幻の鉱物(2)福島県川辺鉱山のトパーズ


幻の鉱物(2)福島県川辺鉱山のトパーズ

1.初めに

福島県川辺鉱山を訪れ、ズリ石を持ち帰り、水洗いしてモナズ石を探して
いたところ、水晶より輝きが強い結晶が眼にとまった。
故 桜井 欽一博士がある雑誌に連載した「幻の鉱物」という記事がありました。
ここでは、トパーズが採集できたとの記録が見当たらず、「幻の鉱物」として
取り上げてみました。

2.産地

「日本希元素鉱物」の記述によれば、水郡線泉郷から南、川辺部落から丘陵を東に
1km許行くと北の谷に堀場が見える。
坑道が山道の脇に残っています。
川辺鉱山坑口

3.産状と採集方法

ここは、花崗片麻岩を貫く脈性(ところどころレンズ状に膨らんだ)ペグマタイトで、
初めは長石を採掘し、戦時中には理研がサマルスキー石を目的として小規模に採掘した
場所で坑道は余り深くありません。
坑道前のズリの土砂をフルイがけして、その中からモナズ石をはじめ希元素鉱物を採集
します。
冒頭にも書いたように、現地で土砂にまみれた中から採集するのは困難ですので、
自宅に持ち帰って、ジックリ探すのが賢明です。

4.産出鉱物

(1)黄玉(トパーズ)【Topaz:Al2SiO4(OH,F)2
柱面に縦の条線があり、完全なへき開があり、断面は亜貝殻状など、黄玉(トパーズ)の
条件を満たしている。

川辺鉱山の黄玉

5.おわりに

(1)福島県の郡山の近くで採集したという脈状トパーズをある方から戴いたことが
ある。結晶がはっきりしているのを見るのは初めてです。
バケツ約10杯の土砂から1ケですので、存在確率は高くありません。
幻と言っても良い位でしょう。
6.参考文献

1)長島 乙吉、弘三:日本希元鉱物,長島 乙吉先生祝賀記念事業会,1960
2)南部 松夫:福島県鉱物誌,福島県,1969
3)福島県編:福島県鉱産誌,福島県,1964
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