『嘗て「静岡県河津町やんだの沸石採集」の記事を拝読致しました、「やんだ」では
モルデン沸石に共生するセラドン石を沢山確認されたと思いますが、「恋路海岸の
緑色霰石」とは「セラドン石が霞石に含まれた物」の事でしょうか?』
不肖私は、"セラドン石"なるものを知らなかった。
その後、このページを読んだ滋賀県の石友・Nさんから、岐阜県中川辺でセラドン石の
結晶が採集できることを教えていただくと共に現物標本も恵与頂き、拙HP『中川辺の
セラドン石その1〜その3』シリーズとなった。
こうなると、恋路海岸のセラドン石で、中川辺のものと同じような結晶があるのではないか
と思い、「能登・加賀の鉱物を訪ねて」の第2弾で、再び恋路海岸を訪れた。
今回、霰石はそっちのけで、”セラドン石”を探し、”毬栗状”と”スギゴケ状”の2種類の
セラドン石を採集できた。
案内いただいた、石川県の石友・Yさんに御礼申し上げます。
(2005年7月採集)
@毬栗状・・・・・・・・針状結晶が球状に集合し、”毬栗状”になっている。
Aスギゴケ状・・・・・針状結晶が、気孔内面を覆い、まるで”青緑色のビロード”を敷き詰めたように
見えるもの。
今回、これらの2種類のセラドン石を採集できた。
項目 | 毬栗状 | スギゴケ状 | 標本 | 備考 | 「中川辺」産のように 針状結晶が集合して 毬栗状になっているのでなく 何らかの球状鉱物の表面を覆って いるようにも見える | 針状結晶が立っている |
大区分 | 形状 | 説明 | 備考 | (単一) 結晶形 | 錐状 Pyramidal | 鋭く尖った結晶 | 柱状 Prismatic | 平行する各面が等しく一方向に伸びる | 針状 Acicular | 柱状または殆ど柱状に近い錘状の結晶が細くなったもの | 板状 Platy | 一対の平行面が他に比し大きくなった板のようなもの | 厚いものを”厚板状” 薄いものを”薄板状” 更に薄いものを”葉片状” 葉片状の小さなものを”鱗状” |
集合の形 外形 | 放射状 Radial | 針状、柱状または葉片状等の 結晶が一点を中心に周囲に射出している | 樹枝状 Dendritic | 樹の枝のように分岐する | 苔状 Mossy | 例えば、自然金や自然銅 | 毛髪状 Filiform または 線状 Wirely | 例えば、自然銀で外人の頭髪に似る | 球状 Globular | 球形 内部は、放射状や”変り玉”の如く 同心円構造をもつ | 魚卵状 Ooolitic | 小さな球状が多数集まっている | 杏仁(あんにん)状 Amygdalodial | やや扁平の球状 | 葡萄状 Amygdalodial | 球状体が集合し葡萄の房に似たもの | 腎臓状 Reniform | 葡萄状より球が大きく扁平 | 乳房状 Mammillary | 球状が少し長く伸び乳房のごとき形をなす | 鍾乳状 Stalactic | つららのごとき形 | 塊状 Massive | 結晶形が不明で外形もはっきりしない | ”団塊状”は丸みを帯びた塊 | 粒状 Massive | 塊状の小さなもの | 個体がさらに小さくなると”粉状” または”砂状” |
土状 Earthy | 例えば、粘土 | 内形 | 粒状 Granular | 細かい粒が多数集合した状態 | 繊維状 Fibrous | 無数の細い結晶が一方向に集合した状態 | 並柱状 Columnar | 柱状の結晶が多数一方向に集合した状態 | 葉片状 Foliatel または Lamellar | 薄い結晶が重なりあったもの |
セラドン石の”毬栗状”とは、一般的には”球状”、”スギゴケ状”は文字通り”苔状”であろう。
(2)ただ、言葉を聞いただけで思い浮かべるイメージは、人によって違い、絵や写真があれば
それに越したことはないので、私のHPでは、ビジュアルにお伝えするように、心掛けたいと
考えている。(ただ、スケールの入れ方が・・・・・・)