雪に降り込められて、JRは運休、中央道は通行止め、国道は大渋滞で”陸の孤島”と化した甲府
盆地では新聞や郵便が3日間ほど配達されなかったが、電気・水道・電話のライフラインがシッカリ
していたので、テレビやインターネットを通じて外界の情報は入ってきた。
雪が止んでも除雪が進まず、道路は大渋滞で、市の「外出を控えて除雪作業にご協力を」、という
呼びかけに応じて、妻の勤務先の研究所は2日間臨時休暇となり、私は自宅周りの除雪や読書、
そしてネット・サーフィンで数日を過ごしていた。
オークションを見ていると、「セリウム褐簾石」が出ていた。出品者は有名な”S**-*****”氏だ。
S氏のコメントには『産地名は草木ですが何県か不明です』、とあった。これを見て、私が訪れて
採集出来なかった”残念品”だと直感し、入札した。”産地不明”を嫌ってか、ほかに入札者はなく、
スンナリ落札した。
HPを辿(たど)ってみると、平成12年(2000年)に、「沢入(そおり)の菫青石」を求めて、栃木県と
の境にある、群馬県勢多郡東村(現みどり市東町)を訪れていた。
・ 群馬県沢入の菫青石
(Cordierite of Soori ,Gunma Pref.)
桐生市や大間々町方面から渡良瀬川に沿って国道122号線で足尾に向かうと、草木ダムがある。
その手前あたりから、道路沿いに石材店や「沢入御影石(花崗岩)」の採石場がある。「菫青石」に
はさほどの魅力は感じていなかったが、花崗岩を見ると「ペグマタイト鉱物」や「希元素鉱物」がある
のではないかと血が騒ぎ、車を停めた。花崗岩は細粒で、「ペグマタイト」の兆候は見られず、一番
手っ取り早い、パンニングをしてみたが、皿の底に「希元素鉱物」は残らなかった。
その後、「鉛沢の紫水晶」や「西沢金山の銀鉱物」などを求めて、何度かここを通りかかったが、
最初の印象が良くなくて、素通りしていた。そんな訳で、草木の鉱物は採集できず、”残念品”で
『現金採集』、となった次第だ。
古いHPを読み直してみると、「沢入の菫青石」の標本写真がないことに気づいたり、「セリウム
褐簾石」も見つけられそうな気がしてきたので、栃木方面でのミネラル・ウオッチングの時に立ち寄
ってみようと思っている。
( 2014年2月 現金採集 )
この一帯では、「沢入型花崗岩類」、と名付けられた「黒雲母花崗閃緑岩」が8,500〜9,000万年前
に中・古生層の堆積岩に貫入した。
これによって、生まれた接触変成帯の幅は2km以上におよび、泥質岩は、紅柱石―菫青石―
白雲母―黒雲母ホルンヘルスに、砂岩とチャートはそれぞれ、白雲母―黒雲母―斜長石―石英
ホルンフェルスと黒雲母含有石英ホルンヘルスに変わっている、と文献にある。
「菫青石」が採集できるのは、泥質岩が変成を受けた場所になる。
『 石材を加工しているところがあるので、断って見せてもらいなさい。花崗閃緑岩の中に、ところ
どころ有色鉱物がかたまっている。これは、「捕獲岩」と言って、「花崗(閃緑)岩」の岩漿が固
まりきらないうちに、貫入した岩石を壊して取り込んだものだ。捕獲岩を見ていく内に、黒色で
マッチの軸を細くしたような六角柱で、輪郭がハッキリしている鉱物がある。この鉱物は、比較
的大きな白い長石の結晶の脇についている場合もある 』
私が入手した標本には、機械で切断・研磨した面が見られ、石材を加工している場所で採集した
もののようだ。
褐簾石は、褐灰色〜黒灰色、亜金属〜樹脂光沢をした細い柱状結晶。へき開はない。弱い
放射能がある、とされるが自作のガイガー・カウンタでは計測できないくらい微弱なものだ。
共生鉱物として、磁鉄鉱は確認できるが、可能性のある「燐灰石」は見られない。
兵庫県の石友・N夫妻を萩平鉱山に案内したのは、2004年の秋だった。
暖かくなったら、これらの産地を一巡りしてみたい、と思っている。
(2) 大雪影響と”わが家の穴籠り作戦”
2月14日に降った雪は1週間経った今も山梨県民生活に影響を及ぼしている。19日あたりから、
JRや中央道そして国道などが通行できるようになり、盆地内の平坦な場所は”陸の孤島”から
開放されたが、山沿いの集落では1週間経っても”孤立”している世帯がある。
街中は、除雪した雪が道路の両脇に溜まって、片側2車線の道路が1車線しかなく、時間帯に
よっては大渋滞だ。「通勤にいつもなら40分くらいのところ、2時間かかった」、と妻はゲンナリ顔
だ。
県民の間からは、”国や行政そして気象庁の対応の遅さ”に不満の声が出ている。たとえば、
雪の重みで牛舎が倒壊し飼っていた牛5頭を亡くした牧場主は、「もっと早く、これだけの雪が
積もると教えてくれれば、牛を死なせずに済んだのに」、と悔やんでいた。
このような災害、特に”天から降ってくる災(わざわ)い=天災)が起こるたびに思うのだが、
『 国や行政をあてにしたらあかん 』 、ということだ。
わが家では、週間天気予報で”雪”のマークが出たのを見て、空の灯油缶を全部一杯にし、
お米を10kg買っておいた。銘柄コンテストで『特A』にランクされた、「梨北地区のコシヒカリ」なの
で、たいした御菜(オカズ)がなくても食がすすむ。
タイミング良く、茨城県の石友・K(兄)が自分で掘った自然薯(山芋)を送ってくれたので、これ
を摺りおろしていただけば、除雪の力仕事の馬力も出るというものだ。
【閑話休題 「自然薯の思い出」】
亡くなって24年になる親父が自然薯掘りが好きで、専用の道具も持っていた。私が中学生
だったころ、秋から初冬の小春日和の土曜日の午後、親父が役所から戻ってくると、ときどき
自然薯掘りに出かけたことをK(兄)のお蔭で、懐かしく思い出している。
霜が降りたりすると、自然薯のツルが飛んで(消えて)しまい、どこに芋が埋まっているのか
探すのに苦労していた様子だった。
また、掘っている途中で折れたり、道具でキズをつけたりしないように、掘り出すのも大変だ
ったのを見て知っている。
それだけに、K(兄)が送ってくれた自然薯が貴重なことが良く判り、感謝している。
皮を剥(む)いて、おろし器で摺りおろすと、スーパーで買ったのは水のように流れるのに、
K(兄)のは、まるでお餅のようにひとつの塊になったままで、箸で千切(ちぎ)りながら頂いた。
さて、本題に戻ると、毎朝みているNHK朝の連続ドラマ「ごちそうさん」の舞台が敗色濃厚の
太平洋戦争末期に差しかかった。先週放送分で、竹元教授が、”日本国民であることを止める”、
と隠棲(いんせい)してしまったらしい。その気持ちはわからないでもないが・・・・・・・・・・・。