)益富 壽之助:鉱物 −やさしい鉱物学−,保育社,昭和60年
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