湯沼鉱泉に到着すると生後2ケ月の”モコモコ”はじめ何匹かの川上犬が飛びついてきた。
社長は未だ『冬眠中』の様子だが、2008年暮れに会ったときよりは元気になっていた。
居合わせた地元の石友・小Yさんによれば、甲武信鉱山や川端下などの標高の高いところ
は積雪があり、ズリもカチンカチンに凍っていて、採集できるようになるのは5月中旬以降だろう
とのことだった。
2008年9月、小Yさんが『博物館級のベスブ石群晶』を採集したと聞き、「ベスブ石露頭」を
2人で訪れることにした。
登山口には、雪が残り、第1テラスから上の山肌は日向でもツルツルに凍っていていつもの
2倍近い時間を掛けて露頭に到着した。
露頭の叩きやすい場所は既に叩き尽くされ、奥まった平坦部分を叩くと、小さな”晶洞”があり
最大25mmのベスブ石結晶からなるベスブ石と灰鉄輝石の群晶をはじめ、今までで一番の標本
を採集できた。案内、採集してくれた小Yさんに厚く御礼申し上げる。
今年の冬、川上村は雪が少なかったそうだが、3月末になっても最低気温がマイナス10℃
以下になるなど寒い日が続いている。このような状況なので、恒例のGWミネラル・ウオッチン
グは今年も“月遅れ”の6月中旬に開催する予定だ。大勢の石友とお会いできるのを楽しみ
にしている。
なお、甲武信鉱山に入山する前に、湯沼鉱泉に立ち寄り情報を得て、入山料を支払い
そして「天然水晶洞」の見学をおすすめする。
( 2009年3月情報 )
また、今まで、幾百、幾千の訪山者が通り過ぎていた場所から、素晴らしい標本が続々と
発見され、まだまだ眠っている産地(ズリ)も多いはずだ。次に訪れるあなたが新産地の発見
者になることも、夢ではない。
今回訪れた「ベスブ石の露頭」は、約15年前に発見された場所だが、小Yさんが採集した
ような『博物館級のベスブ石群晶』が未だ隠れている、と思った人はいなかったはずだ。
採集方法は、次の3通りである。
@ 表面をよく探す【表面採集】
A 鉱物が見つかったらその周りを掘ってみる。【ズリ採集】
B その近く(通常は上)の露頭や坑道壁を叩く【露頭採集】
晩春〜晩秋なら@、Aで、女性や子どもでも十分楽しめ、”パワフル○人組”が掘ったり
露頭を叩いた後なら、@でも良品が採集できる。
冬は、Bしか採集できる術がない。
No |
鉱物種名 俗名 【英名:組成】 | 標 本 写 真 | 備 考 | 1 | ベスブ石 【VESUVIANITE: Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8 Al4(F,OH)2(OH,F,O)8 (SiO4)10 (Si2O7)4】 |
最大結晶 25mm | 灰鉄輝石と共生 | 2 | 灰鉄輝石 【HEDENBERGITE: CaFeSi2O6】 |
縦 24mm | 分離単晶 | 3 | 緑簾石 【EPIDOTE: Ca2Fe3+Al2(Si2O7) (SiO4)O(OH)】 | 横10cm |
群晶 帰路、テラスで 拾った標本 |
単身赴任先では、朝夕30分、1時間かけてウオーキングで通勤し、足腰の衰えを防いで
いた積りだったが、第1テラスから第2テラス、さらに第3テラスへの急な斜面には参った。
呼吸も苦しかったが、大臀筋までが痛み、何度か休んで露頭にたどり着いた。当分の間
リハビリが必要だ。
(2) GW ミネラル・ウオッチング
山梨に戻って引越し荷物を解くのももどかしく、湯沼鉱泉に挨拶に行った。社長はまだ
『冬眠中』だったがお姐さんも元気で、写真のように2ケ月前に生まれた川上犬もにぎ
やかに出迎えてくれた。お姐さんの話では、”熊子”のお腹には子犬がいるようで、次の
ミネラル・ウオッチングには、”モコモコ”が出迎えてくれるはずだ。
湯沼鉱泉に1泊し、甲武信鉱山を回って写真に掲載したような良品をはじめ、各種の
標本を採集できた。
社長やお姐さんの話では、今年は、雪が少なかったがその分地面が深くまで凍りつき
恒例のGWミネラル・ウオッチングは今年も“月遅れ”の6月中旬にしたほうが良さそうだ。
大勢の石友とお会いできるのを楽しみにしている。