(1)変種ジルコン・苗木石【Naegite:(Zr,Hf,Yetc)(Si,Nb,Ta)O4】
ジルコン【Zircon:ZrsiO4】に他の成分を含む変種を”変種ジルコン”と呼ぶ。
ペグマタイトに産するジルコンは、純粋なものは少なく、多少の差こそあれ
何らかの他成分を含んでいる。また放射能があるので、”変種ジルコン”を
”放射性ジルコン”と呼ぶこともある。
変種ジルコンに与えられた変種名はたくさんあるが、「日本希元素鉱物」に引用
された木村・弘中氏の分類によれば、次の通りである。
@水をたくさん含むものをマラコン【Malacon】
Aベリリウム(Be)をたくさん含むものをアルブ石【Alvite】
B希土類元素をたくさん含むものをシルト石【Cyrtorite】
C希土類元素および土酸元素(ニオブ(Nb)、タンタル(Ta))をたくさん含むものを
苗木石【Naegite】
D希土類元素およびリン(P)をたくさん含むものを山口石【Yamaguchilite】
黒平の苗木石は、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)を含むコルンブ石と同じ場所で
採集したもので、暗緑色の柱状で先端が錐面になり、水晶の中に埋没して産し
周囲の水晶にハロ(Halo:放射性色暈と呼ぶ希元素鉱物の周囲の石英や長石の
結晶格子が破壊されて薄く着色する現象)を与えている。
(2)ジルコン【Zircon:ZrSiO4】
正方柱状と錐面よりなり、色は無色〜薄黄〜薄緑〜ピンク〜赤〜褐色と種々。
”変種ジルコン”に対して”正常ジルコン”とも呼ばれる。
正常ジルコンでも、多くは微量の放射性物質を含み、ごく弱い放射能を示す。
下の写真は、石友のMさんが黒平で採集し、不明鉱物として鑑定を依頼されたもので
”絵に描いたようなジルコン”と判定したものです。
放射能が弱いせいか、ハロは見られなかったとのこと。
AS『中川さん、この水晶の黒いのは何ですか?』
パッと見て(今回の目的鉱物は大きいので、ルーペを車に置いてきた)
中川『電気石のインクルージョンか、ハロがあるので希元素鉱物かな?』
AS『頭もないし、良かったら中川さんにあげますよ。』
と言って、頂いたものです。
(2)何となく、黒平で希元素鉱物が産出する場所の産状(雰囲気)がつかめた気が
しますので、引き続き、アタックしてみたいと思います。