(1)彦根城
20日(土)朝、5時過ぎに目覚め、「米原IC」で下り、彦根城に6時過ぎに到着。
この時間帯は 市民に無料開放しているとのことで、天守閣のある本丸まで急坂を登る。
幕末に権勢を振るった、井伊氏の居城にしては、質素なつくりで、天守閣を支える石積みも
「ごぼう積み」と呼ばれる、一見乱雑な積み方だが強靭とのことで、「井伊の赤具え」を
髣髴させる。
21日(日)は、東寺骨董市を見た後、兵庫県の石友Nさんご一家と「小ツ組」で
採集することになっていた。折から、台風15号が接近し、骨董市は、難しそうなので
中間地点の琵琶湖大橋近くの道の駅で一夜を明かす。
(2)東寺骨董市
21日(日)、5時過ぎに眼を覚ますと、雨が降る気配は、全くない。毎月21日は
東寺で弘法市と称する骨董市があるので、京都市内に逆戻り。
妻と私の共通の趣味である骨董品探しに、全国有数の規模を誇る東寺の骨董市は
昨年11月に続いて、2度目の訪問である。
7時頃に着くと、早いお店は商売を始めている。車を駐車場に預け、露店を
端から見て回る。
私は、@切手・ハガキ A鉱物や鉱山関係古文書・資料 を探す。
1)「日本鉱泉ラジウムエマチオン含有量表」
『近時鉱泉療価ノ要素中ニ新ニ”ラジウムエマチオン含有量”ヲ加フ。
大正4年に、陸軍軍医団が日本、台湾の鉱泉の「ラジウムエマチオン含有量」を
取りまとめたもので、当時団長だった森林太郎(森鴎外)が、序を書いています。
”ラジウムエマチオン”ノ有功ナルコトハ今ヤ復タ疑フ容カラズ。・・・・・』
この冊子を読むと、山梨県の増富・Kuridaira No1 のものは、1,514マッヘ あり
2位の鳥取県三朝温泉の142マッヘ と桁違いなことが分かります。
2)足尾銅山製”寛永通宝(足字銭)”
江戸時代に、足尾銅山には、「鋳銭座」があり、「寛永通宝」という銅銭を作った。
1741年から5年間で2000万枚鋳造されたと記録にあり、ここで作られた一文銭の
裏には、足尾を意味する「足」の字が鋳込まれており、「足字銭」と呼ばれています。
これらの銭は、主に、京都、大阪方面に送られたと言われています。骨董市で
見かけると、できるだけ買い集めていますが、関東地方では、駄物の中から見つけるのは
至難ですが、東寺では、比較的簡単に見つかり、量的に多いことを裏付けています。
国道8号線を左手に日本海を見ながら北上。台風15号が去って晴れ間も見え出し
この日の宿の「みらくる亭」は、7月に兵庫県のNさんご夫妻に紹介していただいて以来
ここで、Hさんが下見してくれた情報をもとに、10月の採集会の下打合せをした。
(2)仙翁坑の「モリブデン鉛鉱」
結局、行くことに決めた。前回の轍を踏まないよう、10年前の採集記を読み直し
1時間半の採集で、標本と呼べるものは、2個体しか採集できず、稀産ですが
(3)アドベンチャーランド中竜
ここでは、「紫水晶」と「メノウ板」を”現金採集”。
永平泰禅 九十四翁
(4)面谷鉱山の蛍石
鉱物採集が苦手な妻でも簡単に見つかり、小さいながら晶洞の中に自形結晶が
岐阜県白鳥町に入り、「美人の湯」で、採集の汚れを落とし、この日は、道の駅
