S夫妻と野辺山のJR最高地点で合流し、湯沼鉱泉で入山料1,000円(私は、現物)を支払って
いると、宿泊していた一家にどちらからともなく声をかけた。話してみると、私が小学生を案内す
る山梨県北部の水晶産地の地図を送ったHさん一家だった。この日の予定を聞くと、まだ決まっ
ていない、と言うので甲武信鉱山を案内する事にした。
こうして、女性2名、高校生1名を含む5名と共に、川端下→緑水晶Aさんズリ→ミニ・ツイン坑道
→第4松茸産地→ベスブ石産地 を巡るコースを案内した。
みなさん、川端下では大きな水晶を採って大喜びし、緑水晶ズリではT君(高1)が今どき珍しい
大きさの「両錐緑水晶」を掘りだし、周りから感嘆の声が上がった。
ミニ・ツイン坑道は、冬の間に吹き込ん雪が氷になり、つららが垂れさがり、大きな氷柱はまる
で『結晶洞窟』を思わせた。何とかガマ(晶洞)が開き、一人ひとつずつ、お土産に「日本式双晶」
を渡すことができた。
18時過ぎ、まだ明るいうちに全員無事に下山し、またミネラル・ウオッチングでお会いするのを
約束し、お別れした。
私は、「X型日本式双晶」や「ピンク色方解石自形結晶」を採集でき、その上、朝夕5kmのウオ
ーキング通勤の成果か、翌日ほとんど筋肉痛を感じず、今回も『情け(親切)は人の為ならず』
を実感したミネラル・ウオッチングだった。
同行いただいた石友の皆さんに、厚く御礼申し上げます。
( 2010年5月採集 )
鞍部近くになると、大きな石英の塊には、小さな水晶がビッシリ付いているものもあり、休憩を
兼ねて観察していた。( さすがに、持ち帰ろうという人はいない )
登り始めて『1時間48分』で標高2,000mの鞍部に到着。標準時間より3分オーバーだから、皆さ
んの体力はマズマズだろう。
産地に到着してまずSさん念願の「水晶坑」を案内。何度目かの挑戦で願いが叶ったS夫妻は、
感激の面持ちだった。
この後、ズリの思い思いの場所に散らばって水晶を探す。ここで、皆さんの採集用具を見て驚
いた。誰一人『熊手』を持っていないのだ。
湯沼鉱泉で初めて会ったHさん一家は仕方がないにしても、Sさんには、採集用具として用意す
るもののリストに加えておいたのだが・・・・・・。
皆さん、辺りに落ちていた木の枝で、ズリをほじくっているが、20cmも下はカチカチに凍ってい
て、熊手でさえも歯が立たない。それでも、『今までで、一番大きな水晶』を採集できて、大喜び
だった。他には、この産地ならではの「方解石」、「柱石」そして「灰ばん柘榴石」を採集できた。
途中、「灰鉄輝石」の洞窟を経由し、急な斜面を登ると、坑口がある。坑内には氷が張りつめ、
氷柱(ツララ)も多数垂れさがっている。坑道の奥には、大きな氷柱があり、以前テレビで放映さ
れた『結晶洞窟』のようだ。
坑道の中は冷蔵庫のように冷え切っている。ライトで照らされた「方解石」の大きな結晶を見て、
Hさんは感嘆の声をあげている。
ここの目玉の「日本式双晶」を探すのだが、なかなか”晶洞(ガマ)”が開かない。そろそろ引き
上げる時間になって、ようやく開いた。
30分時間を延長させてもらって、皆さんに配る分を確保した。
坑道の外に出ると、”モワ〜”っと暖かく感じる。採集した「日本式双晶」や群晶などを並べて、
「標本玉手箱」だ。ジャンケンで勝った人から好きな標本を選んでいただく。みなさん、アレコレ
悩みながら、一人1つ選んでいただいた。
第2テラスに行くと、「珪灰石」があったので、小割りにして「甲武信鉱山スカルン鉱床」訪山記
念に皆さんに差し上げた。
登山口に戻ったとき、まだまだ明るかったが18時を回っていた。冒頭に掲げた記念写真を撮っ
て、またお会いできるのを楽しみに解散した。
S夫妻
『 その後、洗い出し時もいろいろ思い出しながら会話も弾みました。山から持参した採集品
は・・・・・・・・、二人で行って良かったと思っています。
鉱物採集が夫婦円満に一役かっています・・・ 』
ごちそうさま・・・・・・・・MH
Hさん一家
昨日はポイントポイントに連れて行って頂き、これまででは夢のような水晶を採集する
『 昨日は朝に突然混ぜて頂き、その後一日案内して頂き本当にありがとうございました。
2日、3日と家族だけで地図を頼りに山の中でうろうろしていたました。それはそれで楽し
かったのですが、自分たちがどこにいるかもよく分からない状況でした。
そのような素人の案内は大変だったと思います。
ことができ、また方解石に囲まれた坑道は幻想的な世界でした。自分たちだけでは絶対に
体験できない一日でした。高一のTもとても楽しんでいました。 』
また、ご一緒しましょう・・・・・・・・MH
採集者 | 産地 | 採集標本 | 写真 | Hさん一家 | 川端下 (かわはけ) | 両錐松茸水晶 | 甲武信鉱山 Aさんズリ | 緑水晶 (「緑閃石」入り水晶) | S夫妻 | 甲武信鉱山 ミニツイン坑 | 日本式双晶 | 甲武信鉱山 ベスブ石露頭 | ベスブ石 |
(2) 『 ハンマー忘れても熊手忘れるな 』
今回案内した皆さんは、「熊手」を誰も持っていなかったので、採集に苦労したようだ。
私は、フィールドでハンマより熊手を使う頻度のほうがはるかに高い。某県には「弁当忘れ
ても傘忘れるな」、」ということわざがあると聞いたことがるが、ミネラル・ウオッチングでは、
『 ハンマー忘れても熊手忘れるな 』 であろう。
(3) ミネラル・ウオッチングシーズン到来
川上村を訪れると、道路わきの温度表示盤が15℃を示していた。村の桜、梅、李(すもも)の
花が一斉に咲いていた。
もうすぐ恒例になっている「月遅れGWミネラル・ウオッチング」の季節が訪れる。全国の大勢
の石友と「湯沼鉱泉」でお会いできるのを社長、お姐さんそして私たち夫婦が楽しみにしてい
る。