長野県川上村甲武信鉱山の灰鉄柘榴石

      長野県川上村甲武信鉱山の灰鉄柘榴石

1. 初めに

   長野県川上村の石友・Yさんから「甲武信鉱山で最大7cmと大きくて、ピカピカの
  柘榴石の良いのが採れるから一緒に行かないか」 と、何回かお誘いを受けた。同じ頃
  新潟県の石友・Sさんからも甲武信鉱山の灰鉄輝石に伴う柘榴石の話があった。
   2人の話を総合すると2005年11月ごろ、湯沼鉱泉の社長が、今までと違う露頭を
  掘り進み、新しい産地を造ったとのことで、社長が私にも連絡しろとYさんに話して
  くれたらしい。
   2005年12月に入ると、例年より1ケ月以上早く川上村は本格的な雪に見舞われ
  積雪量は10cmを超え、根雪の状態になっていた。産地までズルズル滑る斜面を登り
  普段の2倍以上の時間がかかったが、それでも30分ほどで到着した。

    甲武信鉱山登り口【2005年12月】

   露頭を叩き、「鉄ヘスティング閃石を伴う柘榴石」を採集することができた。産地を
  開拓してくれた湯沼鉱泉の社長と案内していただいた石友・Yさんに厚く御礼申し
  上げます。
   ( 2005年12月採集 )

2.産地

   川上村にある湯沼鉱泉に宿泊し、社長から産地の状況をよく聞いてから訪れれば
  確実でしょう。

3. 産状と採集方法

   ここには、スカルン鉱床で、幅の広い柘榴石脈に伴って鉄ヘスティング閃石の脈があり
  それを取り巻くように晶洞があり、その中に柘榴石の結晶が見られる。
   比較的軟らかい母岩をタガネとハンマーで掘りながら探します。

    柘榴石露頭

4. 産出鉱物

 (1)灰鉄ザクロ石【Andradite:Ca3Fe2(SiO4)3】
    偏菱12面体、黄褐色透明〜不透明の結晶で晶洞の中に産する。結晶面は数面しか
   見えないが、ピカピカのものは、松原先生の「日本の鉱物」に掲載されたものより大きさ
   輝きの点で数段立派です。
    ピカピカのものをよく見ると”レインボー”状態の部分がある。

       
         ピカピカ          鉄ヘスティング閃石を伴う
                 灰鉄柘榴石

5. おわりに

 (1) 今年は、2005年GWのミネラルウオッチングにはじまり、甲武信鉱山を訪れたのは
    10回前後になるのではないだろうか。
     一人で、妻と2人で、大勢の石友と訪れ、それぞれに記憶に残る標本を拝見したり
    採集した。
     これらの採集品についても、まとめて報告したいと考えています。

 (2) その後、Yさんからの電話では、川上村は完全な冬の季節を迎えたらしい。この
    産地を再び訪れることができるのは来春以降になりそうです。

6. 参考文献

 1)藤本治義編:南佐久郡地質誌,南佐久教育会,昭和33年
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