黄金沢鉱山、とりわけ”カーマイン・レッド”の『洋紅石』を目当てに参加された方々も多か
た。帰宅後、標本整理・写真撮影された何人かから、写真を送っていただき、黄金沢
鉱山の代表的な鉱物の『洋紅石』と『ミメット鉱』をシッカリ採集された参加者も多かった。
色鮮やかで、まさに、”カーマイン・レッド”と”アップル・グリーン”の競演である。
一方、このような色鮮やかな鉱物と違ったものを採集された方もおられた。
滋賀の石友・Nさんから、ミネラル・ウオッチングの1週間ほどして、次のようなメールをいた
だいた。
『 洋紅石一個と顕微鏡サイズながら車骨鉱が二個出てきました。まさか車骨鉱が
自己採集出来るとは思っていなかったので大変感激しています。 』
あれから1年あまりが経ち、産地のフォローアップを兼ねて妻と2人で訪れた。最近は
訪れる石人もないのか、ズリは掘り返された気配もなく、以前と同じ静かなたたずまい
に戻っていた。
「 水晶がある!! 」、と妻が言うので近づいてみるとある範囲に水晶がポツポツと
落ちていた。他の産地なら持って帰らないような大きさのものだったが、山梨県の産地の
水晶なので持ち帰った。
私は、この産地の目玉の「洋紅石」と「車骨鉱」が採集でき、『 古泉に水枯【涸】れず 』
を実感した。
( 2009年7月採集 )
単身赴任先に鉱山関係の書籍を持ってきていないので調べられずにいるが、黄金沢
鉱山も鈴庫鉱山や朝日鉱山と同時期に試掘や小規模な採掘が行われたようだ。付近
にコンクリートで塗り固められたり、崩落した坑道跡が見られて、その前にズリが残され
ている。
「洋紅石」で有名になったズリは、廃石の量も少なく、試掘程度で終わったものと考え
られる。
山土や落ち葉に埋もれたズリ石を掘り出して、割り、割れ口をルーペで観察すると
”カーマイン・レッド”の「洋紅石」のほか、「ミメット鉱」「ビューダン石」などの砒酸塩2次
鉱物や「車骨鉱」、「毛鉱」などの硫化鉱物が観察できることがある。ただ、この産地は
東京から近いこともあり、大勢が訪れ、叩くような大きなズリ石はほとんどない。
鉱 物 名 (英語名) | 化 学 式 | 説 明 | 採 集 標 本 | 備 考 | 水晶 (QUARTZ) | SiO2 |
結晶を上から見ると、 ベンツ・マークのような ものが多い。 3面の成長速度が大き かったことを示している。
折れた面を見ると
これは、次のようなことが
@ 水晶ができた後に
その極め付きが、「接着水晶」
折れた水晶の折れ目に |
上から
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水晶は、ズリの特定の 範囲に見られる。 大きさは最大30mmの ものが観察できた。
綺麗な、あるいは大きな |
車骨鉱 (BOURNONITE) | CuPbSbS3 |
新鮮なものは、 鋼灰色、ピカピカの 金属光沢(鏡面)を示すが 表面が酸化すると鈍い 灰黒色に変化する。 双晶をなし、歯車の ようにみえるところから 『車骨(歯車)』鉱と 名づけられた、という 説がある。 |
| ズリに落ちていた | 洋紅石 (CARMINITE) |
PbFe3+2 (AsO4)2(OH)2 |
いわゆる”カーマイン・ レッド”と呼ばれる ”真紅”の小さな錐状 結晶が集合した状態で 産出する。 |
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1時間ほどの採集で 発見できたのは1個体 (割ったので標本は2つ) のみ
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ミメット鉱 (MIMETITE) | Pb5(AsO4)3Cl |
黄褐色・半透明〜白色 の針状結晶が放射状に 集合した状態で産出する。
青緑色球状のスコロド石 |
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水晶も大きくはなく、特別なものではないが、山梨県の産地の水晶ということで
”Our Collection”に仲間入りした。