黒平のアマゾナイト

黒平のアマゾナイト

1.初めに

山梨県での6月度ミニ採集会の第二日目は、柳平の「金峰山荘」からも近く
参加者の希望もあった黒平にした。
甲府市昇仙峡の奥にある黒平は、古くから水晶の産地として知られています。
10年ほど前、京都地学会のメンバが「アマゾナイト(天河石)」を発見するなど
今でも各種のペグマタイト鉱物と出会える可能性を秘めています。
しかし、黒平は、晶洞に当れば”大当たり”になるが、当らなければ”スカ”になる
”賭け”の要素があることを承知していただいての採集となった。
幸い、Yさんの奥さんが電気石がついたアマゾナイトの美晶を表面採集、Mさんが晶洞を
開けるなど、まずまずの採集会であった。
(2002年6月採集)

2.産地

黒平に行くには、次の3つのルートがあります。
@甲府・韮崎方面から昇仙峡の奥を黒平の集落に向かう。
A焼山峠からクリスタルラインで黒平の集落に向かう。
B増富鉱山方面からクリスタルラインで木賊峠を越える。
名古屋方面の人には@、東京方面の人にはAが便利が良いでしょう。
@のコースの場合、荒川ダムの脇を通る道路は、雨などで土砂崩れが起こりやすく
通行止めになっている事が多く、「燕岩岩脈」を通ったほうが無難です。
産地は、「五郎沢」を初めとする、真砂化した崩壊個所(ガレ場)です。
今回は、京都地学会のメンバが「アマゾナイト」を発見した沢とその手前のガレ場を
目指して、その途中途中でも休憩を兼ねながら採集しました。
黒平のガレ場


3.産状と採集方法

水晶などのペグマタイト鉱物は晶洞(Pocket)部分にあります。真砂の上に落ちている
水晶や長石の破片や微晶を手がかりに上に登り、崖の表面を良く観察したり、積もって
いる真砂を取り除き、ペグマタイト部分を探します。
晶洞が崩落して、水晶などのペグマタイト鉱物が真砂の上や沢筋に落ちていることがあり、
運が良ければ、表面採集でも美晶を採集できることもあります。
晶洞【Mさん発見】
アマゾナイト沢での採集

4.産出鉱物

ここで採集できる主な鉱物は、各種の水晶、長石や電気石などが一般的です。
天河石、トパーズやアクアマリーンなどは、ごく限られたポイントでしか採集出来ません。
水晶には、放射能か微量成分の影響で煙水晶かかったものや「松茸水晶」がある。
(1)アマゾナイト(天河石)【Amazonite:KAlSi3O8】
緑色の微斜長石で、今回訪れた一帯の長石には、緑色かかったものが多かった。
1〜2面程度結晶面が見える標本は、殆どの方が採集できた。
アマゾナイト【電気石が共生】
【Yさんの奥さん表面採集・撮影 Yさん】

(2)水晶【Rock Crystal:SiO2】
黒平の水晶は、透明感が強いことも特徴である。
水晶
(3)微斜長石【Microcline:KAlSi3O8】
黒平の微斜長石の表面はガラス光沢で、縦に条線があり、一見トパーズと間違える
危険性がある。
トパーズと違って微斜長石は、条線に対して斜めにへき開することで区別する。
また、鉄(?)の影響か、水晶同様、赤く色付いたものも見られる。
微斜長石

5.おわりに 

(1)黒平の奥では、今でもそこそこ水晶や長石は採れます。
産地は広いのでじっくり攻めてみれば、「幸運の女神」が微笑むこともあるでしょう
(2)黒平には、険しい絶壁もあり、滑落事故など起こさないよう、安全確保には
充分注意しましょう。今回、念のため、身体を確保するロープを持参しました。
黒平の絶壁【登らないで見学のみ】
(3)6月度のミニ採集会は、例年なら梅雨のはずが、2日とも快晴に恵まれ楽しい
採集会になった。
参加していただいた皆様に感謝しています。また、今回お声掛けできなかった方とは、
次回の採集会に同行させていただこうと思います。
焼山峠で解散後、私は林道を通って甲府に帰りました。その途中、この時期には珍しく
富士山がクッキリと見えました。
水ケ森林道からの富士山
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