ズリの写真を見た、奈良県の石友Aさんから、「林道が舗装されているのに驚いた」との
(2)洞戸鉱山梅保木の日本式双晶
洞戸村を流れる板取川は、鮎の名所で、せっかく来たのだからと、”観光ヤナ”で
(3)「岐阜県陶磁資料館」
(4)中津川鉱物博物館「飯盛里安博士97年の生涯」
国道19号線で、塩尻に出て、中央道で甲府に無事帰ってきた。
3.【湖北・小ツ組から福井へ】
滋賀県浅井町小ツ組産の日本式双晶は「日本の鉱物」にも掲載されているほど有名なので
10年ほど前に訪れたが、日本式双晶は採集できなかった。
今回は、兵庫県のNさんご一家と合流しての採集となった。
Nさんご一家は、尾小屋鉱山金平坑で、「緑鉛鉱」を採集してきたとのことで、
眼も良いN子さんの大活躍で、2cmサイズを筆頭に、分離結晶を多数採集していた。
Nさんご一家
ズリと露頭は、夏草に覆われ、昔の面影が殆ど残っていない。1時間半ほど粘ったが
目ぼしいものは採集できず、再会を約し、3時前にお別れした。
「天使の梯子」も見られ、何かよいことがありそうな予感がした。
「天使の梯子」
妻のお気に入りとなり、今回が3回目で、1ケ月に1回来ている勘定になる。
季節柄、「松茸」のご飯、お吸い物などが出て、長距離ドライブと採集の疲れや
夕食のビールが効いて、早めに Z z z・・・・。
4.【福井県での鉱物採集】
(1)赤谷鉱山の自然砒
22日(月)、8時前に産地に行き、採集を始めていると愛知県のHさんも到着。
今回も、雨男(Hさん)と晴れ男(私)の戦いであったが、台風一過の好天気で
私の勝ち!!。
Hさん
「フルイ掛け」で採集していると、石英(玉髄?)の球顆の空洞に自然砒が入っている
ものがあることに気が付いた。
金米糖だけを探していると、見逃してしまう標本なので、こんなこともあろうかと
持参した大ブリのパンニング皿で、振るい掛けの「カス」をパンニングすると、自然砒や
「高温石英」などの面白い標本が採集できた。
「フルイ掛け」と「パンニング」
赤谷鉱山で、Hさんと別れた後、「仙翁坑に行くべきか、行かざるべきか。」私の心は
揺れていた。
@行っても産地は、夏草に覆われて採集できないのではないか。
Aモリブデン鉛鉱を採集する手懸りの1つは、太陽の光に照らされて”キラキラ”と
輝く結晶面で、台風一過の雲ひとつないこの日が、千載一遇の好機。
産地入口までの”キロ数”を確認し、仙翁谷を遡った。
この春、三ツ岩岳で車を壊し、修理代が”ン万円”だったのに懲りて、道に大きな石が
落ちていると、一々、車を降りて、どかして進む。
10年前に撮影した写真と見比べると、山の形がソックリで、ここに間違いなし。
ズリの急斜面をよじ登り、見覚えのある、「モリブデン鉛鉱」の産地に到着した。
道しるべとなる「異極鉱」は、いくらでもあるが、肝心の「モリブデン鉛鉱」が
なかなか見つからない。30分ほどして、ようやく、褐鉄鉱の上に”葉片状”に
1枚付いたものが、出たが、これでは、お話にならない。
1時間を過ぎ、場所を変えてみると、異極鉱の上に、”キラキラ”光るものが
眼に飛び込む。念願の、4角板状の「モリブデン鉛鉱」だ!!
