この産地を知った「鉱物採集の旅」には、金加鉱山では、2次鉱物の「バレンチン石」
が採集できるとある。また、インターネットで『金加鉱山』を検索すると、「鉄黄安華
/トリプヒ石」が1978年に国内で初めて金加鉱山から産出が報告された、と知った。
そんなことが頭の片隅にあって、前報の「おわりに」で、『 採集品を良く見て欲しい 』
などと思わせぶりな書き方をしてしまった次第だ。
さて、千葉の単身赴任先に持ち帰った採集品を、水で洗浄後、くまなく実体顕微鏡で
観察すると、放射状結晶をした「バレンチン石」と針状結晶をした「鉄黄安華」がいくつか
発見できた。持ち帰った数個の標本の約半分にあることになり、希産ではないようだ。
( 「輝安鉱」などを含む鉱石そのものが少ないので、やはり希産かな? )
貴重な2種の2次鉱物を初めて自力で採集でき、産地を案内していただいたI氏と
この機会を設けてくれた「ヘナK小隊」・K夫妻に厚く御礼申し上げる。
( 2008年10月採集 )
今回案内していただいた場所以外にも「水平坑道」や「縦坑」などがある(あった)よう
だが、今回案内していただいた場所では、比較的高品位鉱が採掘できたらしい。
「日本鉱産誌」にあるとおり、石英脈にアンチモン鉱物がきているので、石英塊を探し
ハンマーで叩き、破面を観察しながら採集する。「輝安鉱」や「ベルチェ鉱」は『堅くて
割るのに難渋する石英塊の新鮮な割れ口の晶洞』に良標本があるのだが、2次鉱物
は『ひび割れが入り、簡単に割れる石英で、破面に茶褐色の鉄錆がみられるもの』
にくるのを”後知恵”で知った。
No | 鉱物種 (英語名) 【化学式】 | 説明 | 採集標本 | 備考 | 1 | バレンチン石 (VALLENTINITE) 【Sb2O3】 |
透明〜黄白色の 針状結晶が放射状に 集合して産する |
バレンチン石 |
「鉱物採集の旅」に ”ナメクジが這った様” と表現されているが わかりますか? |
2 | 鉄黄安華 /トリプヒ石 (TRIPUHYITE) 【FeSb5+2O6】 |
黄色、針状結晶で 輝安鉱やベルチェ鉱を 伴う鉱石の割れ目に 産する |
鉄黄安華 /トリプヒ石 |
金加鉱山が国内で 最初に本鉱が発見 された産地 |
3 | 黄安華 (STIBICONITE) 【Sb3+Sb5+2O6(OH)】 |
白色〜黄色の皮膜状で 輝安鉱やベルチェ鉱を 伴う母岩の割れ目に 産する |
黄安華 |
採集標本をジックリ見直して、2種の2次鉱物があることが判り、改めて案内して
いただいた地元出身のI氏と訪山のキッカケを作ってくれた「ヘナK」ことK夫妻に
感謝している。
ただ、2次鉱物はすき好きがあるようで、小隊長(奥さん)は、この後訪れた2次
鉱物がメインの五加鉱山では採集意欲がいまひとつだったようで、申し訳なく思っ
ている。
(2) 残るは、黒川鉱山
五加鉱山、金加鉱山とくると残るは黒川鉱山だ。小隊長のメールで、I氏が探索
してくれているとの事なので、『 出撃ヨシ 』で、待機している。