その上、案内してもらった産地は、” エッ ? ” と思うような場所だった。
何とも不思議な産地で、「こんなところに何故水晶があるのか?」と思うような場所
だった。
この2ケ月後、山梨県甲府市黒平をAさん親子と訪れ、同じようなフィールドで
水晶や希元素鉱物を採集し、何となく採集要領がわかった。従来のように「ガレ場」を
攻めるのではなく、「地山」の表面を観察し、落ちている水晶片や長石片を手がかりに
晶洞を探すという新しい手法だった。
この紫水晶産地でも、同じ手法でかなりの数の水晶は採集できたが、紫水晶として
2008年10月、近々開催するミネラル・ウオッチングの下見で妻と2人で訪れてみると、
@ 花崗岩の晶洞や割れ目の石英脈に水晶が成長
@ 蝋燭(キャンドル)・・・・・・・・・・・先端や表面が丸みを帯び、透明度がほとん
(2) 水晶/石英【QUARTZ:SiO2】
この産地で確認できた鉱物は、今のところ水晶だけである。
(2) 益富先生の「鉱物」にある紫水晶のうち、「鳥取県藤屋」「韓国白巌山」などのものは
上表のポイントやキーワードの「松茸水晶」の産地を地図の上にプロットしてみると
(3) 黒平の古老から聞いた△△△の産地は、その後単身赴任が続き、未だ確認でき
(4) この産地は、女性や子どもでも楽しめそうなので、次回のミネラル・ウオッチングで
( Smokey QUARTZ from Kurobera , Kofu City , Yamanashi Pref. )
( Smokey QUARTZ from Kurobera , Kofu City , Yamanashi Pref. )
お見せできるのは数本だった。
とは言え、貴重な産地を案内してくれたAさん親子に厚く御礼申し上げる。
あれから1年半近くが経ち、その後の紫水晶フィーバーも去り、産地は静けさを取り戻し
ていた。
産地はAさん親子に案内していただいた場所だけでなく、広い範囲にまたがっている
ことに初めて気付いた。女性や子どもでも表面採集だけで、ここ独特の晶癖を持った
水晶が拾えそうだ。皆さんと訪れるのを楽しみにしている。
( 2007年8月採集 2008年10月下見 )
2. 産地
ここは、知る人ぞ知る産地なので、詳細は割愛する。
3. 産状と採集方法
冒頭にも書いたとおり、不思議な産状の産地で、私は下の図のようにしてできたの
だろうと推測している。つまり
A 長い年月の間に花崗岩は風化、マサ化して、ボロボロになって崩れた。
晶洞の中の水晶も周囲に散らばった。
B その後、厚く表土が積もり、水晶を覆い隠した。
水晶産地の成因
4. 産出鉱物
(1) 紫水晶/石英【Amethyst/QUARTZ:SiO2】
ここの紫水晶は、俗に”松茸水晶”と呼ばれるタイプである。場所によって2つの
タイプがあるようだ。
どない。
先端のごく一部が”紫”になっている。
A 平行連晶・・・・・・・・・・・・・・・・・・1本の水晶に両錐の水晶が寄生し、角が
シャープで透明度が高い。
全体が”淡い紫”
タイプ@ タイプA
紫水晶
ここの水晶は、近くにある有名な水晶産地のものに似て透明感があり、細長い
のが特徴である。ただ、インクルージョン(内包物)は全くと言ってよいほど観察
できない。
今回、単晶のほか、群晶も採集できた。
群晶
5. おわりに
(1) これで、山梨県内で紫水晶が産出する(した)場所で、私が知っているのは5箇所
になった。いずれも甲府盆地北方のペグマタイト地帯である。
No 産 地 標 本 確 認 備 考
1 ○○沢 済み HP掲載
2 □□□林道支線 済み HP掲載
3 △△△ 済み
ファントム・アメシスト
(山入り)のような
累帯構造を示す黒平の古老から聞き取り
”産地未確認”4 ◎◎澤 済み
黒平の住人から
標本恵与いただいた
”産地未確認”5 金峰山 済み 今回、HP掲載
「冠(かんむり)水晶」とも呼ばれる「松茸水晶」(鉱物学的には”平行連晶”の1種)を
している。
今回確認した産地のものと共通している。
「紫水晶」が出やすい場所が何となくあぶり出せそうなので、”新産地”も開拓してみた
い。
ていない。”足腰が達者な内に”突き止めたい、と考えている。
大勢の石友とお会いできるのを楽しみにしている。
6. 参考文献
1) 山梨県・山梨県地質図編纂委員会編:山梨県地質誌 山梨県地質図説明書
同委員会,昭和45年(1970年)
2) 益富 壽之助:鉱物 −やさしい鉱物学 -,保育社,昭和60年(1985年)