他にも、「ミメット鉱」「硫カドミウム鉱」などがある。
念願を果たし、ニコニコ モリブデン鉛鉱
絶産ではないのが、救いです。
九頭竜川に沿って遡り、和泉村に入り、「アドベンチャーランド中竜」を訪れた。
ここから見える山の反対側に、つい2時間前までいたとは、信じられない思いです。
中竜から仙翁坑方面
売店の壁には、「石徳五訓」なるものが、掲げてあり、面白そうなので、全文を
紹介します。
売店の方に、作者を聞いたのですが、「大理石製品の会社”マーブル社”の人が
持ってきた」とのことだけで、要領を得なかった。
「石徳五訓」
1.奇形 怪状 無言にして
能く言うものは 石なり
2.沈着にして 気精永く土中に埋れて
大地の骨と成るものは 石なり
3.雨に打たれ 風にさらされ 寒熱にたえて
悠然動ぜざるは 石なり
4.堅質にして 大厦高楼の基礎たるの
任務を果たすものは 石なり
5.黙々として 山岳庭園などに 趣を添え
人心を和らぐるは 石なり
8月末、某所秘蔵の「和田鉱物標本」をジックリ拝観する好機に恵まれた。
これらの中に面谷鉱山産の「蛍石」と「自然銀」が収蔵されていた。
これが、記憶にあって(目にちらついて?)、自然と面谷川に沿った林道を
走っていた。
ここも、前回(2003年7月)の轍を踏まないよう、昔の採集記を読み直し
産地入口までの”キロ数”を確認しておいた。
ズリに着いて、目がなれてくると、あちこちに、子どもの頭大〜握り拳大の
粘板岩〜砂岩質の母岩に、緑色〜白色で脈状の蛍石が入ったものがある。
ズリでの採集 蛍石
ビッシリ付いたものを採集した。
「蛍石」は、「和田鉱物標本」に劣らない標本を採集できた。
自然銀の産出も予感させるズリの雰囲気でしたので、再訪を期しています。
「やまと」で熟睡。
5.【岐阜県での鉱物採集】
(1)平岩鉱山の蛍石
23日(火・祭日)は、「盆踊り」で有名な、郡上八幡の町並みを見物した後
峠越えで、蛍石で余りにも有名な平岩鉱山に向かう。
愛知県の石友KさんやHさんの情報の御蔭で、迷うことなく産地横付け状態。
約3cmのほぼ自形結晶はじめ、色とりどりの蛍石を採集できた。
平岩鉱山ズリ 蛍石
メールを頂いた。
(確かに、古い採集記事を読むと、林道で蛍石が拾えるような記述があります。)
地図を見ると、洞戸村が20km位しか離れていないので、「梅保木」を訪れた。
シッカリ、「日本式双晶」「珪灰鉄鉱」「柘榴石」が採集できた。
鮎料理のコースを頂いた。
@甘露煮
A塩焼き(3匹)
B鮎雑炊
全部で1人あたり、4.5匹くらい食べる勘定です。特に、塩焼きは、”ピクピク”
生きているのを目の前で自分で焼くと、子持ちの上に脂がのっており、滴り落ちる脂と
立ち上る香り(鮎を、”香魚”とも呼ぶ)で、ビールが欲しくなります。
(車の運転があるので、ダメ!!)
妻のリクエストで、多治見市にある「岐阜県陶磁資料館」に立ち寄った。
私は、焼き物には、余り興味がなく、駐車場の回りの花崗岩の石垣が気になり見て回った。
地元蛭川産のものと思われ、所々に小さな晶洞がある。
蛭川ICで下り、中津川市に向い、博物館の企画展「飯盛里安博士97年の生涯」を
見学した。飯盛里安博士は、希元素鉱物研究の先駆者の一人で、「飯盛石」として
献名されているほどです。
飯盛博士が研究した、新宝石を先着で無料配布しており、「ビクトリア石」を頂いた。
6.おわりに
(1)この夏に訪れ、収穫がなかった(悪天候で場所が特定できなかった)「仙翁坑」と
「面谷鉱山」を訪れ、産地の状況を確認でき、目的とする標本を一通り採集できた。
産地は、余り荒れた様子もなく、まだまだ採集できそうです。
(2)今回訪れた、いくつかの産地は、子ども達も楽しめる、採集会向きだと考えていますが
チョット遠いのが・・・・・・・・・・。
赤谷鉱山では、愛知県のHさんと10月の採集会の下打合せをしてあります。
(3)今回は、ダイジェスト版を作成しましたが、それぞれの産地の詳報を
逐次掲載する予定です。
7.参考文献
1)京都地学会編:京都の地学図鑑,京都新聞社,1993年
2)益富地学会館監修:日本の鉱物,成美堂,1994年
3)C.W.Chesterman:National Audubon Society Field Guide to
North American Rocks and Minerals,Knopf,1995年